今回は令和3年度 法規科目 A問題4、高圧及び特別高圧の電路に施設する避雷器(電気設備技術基準の解釈第37条)に関する問題です。避雷器を施設しなければならない箇所について、誤っているものを選びます。
避雷器を施設する箇所は4つ。①発電所・変電所等の架空電線の引込口及び引出口、②配電用変圧器の高圧側・特別高圧側、③高圧架空電線路から受電する受電電力500kW以上の需要場所の引込口、④特別高圧架空電線路から受電する需要場所の引込口。「引込口だけ」ではなく「引出口も」がポイントです。
令和3年度 法規科目 A問題4:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和3年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題4
電験3種 法規科目 【電気設備技術基準の解釈】 令和3年度 A問題4
次の記述は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく高圧及び特別高圧の電路に施設する避雷器に関するものである。誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。ただし、いずれの場合も掲げる箇所に直接接続する電線は短くないものとする。
(1)発電所又は変電所若しくはこれに準ずる場所では、架空電線の引込口(需要場所の引込口を除く。)又はこれに近接する箇所には避雷器を施設しなければならない。
(2)発電所又は変電所若しくはこれに準ずる場所では、架空電線の引出口又はこれに近接する箇所には避雷器を施設することを要しない。
(3)高圧架空電線路から電気の供給を受ける受電電力が50kWの需要場所の引込口又はこれに近接する箇所には避雷器を施設することを要しない。
(4)高圧架空電線路から電気の供給を受ける受電電力が500kWの需要場所の引込口又はこれに近接する箇所には避雷器を施設しなければならない。
(5)使用電圧が60000V以下の特別高圧架空電線路から電気の供給を受ける需要場所の引込口又はこれに近接する箇所には避雷器を施設しなければならない。

答えは(2):引出口にも避雷器が必要
平成22年度 A問題5は同じ37条で、4箇所すべてが「架空」であることを扱っています。
この記事は、引込口と引出口の両方が要る理由を主軸にします。
★なぜ引出口にも要るのか
雷サージは、電線路のどちら側からも侵入します——変電所に入ってくる線にも、出ていく線にも落雷します。
引出口の先の架空線に落雷すれば、そこから変電所へサージが逆流してきます。
だから引込口だけでは守れない——条文が「及び」で結んでいる理由です。
★「需要場所の引込口を除く」の意味
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 発変電所等の引込口(需要場所を除く) | ★★発変電所等の引込口(需要場所を除く) | ★需要場所の引込口 | ★★一号と三号・四号で分けて規定している |
| 一号=発変電所等 | ★★一号=発変電所等 | ★三号・四号=需要場所 | ★★重複を避けるための括弧書き |
需要場所の引込口は、三号・四号で別に規定されています——条件(500kW以上/特別高圧)が違うからです。
だから一号から除いている——括弧書きは重複を整理するためのものです。
条文の構造を読むと、括弧書きの意味がわかります。
★500kWという境目
| 受電形態 | 受電電力 | 避雷器 |
| ★高圧架空から受電 | ★★500kW以上 | ★★必要 |
| ★高圧架空から受電 | ★★500kW未満 | ★★条文上は不要 |
| ★特別高圧架空から受電 | ★★規模を問わず | ★★必要 |
設問(3)は50kW——500kW未満なので不要、正しい記述です。
設問(4)は500kW——「以上」に該当するので必要、正しいです。
「500kW」ちょうどが該当することに注意——「以上」だから含まれます。
★特別高圧は規模を問わない
設問(5)は使用電圧60 000V以下の特別高圧架空から受電——四号に該当するので必要、正しいです。
四号には受電電力の条件がありません——特別高圧なら規模を問わず必要です。
雷サージの影響が甚大だから——高圧との扱いの差です。
「直接接続する電線は短くない」という前提
問題文の但し書きに注目します——「掲げる箇所に直接接続する電線は短くないものとする」。
37条には、電線が短い場合の例外があります——その例外を考えなくてよい、という前提です。
但し書きは、解答の条件を限定するために置かれます——読み飛ばさないことです。
避雷器の接地はA種
| 項目 | 基準 |
| ★接地工事 | ★★A種接地工事 |
| ★接地抵抗値 | ★★10Ω以下 |
| ★接地線 | ★★直径2.6mm以上の軟銅線 |
接地抵抗が高いと、避雷器が動作しても電位が上がります——逃がした電流が抵抗を流れるからです。
だからA種(10Ω以下)が要求される——できるだけ低いほうが望ましいのです。
雷サージの侵入経路
| 経路 | 内容 |
| ★直撃雷 | ★★架空電線や鉄塔に直接落雷する |
| ★誘導雷 | ★★近くへの落雷で電線に電圧が誘起される |
| ★逆フラッシオーバ | ★★鉄塔への落雷で鉄塔電位が上がり、がいしを逆に飛び越える |
いずれも架空電線に特有の現象です——地中電線は大地に覆われているからです。
だから37条の4箇所すべてに「架空」が付くのです。
絶縁協調
機器の絶縁強度を、避雷器の制限電圧より高く設計します——これが絶縁協調です。
避雷器が先に動作して電圧を抑えるので、機器は壊れません——「壊れる順番」を設計するのです。
だから避雷器は機器の近くに置く——「これに近接する箇所」という条文の意味です。
37条は2年度で問われている
| 年度 | 問われ方 | 正解番号 |
| ★平成22年度 問5 | ★★該当する箇所を選ぶ(地中がダミー) | ★★(3) |
| ★令和3年度 問4(本問) | ★★誤りを選ぶ(引出口がダミー) | ★★(2) |
同じ条文でも、狙われる箇所が違います——「架空」と「引込口及び引出口」。
条文を丸ごと覚えれば、どちらの型でも解けます。
避雷器の構造と特性
| 方式 | 構造 |
| ★ギャップ付き(旧来形) | ★★直列ギャップ+炭化けい素(SiC)素子 |
| ★ギャップレス(現行主流) | ★★酸化亜鉛(ZnO)素子のみ |
酸化亜鉛素子は、電圧が上がると急激に抵抗が下がります——非直線抵抗特性です。
だからギャップなしで済み、応答も速い——現在の主流です。
制限電圧と公称放電電流
| 用語 | 意味 |
| ★制限電圧 | ★★放電中に避雷器の端子に現れる電圧の波高値 |
| ★公称放電電流 | ★★避雷器が流せる標準的な放電電流(2.5kA・5kA・10kA等) |
| ★続流 | ★★放電後に系統から流れ続ける電流 |
制限電圧が低いほど、機器を守る性能が高い——絶縁協調の要です。
続流を速やかに切ることも重要——残れば地絡状態が続きます。
架空地線との役割分担
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 避雷器 | ★★避雷器 | ★架空地線 | ★★入ってきたサージを逃がす/そもそも当てない |
| 機器の近くに設置 | ★★機器の近くに設置 | ★電線路の最上部に架設 | ★★守り方が違う |
架空地線は、送電線の最上部に張られた接地された電線です——雷を代わりに受けます。
それでも侵入するサージを、避雷器が逃がす——二段構えの雷害対策です。
⏱️ 本番での進め方
① 一号は引込口及び引出口——両方が対象。
② 「需要場所の引込口を除く」のは三号・四号で別に規定されているから。
③ 高圧架空からの受電は500kW以上——「以上」なので500kWも含む。
④ 特別高圧架空からの受電は規模を問わず必要。
💡 覚え方
解釈37条 避雷器の施設=①発変電所等の架空電線引込口(需要場所の引込口を除く)及び引出口 ②架空電線路に接続する配電用変圧器の高圧側・特別高圧側 ③高圧架空電線路から受電する受電電力500kW以上の需要場所の引込口 ④特別高圧架空電線路から受電する需要場所の引込口。接地はA種。
⚠️ よくある間違い
「引出口には施設することを要しない」は誤り——引込口と引出口の両方が対象。雷サージは電線路のどちら側からも侵入する。
まとめ
| (1)引込口(発変電所等) | 避雷器必要 → 正しい |
| (2)引出口(発変電所等) | 不要は誤り(引出口も必要) |
| (3)受電50kW | 500kW未満で不要 → 正しい |
| (4)受電500kW | 施設必要 → 正しい |
| (5)特別高圧需要場所 | 施設必要 → 正しい/答え(2) |
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