今回は令和6年度下期 法規科目 A問題7、再閉路時の事故防止(電気設備技術基準の解釈第227条)に関する空欄補充問題です。系統事故で切れた電路を自動で再投入(再閉路)する際、分散型電源が残っていると位相不一致で事故になるため、それを防ぐ装置が問われます。
骨格は「引出口に線路無電圧確認装置」。ただし逆潮流がなく2系列化されている等の場合は簡素化でき、その末端配置に不足電力リレー(CT末端)・不足電圧リレー(PT末端)、高圧連系では単独運転検出装置・逆電力リレーが登場します。
令和6年度下期 法規科目 A問題7:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和6年度下期 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題7
電験3種 法規科目 【電気設備技術基準の解釈】 令和6年度下期 A問題7
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」における再閉路時の事故防止に関する記述である。上記の記述中の空白箇所(ア)〜(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
高圧又は特別高圧の電力系統に分散型電源を連系する場合(スポットネットワーク受電方式で連系する場合を除く。)は、再閉路時の事故防止のために、分散型電源を連系する変電所の引出口に(ア)を施設すること。ただし、次のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
a)逆潮流がない場合であって、電力系統との連系に係る保護リレー、計器用変流器、計器用変圧器、遮断器及び制御用電源配線が、相互予備となるように2系列化されているとき。ただし、次のいずれかにより簡素化を図ることができる。①2系列の保護リレーのうちの1系列は、(イ)(2相に設置するものに限る。)のみとすることができる。②計器用変流器は、(イ)を計器用変流器の末端に配置する場合、1系列目と2系列目を兼用できる。③計器用変圧器は、不足電圧リレーを計器用変圧器の末端に配置する場合、1系列目と2系列目を兼用できる。
b)高圧の電力系統に分散型電源を連系する場合であって、次のいずれかに適合するとき。①…転送遮断装置及び能動的方式の(ウ)を設置し、かつ、それぞれが別の遮断器により連系を遮断できること。②2方式以上の(ウ)(能動的方式を1方式以上含むもの。)を設置し…。③能動的方式の(ウ)及び整定値が分散型電源の運転中における配電線の最低負荷より小さい(エ)を設置し…。④分散型電源設置者が専用線で連系する場合であって、連系している系統の自動再閉路を実施しないとき。
(ア) (イ) (ウ) (エ) (1) 不足電圧リレー 周波数低下リレー 単独運転検出装置 不足電力リレー (2) 不足電圧リレー 不足電力リレー 線路無電圧確認装置 逆電力リレー (3) 線路無電圧確認装置 不足電力リレー 単独運転検出装置 逆電力リレー (4) 線路無電圧確認装置 周波数低下リレー 単独運転検出装置 不足電力リレー (5) 不足電圧リレー 周波数低下リレー 線路無電圧確認装置 逆電力リレー

答えは(3):線路無電圧確認装置・不足電力リレー・単独運転検出装置・逆電力リレー
再閉路時に分散型電源が残っていると、位相不一致で大事故になります——それを防ぐのがこの条文です。
★線路無電圧確認装置とは
再閉路する前に、線路が無電圧であることを確認する装置です——変電所の引出口に設けます。
電圧が残っていれば、分散型電源がまだつながっている証拠——再閉路を止めます。
「確認してから投入する」という、最も確実な方法——だから原則として要求されます。
★位相不一致投入の危険
位相がずれていると、大きさが同じでも差は大きい
電圧の2倍が加わり、短絡に近い電流が流れる
系統から切り離された分散型電源は、独自の周波数で回り続けます——位相が徐々にずれます。
その状態で再閉路すれば、大きな突入電流が流れます——発電機も系統機器も壊れます。
だから再閉路の前に必ず解列されていなければならないのです。
★3つの代替手段
| 手段 | 考え方 |
| ★保護リレー等の2系列化 | ★★片方が故障しても、もう片方が確実に解列する |
| ★転送遮断装置+能動的方式の単独運転検出装置 | ★★系統側の情報と自力検出の二重 |
| ★2方式以上の単独運転検出装置 | ★★能動的方式を1方式以上含む |
いずれも「確実に解列できる」ことを別の方法で担保します——だから線路無電圧確認装置を省けるのです。
単独では不十分でも、組み合わせれば確実になる——冗長化の考え方です。
★不足電力リレーと逆電力リレー
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 不足電力リレー(UPR) | ★★不足電力リレー(UPR) | ★逆電力リレー(RPR) | ★★電力が少ないことを検出/逆向きの電力を検出 |
| 2系列化の簡素化に使う | ★★2系列化の簡素化に使う | ★逆潮流の防止に使う | ★★用途が違う |
不足電力リレーは、受電電力が小さくなったことを検出します——系統が切れた兆候です。
逆電力リレーは、構内から系統へ電力が流れ出したことを検出します——逆潮流の防止です。
「整定値が配電線の最低負荷より小さい」逆電力リレー——わずかな逆潮流も見逃さない設定です。
スポットネットワーク受電方式が除かれる理由
| 方式 | 特徴 |
| ★スポットネットワーク受電 | ★★複数回線から受電し、ネットワークプロテクタで自動的に切り替える |
| ★プロテクタの機能 | ★★逆電力・差電圧・過電圧の3特性で自動投入・開放する |
ネットワークプロテクタ自体が、位相と電圧を見て投入を判断します。
だから線路無電圧確認装置を別に設ける必要がない——括弧書きで除外されている理由です。
大都市のビルなどで採用される、信頼度の高い受電方式です。
再閉路の方式と時間
| 方式 | 無電圧時間 | 適用 |
| ★高速度再閉路 | ★★1秒以内 | ★★基幹系統 |
| ★中速度再閉路 | ★★1〜15秒 | ★★送電系統 |
| ★低速度再閉路 | ★★1分以上 | ★★配電系統 |
再閉路までの時間が短いほど、解列も速くなければなりません——単独運転検出に高速性が求められる理由です。
一般に0.5〜1秒以内の検出が要求されます。
227条と229条の関係
| 条 | 内容 |
| ★第227条 | ★★低圧連系時の保護装置/再閉路時の事故防止 |
| ★第229条 | ★★高圧連系時の保護装置(再閉路時に解列されていること) |
229条は「再閉路時に解列されていること」を求めます——需要家側の義務です。
227条は変電所の引出口に確認装置を設ける——系統側の備えです。
両側から二重に守っている——位相不一致投入の危険が大きいからです。
能動的方式が必須である理由
受動的方式は、発電と負荷が均衡すると検出できません——原理的な不感帯です。
再閉路までの数秒間に確実に検出する必要があります——不感帯があっては困るのです。
だから条文が「能動的方式を1方式以上含む」と明記しています。
分散型電源の保護に関する条文の並び
| 条 | 内容 |
| ★第220条 | ★★用語の定義 |
| ★第221条 | ★★直流流出防止変圧器の施設 |
| ★第222条 | ★★限流リアクトル等の施設 |
| ★第225条 | ★★電話設備の施設 |
| ★第226条〜229条 | ★★低圧・高圧の連系要件と保護装置 |
定義→共通の施設要件→電圧階級ごとの要件、という構成です。
再閉路時の事故防止は227条——系統側の備えを定めた規定です。
⏱️ 本番での進め方
① (ア)は線路無電圧確認装置——変電所の引出口に施設。
② (イ)は不足電力リレー——CTの末端に配置して系列を兼用。
③ (ウ)は単独運転検出装置——能動的方式を1方式以上含む。
④ (エ)は逆電力リレー——整定値は配電線の最低負荷より小さく。
💡 覚え方
解釈227条 再閉路時の事故防止=高圧・特別高圧の系統に分散型電源を連系する場合(スポットネットワーク受電方式を除く)は、変電所の引出口に線路無電圧確認装置を施設する。ただし①逆潮流がなく保護リレー等が2系列化されているとき ②高圧連系で転送遮断装置及び能動的方式の単独運転検出装置を設置する等のとき——は省略できる。
⚠️ よくある間違い
(ア)は「不足電圧リレー」ではなく線路無電圧確認装置。(ウ)は「線路無電圧確認装置」ではなく単独運転検出装置。不足電力リレーと逆電力リレーは用途が違う。
まとめ
| (ア)引出口 | 線路無電圧確認装置 |
| (イ)CT末端 | 不足電力リレー |
| PT末端(③) | 不足電圧リレー |
| (ウ)高圧連系 | 単独運転検出装置(能動的方式) |
| (エ) | 逆電力リレー(整定値<最低負荷) |
| 答え | (3) |
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