電気施設管理-計算44【電験3種 法規】銅損は負荷率²で積算・全日効率!損失5.43kWh・効率97.7%=(a)(3)(b)(3) 平成19年度 B問題12 完全解説

電験3種 法規科目 電気施設管理 平成19年度 B問題12 1日の損失5.43kWh!全日効率は97.7%

今回は平成19年度 法規科目 B問題12日負荷曲線から変圧器の損失電力量と全日効率を求める問題です。平成23年度 B問11(電気施設管理-計算36)と同系統の基本問題です。

核心は「鉄損は24時間一定、銅損は負荷率の2乗に比例」。各時間帯の負荷率(=負荷/定格容量)の2乗で銅損を積算し、鉄損を足せば損失電力量。全日効率=出力/(出力+損失)です。

目次

平成19年度 法規科目 B問題12:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 法規科目 配電 平成19年度 B問題12 問題文
平成19年度 法規科目 B問題12 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成19年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 B問題12

電験3種 法規科目 【電気施設管理】 平成19年度 B問題12

 単相変圧器(定格容量20kV·A、鉄損150W、銅損270W(定格負荷時)、力率100%)がある。1日の負荷は4・12・16・6kV·Aがそれぞれ6時間ずつ。次の(a)及び(b)に答えよ。

(注)平成19年度は公式問題PDFが公表されていないため、電験王等の過去問データに基づいて問題文を再構成しています。

配電線路に接続された単相変圧器がある。定格容量20kV·A、鉄損150W(定格電圧時)、銅損270W(定格負荷時)、力率100%とする。1日の負荷は、4kV·A・12kV·A・16kV·A・6kV·Aがそれぞれ6時間ずつであった。次の(a)及び(b)に答えよ。

(a) この変圧器の1日の損失電力量[kW·h]の値として、最も近いものを次の(1)〜(5)から一つ選べ。

(1)3.68 (2)3.91 (3)5.43 (4)7.00 (5)7.50 kW·h

(b) この変圧器の全日効率[%]の値として、最も近いものを次の(1)〜(5)から一つ選べ。

(1)96.8 (2)97.0 (3)97.7 (4)98.4 (5)99.0 %

答え(a)1.83+3.6≒5.43kW·h = (3)/(b)228/(228+5.43)≒97.7% = (3)

答えは(a)5.43kW·h・(b)97.7%

変圧器の損失電力量と全日効率

鉄損は24時間一定——負荷に関係なく、電圧が加わっていれば常に生じる。/★銅損は負荷率の2乗に比例——P_c = P_c(全負荷) × (負荷/定格容量)²。/★全日効率 = 出力電力量 ÷(出力電力量+損失電力量)/★最大効率の条件は鉄損=銅損

★2つの損失の性質の違いが、この問題のすべてです。

平成23年度 B問題11が同系統です。そちらは負荷が[kW]で与えられます

この記事は、鉄損と銅損の性質の違いを主軸にします

★★鉄損はなぜ一定なのか

P_i = P_h + P_e
鉄損=ヒステリシス損+渦電流損
$$P_h \propto f B_m^{1.6},\quad P_e \propto f^2 B_m^2$$
どちらも磁束密度で決まる
★磁束密度は電圧で決まる
$$V = 4.44 f N \phi_m \Rightarrow \phi_m \propto \dfrac{V}{f}$$
電圧が一定なら磁束も一定
負荷とは無関係

鉄損は鉄心の中の磁束が生む損失です——磁束は電圧で決まる

電圧が加わっていれば、負荷がゼロでも鉄損は生じます——だから24時間一定

無負荷損とも呼ばれます——負荷に関係しないからです。

★★銅損はなぜ負荷率の2乗なのか

P_c = I^2 R
銅損=巻線の抵抗による損失
★電流の2乗に比例
$$I \propto \text{負荷} \Rightarrow P_c \propto \text{負荷}^2$$
電流は負荷に比例する
$$P_c = P_{c,\text{全負荷}} \times \left(\dfrac{\text{負荷}}{\text{定格容量}}\right)^2$$
★負荷率の2乗に比例
これが計算の基礎式

ジュール熱I²Rなので、電流の2乗に比例します——だから負荷率も2乗

負荷が半分なら銅損は1/4——軽負荷では銅損が急激に減るのです。

負荷損とも呼ばれます——負荷で変わるからです。

★(a)銅損電力量を積算する

負荷負荷率銅損時間
★4kV·A★★0.2★★270×0.04=10.8W★★6h
★12kV·A★★0.6★★270×0.36=97.2W★★6h
★16kV·A★★0.8★★270×0.64=172.8W★★6h
★6kV·A★★0.3★★270×0.09=24.3W★★6h
$$W_c = 6 \times (10.8 + 97.2 + 172.8 + 24.3) = 6 \times 305.1$$
銅損電力量
$$W_c = 1830.6\,\mathrm{[W\cdot h]} \approx 1.83\,\mathrm{[kW\cdot h]}$$
計算結果

負荷率を2乗してから270Wに掛ける——順序を間違えないことです。

時間帯ごとに計算して足す——平均負荷率で計算してはいけません

★なぜ平均負荷率で計算してはいけないのか

$$\overline{k^2} \neq \left(\overline{k}\right)^2$$
★2乗の平均は平均の2乗と違う
これが誤答の原因
$$\overline{k} = \dfrac{0.2+0.6+0.8+0.3}{4} = 0.475$$
平均負荷率
$$270 \times 0.475^2 \times 24 = 1462\,\mathrm{[W\cdot h]} \neq 1830$$
平均で計算すると約20%小さくなる
★誤り

2乗してから平均するのと、平均してから2乗するのは違います——数学的な事実

必ず時間帯ごとに2乗してから足す——これが正しい手順です。

変動が大きいほど差が開きます

★(a)鉄損を足して損失電力量

$$W_i = 150 \times 24 = 3600\,\mathrm{[W\cdot h]} = 3.6\,\mathrm{[kW\cdot h]}$$
鉄損電力量(24時間一定)
$$W_{\text{損失}} = 1.83 + 3.6 = 5.43\,\mathrm{[kW\cdot h]}$$
損失電力量の合計
(a)の答え

鉄損のほうが大きい——3.6対1.83

軽負荷が多い日は鉄損が支配的になります——負荷率が低いからです。

★(b)全日効率を求める

$$W_{\text{出力}} = 6 \times (4 + 12 + 16 + 6) = 6 \times 38 = 228\,\mathrm{[kW\cdot h]}$$
力率100%なので皮相=有効
$$\eta = \dfrac{228}{228 + 5.43} \times 100 \approx 97.7\,[\%]$$
全日効率
(b)の答え

全日効率=出力÷(出力+損失)です——入力で割ると考えても同じ

力率100%なので[kV·A]がそのまま[kW]になります——本問が簡単な理由

★★最大効率の条件

$$\eta = \dfrac{P}{P + P_i + P_c}$$
効率
$$\dfrac{d\eta}{dk} = 0 \Rightarrow P_i = P_c$$
★鉄損=銅損のとき効率が最大
有名な結論
$$k_{max} = \sqrt{\dfrac{P_i}{P_{c,\text{全負荷}}}} = \sqrt{\dfrac{150}{270}} \approx 0.745$$
本問の最大効率となる負荷率
約74.5%の負荷

鉄損と銅損が等しくなる負荷で効率が最大になります——機械科目でも頻出

本問では負荷率74.5%=約14.9kV·Aのとき最大です。

実際の負荷(4〜16kV·A)はその前後——設計として妥当です。

全日効率と規約効率

条文の言葉ダミー語違い
全日効率★★全日効率★規約効率★★1日の電力量で計算/ある瞬間の電力で計算
運用実態を反映する★★運用実態を反映する★定格点での性能を表す★★見る対象が違う

全日効率は、実際の1日の使われ方での効率です——電力量[kW·h]で計算

規約効率は、ある負荷での瞬間の効率——電力[kW]で計算します。

配電用変圧器は軽負荷時間が長いので、全日効率で評価するのが実態に合うのです。

トップランナー変圧器

省エネ法により、変圧器には効率の基準が定められています

特に鉄損の低減が進みました——アモルファス鉄心など

軽負荷時間が長い設備では、鉄損の低減が効きます——本問の計算がその根拠です。

⏱️ 本番での進め方
① 鉄損は24時間一定——電圧で決まり負荷に無関係。
② 銅損は負荷率の2乗に比例——I²Rだから。
平均負荷率で計算してはいけない——時間帯ごとに2乗して足す。
④ 最大効率の条件は鉄損=銅損

💡 覚え方
変圧器の全日効率=①鉄損は24時間一定(P_i×24)②銅損は負荷率の2乗に比例(P_c(全負荷)×k²)を時間帯ごとに積算 ③全日効率=出力電力量÷(出力電力量+損失電力量)。最大効率の条件は鉄損=銅損で、そのときの負荷率は√(P_i/P_c)。

⚠️ よくある間違い
平均負荷率の2乗で銅損を計算しない——時間帯ごとに2乗してから足す(2乗の平均≠平均の2乗)。鉄損は負荷に関係なく一定

まとめ

銅損(各負荷率²)10.8/97.2/172.8/24.3 W
銅損電力量6×305.1≒1.83 kWh
鉄損電力量150×24=3.6 kWh
(a)損失合計≒5.43 kWh →(3)
供給電力量6×(4+12+16+6)=228 kWh
(b)全日効率228/(228+5.43)≒97.7% →(3)

▼あわせて解きたい関連問題
・変圧器全日効率・日負荷率(電気施設管理-計算36):【法規】平成23年度 B問題11
・トップランナー変圧器更新の損失(電気施設管理-計算13):【法規】令和4年度下期 B問題12

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