今回は平成19年度 法規科目 B問題12、日負荷曲線から変圧器の損失電力量と全日効率を求める問題です。平成23年度 B問11(電気施設管理-計算36)と同系統の基本問題です。
核心は「鉄損は24時間一定、銅損は負荷率の2乗に比例」。各時間帯の負荷率(=負荷/定格容量)の2乗で銅損を積算し、鉄損を足せば損失電力量。全日効率=出力/(出力+損失)です。
平成19年度 法規科目 B問題12:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成19年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 B問題12
電験3種 法規科目 【電気施設管理】 平成19年度 B問題12
単相変圧器(定格容量20kV·A、鉄損150W、銅損270W(定格負荷時)、力率100%)がある。1日の負荷は4・12・16・6kV·Aがそれぞれ6時間ずつ。次の(a)及び(b)に答えよ。
(注)平成19年度は公式問題PDFが公表されていないため、電験王等の過去問データに基づいて問題文を再構成しています。
配電線路に接続された単相変圧器がある。定格容量20kV·A、鉄損150W(定格電圧時)、銅損270W(定格負荷時)、力率100%とする。1日の負荷は、4kV·A・12kV·A・16kV·A・6kV·Aがそれぞれ6時間ずつであった。次の(a)及び(b)に答えよ。
(a) この変圧器の1日の損失電力量[kW·h]の値として、最も近いものを次の(1)〜(5)から一つ選べ。
(1)3.68 (2)3.91 (3)5.43 (4)7.00 (5)7.50 kW·h
(b) この変圧器の全日効率[%]の値として、最も近いものを次の(1)〜(5)から一つ選べ。
(1)96.8 (2)97.0 (3)97.7 (4)98.4 (5)99.0 %

答えは(a)5.43kW·h・(b)97.7%
平成23年度 B問題11が同系統です。そちらは負荷が[kW]で与えられます。
この記事は、鉄損と銅損の性質の違いを主軸にします。
★★鉄損はなぜ一定なのか
★磁束密度は電圧で決まる
負荷とは無関係
鉄損は鉄心の中の磁束が生む損失です——磁束は電圧で決まる。
電圧が加わっていれば、負荷がゼロでも鉄損は生じます——だから24時間一定。
無負荷損とも呼ばれます——負荷に関係しないからです。
★★銅損はなぜ負荷率の2乗なのか
★電流の2乗に比例
これが計算の基礎式
ジュール熱I²Rなので、電流の2乗に比例します——だから負荷率も2乗。
負荷が半分なら銅損は1/4——軽負荷では銅損が急激に減るのです。
負荷損とも呼ばれます——負荷で変わるからです。
★(a)銅損電力量を積算する
| 負荷 | 負荷率 | 銅損 | 時間 |
| ★4kV·A | ★★0.2 | ★★270×0.04=10.8W | ★★6h |
| ★12kV·A | ★★0.6 | ★★270×0.36=97.2W | ★★6h |
| ★16kV·A | ★★0.8 | ★★270×0.64=172.8W | ★★6h |
| ★6kV·A | ★★0.3 | ★★270×0.09=24.3W | ★★6h |
負荷率を2乗してから270Wに掛ける——順序を間違えないことです。
時間帯ごとに計算して足す——平均負荷率で計算してはいけません。
★なぜ平均負荷率で計算してはいけないのか
これが誤答の原因
★誤り
2乗してから平均するのと、平均してから2乗するのは違います——数学的な事実。
必ず時間帯ごとに2乗してから足す——これが正しい手順です。
変動が大きいほど差が開きます。
★(a)鉄損を足して損失電力量
(a)の答え
鉄損のほうが大きい——3.6対1.83。
軽負荷が多い日は鉄損が支配的になります——負荷率が低いからです。
★(b)全日効率を求める
(b)の答え
全日効率=出力÷(出力+損失)です——入力で割ると考えても同じ。
力率100%なので[kV·A]がそのまま[kW]になります——本問が簡単な理由。
★★最大効率の条件
有名な結論
約74.5%の負荷
鉄損と銅損が等しくなる負荷で効率が最大になります——機械科目でも頻出。
本問では負荷率74.5%=約14.9kV·Aのとき最大です。
実際の負荷(4〜16kV·A)はその前後——設計として妥当です。
全日効率と規約効率
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 全日効率 | ★★全日効率 | ★規約効率 | ★★1日の電力量で計算/ある瞬間の電力で計算 |
| 運用実態を反映する | ★★運用実態を反映する | ★定格点での性能を表す | ★★見る対象が違う |
全日効率は、実際の1日の使われ方での効率です——電力量[kW·h]で計算。
規約効率は、ある負荷での瞬間の効率——電力[kW]で計算します。
配電用変圧器は軽負荷時間が長いので、全日効率で評価するのが実態に合うのです。
トップランナー変圧器
省エネ法により、変圧器には効率の基準が定められています。
特に鉄損の低減が進みました——アモルファス鉄心など。
軽負荷時間が長い設備では、鉄損の低減が効きます——本問の計算がその根拠です。
⏱️ 本番での進め方
① 鉄損は24時間一定——電圧で決まり負荷に無関係。
② 銅損は負荷率の2乗に比例——I²Rだから。
③ 平均負荷率で計算してはいけない——時間帯ごとに2乗して足す。
④ 最大効率の条件は鉄損=銅損。
💡 覚え方
変圧器の全日効率=①鉄損は24時間一定(P_i×24)②銅損は負荷率の2乗に比例(P_c(全負荷)×k²)を時間帯ごとに積算 ③全日効率=出力電力量÷(出力電力量+損失電力量)。最大効率の条件は鉄損=銅損で、そのときの負荷率は√(P_i/P_c)。
⚠️ よくある間違い
平均負荷率の2乗で銅損を計算しない——時間帯ごとに2乗してから足す(2乗の平均≠平均の2乗)。鉄損は負荷に関係なく一定。
まとめ
| 銅損(各負荷率²) | 10.8/97.2/172.8/24.3 W |
| 銅損電力量 | 6×305.1≒1.83 kWh |
| 鉄損電力量 | 150×24=3.6 kWh |
| (a)損失合計 | ≒5.43 kWh →(3) |
| 供給電力量 | 6×(4+12+16+6)=228 kWh |
| (b)全日効率 | 228/(228+5.43)≒97.7% →(3) |
▼あわせて解きたい関連問題
・変圧器全日効率・日負荷率(電気施設管理-計算36):【法規】平成23年度 B問題11
・トップランナー変圧器更新の損失(電気施設管理-計算13):【法規】令和4年度下期 B問題12

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