今回は平成20年度 法規科目 B問題13、自家用水力発電所(出力一定)をもつ工場の受電・送電電力量を求める問題です。平成29年度 B問13(電気施設管理-計算25)と同系統の逆潮流の計算です。
ポイントは「発電(一定)と負荷曲線の交点で受電・送電が切り替わる」こと。負荷が発電を上回る時間帯は受電、下回る時間帯は送電(逆潮流)。それぞれの差の面積を求めます。
平成20年度 法規科目 B問題13:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成20年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 B問題13
電験3種 法規科目 【電気施設管理】 平成20年度 B問題13
自家用水力発電所(出力10MW一定)をもつ工場が電力系統と常時系統連系している。負荷が発電を上回れば受電、下回れば送電(逆潮流)する。負荷曲線は9時以降P=−0.8t+24.2[MW]。次の(a)及び(b)に答えよ。
(注)平成20年度は公式問題PDFが公表されていないため、電験王等の過去問データに基づいて問題文を再構成しています。
自家用水力発電所(出力10MW一定、所内電力は無視)を有し、電力系統と常時系統連系(逆潮流可能)している工場がある。工場の1日の負荷は図の負荷曲線のように変化する。負荷が発電出力を上回るときは系統から受電し、下回るときは余剰を系統へ送電する。負荷曲線は9時以降、時刻t[時]に対しP=−0.8t+24.2[MW]で表される。次の(a)及び(b)に答えよ。
(a) この日の受電電力量[MW·h]の値として、最も近いものを次の(1)〜(5)から一つ選べ。
(1)45.4 (2)58.6 (3)62.1 (4)65.6 (5)70.7 MW·h
(b) この日の送電電力量の受電電力量に対する比率の値として、最も近いものを次の(1)〜(5)から一つ選べ。
(1)0.20 (2)0.22 (3)0.23 (4)0.25 (5)0.28

答えは(a)62.1MW·h・(b)0.25
逆潮流の考え方は、分散型電源の普及で重要性が増しています。
★★切替時刻を求める
時刻tの一次関数
これより前は受電、後は送電
負荷曲線と発電出力線の交点が切替点です——ここを境に向きが変わる。
17.75時=17時45分——夕方に負荷が下がって余剰が出るのです。
まずこの時刻を求めるのが第一歩です。
★★受電電力量は「差の面積」
★グラフでは2つの線に挟まれた面積
電力量[MW·h]=電力[MW]×時間[h]——だから面積になるのです。
負荷曲線と10MW線に挟まれた領域——台形や三角形に分けて計算します。
結果は約62.1MW·h——(a)の答えです。
★送電電力量を求める
17.75時から24時まで
(b)の答え
送電時間帯は6時間ほどしかありません——だから受電より少ないのです。
比率0.25は「送った電力量は受けた量の1/4」という意味です。
★★逆潮流とは
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 順潮流 | ★★順潮流 | ★逆潮流 | ★★系統→需要家/需要家→系統 |
| 通常の受電 | ★★通常の受電 | ★余剰電力の送電 | ★★電力の向きが逆 |
本来、配電線は系統から需要家へ電気を送るものです——それが順潮流。
需要家に発電設備があると、余剰が系統へ流れます——これが逆潮流です。
太陽光発電の普及で当たり前になりました——制度も対応しています。
★逆潮流がもたらす課題
| 課題 | 内容 |
| ★電圧上昇 | ★★逆方向に電流が流れると末端の電圧が上がる |
| ★保護の複雑化 | ★★事故電流の向きが一定でなくなる |
| ★単独運転 | ★★系統が停電しても発電が続くおそれ |
解釈220条以降の分散型電源の規定は、これらに対応するためのものです。
逆潮流ありの連系では、追加の保護が求められます——解釈229条の表。
計算問題と条文がつながっています。
負荷曲線の読み方
| 要素 | 意味 |
| ★縦軸 | ★★電力[MW] |
| ★横軸 | ★★時刻[時] |
| ★面積 | ★★電力量[MW·h] |
| ★最大値 | ★★最大需要電力 |
面積が電力量になるのが、負荷曲線の最重要ポイントです。
平均需要電力=面積÷時間——負荷率の計算にも使います。
自家用発電設備をもつ意味
| 目的 | 内容 |
| ★電気料金の削減 | ★★買電量を減らす |
| ★ピークカット | ★★契約電力を下げる |
| ★非常時の電源 | ★★停電時にも生産を継続できる |
| ★売電収入 | ★★余剰を逆潮流して収入を得る |
本問は水力発電なので出力が一定です——だから計算が単純になる。
太陽光なら出力も時間変化するので、2つの曲線の差を扱うことになります。
計算の手順をまとめる
| 手順 | やること |
| ★① | ★★負荷曲線と発電出力線の交点(切替時刻)を求める |
| ★② | ★★受電時間帯の「負荷−発電」の面積を求める |
| ★③ | ★★送電時間帯の「発電−負荷」の面積を求める |
| ★④ | ★★必要なら比率を計算する |
①の交点を求めるのが出発点——ここを外すと全部ずれます。
図に線を引いて、面積を分割すると確実です。
面積の求め方(台形で分割する)
時間帯ごとに分けて足す
負荷曲線が直線なら、面積は台形と三角形に分けられます——積分しなくてよい。
交点(切替時刻)で必ず区切る——そこで符号が変わるからです。
図に補助線を引くと確実——暗算では間違えます。
分散型電源の系統連系
| 区分 | 内容 |
| ★逆潮流なし | ★★構内で消費しきる。保護は簡素 |
| ★逆潮流あり(本問) | ★★余剰を系統へ送る。追加の保護が必要 |
逆潮流ありの連系では、解釈229条の表で追加の保護継電器が求められます。
逆電力継電器・不足電力継電器などが登場します——条文と計算がつながるのです。
本問は「逆潮流可能」と明記されています。
単独運転の防止
| 状態 | 内容 |
| ★単独運転 | ★★系統が停電しても分散型電源が発電を続ける |
| ★危険 | ★★復旧作業員の感電・再閉路時の位相不一致 |
| ★対策 | ★★単独運転検出装置で速やかに解列する |
系統が止まったのに発電が続くと、無電圧のはずの線に電圧が現れます——非常に危険。
だから解釈220条以降で単独運転の防止が定められています。
自家用発電設備を持つなら必須の知識です。
水力発電が出力一定である理由
| 方式 | 出力の性質 |
| ★流込式(自流式) | ★★河川流量なりの一定出力。ベース供給力 |
| ★調整池式・貯水池式 | ★★需要に合わせて出力を変えられる |
| ★揚水式 | ★★余剰電力で汲み上げピーク時に発電 |
本問は出力10MW一定なので、流込式に近い運転です——だから計算が単純になる。
調整できる方式なら、負荷に合わせて出力を変えて受電も送電もしないという運用も可能です。
電源の性質が運用を決める——電力科目とつながる知識です。
⏱️ 本番での進め方
① 切替時刻は負荷曲線=発電出力を解いて求める。
② 受電電力量=(負荷−発電)の面積。
③ 送電電力量=(発電−負荷)の面積。
④ 負荷曲線の面積が電力量になる。
💡 覚え方
逆潮流の計算=①発電出力が一定なら、負荷曲線と発電出力線の交点が受電・送電の切替時刻 ②負荷>発電の時間帯は受電で、その差の面積が受電電力量 ③負荷<発電の時間帯は送電(逆潮流)で、その差の面積が送電電力量。負荷曲線の面積が電力量になる。
⚠️ よくある間違い
切替時刻を求めずに全時間で計算しない——受電と送電を分ける。面積は「差」であって負荷そのものではない。
まとめ
| 発電出力 | 10 MW(一定) |
| 切替時刻 | 10=−0.8T+24.2 → T≒17.75時 |
| (a)受電電力量 | ≒62.1 MW·h →(3) |
| 送電電力量 | ≒15.6 MW·h |
| (b)比率 | 15.6/62.1≒0.25 →(4) |
| 原理 | 交点で受電・送電を分け面積計算 |
▼あわせて解きたい関連問題
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