今回は平成20年度 法規科目 B問題12、複数需要家の平均電力と、不等率を使った変電所の合成最大需要電力を求める問題です。需要率・負荷率・不等率を順に使う施設管理の定番です。
流れは、設備容量×力率=有効電力→×需要率=最大需要電力→×負荷率=平均電力。合成最大は各最大需要の和÷不等率で求めます。
平成20年度 法規科目 B問題12:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成20年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 B問題12
電験3種 法規科目 【電気施設管理】 平成20年度 B問題12
変電所から需要家A・B・Cに供給している。負荷不等率1.2。A:500kV·A・力率0.90・需要率40%・負荷率50%、B:200kV·A・0.85・60%・60%、C:600kV·A・0.80・60%・30%。次の(a)及び(b)に答えよ。
(注)平成20年度は公式問題PDFが公表されていないため、電験王等の過去問データに基づいて問題文を再構成しています。
変電所から需要家A、B、Cに電力を供給している。各需要家間の負荷不等率は1.2。各需要家の設備容量・力率・需要率・負荷率は次のとおり。A:設備容量500kV·A・力率0.90・需要率40%・負荷率50%、B:200kV·A・0.85・60%・60%、C:600kV·A・0.80・60%・30%。次の(a)及び(b)に答えよ。
(a) 需要家Aの平均電力[kW]の値として、最も近いものを次の(1)〜(5)から一つ選べ。
(1)61.2 (2)86.4 (3)90 (4)180 (5)225 kW
(b) 変電所からみた合成最大需要電力[kW]の値として、最も近いものを次の(1)〜(5)から一つ選べ。
(1)198 (2)285 (3)325 (4)475 (5)684 kW

答えは(a)90kW・(b)475kW
需要率・負荷率・不等率を1問で使う総合問題です——施設管理計算の定番。
★★(a)3段階で平均電力へ
設備容量は皮相電力で与えられている
(a)の答え
設備容量が[kV·A]で与えられている点に注意です——まず力率を掛ける。
これを忘れると500×0.40×0.50=100kWとなり、選択肢にありません——誤りに気づけます。
需要率→負荷率の順序も固定——最大を出してから平均です。
★★[kV·A]と[kW]の変換
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 設備容量[kV·A] | ★★設備容量[kV·A] | ★有効電力[kW] | ★★皮相電力/実際に仕事をする電力 |
| ×力率で[kW]へ | ★★×力率で[kW]へ | ★÷力率で[kV·A]へ | ★★向きを間違えない |
[kV·A]→[kW]は力率を掛ける——P=Scosθ。
[kW]→[kV·A]は力率で割る——S=P/cosθ。
力率は1以下なので、[kW]は[kV·A]より小さい——これで向きを確かめられます。
★(b)各需要家の最大需要電力
各需要家について、力率と需要率を掛けます——負荷率は使いません。
(b)は「合成最大需要電力」を問うている——平均ではないのです。
だから負荷率は(a)でしか使わない——何を問われているかを確認します。
★★不等率で合成する
(b)の答え
不等率で「割る」のがポイントです——掛けると684kW(選択肢(5))になり誤り。
不等率は1以上なので、割れば小さくなります——合成最大は総和より小さいのが正しい。
「ピークがずれるから小さくなる」で向きを確かめられます。
★不等率の意味を確かめる
分子のほうが大きい
★式を変形すれば迷わない
定義から式を変形すれば、掛けるか割るかは自明です。
公式を丸暗記するより、定義から導くほうが確実——試験場でも間違えません。
★変電所の設備容量を決める
| 段階 | 値 |
| ★各需要家の最大需要の和 | ★★570kW |
| ★合成最大需要電力 | ★★475kW |
| ★節約できる容量 | ★★95kW分 |
不等率を見込めば、変電所を小さくできます——95kW分の投資節約。
これが不等率を考える実務的な意味です。
ただし見込みすぎると容量不足になる——実績に基づく値を使います。
3つの率を1枚に
| 率 | 式 | 値の範囲 |
| ★需要率 | ★★最大需要/設備容量 | ★★1未満 |
| ★負荷率 | ★★平均需要/最大需要 | ★★1未満 |
| ★不等率 | ★★各最大の和/合成最大 | ★★★1以上 |
不等率だけが1以上——だから割り算になるのです。
他の2つは掛け算で使う——この違いを押さえます。
計算の手順をまとめる
| 手順 | やること | 落とし穴 |
| ★① | ★★設備容量×力率=有効電力 | ★★[kV·A]なら必ず掛ける |
| ★② | ★★×需要率=最大需要電力 | ★★— |
| ★③ | ★★×負荷率=平均電力 | ★★平均を問われたときだけ |
| ★④ | ★★各最大の和÷不等率=合成最大 | ★★★掛けない |
①と④が2大落とし穴です——力率と不等率。
どちらも選択肢に誤答が用意されています。
需要家B・Cの平均電力も求めてみる
選択肢(1)に用意されている値
選択肢(2)に用意されている値
選択肢(1)61.2と(2)86.4は、BとCの平均電力です——需要家を取り違えた場合の誤答。
どの需要家を問われているかを確認する——基本ですが見落としやすいのです。
合成平均電力も求められる
★平均は単純に足してよい
平均電力は時刻に関係なく足せます——最大とは違うところ。
最大はピークがずれるので単純に足せません——だから不等率が要るのです。
この違いを押さえると、公式の意味が見えてきます。
⏱️ 本番での進め方
① 設備容量[kV·A]にはまず力率を掛ける。
② 需要率→負荷率の順序は固定。
③ 合成最大は各最大の和÷不等率——掛けない。
④ 不等率は1以上だから割れば小さくなる。
💡 覚え方
需要率・負荷率・不等率の計算=①設備容量[kV·A]×力率=有効電力[kW] ②×需要率=最大需要電力 ③×負荷率=平均電力 ④合成最大需要電力=各需要家の最大需要の総和÷不等率。不等率は必ず1以上なので、割れば合成最大は総和より小さくなる。
⚠️ よくある間違い
設備容量[kV·A]に力率を掛け忘れない。不等率は掛けずに割る——掛けると684kWになり誤り。
まとめ
| A有効電力 | 500×0.90=450 kW |
| A最大需要 | 450×0.40=180 kW |
| (a)A平均 | 180×0.50=90 kW →(3) |
| B最大/C最大 | 102/288 kW |
| 各最大の和 | 180+102+288=570 kW |
| (b)合成最大 | 570/1.2=475 kW →(4) |
▼あわせて解きたい関連問題
・需要率から変圧器台数(電気施設管理-計算16):【法規】令和4年度上期 B問題12
・3需要家の総需要電力量・総合負荷率(電気施設管理-計算19):【法規】令和3年度 B問題13

コメント