今回は平成22年度 法規科目 B問題11、変圧器二次側の三相短絡事故時の変流器(CT)二次電流と、過電流継電器(OCR)の動作時間を求める問題です。電圧換算・CT換算・反限時特性を順に使います。
流れは、①事故電流を一次側(6.6kV)に電圧換算、②CT変流比で二次電流に、③動作時間演算式に代入。OCRの反限時特性の式の使い方がポイントです。
平成22年度 法規科目 B問題11:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成22年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 B問題11
電験3種 法規科目 【電気施設管理】 平成22年度 B問題11
自家用電気施設で変電室変圧器二次側(210V)に三相短絡事故が発生した。受電6600V、三相短絡事故電流I_s=7kA、CT-3の変流比75A/5A。次の(a)及び(b)に答えよ。
(図は上の画像を参照してください。(b)はT=80/(N²−1)×D/10、OCR-3の整定:電流3A・ダイヤル2。)
図のような自家用電気施設の供給系統において、変電室変圧器二次側(210V)で三相短絡事故が発生した。受電電圧6600V、三相短絡事故電流I_s=7kA、変流器CT-3の変流比は75A/5Aとする。次の(a)及び(b)に答えよ。
(a) 事故時における変流器CT-3の二次電流[A]の値として、最も近いものを次の(1)〜(5)から一つ選べ。
(1)5.6 (2)7.5 (3)11.2 (4)14.9 (5)23 A
(b) この事故における保護協調で、施設内の過電流継電器の中で最も早い動作が求められるOCR-3の動作時間[秒]の値として、最も近いものを選べ。動作時間演算式はT=80/(N²−1)×D/10[秒](Tは動作時間、Nは電流整定値に対する入力電流値の倍数、Dはダイヤル整定値)。CT-3に接続されたOCR-3の整定値は、電流整定値3A、ダイヤル整定値2とする。
(1)0.4 (2)0.7 (3)1.2 (4)1.7 (5)3.4 秒



答えは(a)14.9A・(b)0.7秒
保護協調の整定を実際に計算する問題です——実務に直結します。
★★STEP1:低圧側の事故電流を高圧側へ
電力が等しい
電圧が高いほど電流は小さい
変圧器を挟むと電流の大きさが変わります——電圧比の逆数を掛ける。
低圧側7kA(=7 000A)が、高圧側では約223A——約1/31になるのです。
CTは6.6kV側にあるので、この換算が必要です。
★★STEP2:CTで二次電流に
★1/15になる
(a)の答え
変流比75A/5Aは「一次75Aのとき二次5A」という意味です——比は15:1。
だから一次電流を15で割る——掛けるのではありません。
定格の15倍(=223/15≒14.9A)が二次に流れています——CTは飽和しやすい領域です。
★★STEP3:倍数Nを求める
約5倍
Nは「整定値の何倍の電流が入っているか」です——倍数であって電流値ではない。
ここを取り違えると、式に代入する値が変わります——最大の落とし穴。
整定値3Aは、CT二次側での値です。
★STEP4:反限時特性の式に代入
問題文で与えられる
(b)の答え≒0.7秒
N²−1を先に計算します——4.95²=24.5、−1で23.5。
ダイヤル整定値D=2なのでD/10=0.2——10で割るのを忘れない。
0.68秒→選択肢では0.7秒です。
★★反限時特性の意味
★反限時(inverse time)
合理的な特性
電流が大きいほど危険なので、速く切るのが合理的です。
逆に軽い過負荷なら、しばらく様子を見る——不要な停電を避ける。
この特性がOCRの基本です。
★ダイヤル整定値(レバー)の役割
| D | 動作時間(同じNで) |
| ★1 | ★★0.34秒 |
| ★2(本問) | ★★0.68秒 |
| ★5 | ★★1.70秒 |
| ★10 | ★★3.40秒 |
Dは特性曲線全体を上下に平行移動させるつまみです——時間に比例。
上位の継電器ほどDを大きくして、遅く動作させます——これが時限協調。
本問のOCR-3は最も速く動作すべきなのでD=2と小さい値です。
電流整定値(タップ)の役割
どの電流から動作を開始するかを決めるつまみです——本問は3A。
負荷電流では動作せず、事故電流では動作する値に設定します。
タップとレバーの2つで特性が決まる——これがOCRの整定です。
計算の手順をまとめる
| 手順 | やること | 落とし穴 |
| ★① | ★★事故電流を高圧側に電圧換算 | ★★比の向き |
| ★② | ★★変流比でCT二次電流に | ★★割る(掛けない) |
| ★③ | ★★整定値で割って倍数Nを求める | ★★★Nは倍数であって電流ではない |
| ★④ | ★★式に代入(D/10を忘れない) | ★★10で割る |
③が最大の急所——Nに14.9を入れると答えが大きくずれます。
なぜOCR-3が最も速く動作すべきか
| 位置 | 継電器 | 動作の速さ |
| ★事故点に最も近い | ★★OCR-3 | ★★最も速い |
| ★受電点 | ★★OCR-1等 | ★★遅い |
| ★配電用変電所 | ★★変電所のOCR | ★★最も遅い |
事故点直近上位が最も速く動作する——保護協調の原則です。
OCR-3が動作すれば、その変圧器の回路だけが切れます——影響が最小。
だから問題文が「最も早い動作が求められる」としているのです。
CTが飽和すると何が起きるか
まだ飽和しにくい領域
動作が遅れる
事故時の大電流でCTが飽和すると、継電器への信号が小さくなります——動作が遅れるのです。
だから保護用CTは飽和しにくい設計(過電流定数が大きい)——5P10などの記号。
計器用CTを保護に流用してはいけない理由がここにあります。
⏱️ 本番での進め方
① 事故電流は電圧比で高圧側に換算する。
② CT二次電流=一次電流×(5/75)。
③ Nは整定値に対する倍数——電流値ではない。
④ D/10を忘れない。
💡 覚え方
OCRの動作時間計算=①低圧側の事故電流を電圧比で高圧側に換算(I₁=I₂×V₂/V₁)②変流比でCT二次電流に換算 ③電流整定値で割って倍数Nを求める ④T=80/(N²−1)×D/10に代入。Nは倍数であって電流値ではない。
⚠️ よくある間違い
NにCT二次電流をそのまま入れない——整定値で割った倍数を使う。D/10の「10で割る」を忘れない。
まとめ
| 一次側電流 | 7000×(210/6600)≒222.7 A |
| (a)CT二次 | 222.7×(5/75)≒14.9 A →(4) |
| 倍数N | 14.9/3≒4.95 |
| 動作時間T | 80/(4.95²−1)×2/10≒0.68秒 |
| (b) | ≒0.7秒 →(2) |
| 特性 | 反限時(電流大で動作速い) |
▼あわせて解きたい関連問題
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