電気施設管理-計算40【電験3種 法規】事故電流を一次換算しCTへ!二次14.9A・動作時間0.7秒=(a)(4)(b)(2) 平成22年度 B問題11 完全解説

電験3種 法規科目 電気施設管理 平成22年度 B問題11 CT二次は14.9A!動作時間は0.7秒

今回は平成22年度 法規科目 B問題11変圧器二次側の三相短絡事故時の変流器(CT)二次電流と、過電流継電器(OCR)の動作時間を求める問題です。電圧換算・CT換算・反限時特性を順に使います。

流れは、①事故電流を一次側(6.6kV)に電圧換算②CT変流比で二次電流に③動作時間演算式に代入。OCRの反限時特性の式の使い方がポイントです。

目次

平成22年度 法規科目 B問題11:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 法規科目 配電 平成22年度 B問題11 問題文
平成22年度 法規科目 B問題11 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成22年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 B問題11

電験3種 法規科目 【電気施設管理】 平成22年度 B問題11

 自家用電気施設で変電室変圧器二次側(210V)に三相短絡事故が発生した。受電6600V、三相短絡事故電流I_s=7kA、CT-3の変流比75A/5A。次の(a)及び(b)に答えよ。

(図は上の画像を参照してください。(b)はT=80/(N²−1)×D/10、OCR-3の整定:電流3A・ダイヤル2。)

図のような自家用電気施設の供給系統において、変電室変圧器二次側(210V)で三相短絡事故が発生した。受電電圧6600V、三相短絡事故電流I_s=7kA、変流器CT-3の変流比は75A/5Aとする。次の(a)及び(b)に答えよ。

(a) 事故時における変流器CT-3の二次電流[A]の値として、最も近いものを次の(1)〜(5)から一つ選べ。

(1)5.6 (2)7.5 (3)11.2 (4)14.9 (5)23 A

(b) この事故における保護協調で、施設内の過電流継電器の中で最も早い動作が求められるOCR-3の動作時間[秒]の値として、最も近いものを選べ。動作時間演算式はT=80/(N²−1)×D/10[秒](Tは動作時間、Nは電流整定値に対する入力電流値の倍数、Dはダイヤル整定値)。CT-3に接続されたOCR-3の整定値は、電流整定値3A、ダイヤル整定値2とする。

(1)0.4 (2)0.7 (3)1.2 (4)1.7 (5)3.4 秒

平成22年度 B問題11 自家用電気施設の供給系統
平成22年度 B問題11 自家用電気施設の供給系統
平成22年度 B問題11 自家用電気施設の供給系統
平成22年度 B問題11 自家用電気施設の供給系統
答え(a)CT二次電流≒14.9A = (4)/(b)動作時間≒0.7秒 = (2)

答えは(a)14.9A・(b)0.7秒

事故電流の換算と過電流継電器の動作時間

★低圧側の事故電流を高圧側に換算するには電圧比(巻数比)を掛ける——I₁ = I₂ × (V₂/V₁)/★CTの二次電流 = 一次電流 × (定格二次電流/定格一次電流)/★OCRの反限時特性 T = 80/(N²−1) × D/10(N:整定値に対する倍数、D:ダイヤル整定値)。

★電圧換算→CT換算→反限時式の3段階です。

保護協調の整定を実際に計算する問題です——実務に直結します。

★★STEP1:低圧側の事故電流を高圧側へ

V_1 I_1 = V_2 I_2
変圧器の入出力(損失を無視)
電力が等しい
$$I_1 = I_2 \times \dfrac{V_2}{V_1} = 7000 \times \dfrac{210}{6600}$$
★低圧側7kAを高圧側に換算
電圧が高いほど電流は小さい
$$I_1 \approx 222.7\,\mathrm{[A]}$$
高圧側(6.6kV)の事故電流

変圧器を挟むと電流の大きさが変わります——電圧比の逆数を掛ける

低圧側7kA(=7 000A)が、高圧側では約223A——約1/31になるのです。

CTは6.6kV側にあるので、この換算が必要です。

★★STEP2:CTで二次電流に

$$I_{CT2} = I_1 \times \dfrac{5}{75} = 222.7 \times \dfrac{1}{15}$$
変流比75A/5A
★1/15になる
$$I_{CT2} \approx 14.85 \approx 14.9\,\mathrm{[A]}$$
CT二次電流
(a)の答え

変流比75A/5Aは「一次75Aのとき二次5A」という意味です——比は15:1

だから一次電流を15で割る——掛けるのではありません

定格の15倍(=223/15≒14.9A)が二次に流れています——CTは飽和しやすい領域です。

★★STEP3:倍数Nを求める

$$N = \dfrac{I_{CT2}}{\text{電流整定値}} = \dfrac{14.85}{3} \approx 4.95$$
★整定値3Aに対する倍数
約5倍

Nは「整定値の何倍の電流が入っているか」です——倍数であって電流値ではない

ここを取り違えると、式に代入する値が変わります——最大の落とし穴

整定値3Aは、CT二次側での値です。

★STEP4:反限時特性の式に代入

$$T = \dfrac{80}{N^2 – 1} \times \dfrac{D}{10}$$
動作時間演算式
問題文で与えられる
$$T = \dfrac{80}{4.95^2 – 1} \times \dfrac{2}{10}$$
N=4.95、D=2を代入
$$T = \dfrac{80}{23.5} \times 0.2 \approx 3.40 \times 0.2 \approx 0.68\,\mathrm{[秒]}$$
計算結果
(b)の答え≒0.7秒

N²−1を先に計算します——4.95²=24.5、−1で23.5

ダイヤル整定値D=2なのでD/10=0.2——10で割るのを忘れない

0.68秒→選択肢では0.7秒です。

★★反限時特性の意味

$$T \propto \dfrac{1}{N^2 – 1}$$
電流が大きいほど動作時間が短い
★反限時(inverse time)
$$N \uparrow \Rightarrow T \downarrow$$
大事故ほど速く切る
合理的な特性

電流が大きいほど危険なので、速く切るのが合理的です。

逆に軽い過負荷なら、しばらく様子を見る——不要な停電を避ける

この特性がOCRの基本です

★ダイヤル整定値(レバー)の役割

D動作時間(同じNで)
★1★★0.34秒
★2(本問)★★0.68秒
★5★★1.70秒
★10★★3.40秒

Dは特性曲線全体を上下に平行移動させるつまみです——時間に比例

上位の継電器ほどDを大きくして、遅く動作させます——これが時限協調

本問のOCR-3は最も速く動作すべきなのでD=2と小さい値です。

電流整定値(タップ)の役割

どの電流から動作を開始するかを決めるつまみです——本問は3A

負荷電流では動作せず、事故電流では動作する値に設定します

タップとレバーの2つで特性が決まる——これがOCRの整定です。

計算の手順をまとめる

手順やること落とし穴
★①★★事故電流を高圧側に電圧換算★★比の向き
★②★★変流比でCT二次電流に★★割る(掛けない)
★③★★整定値で割って倍数Nを求める★★★Nは倍数であって電流ではない
★④★★式に代入(D/10を忘れない)★★10で割る

③が最大の急所——Nに14.9を入れると答えが大きくずれます

なぜOCR-3が最も速く動作すべきか

位置継電器動作の速さ
★事故点に最も近い★★OCR-3★★最も速い
★受電点★★OCR-1等★★遅い
★配電用変電所★★変電所のOCR★★最も遅い

事故点直近上位が最も速く動作する——保護協調の原則です。

OCR-3が動作すれば、その変圧器の回路だけが切れます——影響が最小

だから問題文が「最も早い動作が求められる」としているのです。

CTが飽和すると何が起きるか

$$I_{CT2} = 14.9\,\mathrm{A} \approx 3 \times 5\,\mathrm{A}$$
定格二次電流5Aの約3倍
まだ飽和しにくい領域
$$\text{飽和すると} \Rightarrow \text{二次電流が理論値より小さくなる}$$
★継電器が正しく動作しないおそれ
動作が遅れる

事故時の大電流でCTが飽和すると、継電器への信号が小さくなります——動作が遅れるのです。

だから保護用CTは飽和しにくい設計(過電流定数が大きい)——5P10などの記号

計器用CTを保護に流用してはいけない理由がここにあります。

⏱️ 本番での進め方
① 事故電流は電圧比で高圧側に換算する。
② CT二次電流=一次電流×(5/75)
Nは整定値に対する倍数——電流値ではない。
D/10を忘れない。

💡 覚え方
OCRの動作時間計算=①低圧側の事故電流を電圧比で高圧側に換算(I₁=I₂×V₂/V₁)②変流比でCT二次電流に換算 ③電流整定値で割って倍数Nを求める ④T=80/(N²−1)×D/10に代入。Nは倍数であって電流値ではない。

⚠️ よくある間違い
NにCT二次電流をそのまま入れない——整定値で割った倍数を使う。D/10の「10で割る」を忘れない

まとめ

一次側電流7000×(210/6600)≒222.7 A
(a)CT二次222.7×(5/75)≒14.9 A →(4)
倍数N14.9/3≒4.95
動作時間T80/(4.95²−1)×2/10≒0.68秒
(b)≒0.7秒 →(2)
特性反限時(電流大で動作速い)

▼あわせて解きたい関連問題
・三相短絡と%Z基準統一(電気施設管理-計算24):【法規】平成29年度 B問題12
・OCR-VCB連動試験(電気施設管理-計算15):【法規】令和4年度上期 A問題10

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