今回は平成30年度 法規科目 B問題11、風圧荷重の計算問題です。令和5年度上期 B問題13でそっくりそのまま再出題されており、数値も選択肢も同じという徹底ぶりです。
適用ルールを間違えなければ計算は簡単。氷雪の多い地方のうち海岸地その他の低温季に最大風圧を生じる地方では、低温季に甲種と乙種の大きいほうを適用します。両方計算するのがこの問題の作法です。
平成30年度 法規科目 B問題11:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成30年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 B問題11
電験3種 法規科目 【技術基準の計算】 平成30年度 B問題11
人家が多く連なっている場所以外の場所であって、氷雪の多い地方のうち、海岸その他の低温季に最大風圧を生じる地方に設置されている公称断面積60mm²、仕上り外径15mmの6 600V屋外用ポリエチレン絶縁電線(6 600V OE)を使用した高圧架空電線路がある。この電線路の電線の風圧荷重について「電気設備技術基準の解釈」に基づき、次の(a)及び(b)の問に答えよ。
ただし、電線に対する甲種風圧荷重は980Pa、乙種風圧荷重の計算で用いる氷雪の厚さは6mmとする。
(a) 低温季において電線1条、長さ1m当たりに加わる風圧荷重の値[N]として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)10.3 (2)13.2 (3)14.7 (4)20.6 (5)26.5 N
(b) 低温季に適用される風圧荷重が乙種風圧荷重となる電線の仕上り外径の値[mm]として、最も大きいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)10 (2)12 (3)15 (4)18 (5)21 mm

答えは(a)14.7N・(b)12mm
この問題は令和5年度上期 B問題13に、数値も選択肢もそのまま再出題されました。
この記事は、(b)の「逆転の境目」を主軸にします。
★(a)甲種と乙種を両方計算する
圧力980Pa×投影面積
★両側なので×2
面積は増えるが圧力は半分
甲種14.7N>乙種13.23N——この場合は甲種を採ります。
乙種だけを求めて13.2N(選択肢(2))とするのが誤答——「いずれか大きいもの」を読み落とした結果です。
公称断面積60mm²は使いません——投影面積は仕上り外径で決まるからです。
★★(b)乙種が甲種を上回る条件
乙種は圧力半分、外径は12mm増える
不等式を立てる
★12mm以下なら乙種が適用される
外径が小さいほど、氷雪12mmの効果が相対的に大きくなります——だから細い電線では乙種が上回るのです。
境目はちょうど12mm——外径12mmで甲種と乙種が等しくなります。
選択肢の中で12mm以下の最大は12mm——ただし本問の答えは18mmです。
★なぜ答えが18mmになるのか
「いずれか大きいもの」なのでどちらでもよい
乙種が適用される
厳密には12mm以下で乙種が適用されます——問題の意図によって解釈が分かれるところです。
選択肢の設計と公式解答に従えば18mm——過去問の答えを確認しておきます。
大切なのは不等式の立て方——どちらが大きくなるかを式で判定できることです。
★風圧荷重の適用ルールを表で
| 地方 | 高温季 | 低温季 |
| ★氷雪の多い地方以外 | ★★甲種 | ★★丙種 |
| ★氷雪の多い地方(海岸地等、低温季に最大風圧) | ★★甲種 | ★★甲種と乙種のいずれか大きいもの |
| ★その他の氷雪の多い地方 | ★★甲種 | ★★乙種 |
| ★人家が多く連なっている場所 | ★★丙種によることができる | ★★同左 |
問題文の地方の記述を、この表と照合します——ここを誤ると全部間違えます。
本問は「人家が多く連なっている場所以外」「氷雪の多い地方」「海岸その他の低温季に最大風圧を生じる地方」——3つの条件がすべて書かれています。
甲種・乙種・丙種の定義
| 種類 | 圧力 | 外径 |
| ★甲種 | ★★980Pa | ★★仕上り外径のまま |
| ★乙種 | ★★甲種の1/2=490Pa | ★★仕上り外径+12mm(氷雪6mm×2) |
| ★丙種 | ★★甲種の1/2=490Pa | ★★仕上り外径のまま |
乙種と丙種の違いは、氷雪の有無だけです——圧力はどちらも甲種の1/2。
だから乙種>丙種は常に成り立ちます——面積が大きいからです。
氷雪の厚さ6mmと比重0.9
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 厚さ6mm | ★★厚さ6mm | ★比重0.9 | ★★風圧荷重には厚さ、垂直荷重には比重を使う |
| 風圧荷重の計算 | ★★風圧荷重の計算 | ★着氷雪の重さの計算 | ★★使う値が違う |
本問は風圧荷重なので、厚さ6mmだけを使います——比重0.9は出てきません。
比重は、氷雪の重さ(垂直荷重)を計算するときに使います——合成荷重の問題で登場します。
投影面積の考え方
外径×長さ(円柱を横から見た長方形)
円柱でも、投影すれば長方形です——πは使いません。
「電線1条、長さ1m当たり」なのでl=1m——外径をmに直すだけです。
合成荷重という考え方
直交するのでベクトル和
乙種の場合は氷雪の重さも加わる
風圧荷重は水平方向、自重と氷雪は垂直方向です——合成すると二乗和の平方根。
この合成荷重Wが、弛度の式D=WS²/(8T)に入ります——風圧荷重は弛度計算の出発点です。
着氷雪の重さ
外側の円から内側の円を引く
比重0.9を使うのはここ
比重0.9は、氷雪の「重さ」を計算するときに使います——風圧荷重の計算では使いません。
厚さ6mmは両方で使う——どちらの計算かで使う値が変わります。
⏱️ 本番での進め方
① 適用ルールを問題文の地方の記述から確定する。
② 「いずれか大きいもの」なら両方計算する。
③ 乙種は圧力1/2・外径+12mm。
④ 逆転の境目は490(d+12)=980dを解いてd=12mm。
💡 覚え方
風圧荷重の適用=①氷雪の多い地方以外は高温季甲種・低温季丙種 ②氷雪の多い地方のうち海岸地等(低温季に最大風圧)は高温季甲種・低温季は甲種と乙種のいずれか大きいもの ③その他の氷雪の多い地方は高温季甲種・低温季乙種。乙種は圧力が甲種の1/2、外径は+12mm。
⚠️ よくある間違い
「いずれか大きいもの」を読み落として乙種だけ求めない。氷雪の厚さは両側なので+12mm。公称断面積は使わない——投影面積は仕上り外径で決まる。
まとめ
| 適用 | 氷雪多い地方の海岸地等 → 低温季は甲種と乙種の大きいほう |
| 甲種 | 980×0.015×1=14.7 N |
| 乙種 | 490×0.027×1=13.23 N |
| (a)答え | 大きいほう 14.7 N →(3) |
| (b)境目 | 490(d+12)≧980d → d≦12mm →(2) |
| 再出題 | 令和5年度上期 B問題13と同一 |
▼あわせて解きたい関連問題
・同一問題(技術基準の計算8):【法規】令和5年度上期 B問題13
・支持物の倒壊の防止(電技省令14):【法規】令和5年度上期 A問題5

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