今回は平成19年度 法規科目 A問題6、発電機等の機械的強度の空欄補充問題です。電気的な力と回転の暴走という、2種類の機械的ストレスが扱われます。
3点セットで覚えます。①発電機・変圧器・調相設備・母線及びがいしは短絡電流による機械的衝撃に耐える ②水車・風車の発電機は負荷を遮断したときの速度に耐える ③タービン・内燃機関の発電機は非常調速装置等が動作して達する速度に耐える。
平成19年度 法規科目 A問題6:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成19年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題6
電験3種 法規科目 【電技省令】 平成19年度 A問題6
次の文章は、「電気設備技術基準」における発電機等の機械的強度に関する記述である。
a. 発電機、変圧器、調相設備並びに母線及びこれを支持するがいしは、(ア)により生ずる機械的衝撃に耐えるものでなければならない。
b. 水車又は風車に接続する発電機の回転する部分は、(イ)した場合に起こる速度に対し、耐えるものでなければならない。
c. 蒸気タービン、ガスタービン又は内燃機関に接続する発電機の回転する部分は、(ウ)及びその他の非常停止装置が動作して達する速度に対し、耐えるものでなければならない。
上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)及び(ウ)に当てはまる語句として、正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。
(注)平成19年度は公式問題PDFが公表されていないため、条文と過去問データに基づいて問題文を再構成しています。
(ア) (イ) (ウ) (1) 異常電圧 負荷を遮断 非常調速装置 (2) 短絡電流 負荷を遮断 非常調速装置 (3) 異常電圧 制御装置が故障 加速装置 (4) 短絡電流 負荷を遮断 加速装置 (5) 短絡電流 制御装置が故障 非常調速装置

答えは(2):短絡電流・負荷を遮断・非常調速装置
(ア)は「短絡電流」——電流→電磁力→機械的衝撃という因果です。
(イ)は「負荷を遮断」——制動トルクが消えて暴走します。
(ウ)は「非常調速装置」——「加速装置」という保安装置は存在しません。
★短絡電流が生む電磁力
電流の積に比例/距離に反比例
★力は400倍
短絡すると、定格の何十倍もの電流が流れます——導体間に働く力は電流の2乗に比例します。
だから母線が曲がり、がいしが折れることがあります——フレミングの左手の法則が現実に効いてくるのです。
「異常電圧」は絶縁の問題で、機械的衝撃を生む原因ではありません。
★水車の速度上昇
| 状態 | 回転速度 |
| ★定格運転 | ★★定格回転速度 |
| ★負荷遮断直後 | ★★定格の1.6〜2倍程度まで上昇 |
| ★無拘束速度 | ★★調速機が働かない場合の最大速度 |
発電機の負荷が急に切れると、制動トルクが消えます——水は流れ続けるので、回転が上がるのです。
だから「負荷を遮断した場合に起こる速度」に耐える必要があります。
風車も同じで、風は止まらないので回転が上がります——発電用風力設備技術基準にも同じ規定があります。
★非常調速装置とは
| 内容 | |
| ★別名 | ★★非常用ガバナ |
| ★働き | ★★回転が上がりすぎたときに蒸気や燃料を遮断する |
| ★動作値 | ★★定格回転速度の111%程度 |
通常の調速機(ガバナ)が効かなかったときの最後の砦です——二重の安全になっています。
それが動作するまでに達する速度までは、壊れないことが求められます——だから条文が「動作して達する速度」と書いているのです。
水車・風車とタービン・内燃機関で条文が違う
| 原動機 | 基準となる速度 | 理由 |
| ★水車・風車 | ★★負荷を遮断した場合に起こる速度 | ★★水や風は止められない |
| ★タービン・内燃機関 | ★★非常調速装置等が動作して達する速度 | ★★燃料を止めれば減速できる |
止められるかどうかで、条文が分かれています——水や風は人の都合で止まりません。
だから水車・風車は「遮断したときの速度」そのものが基準——理由から考えれば取り違えません。
調相設備とは
調相設備は、無効電力を調整して電圧を安定させる設備です——電力用コンデンサ・分路リアクトル・同期調相機などです。
母線に接続されるので、短絡電流の影響を受けます——だから条文に列挙されているのです。
電力科目でもよく出てくる用語です。
がいしまで対象になる
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 短絡電流 | ★★短絡電流 | ★異常電圧 | ★★機械的衝撃を生むのは電流 |
| 負荷を遮断 | ★★負荷を遮断 | ★制御装置が故障 | ★★水車・風車は負荷遮断が基準 |
| 非常調速装置 | ★★非常調速装置 | ★加速装置 | ★★加速装置という保安装置はない |
条文は「母線及びこれを支持するがいし」と書いています——母線を支える部品まで対象です。
電磁力で母線が動けば、がいしに力が伝わります——だから一体で強度を考えるのです。
機械的強度と絶縁強度
| 機械的強度 | 絶縁強度 | |
| ★対抗するもの | ★★力・振動・回転 | ★★電圧 |
| ★壊れ方 | ★★曲がる・折れる・飛散する | ★★絶縁破壊・地絡 |
| ★条文 | ★★本条 | ★★絶縁耐力の規定 |
電気設備は、電気的にも機械的にも壊れます——両方に備える必要があるのです。
本条は機械的な側面を扱っています——「異常電圧」を選ぶと絶縁の話になってしまうのです。
短絡電流の大きさ
%インピーダンスから求める
★定格の20倍
★定格の33倍
%インピーダンスが小さいほど、短絡電流は大きくなります——電力科目の計算そのものです。
定格の何十倍という電流が流れるから、電磁力も桁違いになります——条文が機械的衝撃を問題にする理由です。
速度上昇と遠心力
回転速度の2乗に比例
★遠心力は4倍
回転速度が2倍になれば、遠心力は4倍になります——回転部が飛散する危険が急激に高まるのです。
だから「負荷を遮断した場合に起こる速度に耐える」ことが要るのです。
電気設備は電気的にも機械的にも壊れます——本条は機械的な側面を扱う数少ない条文です。
⏱️ 本番での進め方
① (ア)は「短絡電流」——電流→電磁力→機械的衝撃。
② (イ)は「負荷を遮断」。水車・風車は止められない。
③ (ウ)は「非常調速装置」——加速装置は存在しない。
④ 水車・風車とタービン・内燃機関で条文が違う。
出題履歴——機械的強度は地味だが出る
| 年度 | 問われ方 |
| ★平成19年度 問6 | ★★発電機等の機械的強度(本問) |
| ★令和1年度 問4 | ★★支持物の倒壊の防止(32条) |
令和1年度 A問題4の支持物の倒壊も、機械的強度の条文です。電気設備は力にも耐えなければならないという共通点があります。
電気だけでなく機械の視点も持つと、条文が読みやすくなります。
💡 覚え方
発電機等の機械的強度=①発電機・変圧器・調相設備・母線及びがいしは短絡電流による機械的衝撃に耐える ②水車・風車の発電機は負荷を遮断した場合に起こる速度に耐える ③タービン・内燃機関の発電機は非常調速装置等が動作して達する速度に耐える。
⚠️ よくある間違い
「異常電圧」ではなく短絡電流——機械的衝撃を生むのは電流。「制御装置が故障」ではなく負荷を遮断。「加速装置」という保安装置は存在しない。
まとめ
| (ア) | 短絡電流 |
| (イ) | 負荷を遮断 |
| (ウ) | 非常調速装置 |
| 水車・風車 | 負荷遮断時の速度上昇 |
| タービン等 | 非常調速装置作動時の速度 |
| 答え | (2) |
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