今回は令和1年度 法規科目 A問題4、支持物の倒壊の防止の空欄補充問題です。令和5年度上期 A問題5でそっくりそのまま再出題された、台風対策の観点からも重要な条文です。
4つの空欄はすべて条文の言葉。電線等による引張荷重、10分間平均で風速40m/sの風圧荷重、気象の変化、そして人家が多く連なる場所では2分の1に緩和されます。
令和1年度 法規科目 A問題4:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和1年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題4
電験3種 法規科目 【電技省令】 令和1年度 A問題4
次の文章は、「電気設備技術基準」に基づく支持物の倒壊の防止に関する記述の一部である。
架空電線路又は架空電車線路の支持物の材料及び構造(支線を施設する場合は、当該支線に係るものを含む。)は、その支持物が支持する電線等による(ア)、風速(イ)m/sの風圧荷重及び当該設置場所において通常想定される(ウ)の変化、振動、衝撃その他の外部環境の影響を考慮し、倒壊のおそれがないよう、安全なものでなければならない。ただし、人家が多く連なっている場所に施設する架空電線路にあっては、その施設場所を考慮して施設する場合は、風速(イ)m/sの風圧荷重の(エ)の風圧荷重を考慮して施設することができる。
上記の記述中の空白箇所(ア)〜(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(ア) (イ) (ウ) (エ) (1) 引張荷重 60 温度 3分の2 (2) 重量荷重 60 気象 3分の2 (3) 引張荷重 40 気象 2分の1 (4) 重量荷重 60 温度 2分の1 (5) 重量荷重 40 気象 2分の1

答えは(3):引張荷重・40m/s・気象・2分の1
(ア)は「引張荷重」——電線は隣の電柱へ張られているので、横向きに引く力がかかります。
(イ)は「40」m/s・(ウ)は「気象」——10分間平均で40m/sです。
(エ)は「2分の1」——周囲の建物が風を遮るからです。
★倒壊させるのは横向きの力
| 力 | 向き | 倒壊への影響 |
| ★引張荷重 | ★★横向き(電線が引く) | ★★大きい |
| ★風圧荷重 | ★★横向き(風が押す) | ★★大きい |
| ★重量荷重 | ★★真下向き | ★★小さい |
電柱を倒すのは、横から加わる力です——真下向きの重さでは倒れません。
電線が引く/風が押す——どちらも横向き——だから条文はこの2つを並べています。
「重量荷重」を選ぶと、倒壊の原因を取り違えていることになります。
★40m/sという風速
| 内容 | |
| ★測り方 | ★★10分間平均 |
| ★瞬間風速では | ★★もっと大きくなる |
| ★対応する風圧 | ★★解釈58条の甲種風圧荷重 |
10分間平均で40m/sというのは、かなりの暴風です——強い台風のレベルです。
瞬間風速ではない点が条文どおりです——60m/sはダミーになります。
解釈では、この40m/sを甲種風圧荷重として具体的な数値に落としています。
★なぜ人家が多い場所は2分の1でよいのか
周囲に建物が建ち並んでいると、風が遮られます——電柱に当たる風が弱くなるのです。
だから同じ40m/sの風が吹いても、実際の風圧は小さくなります。
この緩和は、解釈第58条の丙種風圧荷重の考え方に対応します——甲種の2分の1です。
「3分の2」ではありません——2分の1と覚えましょう。
風圧荷重の種類
| 種類 | 適用 | 大きさ |
| ★甲種 | ★★高温季 | ★★基準(40m/s相当) |
| ★乙種 | ★★低温季(氷雪が多い地方) | ★★甲種の1/2+着氷厚6mm |
| ★丙種 | ★★低温季(氷雪が少ない地方)・人家が多い場所 | ★★甲種の1/2 |
季節と地域で使い分けます——技術基準の計算問題でよく出てきます。
本条の2分の1は、丙種と同じ考え方です——省令と解釈がつながっているのが分かります。
「気象」という広い語
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 引張荷重 | ★★引張荷重 | ★重量荷重 | ★★倒壊させるのは横向きの力 |
| 40m/s | ★★40m/s | ★60m/s | ★★10分間平均で40m/s |
| 気象 | ★★気象 | ★温度 | ★★着雪・着氷・風向なども含む |
「温度」だけでは狭すぎます——着雪・着氷・風向・湿度なども考慮が必要です。
だから「気象の変化」という広い語が使われています——法令が広い語を選ぶときには理由があるのです。
支線も含まれる
条文の括弧書きに「支線を施設する場合は、当該支線に係るものを含む」とあります。
支線は、電柱を反対側から引っぱって支える役割です——支線が切れれば電柱は倒れます。
だから支線の強度も、支持物と一体で考えます——技術基準の計算では支線の張力がよく問われます。
台風被害と条文
近年、台風による電柱の倒壊が相次いでいます——2019年の房総半島台風では、多数の電柱が倒れました。
想定を超える風が吹いた、ということです——基準の見直しも議論されています。
条文の数字は、現実の災害と直結しています——だから改正の可能性にも注意が要ります。
支線が果たす役割
| 場面 | 支線の働き |
| ★電線路の末端 | ★★片側からしか引かれないので支える |
| ★角度のある場所 | ★★2方向の張力の合力を受け止める |
| ★長い径間の途中 | ★★風による横向きの力を分担する |
電柱は、両側から同じ力で引かれていればつり合います——片側だけだと倒れます。
だから末端や曲がり角には支線が要ります——技術基準の計算で支線の張力を求める問題が定番です。
風圧荷重の求め方
風圧×受風面積
★40m/s相当
電線の直径×長さ
電線1mあたりの風圧荷重は、直径に比例します——太い電線ほど風を受けるのです。
着氷雪があると直径が増えるので、乙種では加算します——厚さ6mmの氷雪を想定します。
倒壊すると何が起きるか
電柱が倒れれば、電線が地面に垂れ下がります——通行人が触れれば感電します。
道路をふさげば、交通障害にもなります——事故報告の対象にもなりえます。
だから倒壊防止は、電気設備の安全の要——省令に独立した条文が置かれている理由です。
電柱は、意外なほど大きな力を受けています——電線の張力だけで数kNに達することもあります。
それに風圧が加わるのですから、設計は慎重にならざるを得ません。
架空電車線路も対象
条文は「架空電線路又は架空電車線路」と書いています——鉄道の架線を支える柱も対象です。
倒れれば列車が止まり、社会への影響は大きい——だから同じ基準で守られています。
⏱️ 本番での進め方
① (ア)は「引張荷重」——倒壊させるのは横向きの力。
② (イ)は40m/s(10分間平均)。60m/sはダミー。
③ (ウ)は「気象」。温度だけでは狭すぎる。
④ (エ)は2分の1——丙種風圧荷重と同じ考え方。
出題履歴——そのまま再出題された
| 年度 | 問われ方 | 正解番号 |
| ★令和1年度 問4 | ★★本問 | ★★(3) |
| ★令和5年度上期 問5 | ★★同一問題 | ★★(3) |
4年をおいて、正解番号まで同じで再出題されました。
技術基準の計算では、この風圧荷重が具体的な数値になります——条文と計算をつなげて覚えましょう。
💡 覚え方
電技32条=支持物は引張荷重+10分間平均で風速40m/sの風圧荷重+地理的条件・気象の変化・振動・衝撃を考慮して倒壊しないこと。人家が多く連なる場所は2分の1(=解釈の丙種風圧荷重の考え方)。
⚠️ よくある間違い
60m/s・3分の2・重量荷重・温度はすべてダミー。令和5年度上期A問題5と同一問題で正解も同じ(3)。
まとめ
| (ア) | 引張荷重 |
| (イ) | 40(m/s) |
| (ウ) | 気象(の変化) |
| (エ) | 2分の1 |
| 再出題 | 令和5年度上期 A問題5と同一 |
| 答え | (3) |
▼あわせて解きたい関連問題
・同一問題(電技省令14):【法規】令和5年度上期 A問題5
・発電機等の機械的強度(電技省令46):【法規】平成19年度 A問題6

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