電技省令14【電験3種 法規】風速40m/sの風圧荷重!人家が連なる場所は2分の1でよい 令和5年度上期 A問題5 完全解説

電験3種 法規科目 電技省令 令和5年度上期 A問題5 風速40m/sに耐える設計!人家が続く所は緩和

今回は令和5年度上期 法規科目 A問題5支持物の倒壊の防止の空欄補充問題です。台風被害が続いたこともあり、近年よく出題される条文です。

覚える数字は10分間平均で風速40m/s。そして人家が多く連なっている場所に施設する架空電線路は、施設場所を考慮すればその2分の1の風圧荷重で足ります——建物が風を遮るため緩和されるのです。

目次

令和5年度上期 法規科目 A問題5:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 法規科目 配電 令和5年度上期 A問題5 問題文
令和5年度上期 法規科目 A問題5 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和5年度上期 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題5

電験3種 法規科目 【電技省令】 令和5年度上期 A問題5

 次の文章は、「電気設備技術基準」に基づく支持物の倒壊の防止に関する記述の一部である。

 架空電線路又は架空電車線路の支持物の材料及び構造(支線を施設する場合は、当該支線に係るものを含む。)は、その支持物が支持する電線等による(ア)、10分間平均で風速(イ)m/sの風圧荷重及び当該設置場所において通常想定される地理的条件、(ウ)の変化、振動、衝撃その他の外部環境の影響を考慮し、倒壊のおそれがないよう、安全なものでなければならない。ただし、人家が多く連なっている場所に施設する架空電線路にあっては、その施設場所を考慮して施設する場合は、10分間平均で風速(イ)m/sの風圧荷重の(エ)の風圧荷重を考慮して施設することができる。

 上記の記述中の空白箇所(ア)〜(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(ア)(イ)(ウ)(エ)
(1)引張荷重60温度3分の2
(2)重量荷重60気象3分の2
(3)引張荷重40気象2分の1
(4)重量荷重60温度2分の1
(5)重量荷重40気象2分の1
答え(ア)引張荷重・(イ)40・(ウ)気象・(エ)2分の1 = (3)

答えは(3):引張荷重・40m/s・気象・2分の1

電気設備に関する技術基準を定める省令 第32条(支持物の倒壊の防止)

架空電線路又は架空電車線路の支持物の材料及び構造(支線を施設する場合は、当該支線に係るものを含む。)は、その支持物が支持する電線等による引張荷重、10分間平均で風速40m/sの風圧荷重及び当該設置場所において通常想定される地理的条件、気象の変化、振動、衝撃その他の外部環境の影響を考慮し、倒壊のおそれがないよう、安全なものでなければならない。ただし、人家が多く連なっている場所……風圧荷重の2分の1……

令和1年度A問題4と同一問題。正解番号も同じ(3)です。

(ア)は「引張荷重」・(イ)は「40」・(ウ)は「気象」・(エ)は「2分の1」——倒壊させるのは横向きの力です。

この記事では、支持物そのもの——柱の種類と強度に踏み込みます

条文の趣旨と風圧荷重の考え方は、令和1年度の記事で扱っています

★支持物の種類

種類特徴使われる場所
★木柱★★安いが腐食する★★現在はほとんど使われない
★鉄筋コンクリート柱★★丈夫で保守が楽★★配電線路の主力
★鉄柱★★強度が高い★★特殊な箇所
★鉄塔★★最も強い★★送電線路

街で見かける電柱のほとんどは鉄筋コンクリート柱です——コンクリート柱とも呼ばれます

種類によって、適用される規定も変わります——解釈第58条以下に細かく定められています。

★A種とB種の違い

A種B種
★基礎★★根入れ深さで安全率を確保★★基礎の強度計算で確保
★径間の制限★★厳しい(高圧保安工事で100m)★★緩い(同150m)
★使い分け★★一般的な配電線路★★条件の厳しい箇所

A種は根入れ深さで、B種は基礎の計算で強度を確保します——手軽さと確実さの違いです。

だからB種のほうが径間を長く取れます——高圧保安工事の100m/150mという数字につながります。

★根入れ深さの規定

柱の全長根入れ深さ
★15m以下★★全長の6分の1以上
★15m超★★2.5m以上

電柱は、全長の6分の1ほどが地中に埋まっています——10mの柱なら約1.7mです。

この深さが、倒壊を防ぐ支えになります——省令の「倒壊のおそれがないよう」を具体化したものです。

設計荷重が大きい場合は、さらに深くします

安全率という考え方

対象安全率
★木柱・A種柱★★1.0以上(風圧荷重に対して)
★B種柱・鉄塔★★2.0以上(常時想定荷重に対して)
★支線★★2.5以上
★電線(硬銅線等)★★2.2以上

安全率とは、実際にかかる力に対してどれだけ余裕を持たせるかです

支線の2.5、電線の2.2は技術基準の計算でよく使います——条文の数字と計算がつながるところです。

「地理的条件」とは何か

条文の言葉ダミー語違い
引張荷重★★引張荷重★重量荷重★★倒壊させるのは横向きの力
40m/s★★40m/s★60m/s★★10分間平均で40m/s
気象★★気象★温度★★着雪・着氷・風向なども含む

本問の条文には「地理的条件」という語も入っています——令和1年度版では省略されていた部分です。

海岸に近いか、山間部か、盆地かで条件が変わります——塩害や着氷雪の有無にも関わります。

台風で電柱が倒れるとき

2019年の房総半島台風では、約2 000本の電柱が倒れました——想定を超える風が吹いたのです。

倒木が電線を巻き込んで倒したケースも多くありました——風圧荷重の計算では想定しきれない要因です。

この経験から、無電柱化や設備強化が議論されています——条文の数字も見直される可能性があります

径間という考え方

意味
★径間★★支持物と支持物の間の距離
★標準径間★★木柱・A種柱は150m、B種柱は250m、鉄塔は600m
★高圧保安工事★★A種柱100m、B種柱150m、鉄塔400m

径間が長いほど、電線の張力も風圧も大きくなります——だから支持物の種類ごとに上限があるのです。

高圧保安工事では、より短く制限されます——他の設備と接近する危険な場所だからです。

弛度(たるみ)との関係

\( D=\dfrac{WS^{2}}{8T} \)
弛度の式
W:電線の荷重/S:径間/T:張力
\( T\ \uparrow\ \Rightarrow\ D\ \downarrow \)
張力を上げると
★たるみは小さくなる
\( S\ \uparrow\ \Rightarrow\ D\ \uparrow \)
径間を延ばすと
★たるみは2乗で増える

たるみを小さくしようと張力を上げると、支持物への負担が増えます——倒壊のリスクが高まるのです。

だから弛度と張力はつり合いで決めます——技術基準の計算で頻出の関係式です。

支持物が支持するもの

電線だけでなく、がいし・腕金・変圧器なども支えています——柱上変圧器は数百kgあります

それらの重量と、電線の張力と、風圧が同時にかかります——だから条文が複数の荷重を並べているのです。

設計では、これらを組み合わせて最も厳しい条件で検討します

電柱1本の倒壊が、広い範囲の停電につながります——だから倒壊防止に独立した条文が置かれているのです。

無電柱化という流れ

倒壊を根本から防ぐには、電柱をなくすのがいちばんです——それが無電柱化です。

ただし費用が高く、進むには時間がかかります——当面は支持物の強度で守るしかありません

⏱️ 本番での進め方
① (ア)は「引張荷重」——倒壊させるのは横向きの力。
② (イ)は40m/s(10分間平均)。60m/sはダミー。
③ (ウ)は「気象」。温度だけでは狭すぎる。
④ (エ)は2分の1——丙種風圧荷重と同じ考え方。

出題履歴——4年をおいて同じ問題

年度問われ方正解番号
★令和1年度 問4★★同一問題★★(3)
★令和5年度上期 問5★★本問★★(3)

令和1年度 A問題4では、風圧荷重の種類と支線の役割を中心に解説しています。本記事は支持物そのものの構造に寄せました

技術基準の計算では、この条文の数値が具体的に使われます——条文と計算をつなげて覚えましょう

💡 覚え方
電技32条=支持物は電線等による引張荷重+10分間平均で風速40m/sの風圧荷重+地理的条件・気象の変化・振動・衝撃を考慮して倒壊しないこと。人家が多く連なる場所は風圧荷重を2分の1にできる。根入れ深さは全長15m以下なら6分の1以上

⚠️ よくある間違い
風速を60m/sとしない——10分間平均で40m/s。「重量荷重」ではなく引張荷重。緩和は3分の2ではなく2分の1

まとめ

(ア)引張荷重
(イ)40(m/s・10分間平均)
(ウ)気象(の変化)
(エ)2分の1
緩和の条件人家が多く連なっている場所
答え(3)

▼あわせて解きたい関連問題
・支持物の倒壊の防止(電技省令27):【法規】令和1年度 A問題4
・発電機等の機械的強度(電技省令46):【法規】平成19年度 A問題6

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