今回は平成18年度 電力科目 B問題17、短絡電流から百分率インピーダンスを求め、過電流継電器(OCR)のタップ整定を決める計算問題です。令和5年度下期 B問題16(配電計算11)とまったく同じ問題です。
(a)は%Z=基準電流/短絡電流×100。(b)はタイムレバー位置の比で動作時間を換算し、位置10の限時特性グラフから倍数を読み、CT二次電流÷倍数でタップ整定値を求めます。
※系統図(昇圧用変圧器30MV·A・11kV/33kV・%Z7.8%、CT400A/5A、F点で三相短絡1800A)は公式PDF非公開のため文章で示します。
平成18年度 電力科目 B問題17:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成18年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 B問題17
電験3種 電力科目 【配電の計算】 平成18年度 B問題17
昇圧用変圧器(容量30MV·A、変圧比11kV/33kV、百分率インピーダンス自己容量基準7.8%)を介して33kV配電系統に電力を供給している。計器用変流器(CT)の変流比は400A/5Aである。系統の点Fで三相短絡事故が発生し、1800Aの短絡電流が流れたとき、次の(a)及び(b)の問に答えよ。ただしCTの磁気飽和は考慮しない。
(a) 系統の基準容量を10MV·Aとしたとき、事故点Fから電源側をみた百分率インピーダンスの値[%]として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)5.6 (2)9.7 (3)12.3 (4)29.2 (5)37.0 %
(b) 過電流継電器(OCR)を0.09sで動作させるには、OCRの電流タップ値を何アンペアの位置に整定すればよいか。ただし、OCRのタイムレバー位置は3に整定されており、タイムレバー位置10における限時特性は図示のとおりである。
(1)3.0 (2)3.5 (3)4.0 (4)4.5 (5)5.0 A



(a) の答えは(2):約 9.7 %
短絡電流が実測されているので、そこから逆算します。
★
★答え
なぜ変圧器の7.8 %を使わないのか
| 個別に足す方法 | 実測から求める方法(本問) | |
| ★必要な情報 | ★★電源側と変圧器の%Zを両方 | ★★短絡電流だけ |
| ★電源側の%Z | ★★与えられていないと解けない | ★★実測値に含まれている |
| ★本問では | ★★使えない | ★★こちらを使う |
変圧器の7.8 %は自己容量30 MV・A 基準です——10 MV・A に換算すると2.6 %になります。
けれども電源側の%Z が与えられていません——だから足し算では求まらないのです。
短絡電流1800 A には、電源側も変圧器も含まれています——だから一気に求まるのです。
9.7−2.6=7.1 %が電源側の分だと分かります——逆算すれば見えてくるのです。
(b) の答えは(4):4.5 A
★
★
★
★答え
変流器(CT)の変流比が意味すること
| 一次側(系統) | 二次側(継電器) | |
| ★定格 | ★★400 A | ★★5 A |
| ★変流比 | ★★400/5=80分の1 | ★— |
| ★短絡時 | ★★1800 A | ★★22.5 A |
継電器は5 A 級の電流で動くように作られています——1800 A を直接入れられないから。
だからCTで80分の1に縮めます——1800÷80=22.5 Aです。
タップ整定値も、この二次側の値で表されます——4.5 A というのは二次側の話です。
一次側に直すと4.5×80=360 A で動作する設定になります——定格400 A より少し低いのです。
⚠️ よくある間違い
変圧器の7.8%だけで計算する——電源側も含まれています。
基準電流を11 kV 側で計算する——事故点は33 kV 側です。
レバー換算を3/10倍とする——10/3倍です。
CT二次電流をタップ値とする——倍数で割ります。
グラフの横軸を電流そのものと読む——タップ値の倍数です。
⏱️ 本番での進め方
①★実測の短絡電流があれば%Zは一気に求まる。
②★%Z=(基準電流/短絡電流)×100。
③★CT二次電流=一次電流×(5/400)。
④★タップ=CT二次電流÷グラフの倍数。
💡 覚え方
「実測値にすべて含まれている」——だから個別に足さなくてよいのです。CTで80分の1に縮める——継電器は5 A 級だから。
★この問題は令和5年度下期 B問題16とまったく同一です(配電の計算:%ZとOCRのタップ整定(R05下期))。17年を隔てての再出題です。
タイムレバーという整定項目
| タイムレバー位置 | 動作時間 | 関係 |
| ★10 | ★★0.30 s | ★★グラフの値 |
| ★★3(本問) | ★★0.09 s | ★★10分の3 |
| ★1 | ★★0.03 s | ★★10分の1 |
動作時間はレバー位置に比例します——位置を下げれば速く動くのです。
上位の継電器より速く動かすために、下位ほど小さい値に整定します——時間協調です。
本問は位置3なので、グラフの値の10分の3の時間で動作します。
17年を隔てた同一問題
| 年度 | 問題番号 | 違い |
| ★平成18年度 | ★★B問題17 | ★★本問 |
| ★★令和5年度下期 | ★★B問題16 | ★★数値も選択肢も同一 |
17年を隔てて、まったく同じ問題が出題されています——数値まで一致です。
OCRの整定は電気主任技術者の実務そのものなので、繰り返し問われます。
だから古い過去問も解いておく価値があります。
OCRの整定という実務
| 整定項目 | 決めること | 本問 |
| ★電流タップ | ★★どの電流から動作させるか | ★★4.5 A(求める値) |
| ★タイムレバー | ★★動作時間の倍率 | ★★3(与えられている) |
| ★目標動作時間 | ★★上位との協調で決まる | ★★0.09 s(与えられている) |
目標時間とレバー位置が決まっていて、タップを求める形です——逆算問題になります。
実務でも、上位との時間協調から目標を決めてタップを選びます。
電気主任技術者の仕事に直結する内容です。
計算の流れを1枚で見る
| 段階 | すること | 本問の値 |
| ★(a) | ★★基準電流÷短絡電流×100 | ★★9.7 % |
| ★(b)① | ★★レバー位置10へ換算 | ★★0.30 s |
| ★(b)② | ★★グラフから倍数を読む | ★★5倍 |
| ★(b)③ | ★★CT二次電流÷倍数 | ★★4.5 A |
(a)は1行、(b)は3段階です——手順が決まっているのです。
グラフを読む工程があるので、落ち着いて値を確かめましょう。
この型を覚えておけば、同じ問題が出たときに確実に得点できます。
基準容量をそろえるという考え方
| 自己容量基準 | 10 MV·A 基準 | |
| ★変圧器の%Z | ★★7.8 %(30 MV·A基準) | ★★2.6 % |
| ★換算 | ★— | ★★7.8×(10/30) |
%インピーダンスは基準容量に比例します——だから換算が要るのです。
本問の答え9.7 %から変圧器分2.6 %を引くと、電源側は7.1 %だと分かります。
実測から求めた値を分解すると、系統の構成が見えてきます。
限時特性という考え方
| 電流の大きさ | 動作時間 | ねらい |
| ★タップ値の2倍 | ★★長い | ★★一時的な過負荷では切らない |
| ★★タップ値の5倍 | ★★0.30 s(本問) | ★★短絡なら速く切る |
| ★タップ値の10倍 | ★★さらに短い | ★★大電流ほど急いで切る |
電流が大きいほど早く動作するのが限時特性です——反限時特性ともいいます。
だからグラフは右下がりの曲線になります——横軸が倍数、縦軸が時間です。
本問は5倍のところで0.30 s を読み取ります——それがタップ決定の手がかりです。
まとめ
| (a)基準電流 | 10e6/(√3·33000)=174.95A |
| (a)%Z | 174.95/1800×100=9.7% |
| (b)レバー換算 | 0.09×10/3=0.30s→倍数5 |
| (b)CT二次 | 1800×5/400=22.5A |
| (b)タップ | 22.5/5=4.5A |
| 答え | (a)-(2),(b)-(4) |
▼あわせて解きたい関連問題
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