配電計算44【電験3種 電力】電圧降下で電流→負荷電力240kW・損失一定でP2=274kW!平成18年度 B問題16 完全解説

電験3種 電力科目 配電の計算 平成18年度 B問題16 240kWと274kWの組!完全同一の再出題

今回は平成18年度 電力科目 B問題16、三相3線式専用配電線で電圧降下から電流と負荷電力を求め、力率変化後の電力を計算する問題です。令和4年度上期 B問題17(配電計算16)とまったく同じ問題です。

(a)は電圧降下の近似式 v=√3·I·(Rcosθ+Xsinθ)で電流を求めて負荷電力に。(b)は線路損失3I²Rが不変=電流不変を使って、力率0.8での電力を求めます。

目次

(a) の答えは(4):約 240 kW

与えられた電圧降下150 V が出発点です

\( R=2.25\ \Omega,\quad X=1.75\ \Omega \)
0.45×5 と 0.35×5
\( v=6600-6450=150\ \mathrm{V} \)
電圧降下
\( I=\dfrac{150}{\sqrt{3}(2.25\times 0.7+1.75\times 0.714)}\fallingdotseq 30.7\ \mathrm{A} \)
近似式を電流について解く
\( P_1=\sqrt{3}\times 6450\times 30.7\times 0.7\fallingdotseq 240\ \mathrm{kW} \)
負荷電力
★答え

平成18年度 電力科目 B問題16:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 配電 平成18年度 B問題16 問題文
平成18年度 電力科目 B問題16 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成18年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 B問題16

電験3種 電力科目 【配電の計算】 平成18年度 B問題16

 三相3線式1回線の専用配電線がある。変電所の送り出し電圧が6600V、末端にある負荷の端子電圧が6450V、力率が遅れの70%であるとき、次の(a)及び(b)の問に答えよ。ただし、電線1線当たりの抵抗は0.45Ω/km、リアクタンスは0.35Ω/km、線路のこう長は5kmとする。

(a) この負荷に供給される電力P1の値[kW]として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)180 (2)200 (3)220 (4)240 (5)260 kW

(b) 負荷が遅れ力率80%、P2[kW]に変化したが線路損失は変わらなかった。P2の値[kW]として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)254 (2)274 (3)294 (4)314 (5)334 kW

答え(a) 負荷に供給される電力は約 240 kWです。

(b) の答えは(2):約 274 kW

\( I\ \text{は一定(損失一定)} \)
30.7 A のまま
\( v_2=\sqrt{3}\times 30.7\times(2.25\times 0.8+1.75\times 0.6)\fallingdotseq 151\ \mathrm{V} \)
力率0.8での電圧降下
\( V_{r2}=6600-151\fallingdotseq 6449\ \mathrm{V} \)
受電端電圧
\( P_2=\sqrt{3}\times 6449\times 30.7\times 0.8\fallingdotseq 274\ \mathrm{kW} \)
変化後の電力
★答え
答え(b) 変化後の電力は約 274 kWです。

力率の比とぴったり一致しない理由

「損失一定なら電力は力率に比例する」と習いますが、本問では少しずれます

\( \dfrac{\cos\theta_2}{\cos\theta_1}=\dfrac{0.8}{0.7}\fallingdotseq 1.1429 \)
力率の比
\( \dfrac{P_2}{P_1}=\dfrac{274}{240}\fallingdotseq 1.1417 \)
実際の電力の比
厳密に比例する場合本問
★受電端電圧★★一定という前提がある★★6450→6449 とわずかに変わる
★電力の比★★力率の比とぴったり一致★★ごくわずかにずれる

本問は送電端電圧が一定で、受電端電圧が変わります——だから厳密には比例しないのです。

受電端電圧を一定とする問題では、ぴったり比例します——条件が違うのです。

ずれは0.1%ほどなので、答えには影響しません——けれども理屈は押さえておきましょう

但し書きに「端子電圧は変わらない」とあるかを確かめる——それで解き方が決まるのです。

電圧降下が少し増える理由

力率cosθsinθRcosθ+Xsinθ
★0.7★★0.700★★0.714★★2.825
★★0.8★★0.800★★0.600★★2.850

力率が上がったのに、係数はわずかに大きくなりました——意外な結果です。

R が2.25、X が1.75で、R のほうが大きいからです——cosθ が増える効果が勝つのです。

もし X のほうが大きければ、逆に係数は小さくなります——R と X の比で決まるのです。

だから「力率改善で電圧降下が減る」は、いつも成り立つとは限りません——電流が変わる場合の話だからです。

⚠️ よくある間違い
(b)で電圧降下を150 V のままとする——151 V に増えます
電力の比が力率の比と完全に一致すると考える——受電端電圧が変わるのでわずかにずれます
損失一定を電力一定と読む——電流一定です。
sinθ を0.3とする——0.714です。
送電端電圧が変わると考える——6600 V で一定です。

⏱️ 本番での進め方
①★損失一定=電流一定。
②★力率が変われば Rcosθ+Xsinθ も変わる。
③★送電端電圧一定なら受電端電圧が変わる。
④★だから電力の比は力率の比とわずかにずれる。

💡 覚え方
「電流は同じ、電圧は少し違う」——そこが計算の勘所です。R が大きい線路では力率が上がると降下も増える——思い込みに注意です。

★この問題は令和4年度上期 B問題17とまったく同一です配電の計算:電圧降下と損失一定(R04上期))。16年を隔てての再出題です。

送電端電圧が一定という条件

条件変わるもの変わらないもの
★★送電端電圧が一定(本問)★★受電端電圧・電圧降下★★送り出しの6600 V
★受電端電圧が一定★★送電端電圧★★負荷の端子電圧

どちらを一定とするかで、計算の道筋が変わります——問題文をよく読むことです。

本問は変電所の送り出しが6600 V で固定されています——だから受電端が変わるのです。

受電端一定の問題なら、電力は力率にぴったり比例します——条件の違いが結果に効くのです。

(a)と(b)で共通するもの・違うもの

項目(a)(b)
★線路定数 R・X★★2.25・1.75 Ω★★同じ
★電流★★30.7 A★★同じ(損失一定)
★力率★★0.7★★0.8
★電圧降下★★150 V★★151 V
★受電端電圧★★6450 V★★6449 V

変わるのは力率と、それに連なる2つの量だけです——整理すると見通しがよいのです。

電流が同じという条件が、計算の足場になります——損失一定の読み替えです。

P₂/P₁ を近似で求めてみる

\( \dfrac{P_2}{P_1}\fallingdotseq\dfrac{\cos\theta_2}{\cos\theta_1}=\dfrac{0.8}{0.7}=1.143 \)
受電端電圧が同じとみなす
\( P_2\fallingdotseq 240\times 1.143\fallingdotseq 274\ \mathrm{kW} \)
近似での答え
★正解と一致

受電端電圧の変化がわずかなので、力率の比だけでも答えが出ます——274 kWです。

試験では時間が限られるので、この近道も知っておくと有利です——選択肢の刻みが粗いから。

ただし厳密には受電端電圧も変わることを理解しておきましょう

16年を隔てた同一問題

年度問題番号違い
★平成18年度★★B問題16★★本問
★★令和4年度上期★★B問題17★★数値も選択肢も同一

16年を隔てて、まったく同じ問題が出題されています——数値まで一致です。

だから古い過去問も解いておく価値があります——そのまま出るのです。

まとめ

R・X2.25Ω・1.75Ω
電圧降下150V
(a)電流30.66A
(a)P1√3·6450·30.66·0.7=240kW
(b)P2損失一定→√3·6448.7·30.66·0.8=274kW
答え(a)-(4),(b)-(2)

▼あわせて解きたい関連問題
・同一問題(配電計算16):【電力】令和4年度上期 B問題17
・電圧降下の近似式(配電計算3):【電力】令和7年度下期 B問題16

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