今回は平成26年度 電力科目 A問題12、異容量V結線(電灯動力共用)の三相4線式で、共用変圧器と専用変圧器の必要容量を求める計算問題です。
ポイントは専用変圧器は三相動力の分担(S3φ/√3)のみ、共用変圧器は単相(電灯)負荷+三相分担を負担すること。相回転a’-c’-b’により両者が同相で加算され、共用=20+30=50kV·Aになります。
平成26年度 電力科目 A問題12:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成26年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題12
電験3種 電力科目 【配電の計算】 平成26年度 A問題12
図のように、2台の単相変圧器による電灯動力共用の三相4線式低圧配電線に、平衡三相負荷45kW(遅れ力率角30°)1個及び単相負荷10kW(力率=1)2個が接続されている。これに供給するための共用変圧器及び専用変圧器の容量の値[kV·A]は、それぞれいくら以上でなければならないか。値の組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。ただし、相回転はa’-c’-b’とする。
共用変圧器 専用変圧器 (1) 20 30 (2) 30 20 (3) 40 20 (4) 20 40 (5) 50 30



答えは(5):共用 50 kV・A、専用 30 kV・A
2台の変圧器が、それぞれ何を担うかを分けて考えます。
| 変圧器 | 担う負荷 | 必要な容量 |
| ★★専用変圧器 | ★★三相動力の分担のみ | ★★30 kV・A |
| ★★共用変圧器 | ★★単相(電灯)負荷+三相動力の分担 | ★★20+30=50 kV・A |
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★
★答え
V結線では、2台がそれぞれ S/√3 を分担します——S/2 ではないことに注意。
電灯負荷は力率1なので、10 kW がそのまま10 kV・A です——2個で20になります。
V結線で1台あたりが S/√3 になる理由
★
★
| 2台の容量の合計 | 三相出力 | 利用率 | |
| ★V結線 | ★★2×(S/√3)=1.155 S | ★★S | ★★√3/2=0.866 |
V結線では、1台に線間電圧がそのままかかります——Δ結線の1辺と同じです。
そこに線電流が流れるので、S/√3 を受け持ちます——2台の合計は三相出力より大きいのです。
だから利用率が0.866になります——余裕をもたせている形です。
本問では51.96÷√3=30.0 とちょうどよい数になりました。
相回転で加算のしかたが変わる
| 相回転 | 単相分担と三相分担の関係 | 共用変圧器の容量 |
| ★★a′-c′-b′(本問) | ★★同相になる | ★★20+30=50(単純和) |
| ★a′-b′-c′ | ★★位相がずれる | ★★ベクトル和になり50より小さい |
問題文が相回転をわざわざ指定しているのは、このためです——加算のしかたが変わるから。
同相なら単純に足せます——最も厳しい条件になります。
設計では厳しいほうを見込むので、単純和で考えます——「いくら以上必要か」と問われているのです。
だから選択肢の中で共用が50のものを選びます。
⚠️ よくある間違い
専用変圧器に単相負荷を含める——三相分担のみです。
三相分担を S/2 とする——V結線では S/√3です。
45 kW をそのまま皮相電力とする——力率で割ります。
電灯負荷を力率で割る——力率1なのでそのままです。
共用と専用を取り違える——共用のほうが大きいのです。
⏱️ 本番での進め方
①★専用変圧器=三相分担のみ(S₃φ/√3)。
②★共用変圧器=単相負荷+三相分担。
③★S₃φ=三相kW÷力率。
④★V結線の1台分担は S/√3(S/2ではない)。
💡 覚え方
「専用は三相だけ、共用は単相も背負う」——だから共用のほうが大きいのです。V結線の分担は S/√3——2台の合計は1.155倍になります。
異容量V結線の考え方は平成21年度 A問題12(配電:配電用変圧器)にもあります。
電灯動力共用方式のしくみ
| 取り出すもの | どこから | 担う変圧器 |
| ★単相100/200 V | ★★共用変圧器の中点から | ★★共用変圧器 |
| ★三相200 V | ★★2台のV結線から | ★★共用+専用の2台 |
共用変圧器は、単相と三相の両方を担います——だから「共用」なのです。
専用変圧器は三相だけを担います——だから「専用」です。
この役割分担が、容量の差になって現れます——50と30です。
力率角30度という表現
★
★
「力率0.866」ではなく「力率角30度」と書かれています——同じことですが表現が違うのです。
角度で与えられたら、余弦を取って力率にします——cos30°=0.866です。
30度・45度・60度は暗算できるようにしておきましょう。
容量を「以上」で答える意味
| 計算値 | 選ぶ容量 | 理由 |
| ★共用30 kV·A | ★★50 kV·A以上 | ★★単相20を足す |
| ★専用30 kV·A | ★★30 kV·A以上 | ★★三相分担のみ |
問題文は「いくら以上でなければならないか」と問うています——最低限の値です。
実際には規格の標準容量から選びます——30・50・75・100 kV·A など。
だから計算値ちょうどか、それ以上の標準値になります。
V結線の分担が S/√3 になる確かめ方
★
★一致
実際に電流を出して確かめると、30 kV・A になります——S/√3 と一致します。
V結線では1台に線間電圧がそのままかかります——だから200 V×150 Aです。
公式を忘れても、この道筋で出せます。
なぜ共用変圧器のほうが大きいのか
| 共用変圧器 | 専用変圧器 | |
| ★三相の分担 | ★★30 kV・A | ★★30 kV・A |
| ★単相(電灯) | ★★20 kV・A | ★★なし |
| ★合計 | ★★50 kV・A | ★★30 kV・A |
三相の分担は2台とも同じです——V結線なので均等。
違いは単相負荷を背負うかどうかだけ——だから共用のほうが20だけ大きいのです。
これが「異容量」V結線と呼ばれる理由です——2台の容量が違うのです。
まとめ
| 三相皮相 | S3φ=45/cos30°=51.96kV·A |
| 各分担 | 51.96/√3=30kV·A |
| 専用変圧器 | 30kV·A(三相分担) |
| 共用変圧器 | 20+30=50kV·A(単相+三相分担) |
| 答え | (5) 共用50/専用30 |
▼あわせて解きたい関連問題
・V結線と供給電力(配電計算21):【電力】平成30年度 A問題8
・異容量V結線(変電46):【電力】平成19年度 A問題16

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