今回は平成18年度 電力科目 A問題8、地中ケーブルの布設方法の誤り選択問題です。地中送電ユニットの最終回にして、布設方式シリーズ(cb1・cb7・cb12・cb17)の原点となる出題です。
直接埋設式の誤解ポイントは「構造物がない=シンプル=復旧も楽」という直感。実際は土を掘り返さないとケーブルに触れないため、事故復旧は管路式・暗きょ式より時間がかかります。R07下問10(cb1)ではこの正しい記述が選択肢(2)として出題されており、18年越しの定番です。
平成18年度 電力科目 A問題8:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成18年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題8
電験3種 電力科目 【地中送電】 平成18年度 A問題8
地中ケーブルの付設方法には、大別して直接埋設式、管路式、暗きょ式などがある。これらに関する記述として、誤っているのは次のうちどれか。
(1) 工事費並びに工期は直接埋設式が最も安価・短期であり、次に管路式、暗きょ式の順になる。
(2) 直接埋設式では、管路あるいは暗きょといった構造物を伴わないので、事故復旧は管路式、暗きょ式よりも容易に実施できる。
(3) 直接埋設式では、ケーブル外傷等の被害は管路式や暗きょ式と比べてその機会が多くなる。
(4) 暗きょ式、管路式は、布設後の増設が直接埋設式に比べると一般に容易である。
(5) 暗きょ式の一種である共同溝は、電力ケーブル、電話ケーブル、ガス管、上下水道管などを共同の地下溝に施設するものである。

誤りは(2):復旧が容易なのは管路式・暗きょ式
「構造物を伴わないので事故復旧が容易」——構造物がないからこそ大変なのです。
| 方式 | 復旧の作業 | 所要時間 |
| ★直接埋設式 | ★★掘削許可を取り、舗装をはがし、掘り返す | ★★数日〜数週間 |
| ★管路式 | ★★マンホールから引き抜いて入れ替える | ★短い |
| ★暗きょ式 | ★★洞道に入って交換する | ★★最も短い |
構造物がないということは、直接土に埋まっているということ——手を出すには掘るしかありません。
掘削の許可を取るだけで日数がかかります——道路管理者や警察との調整が要るのです。
管路式なら、マンホールから引き抜けます——道路を掘らずに済む。
「構造物を伴わない」ことを利点として書いたのが誤り——そこが短所そのものだからです。
3方式の順位を項目ごとに
| 項目 | 良いほうから |
| ★工事費の安さ・工期の短さ | ★★直接埋設式>管路式>暗きょ式 |
| ★熱放散 | ★★暗きょ式>直接埋設式>管路式 |
| ★増設のしやすさ | ★★暗きょ式>管路式>直接埋設式 |
| ★復旧の速さ | ★★暗きょ式>管路式>直接埋設式 |
| ★外傷への強さ | ★★暗きょ式>管路式>直接埋設式 |
費用以外は、ほぼ暗きょ式が最良です——高いだけの価値があるのです。
直接埋設式が勝つのは、工事費と工期だけ——そこを他の利点と混同させるのが引っかけ。
(1)(3)(4)(5)は、この表のとおりの記述——いずれも正しいです。
熱放散だけ順序が違う点も、あわせて覚えます——管路式が最下位に落ちるのです。
外傷事故が最も多い理由
(3)の「被害の機会が多い」を、統計から見ましょう。
| 地中線の事故原因 | 割合の目安 | 内容 |
| ★★他工事による外傷 | ★★最も多い | ★★掘削機がケーブルに当たる |
| ★経年劣化 | ★次に多い | ★水トリーなど |
| ★接続部の不良 | ★一定数 | ★現場施工の品質 |
道路の下では、いつも何かの工事が行われています——ガス・水道・通信のいずれか。
そのたびにケーブルが危険にさらされます——だから守り方が事故率を決めるのです。
管に入っていれば、まず届きません——トラフだけでは破られることがある。
だから直接埋設式は外傷の機会が多くなります——(3)が指摘するとおりです。
(4) 増設のしやすさを生む「器」
先に何を作っておくかで決まります。
| 方式 | 先に作るもの | 増設の作業 |
| ★直接埋設式 | ★★何も作らない | ★★もう一度掘る |
| ★管路式 | ★★管路とマンホール | ★★空いた管に通すだけ |
| ★暗きょ式 | ★★洞道と棚 | ★★空いた棚に並べるだけ |
器を先に作っておけば、中身はあとから足せます——それが増設の容易さの正体です。
予備の管を1本増やす費用は、あとから掘るより格段に安い——だから最初に多めに埋めます。
直接埋設式には、その先回りができません——ケーブルを直接埋めるだけだから。
需要が伸びる地域ほど、この差が大きく効いてきます。
布設方式を選ぶ判断
どの条件でどれを選ぶのか、整理しておきます。
| 場所・条件 | 選ぶ方式 | 決め手 |
| ★郊外・条数が少ない | ★★直接埋設式 | ★★費用が最優先 |
| ★市街地・増設を見込む | ★★管路式 | ★★引き替えと増設のしやすさ |
| ★都市の幹線・多条数 | ★★暗きょ式 | ★★容量と保守性 |
条件が厳しいほど、高価な方式に移っていきます——費用と性能の兼ね合いです。
郊外なら掘り返しても影響が小さい——だから安い方式で足ります。
都心では道路を止められません——初期投資をかけてでも管路式か暗きょ式。
問題文が3方式を並べているのは、この使い分けが前提——順位を覚えれば全問に対応できます。
直接埋設式の工法をたどる
最も簡単な工法の手順を確かめましょう。
| 段階 | 作業 |
| ① | ★所定の深さまで溝を掘る |
| ★② | ★★コンクリート製トラフを敷き並べる |
| ★③ | ★トラフ内にケーブルを引き入れる |
| ★④ | ★★ふたをかぶせ、埋め戻して舗装する |
構造物を作らないので、工期が短くて済みます——それが最大の利点です。
埋設深さは、車両が通る場所で1.2 m 以上——それ以外は0.6 m 以上と定められています。
トラフは掘削事故から守るためのもの——その代わり熱が逃げにくくなります。
守ることと冷やすことが、ここでも相反します。
管路式のマンホールが担うもの
管路式には必ずマンホールが伴います。
| 役目 | 内容 |
| ★接続の場所 | ★★ケーブルどうしをつなぐ作業空間 |
| ★引き入れの起点 | ★★ここから管路へケーブルを通す |
| ★点検の入口 | ★状態を確認できる |
| ★間隔 | ★★150〜250 m(ドラム1巻き分) |
ケーブルは1本の長さに限りがあります——ドラムに巻ける量で決まるのです。
だから途中で必ずつなぐ必要があります——その場所がマンホール。
掘らずに引き替えられるのは、この入口があるから——復旧が速い理由です。
直接埋設式にはこの入口がありません——だから掘るしかないことになります。
(5) 共同溝という考え方
| 項目 | 内容 |
| ★収めるもの | ★★電力・電話・ガス・上下水道 |
| ★分類 | ★★暗きょ式の一種 |
| ★利点 | ★★事業者どうしで費用を分け合える |
| ★副次的な効果 | ★★道路の掘り返しが減る |
それぞれが別々に埋設すると、道路を何度も掘ることになります——まとめれば1回で済むのです。
建設費は高いのですが、分担すれば1者あたりは抑えられます——だから成り立つのです。
点検も1か所でまとめてできます——維持の面でも有利になります。
ガス管と電力ケーブルが同居するので、防災の設計は入念に——換気や隔壁が重要です。
⚠️ よくある間違い
(2)の「構造物を伴わない」を利点と読んでしまう——それが短所そのものです。手を出すには掘るしかありません。
直接埋設式が勝つのは工事費と工期だけ——他はすべて劣ります。
(1)の工事費の順序を疑ってしまう——直接埋設式が最も安いで正しい。
(3)の外傷被害を疑ってしまう——管に守られていないので機会が多い。
(5)の共同溝を疑ってしまう——暗きょ式の一種です。
安さから他の利点へ結論を広げた記述を探す——布設方式の問題では定番の型になります。
⏱️ 本番での進め方
①★直接埋設式が勝つのは工事費と工期だけ。
②★構造物がないと掘るしかないので復旧が遅い。
③★熱放散だけ順序が違い、管路式が最下位。
④★共同溝は暗きょ式の一種。
💡 覚え方
「安いのは最初だけ」——直接埋設式の利点は工事費と工期に限られます。そこから他の利点へ話を広げた記述は誤り——それがこの型への備えです。
布設方式は繰り返し出題されています——令和元年度 A問題11(地中送電:布設方式)、令和7年度下期 A問題10(地中送電:布設方法)にもあります。
まとめ
| 誤り | (2) 直接埋設の事故復旧は容易でない(掘り返し) |
| 費用・工期 | 直接埋設<管路<暗きょ(1) |
| 外傷リスク | 直接埋設が最多(3) |
| 増設 | 管路・暗きょが容易(4) |
| 共同溝 | 暗きょ式の一種・多用途共同収容(5) |
| 答え | (2) |
▼あわせて解きたい関連問題
・同一論点の最新版(地中送電1):【電力】令和7年度下期 A問題10
・設備名まで踏み込む版(地中送電12):【電力】令和元年度 A問題11

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