今回は平成25年度 電力科目 A問題3を解説します。蒸気の作用(衝動・反動)及び機能や用途(復水・背圧・再生)による蒸気タービンの分類について、誤っているものを選ぶ問題です。
ねらいは(3)の「固定羽根で蒸気圧力を上昇させ」という一節。タービンの中で蒸気の圧力が上がる場所はありません。固定羽根(静翼)は蒸気を膨張させて速度を与える部分で、圧力は低下します。
出題のポイント

平成25年度 電力科目 A問題3:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 【火力】 平成25年度 A問題3
汽力発電所における蒸気の作用及び機能や用途による蒸気タービンの分類に関する記述として、誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
復水タービンは、タービンの排気を復水器で復水させて高真空とすることにより、タービンに流入した蒸気をごく低圧まで膨張させるタービンである。
背圧タービンは、タービンで仕事をした蒸気を復水器に導かず、工場用蒸気及び必要箇所に送気するタービンである。
反動タービンは、固定羽根で蒸気圧力を上昇させ、蒸気が回転羽根に衝突する力と回転羽根から排気するときの力を利用して回転させるタービンである。
衝動タービンは、蒸気が回転羽根に衝突するときに生じる力によって回転させるタービンである。
再生タービンは、ボイラ給水を加熱するため、タービン中間段から一部の蒸気を取り出すようにしたタービンである。
ポイント解説:固定羽根(静翼)は蒸気を膨張させる=圧力は低下する
(3)が誤り:反動タービンの固定羽根(静翼)は、蒸気を膨張させて流速を高め、回転羽根(動翼)に導く部分である。膨張するのだから蒸気の圧力は低下する——「圧力を上昇させ」は物理的にあり得ない。タービンは蒸気の圧力を段階的に下げながら仕事を取り出す機械であり、内部で圧力が上がる場所はない。「衝突する力と排気するときの反動力を利用する」という後半の記述自体は反動タービンの正しい説明なので、前半の一語で判定する。
その他は正しい:(1)復水タービンは排気を復水器で凝縮させて高真空を作り、蒸気をごく低圧まで膨張させて熱落差を最大限に取る——発電用の標準形式。(2)背圧タービンは排気を復水器へ導かず、工場用蒸気などに送気して熱を利用する(コージェネレーション向き)。(4)衝動タービンはノズルからの噴流が回転羽根に衝突する力で回す。(5)再生タービンはボイラ給水の加熱用にタービン中間段から一部の蒸気を抽気する形式。よって答えは(3)。
問題の解説
STEP1 (3)の物理を確認
固定羽根は蒸気を膨張させて速度を与える→圧力は低下。「上昇」はあり得ない→(3)が誤り。
STEP2 用途による分類を確認
(1)復水タービン=復水器で高真空・低圧まで膨張、(2)背圧タービン=排気を工場用蒸気へ、(5)再生タービン=中間段から抽気——正しい。
STEP3 作用による分類を確認
(4)衝動タービン=衝突する力で回転——正しい。
答え:(3)
💡 覚え方
蒸気タービンの分類。【蒸気の作用】衝動タービン(噴流の衝突力)/反動タービン(固定羽根で膨張させ、衝突力+排気の反動力)。【機能・用途】**復水タービン**=排気を復水器で高真空にしごく低圧まで膨張(発電用の標準)/**背圧タービン**=排気を復水器に導かず工場用蒸気に利用/**抽気タービン**=途中から工場用に蒸気を取り出す/**再生タービン**=給水加熱用に中間段から抽気。タービン内で蒸気の圧力は下がる一方——「圧力を上昇」とあれば誤り。
⚠️ よくある間違い
固定羽根の役割は「膨張させて速度を与える」——圧力を上昇させる部品はタービン内にない。背圧タービン(排気を工場へ)と抽気タービン(途中から工場へ)と再生タービン(途中から給水加熱へ)の区別も頻出。復水タービンの「高真空」は復水器の仕事。
まとめ
| (1)復水タービン | 復水器で高真空・ごく低圧まで膨張→正しい |
| (2)背圧タービン | 排気を復水器に導かず工場用蒸気へ→正しい |
| (3)反動タービン | 固定羽根では圧力は低下(上昇ではない)→誤り |
| (4)衝動タービン | 回転羽根への衝突力で回転→正しい |
| (5)再生タービン | 給水加熱用に中間段から抽気→正しい。答えは(3) |
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