今回は令和7年度上期 法規科目 A問題2、報告すべき事故に該当しないものを選ぶ問題です。受電電圧6.6kVという一般的な高圧需要家が舞台で、実務感覚も問われます。
判定の物差しは「外に影響が出たか」。人が死傷/半焼以上の電気火災/他人の物件を壊した/一般送配電事業者に供給支障を与えた——このどれかに当たれば報告が必要。自分の設備が壊れただけなら(主要電気工作物でない限り)報告は不要です。
令和7年度上期 法規科目 A問題2:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和7年度上期 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題2
電験3種 法規科目 【電気関係報告規則】 令和7年度上期 A問題2
受電電圧6.6kVの自家用電気工作物を設置する事業場における次の事例のうち、電気関係報告規則に基づいて、設置者が所轄産業保安監督部長に対し報告すべき事故に該当しないものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1) 電圧100Vの屋内配線が過負荷により高熱となり、電気火災が発生して建物が半焼した。
(2) 落雷により高圧負荷開閉器が焼損し、一般送配電事業者に供給支障事故を発生させた。
(3) 高圧の断路器を誤って操作した電気工事作業者が、発生したアーク熱により火傷を負い、病院に入院した。
(4) 高圧の受電用真空遮断器が誤操作により損傷し、操作不能になった。
(5) 構内第1号柱が折損して構外に隣接する需要家の建物を損傷させた。

答えは(4):6.6kVの真空遮断器は主要電気工作物でない
本問の急所は「6.6kVという電圧」です——主要電気工作物の基準は1万V以上だからです。
| 肢 | 事例 | 判定 |
| ★(1) | ★★過負荷による電気火災で建物が半焼 | ★★報告対象 |
| ★(2) | ★★落雷で高圧負荷開閉器焼損・供給支障 | ★★報告対象 |
| ★(3) | ★★誤操作のアーク熱で火傷し病院に入院 | ★★報告対象 |
| ★(4) | ★★受電用真空遮断器が誤操作で損傷し操作不能 | ★該当しない=答え |
| ★(5) | ★★1号柱折損で構外の需要家の建物を損傷 | ★★報告対象 |
(4)の真空遮断器は、受電の要となる重要な機器です——それでも報告は要りません。
★1万Vという境目
| 受電電圧 | 主要電気工作物か | 破損時の報告 |
| ★6.6kV | ★該当しない | ★不要 |
| ★22kV・66kV | ★★該当する | ★★必要 |
需要設備で主要電気工作物になるのは、1万V以上のものです——工事計画の届出の基準と同じ数字です。
6.6kVは1万V未満なので、どんな機器が壊れても報告は不要——外への影響がない限りです。
この1万Vという数字は、法規のあちこちで境目になります——まとめて覚えておきましょう。
★真空遮断器が壊れても報告不要な理屈
真空遮断器は受電設備の心臓部です——壊れれば構内は停電します。
しかし停電するのは自分だけです——他人への供給は止まりません。
そして6.6kVなので主要電気工作物にも当たりません——だから報告不要になります。
重要な機器=報告対象、ではない——ここが分かりにくいところです。
(3)のアーク熱による火傷も「死傷」
| 被害の態様 | 報告 |
| ★感電による負傷 | ★★入院すれば必要 |
| ★アーク熱による火傷 | ★★入院すれば必要 |
| ★機器の破損による負傷 | ★★入院すれば必要 |
条文は「感電又は電気工作物の破損若しくは誤操作若しくは操作しないことにより人が死傷した事故」です。
アーク熱による火傷は「誤操作により人が死傷した」に当たります——感電に限られません。
電気に起因する人身被害を広く捉えているのです。
(5)の「構外に隣接する需要家」
1号柱が折れて、構外の隣の需要家の建物を壊した事例です——他の物件への損傷にあたります。
「構外に隣接する」という表現で、他人のものだと明示されています——読み落とさないようにしましょう。
構内で完結していないので、報告が必要です。
★同型3問の比較
| 年度 | (4)の事例 | 報告不要の理由 |
| ★平成22年度 | ★★高圧の誘導電動機を損壊 | ★★負荷設備で主要でない |
| ★令和6年度上期 | ★★高圧の誘導電動機を損壊 | ★★同上 |
| ★令和7年度上期(本問) | ★★受電用真空遮断器が損傷 | ★★6.6kVで主要電気工作物に当たらない |
本問だけ、受電設備そのものが壊れています——誘導電動機より一段重要な機器です。
それでも報告不要なのは、電圧が1万V未満だから——過去2問より一段深い判断が求められます。
「操作不能になった」という結果
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 6.6kVは主要でない | ★★6.6kVは主要でない | ★重要な機器だから報告 | ★★基準は1万V以上 |
| 外への影響で判断 | ★★外への影響で判断 | ★壊れた機器の重要度で判断 | ★★まず外を見る |
| アーク熱の火傷も死傷 | ★★アーク熱の火傷も死傷 | ★感電でなければ対象外 | ★★誤操作による死傷 |
操作不能になれば、保護が働かなくなります——危険な状態であることは確かです。
しかし報告制度は、危険度ではなく類型で判断します——条文に当てはまるかどうかです。
受電電圧6.6kVという設定の意味
問題文の冒頭に「受電電圧6.6kV」と書かれています——これが(4)の判定を決めます。
もし22kVなら、(4)も報告対象になります——主要電気工作物に当たるからです。
前提条件を読み飛ばすと、答えが変わってしまいます——冒頭の一文が命です。
報告先は所轄産業保安監督部長
問題文にも「所轄産業保安監督部長に対し報告すべき事故」と書かれています。
経済産業大臣ではありません——現場に近い機関が受け取ります。
電気関係報告規則の報告は、基本的に監督部長宛てです。
1万Vという数字が出てくる場面
| 制度 | 1万Vの意味 |
| ★工事計画の届出 | ★★需要設備は受電電圧1万V以上が対象 |
| ★使用前自主検査 | ★★工事計画の対象設備に課される |
| ★主要電気工作物 | ★★需要設備は1万V以上 |
3つの制度で、同じ1万Vが境目になっています——まとめて覚えると効率がよいのです。
6.6kV受電の事業場は、いずれの対象にもなりません——だから本問の(4)は報告不要です。
報告不要でも記録は残す
法令上の報告義務がなくても、社内では記録を残します——保安規程の7項目に「記録」があるからです。
同じ誤操作を繰り返さないためにも、記録は欠かせません——報告不要=何もしなくてよい、ではないのです。
試験の答えと実務の対応は、別だと考えておきましょう。
⏱️ 本番での進め方
① 冒頭の受電電圧を必ず確認する。6.6kVなら主要電気工作物ではない。
② 各肢で外への影響を見る——人・他人の物件・系統。
③ 重要な機器でも、外に影響がなければ報告不要。
④ アーク熱の火傷も「死傷」——感電に限られない。
問題文の但し書きにも注意
(2)には「電気火災は発生せず、感電死傷者は出なかった」という但し書きが付くことがあります。
これは報告不要だと思わせるための仕掛けです——供給支障は単独で報告事由になります。
本問では(2)にその但し書きはありませんが、同形式の他年度では付いています。
出題履歴——形を変えて繰り返される
| 年度 | 問われ方 |
| ★平成22年度 問3 | ★★誘導電動機の損壊 |
| ★令和6年度上期 問2 | ★★誘導電動機の損壊 |
| ★令和7年度上期 問2 | ★★真空遮断器の損傷(本問) |
令和6年度上期 A問題2と読み比べると、同じ形式でも問われる深さが違うのが分かります。
令和7年度下期 A問題2は報告の方法です。同じ年度の上期と下期で、報告制度が2問出たことになります。
💡 覚え方
報告すべき事故=①感電・破損・誤操作等による死傷(死亡又は入院に限る)②電気火災(半焼以上)③他の物件に損傷を与えた事故 ④主要電気工作物の破損事故 ⑤一般送配電事業者等への供給支障。自分の設備が壊れただけ(1万V未満)は報告不要。
⚠️ よくある間違い
「壊れたら全部報告」と思わない——主要電気工作物かどうかで変わる。死傷は死亡又は入院に限る(通院だけなら対象外)。火災は半焼以上。
まとめ
| (1) | 報告対象(半焼以上の電気火災) |
| (2) | 報告対象(供給支障) |
| (3) | 報告対象(誤操作による入院) |
| (4) | 該当しない(自設備の損傷のみ) |
| (5) | 報告対象(他人の物件の損傷) |
| 答え | (4) |
▼あわせて解きたい関連問題
・事故報告の方法(電気関係報告規則1):【法規】令和7年度下期 A問題2
・同型問題(電気関係報告規則3):【法規】令和6年度上期 A問題2

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