技術基準の計算10【電験3種 法規】単相3線式は1線当たり0.119Aの3倍で0.357A!絶縁抵抗883Ω 令和4年度上期 B問題11 完全解説

電験3種 法規科目 技術基準の計算 令和4年度上期 B問題11 1線ごとに2000分の1!3線一括なら0.357A

今回は令和4年度上期 法規科目 B問題11単相3線式低圧電線路の絶縁性能試験の計算問題です。3線を一括して試験するという条件の扱いが、この問題最大の山場です。

鍵は「2 000分の1は1線当たりに適用される」こと。3線を一括すれば漏えい電流も3線分合流するので、許容値も3倍になります。逆に(b)の絶縁抵抗は1線当たりの漏えい電流で割ります。

目次

答えは(a)0.357A・(b)883Ω

電気設備技術基準 第22条(低圧電線路の絶縁性能)

低圧電線路中絶縁部分の電線と大地との間及び電線の心線相互間の絶縁抵抗は、使用電圧に対する漏えい電流が最大供給電流の2 000分の1を超えないようにしなければならない。

★この2 000分の1は「電線1線ごと」に適用されます。

3線を一括して試験すれば、漏えい電流も3線分まとまって流れます——だから許容値も3倍になります。

令和4年度上期 法規科目 B問題11:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 法規科目 配電 令和4年度上期 B問題11 問題文
令和4年度上期 法規科目 B問題11 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和4年度上期 第三種電気主任技術者試験」法規科目 B問題11

電験3種 法規科目 【技術基準の計算】 令和4年度上期 B問題11

 定格容量50kV·A、一次電圧6 600V、二次電圧210/105Vの単相変圧器の二次側に接続した単相3線式架空電線路がある。この低圧電線路に最大供給電流が流れたときの絶縁性能が「電気設備技術基準」に適合することを確認するため、低圧電線の3線を一括して大地との間に使用電圧(105V)を加える絶縁性能試験を実施した。次の(a)及び(b)の問に答えよ。

(a) この試験で許容される漏えい電流の最大値[A]として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)0.119 (2)0.238 (3)0.357 (4)0.460 (5)0.714 A

(b) 二次側電線路と大地との間で許容される絶縁抵抗値は、1線当たりの最小値[Ω]として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)295 (2)442 (3)883 (4)1 765 (5)3 530 Ω

答え(a)0.1191×3≒0.357A = (3)/(b)105÷0.1191≒883Ω = (3)

★STEP1:最大供給電流を求める

I_m = \dfrac{P}{V} = \dfrac{50\times 10^3}{210} \approx 238.1\,\mathrm{[A]}
定格容量50kV·A、二次電圧210/105V
★210Vで割る(105Vではない)

単相3線式の「210/105V」は、外線間210V・外線と中性線間105Vです——線路全体の容量を担うのは210V

105Vで割ると476Aになり、答えが2倍ずれます——ここが第一の関門です。

変圧器の容量は外線間の電圧で考える——単相3線式の基本です。

★★STEP2:2 000分の1は「1線当たり」

I_l = \dfrac{238.1}{2000} \approx 0.1191\,\mathrm{[A]}
1線当たりの許容漏えい電流
電技22条の2 000分の1
I_t = 3 \times 0.1191 \approx 0.357\,\mathrm{[A]}
3線を一括して試験する場合
3本分の漏えい電流が合流する

条文の「2 000分の1」は電線1線ごとの基準です——3線一括なら合計は3倍になります。

0.119A(選択肢(1))を選ぶのが最頻出の誤答——「一括して」という条件を読み落とした結果です。

問題文が「3線を一括して」と明記している——読み落とさないことです。

★STEP3:(b)絶縁抵抗は1線当たりで割る

R_g = \dfrac{V}{I_l} = \dfrac{105}{0.1191} \approx 882\,\Omega
1線当たりの絶縁抵抗の最小値
★試験電圧105V÷1線当たりの漏えい電流

(b)は「1線当たりの最小値」を問うています——だから1線分の漏えい電流で割ります

(a)の0.357Aで割ると294Ω(選択肢(1))——これも用意された誤答です。

「一括の値」と「1線当たりの値」を使い分ける——ここが本問の設計です。

★試験電圧が105Vである理由

条文の言葉ダミー語違い
使用電圧105V★★使用電圧105V★線間電圧210V★★電線と大地との間に加える電圧
対地電圧★★対地電圧★線間電圧★★絶縁性能は対地で見る

試験は「電線と大地との間」に電圧を加えます——だから対地電圧である105Vです。

単相3線式は中性線が接地されているので、対地電圧は105V——外線間の210Vではありません

問題文も「使用電圧(105V)を加える」と明示しています。

絶縁抵抗による判定との違い

方法基準条文
★漏えい電流★★最大供給電流の2 000分の1以下★★電技22条
★絶縁抵抗★★0.1/0.2/0.4MΩ以上★★解釈14条

解釈14条は使用電圧の区分で0.1・0.2・0.4MΩ——停電して測る方法です。

電技22条の漏えい電流は、停電せずに確認できる方法——低圧電線路に適用されます。

本問は後者の計算——MΩではなくΩ単位になるのが特徴です。

単相3線式の電流の流れ方

I_N = |I_1 – I_2|
中性線に流れる電流
両側の負荷電流の差だけが流れる
I_1 = I_2 \Rightarrow I_N = 0
平衡していれば中性線は無電流
だから中性線は細くてもよい設計

単相3線式は、負荷が平衡していれば中性線に電流が流れません——これが3線式の利点です。

ただし絶縁性能の試験では、3線とも対象——中性線も電線だからです。

最大供給電流という考え方

変圧器の定格容量いっぱいまで使ったときの電流です——最も厳しい条件

そのときの漏えい電流が2 000分の1以下なら、どんな負荷でも基準を満たします

安全側で判定する——法令の考え方です。

2 000分の1という値

\dfrac{I_l}{I_m} \leq \dfrac{1}{2000} = 0.05\,\%
許容される漏えい電流の割合
供給電流の0.05%以下

0.05%という非常に小さい割合です——健全な電路ならはるかに小さい値になります。

これを超えるということは、絶縁がかなり劣化している——判定の目安として妥当な水準です。

計算の手順をまとめる

手順やること落とし穴
★①★★最大供給電流=容量÷外線間電圧★★105Vで割らない
★②★★1線当たりの許容漏えい電流=÷2 000★★—
★③★★一括試験なら×3★★3倍を忘れない
★④★★1線当たりの絶縁抵抗=対地電圧÷1線分の漏えい電流★★一括の値で割らない

「一括」と「1線当たり」の使い分けが全体を貫きます——何を問われているかを確かめます。

低圧電路の絶縁抵抗(解釈14条)

電路の使用電圧絶縁抵抗値
★300V以下(対地電圧150V以下)★★0.1MΩ以上
★300V以下(対地電圧150V超)★★0.2MΩ以上
★300V超★★0.4MΩ以上

解釈14条は停電して絶縁抵抗計で測る方法です——MΩ単位

電技22条の漏えい電流は停電せずに確認できる方法——本問の883ΩはΩ単位で桁が違います

2つの方法があることを押さえておきます

⏱️ 本番での進め方
① 最大供給電流は容量÷外線間電圧(210V)
② 2 000分の1は1線当たりに適用される。
③ 3線一括試験なら許容値は3倍
④ 1線当たりの絶縁抵抗は1線分の漏えい電流で割る

💡 覚え方
低圧電線路の絶縁性能(電技22条)=漏えい電流が最大供給電流の2 000分の1を超えないこと。この基準は電線1線ごとに適用されるので、3線を一括して試験する場合の許容値は3倍になる。1線当たりの絶縁抵抗=対地電圧÷1線当たりの許容漏えい電流。

⚠️ よくある間違い
最大供給電流は210Vで割る——105Vではない。3線一括なら許容値は3倍——0.119Aは1線当たりの値。絶縁抵抗は1線分の漏えい電流で割る——一括の値ではない。

まとめ

最大供給電流50×10³/210≒238.1 A
1線当たりの許容漏えい電流238.1/2 000≒0.119 A
(a)3線一括の許容値3×0.119≒0.357 A →(3)
(b)1線当たりの絶縁抵抗105/0.119≒882→883 Ω →(3)
答え(a)-(3),(b)-(3)

▼あわせて解きたい関連問題
・低圧電線路の絶縁性能(電技省令2):【法規】令和7年度下期 A問題5
・低圧電線路の絶縁性能(電技省令4):【法規】令和7年度上期 A問題3

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