電気設備技術基準の解釈44【電験3種 法規】接地工事で正しいのは鉄骨接地極+等電位ボンディング=(4) 令和元年度 A問題6 完全解説

電験3種 法規科目 電気設備技術基準の解釈 令和元年度 A問題6 建物の鉄骨を接地極に使える!正しい工事例

今回は令和元年度 法規科目 A問題6接地工事の工事例(電気設備技術基準の解釈第17・18条)に関する問題です。C種・D種接地の抵抗値、接地線の太さ、接地極の要件から、正しいものを選びます。

覚える数値は「C種10Ω以下(省略)・D種100Ω以下(自動遮断で500Ω以下)・接地線1.6mm以上・水道管接地極3Ω以下」。誤り選択肢はこれらの数値を外しているので、消去法で正解にたどり着けます。

目次

令和元年度 法規科目 A問題6:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 法規科目 配電 令和元年度 A問題6 問題文
令和元年度 法規科目 A問題6 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和元年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題6

電験3種 法規科目 【電気設備技術基準の解釈】 令和元年度 A問題6

 次の文章は、接地工事に関する工事例である。「電気設備技術基準の解釈」に基づき正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)C種接地工事を施す金属体と大地との間の電気抵抗値が80Ωであったので、C種接地工事を省略した。
(2)D種接地工事の接地抵抗値を測定したところ1200Ωであったので、低圧電路において地絡を生じた場合に0.5秒以内に当該電路を自動的に遮断する装置を施設することとした。
(3)D種接地工事に使用する接地線に直径1.2mmの軟銅線を使用した。
(4)鉄骨造の建物において、当該建物の鉄骨を、D種接地工事の接地極に使用するため、建物の鉄骨の一部を地中に埋設するとともに、等電位ボンディングを施した。
(5)地中に埋設され、かつ、大地との間の電気抵抗値が5Ω以下の値を保っている金属製水道管路を、C種接地工事の接地極に使用した。

答え正しいのは(4)——鉄骨を接地極に使い等電位ボンディングを施す = (4)

答えは(4):鉄骨を接地極に使い等電位ボンディングを施す

電気設備技術基準の解釈 第17条・第18条

第17条 C種接地工事の接地抵抗値は10Ω以下(0.5秒以内に自動遮断する装置を施設するときは500Ω以下)、D種接地工事は100Ω以下(同500Ω以下)。C種・D種の接地線は直径1.6mm以上の軟銅線。/第18条 大地との間の電気抵抗値が以下の値を保っている建物の鉄骨その他の金属体は、非接地式高圧電路に施設する機械器具等に施すA種接地工事等の接地極に使用できる。/鉄骨造等の建物において、その鉄骨等を等電位ボンディングを施した建物の鉄骨等は、接地極として使用できる。/地中に埋設され、かつ、大地との間の電気抵抗値が以下の値を保っている金属製水道管路は、接地極に使用できる。

★2Ω・3Ω・1.6mm・10Ω・100Ω・500Ω——数値の照合問題です。

平成24年度 A問題6も接地工事の横断問題で、計器用変成器の2次側を扱っています。

★接地極として使える金属体

金属体条件
★建物の鉄骨その他の金属体★★大地との電気抵抗値が2Ω以下(A種・B種の接地極)
★鉄骨造等の建物の鉄骨★★等電位ボンディングを施す(一部を地中に埋設)
★金属製水道管路★★地中に埋設され、大地との電気抵抗値が3Ω以下

2Ωと3Ωという2つの値が出てきます——鉄骨は2Ω、水道管は3Ω

設問(5)は5Ωなので、水道管の3Ωを超えており誤りです。

建物の基礎や水道管は大地と広く接しているので、極めて低い抵抗が得られます

★等電位ボンディングとは

建物内の金属部分どうしを電気的に接続し、電位差をなくす手法です。

電位差がなければ、触れても電流が流れません——接地とは別の発想の安全対策です。

鉄骨を接地極に使うと、建物全体が接地系統になります——だから等電位化が条件になるのです。

★C種・D種の接地抵抗値

接地工事原則0.5秒以内に自動遮断する場合
★C種★★10Ω以下★★500Ω以下
★D種★★100Ω以下★★500Ω以下

設問(1)はC種を80Ωで省略しようとしています——省略できるのは10Ω以下のときなので誤り。

設問(2)は1 200Ω——自動遮断しても500Ωが上限なので誤りです。

緩和しても無制限ではない——500Ωという天井があります

★接地線の太さ

接地工事接地線の太さ
★A種★★直径2.6mm以上の軟銅線
★B種(高圧と低圧を結合)★★直径4mm以上の軟銅線
★C種・D種★★直径1.6mm以上の軟銅線

設問(3)は1.2mm——C種・D種の1.6mmに満たないので誤りです。

2.6/4/1.6という3つの値——B種がいちばん太いのは混触時に大電流が流れるからです。

接地抵抗を下げる方法

方法内容
★接地極を深く打ち込む★★深部ほど土壌が湿っていて抵抗率が低い
★接地極を並列に増やす★★十分に離して打つと合成抵抗が下がる
★接地抵抗低減剤★★接地極の周囲の土壌抵抗率を下げる
★建物の鉄骨等を利用★★極めて低い抵抗が得られる(18条)

建物の鉄骨を使うのが最も効果的です——基礎全体が接地極になるからです。

だから18条が明文で認めています——共用接地の考え方です。

接地抵抗の測定

方法内容
★電位降下法(3極法)★★E-P-Cの3本の電極を一直線に配置して測る
★簡易測定(2極法)★★既知の接地極を利用する
★クランプ式★★接地線を挟むだけで測る

接地抵抗は季節で変動します——乾燥期は上がり、雨期は下がるのです。

最も条件の悪い時期でも規定値以下になるよう設計します

なぜ2Ω・3Ωと厳しいのか

V = I_g R
地絡時に接地点に生じる電位
接地抵抗Rが小さいほど電位上昇は小さい
$$R \leq 2\,\Omega \Rightarrow V \text{が十分小さい}$$
接地極として使う条件
建物全体が接地系統になるので、極めて低い値が要る

建物の鉄骨は人が触れる可能性があります——電位が上がれば全館が危険になります。

だからD種の100Ωよりはるかに厳しい2Ω——数値の重みが違うのです。

「正しいものを選べ」の解き方

数値の設問は、条文の値と1つずつ照合します——10Ω・100Ω・500Ω・1.6mm・2Ω・3Ω

4つが数値を外していて、1つだけ条件を満たす——本問の構造です。

数値を表にして覚えておけば、確実に得点できます

接地工事の4種類

種類主な対象接地抵抗値
★A種★★高圧・特別高圧機器の外箱、避雷器★★10Ω以下
★B種★★高圧と低圧を結合する変圧器の低圧側★★150/300/600÷I
★C種★★300V超の低圧機器の外箱★★10Ω以下
★D種★★300V以下の低圧機器の外箱★★100Ω以下

A種とC種は同じ10Ωですが、対象が違います——高圧機器か、300V超の低圧機器か

B種だけが計算式——目的が「混触時の電位上昇の抑制」だからです。

接地工事を省略できる場合(29条)

条件内容
★2重絶縁の構造★★電気用品安全法の適用を受けるもの
★絶縁変圧器+非接地★★2次側300V以下・容量3kV·A以下
★高感度・高速の漏電遮断器★★定格感度電流15mA以下・動作時間0.1秒以下

接地は目的ではなく手段です——別の方法で守れるなら省略できます

ただしA種・B種は省略できません——高圧の危険は代替しにくいからです。

⏱️ 本番での進め方
① C種の省略は10Ω以下、D種の緩和は500Ω以下
② C種・D種の接地線は直径1.6mm以上
③ 建物の鉄骨は2Ω以下、金属製水道管路は3Ω以下
④ 鉄骨を接地極にするには等電位ボンディングが条件。

💡 覚え方
解釈17条=C種10Ω以下・D種100Ω以下(0.5秒以内に自動遮断すればいずれも500Ω以下)、接地線は直径1.6mm以上の軟銅線。解釈18条=大地との電気抵抗値2Ω以下の建物の鉄骨等はA種・B種の接地極に使用できる。等電位ボンディングを施した鉄骨も接地極に使用できる。地中に埋設され3Ω以下の金属製水道管路も接地極に使用できる。

⚠️ よくある間違い
C種の省略は「80Ω」では不可(10Ω以下)。D種は「1 200Ω」では不可(緩和しても500Ω以下)。接地線は「1.2mm」では細い(1.6mm以上)。水道管路は「5Ω」では不可(3Ω以下)。

まとめ

(1)C種省略10Ω以下→80Ωは誤り
(2)D種+自動遮断500Ω以下→1200Ωは誤り
(3)接地線1.6mm以上→1.2mmは誤り
(4)鉄骨接地極等電位ボンディング→正しい
(5)水道管接地極3Ω以下→5Ωは誤り/答え(4)

▼あわせて解きたい関連問題
・低圧配線及び高圧配線の施設(電気設備技術基準の解釈43):【法規】令和元年度 A問題5
・常時監視をしない発電所の施設(電気設備技術基準の解釈45):【法規】令和元年度 A問題7

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