今回は令和元年度 法規科目 A問題6、接地工事の工事例(電気設備技術基準の解釈第17・18条)に関する問題です。C種・D種接地の抵抗値、接地線の太さ、接地極の要件から、正しいものを選びます。
覚える数値は「C種10Ω以下(省略)・D種100Ω以下(自動遮断で500Ω以下)・接地線1.6mm以上・水道管接地極3Ω以下」。誤り選択肢はこれらの数値を外しているので、消去法で正解にたどり着けます。
令和元年度 法規科目 A問題6:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和元年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題6
電験3種 法規科目 【電気設備技術基準の解釈】 令和元年度 A問題6
次の文章は、接地工事に関する工事例である。「電気設備技術基準の解釈」に基づき正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)C種接地工事を施す金属体と大地との間の電気抵抗値が80Ωであったので、C種接地工事を省略した。
(2)D種接地工事の接地抵抗値を測定したところ1200Ωであったので、低圧電路において地絡を生じた場合に0.5秒以内に当該電路を自動的に遮断する装置を施設することとした。
(3)D種接地工事に使用する接地線に直径1.2mmの軟銅線を使用した。
(4)鉄骨造の建物において、当該建物の鉄骨を、D種接地工事の接地極に使用するため、建物の鉄骨の一部を地中に埋設するとともに、等電位ボンディングを施した。
(5)地中に埋設され、かつ、大地との間の電気抵抗値が5Ω以下の値を保っている金属製水道管路を、C種接地工事の接地極に使用した。

答えは(4):鉄骨を接地極に使い等電位ボンディングを施す
平成24年度 A問題6も接地工事の横断問題で、計器用変成器の2次側を扱っています。
★接地極として使える金属体
| 金属体 | 条件 |
| ★建物の鉄骨その他の金属体 | ★★大地との電気抵抗値が2Ω以下(A種・B種の接地極) |
| ★鉄骨造等の建物の鉄骨 | ★★等電位ボンディングを施す(一部を地中に埋設) |
| ★金属製水道管路 | ★★地中に埋設され、大地との電気抵抗値が3Ω以下 |
2Ωと3Ωという2つの値が出てきます——鉄骨は2Ω、水道管は3Ω。
設問(5)は5Ωなので、水道管の3Ωを超えており誤りです。
建物の基礎や水道管は大地と広く接しているので、極めて低い抵抗が得られます。
★等電位ボンディングとは
建物内の金属部分どうしを電気的に接続し、電位差をなくす手法です。
電位差がなければ、触れても電流が流れません——接地とは別の発想の安全対策です。
鉄骨を接地極に使うと、建物全体が接地系統になります——だから等電位化が条件になるのです。
★C種・D種の接地抵抗値
| 接地工事 | 原則 | 0.5秒以内に自動遮断する場合 |
| ★C種 | ★★10Ω以下 | ★★500Ω以下 |
| ★D種 | ★★100Ω以下 | ★★500Ω以下 |
設問(1)はC種を80Ωで省略しようとしています——省略できるのは10Ω以下のときなので誤り。
設問(2)は1 200Ω——自動遮断しても500Ωが上限なので誤りです。
緩和しても無制限ではない——500Ωという天井があります。
★接地線の太さ
| 接地工事 | 接地線の太さ |
| ★A種 | ★★直径2.6mm以上の軟銅線 |
| ★B種(高圧と低圧を結合) | ★★直径4mm以上の軟銅線 |
| ★C種・D種 | ★★直径1.6mm以上の軟銅線 |
設問(3)は1.2mm——C種・D種の1.6mmに満たないので誤りです。
2.6/4/1.6という3つの値——B種がいちばん太いのは混触時に大電流が流れるからです。
接地抵抗を下げる方法
| 方法 | 内容 |
| ★接地極を深く打ち込む | ★★深部ほど土壌が湿っていて抵抗率が低い |
| ★接地極を並列に増やす | ★★十分に離して打つと合成抵抗が下がる |
| ★接地抵抗低減剤 | ★★接地極の周囲の土壌抵抗率を下げる |
| ★建物の鉄骨等を利用 | ★★極めて低い抵抗が得られる(18条) |
建物の鉄骨を使うのが最も効果的です——基礎全体が接地極になるからです。
だから18条が明文で認めています——共用接地の考え方です。
接地抵抗の測定
| 方法 | 内容 |
| ★電位降下法(3極法) | ★★E-P-Cの3本の電極を一直線に配置して測る |
| ★簡易測定(2極法) | ★★既知の接地極を利用する |
| ★クランプ式 | ★★接地線を挟むだけで測る |
接地抵抗は季節で変動します——乾燥期は上がり、雨期は下がるのです。
最も条件の悪い時期でも規定値以下になるよう設計します。
なぜ2Ω・3Ωと厳しいのか
接地抵抗Rが小さいほど電位上昇は小さい
建物全体が接地系統になるので、極めて低い値が要る
建物の鉄骨は人が触れる可能性があります——電位が上がれば全館が危険になります。
だからD種の100Ωよりはるかに厳しい2Ω——数値の重みが違うのです。
「正しいものを選べ」の解き方
数値の設問は、条文の値と1つずつ照合します——10Ω・100Ω・500Ω・1.6mm・2Ω・3Ω。
4つが数値を外していて、1つだけ条件を満たす——本問の構造です。
数値を表にして覚えておけば、確実に得点できます。
接地工事の4種類
| 種類 | 主な対象 | 接地抵抗値 |
| ★A種 | ★★高圧・特別高圧機器の外箱、避雷器 | ★★10Ω以下 |
| ★B種 | ★★高圧と低圧を結合する変圧器の低圧側 | ★★150/300/600÷I |
| ★C種 | ★★300V超の低圧機器の外箱 | ★★10Ω以下 |
| ★D種 | ★★300V以下の低圧機器の外箱 | ★★100Ω以下 |
A種とC種は同じ10Ωですが、対象が違います——高圧機器か、300V超の低圧機器か。
B種だけが計算式——目的が「混触時の電位上昇の抑制」だからです。
接地工事を省略できる場合(29条)
| 条件 | 内容 |
| ★2重絶縁の構造 | ★★電気用品安全法の適用を受けるもの |
| ★絶縁変圧器+非接地 | ★★2次側300V以下・容量3kV·A以下 |
| ★高感度・高速の漏電遮断器 | ★★定格感度電流15mA以下・動作時間0.1秒以下 |
接地は目的ではなく手段です——別の方法で守れるなら省略できます。
ただしA種・B種は省略できません——高圧の危険は代替しにくいからです。
⏱️ 本番での進め方
① C種の省略は10Ω以下、D種の緩和は500Ω以下。
② C種・D種の接地線は直径1.6mm以上。
③ 建物の鉄骨は2Ω以下、金属製水道管路は3Ω以下。
④ 鉄骨を接地極にするには等電位ボンディングが条件。
💡 覚え方
解釈17条=C種10Ω以下・D種100Ω以下(0.5秒以内に自動遮断すればいずれも500Ω以下)、接地線は直径1.6mm以上の軟銅線。解釈18条=大地との電気抵抗値2Ω以下の建物の鉄骨等はA種・B種の接地極に使用できる。等電位ボンディングを施した鉄骨も接地極に使用できる。地中に埋設され3Ω以下の金属製水道管路も接地極に使用できる。
⚠️ よくある間違い
C種の省略は「80Ω」では不可(10Ω以下)。D種は「1 200Ω」では不可(緩和しても500Ω以下)。接地線は「1.2mm」では細い(1.6mm以上)。水道管路は「5Ω」では不可(3Ω以下)。
まとめ
| (1)C種省略 | 10Ω以下→80Ωは誤り |
| (2)D種+自動遮断 | 500Ω以下→1200Ωは誤り |
| (3)接地線 | 1.6mm以上→1.2mmは誤り |
| (4)鉄骨接地極 | 等電位ボンディング→正しい |
| (5)水道管接地極 | 3Ω以下→5Ωは誤り/答え(4) |
▼あわせて解きたい関連問題
・低圧配線及び高圧配線の施設(電気設備技術基準の解釈43):【法規】令和元年度 A問題5
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