今回は平成25年度 法規科目 A問題10、高圧受電設備の単線結線図から機器・計器の名称を読み取る問題です。令和7年度下期 A問題10(電気施設管理1)と同系統の、キュービクル理解を問う定番です。
読み解きの軸は「どこに何がつながっているか」。GR付PASの零相検出=ZCT、取引用の計量=電力量計(VCT経由)、断路器を介して接地=避雷器、CTから遮断器を引き外す=過電流継電器。
答えは(1):ZCT・電力量計・避雷器・過電流継電器
令和7年度下期 A問題10が同系統です。そちらは信号の種類から機器を決める視点でした。
この記事は、紛らわしい機器の対比を主軸にします。
平成25年度 法規科目 A問題10:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成25年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題10
電験3種 法規科目 【電気施設管理】 平成25年度 A問題10
図は、高圧受電設備(受電電力500kW)の単線結線図の一部である。
図の矢印で示す(ア)、(イ)、(ウ)及び(エ)に設置する機器及び計器の名称(略号を含む)の組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(ア) (イ) (ウ) (エ) (1) ZCT 電力量計 避雷器 過電流継電器 (2) VCT 電力量計 避雷器 過負荷継電器 (3) ZCT 電力量計 進相コンデンサ 過電流継電器 (4) VCT 電力計 避雷器 過負荷継電器 (5) ZCT 電力計 進相コンデンサ 過負荷継電器



★★ZCTとVCTを取り違えない
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| ZCT(零相変流器) | ★★ZCT(零相変流器) | ★VCT(計器用変圧変流器) | ★★零相電流を検出する/電圧と電流を計量用に変成する |
| 地絡保護のため | ★★地絡保護のため | ★取引用の計量のため | ★★目的がまったく違う |
| GR付PASの中 | ★★GR付PASの中 | ★引込直後(電力量計の手前) | ★★設置位置も違う |
略号が似ていますが、役割はまったく別です——ZCTは保護、VCTは計量。
(ア)はGR付PASの中にあり制御装置につながっています——地絡検出なのでZCTです。
VCTは地絡検出をしません——だから(ア)には入らないのです。
★★電力量計と電力計の違い
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 電力量計(Wh) | ★★電力量計(Wh) | ★電力計(W) | ★★積算値/瞬時値 |
| 取引用の計量に使う | ★★取引用の計量に使う | ★運転状態の監視に使う | ★★用途が違う |
電力会社との取引に使うのは電力量[kWh]です——使った量で料金が決まるから。
VCTと組み合わせるのは、この取引用計量のため——だから電力量計です。
瞬時値の電力計では料金が計算できません——積算する必要があるのです。
★★なぜ避雷器に断路器が付くのか
| 理由 | 内容 |
| ★保守のため | ★★絶縁抵抗測定時に避雷器を切り離す |
| ★故障時の切り離し | ★★避雷器が短絡故障しても系統から外せる |
| ★接地側にある | ★★雷サージを大地へ逃がす経路 |
避雷器は常時は絶縁体、雷が来たときだけ導通します——だから接地につながっているのです。
絶縁抵抗を測るとき、避雷器がつながったままでは低い値が出てしまいます——切り離すためのDS。
進相コンデンサは接地記号にはつながりません——だから(ウ)は避雷器です。
★避雷器の役割
★機器を守る
電圧に応じて抵抗が変わる素子(酸化亜鉛)を使っています——非線形抵抗。
サージが去れば元の絶縁状態に戻ります——自動的に復帰するのです。
解釈37条で施設が義務づけられています——高圧引込の需要家など。
★過電流継電器と過負荷継電器
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 過電流継電器(OCR) | ★★過電流継電器(OCR) | ★過負荷継電器(THR等) | ★★短絡・過負荷を検出し遮断器を引き外す/電動機の過負荷を検出する |
| 高圧受電設備の主保護 | ★★高圧受電設備の主保護 | ★電動機の保護 | ★★適用箇所が違う |
高圧側で遮断器を引き外すのは過電流継電器です——OCR。
「過負荷継電器」は電動機の保護に使う語——受電設備の主保護には使いません。
選択肢のダミーとして繰り返し登場します。
★受電電力500kWという条件
| 区分 | 内容 |
| ★自家用電気工作物 | ★★高圧受電する需要家 |
| ★主任技術者 | ★★選任又は外部委託が必要 |
| ★保安規程 | ★★届出が必要 |
500kWは高圧受電の典型的な規模です——キュービクルで受電します。
この規模なら主遮断装置はCB形——図にVCBがあるのはそのためです。
単線結線図の主要記号
| 記号 | 機器 |
| ★DS | ★★断路器 |
| ★VCB | ★★真空遮断器 |
| ★LBS | ★★高圧交流負荷開閉器 |
| ★LA | ★★避雷器 |
| ★SC | ★★高圧進相コンデンサ |
| ★SR | ★★直列リアクトル |
略号を覚えると図が一気に読めるようになります。
SCには必ずSR(6%直列リアクトル)が組み合わされます——高調波対策です。
信号の流れをたどる
| 変成器 | つながる先 |
| ★ZCT | ★★地絡継電器→PASを開放 |
| ★CT | ★★過電流継電器→VCBを引き外す/電流計 |
| ★VT | ★★電圧計・周波数計 |
| ★VCT | ★★電力量計(取引用) |
4種類の変成器がそれぞれ別の役割を持っています——混同しないことです。
「何のためにその信号が要るのか」で考えると迷いません。
VCTと計量装置
| 機器 | 役割 |
| ★VCT | ★★VTとCTを1つの箱に収めた計量用変成器 |
| ★電力量計(Wh) | ★★使用電力量を積算する |
| ★最大需要電力計 | ★★30分ごとの最大需要(デマンド)を記録する |
VCTと電力量計は電力会社の所有物です——取引の証拠となる計量器だから。
封印がされており、需要家が触れることはできません——計量法に基づく管理です。
だから受電点の直後に設置されます。
契約電力とデマンド
★一度上げると1年間下がらない
30分間の平均電力の最大値で契約電力が決まります——一瞬のピークが1年間響くのです。
だからデマンド監視装置で警報を出し、超えそうなら負荷を落とします——デマンド制御。
電気主任技術者の重要な業務のひとつです。
⏱️ 本番での進め方
① ZCTは地絡検出、VCTは取引用計量——役割が違う。
② VCTにつながるのは電力量計(Wh)——電力計ではない。
③ 断路器を介して接地されるのは避雷器。
④ CTから遮断器を引き外すのは過電流継電器。
💡 覚え方
単線結線図=ZCT(零相変流器)はGR付PASの中で地絡を検出、VCT(計器用変圧変流器)は取引用の電力量計につながる、避雷器は断路器を介して接地される、CTから信号を受けて遮断器を引き外すのは過電流継電器(OCR)。
⚠️ よくある間違い
ZCTとVCTを取り違えない——地絡検出と取引計量。「電力計」ではなく電力量計——取引は積算値。「進相コンデンサ」は接地記号につながらない。
まとめ
| (ア) | ZCT(GR付PASの零相検出) |
| (イ) | 電力量計(VCTから取引計量) |
| (ウ) | 避雷器(DSを介して接地) |
| (エ) | 過電流継電器(CTでVCB引き外し) |
| 略号 | LA=避雷器, OCR=過電流継電器, VCT=計器用変圧変流器 |
| 答え | (1) |
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