今回は令和6年度下期 電力科目 A問題11、高圧受電設備を構成する機器から誤りを1つ選ぶ問題です。LA・LBS・CB・VCT・SCと、キュービクルの中身が一巡します。
決め手は遮断器(CB)と断路器(DS)のすり替え。「点検・修理の際に電源から開放する」「回路の接続を変更する」のは断路器の役目です。遮断器は負荷電流に加えて事故電流を切るのが仕事——この2つは毎年のように入れ替えて出題されます。
出題のポイント:高圧受電設備の機器

避雷器、負荷開閉器、遮断器、計器用変成器、進相コンデンサの役割を整理し、点検時の回路開放を担う断路器と遮断器を区別します。
令和6年度下期 電力科目 A問題11:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和6年度下期 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題11
電験3種 電力科目 【配電】 令和6年度下期 A問題11
高圧受電設備を構成する機器に関する記述として、誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1) 避雷器(LA)は受電設備の引込口などに設置され、雷及び開閉などによる異常電圧が回路に侵入したとき、大地に放電させるものであり、A種接地工事が施されている。
(2) 高圧交流負荷開閉器(LBS)は負荷電流、変圧器の励磁電流、線路電流など負荷開閉器の定格電流以下の開閉に使用する。
(3) 遮断器(CB)は機器の点検・修理の際、その部分を電源から開放し、あるいは回路の接続を変更する目的で用いる。
(4) 計器用変成器(VCT)は受電設備において、需要家の受電電圧と使用電流を扱いやすい低電圧・小電流に変換する装置である。電力量計と組み合わせて、取引電力量を計量する。
(5) 高圧進相コンデンサ(SC)は進み力率の無効電力を消費(すなわち、遅れ無効電力を供給)し、力率を改善する働きをもつ。
高圧受電設備の主な機器と役割

電流を切れるかどうかが、遮断器と断路器の分かれ目です。
| 選択肢 | 内容 | 判定 |
| ★(1) 避雷器はA種接地 | ★★異常電圧を大地へ放電する | ★★正しい |
| ★(2) LBSは定格電流以下の開閉 | ★★負荷電流・励磁電流は開閉できる | ★★正しい |
| ★★(3) CBは点検時に電源から開放 | ★★★断路器(DS)の説明 | ★★★誤り |
| ★(4) VCTは電力量計と組み合わせる | ★★取引電力量の計量に使う | ★★正しい |
| ★(5) SCは遅れ無効電力を供給 | ★★力率を改善する | ★★正しい |
誤りは(3):遮断器と断路器の役割

| 機器 | 切れる電流 | 主な用途 |
| ★★遮断器(CB) | ★★★負荷電流+短絡・地絡などの事故電流 | ★★保護継電器の指令で事故を切り離す |
| ★高圧交流負荷開閉器(LBS) | ★★定格電流までの負荷電流 | ★★限流ヒューズと組み合わせて短絡を分担 |
| ★断路器(DS) | ★★電流は切れない(無負荷のみ) | ★★点検時に確実に電源から切り離す |
断路器には消弧装置がありません——電流が流れている状態で開くとアークが持続して危険です。
だから停電作業では、まず遮断器で電流を切り、そのあと断路器を開きます——順序が決まっているのはこのためです。
復電はその逆で、断路器を入れてから遮断器を投入します——「切るときはCB→DS、入れるときはDS→CB」です。
(5)の「進み無効電力を消費」を読み解く
| 言い方 | 意味 | 同じことを指す |
| ★遅れ無効電力を供給する | ★★誘導性負荷が必要とする分をコンデンサが出す | ★★どちらも同じ |
| ★進み無効電力を消費する | ★★符号を逆から見た表現 | ★★どちらも同じ |
コンデンサは容量性なので、誘導性負荷の遅れ分を打ち消します——その結果、線路を流れる無効電流が減るのです。
問題文はわざわざ2通りの言い方を並べています——符号の取り方が違うだけで中身は同じだと示すためです。
力率が改善されると電圧降下も線路損失も減ります——(5)は正しい記述です。
避雷器とVCTの押さえどころ
| 機器 | 働き | 数字・注意点 |
| ★避雷器(LA) | ★★異常電圧を大地へ逃がし続流を遮断する | ★★A種接地工事(10Ω以下) |
| ★計器用変成器(VCT) | ★★VTとCTを1つの箱に収めたもの | ★★電力量計と組み合わせて取引計量 |
避雷器の接地はA種——D種70Ωで済ませる誤りが繰り返し出題されています。
VCTは「取引用」という点が要点——電力量計とセットで、料金の根拠になる計量を担います。
⚠️ よくある間違い
(2)のLBSを疑ってしまう——LBSは定格電流までの負荷電流を開閉できます。できないのは短絡電流の遮断で、そこは限流ヒューズが受け持ちます。
(5)の「進み無効電力を消費」に引っかかる——「遅れ無効電力を供給」と同じ意味です。問題文自身が言い換えを併記しています。
(1)の接地種別を見落とす——避雷器はA種。D種と書いてあれば誤りです。
⏱️ 本番での進め方
①★電流を切れるかで機器を仕分ける。
②★断路器=電流を切れない・点検用、遮断器=事故電流も切る。
③★「点検・修理の際に開放」という語が遮断器に付いていたら誤り。
④★残りは接地種別(避雷器はA種)と無効電力の言い換えを確認する。
💡 覚え方
「切るときはCB→DS、入れるときはDS→CB」——断路器は電流を切れないから順序が決まります。LBSは負荷電流まで、短絡はヒューズが分担、避雷器はA種接地、コンデンサの「進みを消費」=「遅れを供給」——この4点が高圧受電設備の頻出どころです。
断路器そのものを問う形は令和3年度 A問題8(変電:断路器は電流を切れない)にあります。
高圧受電設備の主な機器を一覧で
| 略号 | 名称 | ひとことで |
| ★LA | ★避雷器 | ★異常電圧を大地へ逃がす(A種接地) |
| ★DS | ★断路器 | ★無負荷で回路を切り離す |
| ★CB | ★遮断器 | ★負荷電流と事故電流を遮断する |
| ★LBS | ★高圧交流負荷開閉器 | ★負荷電流を開閉(短絡はPFが分担) |
| ★VCT | ★計器用変成器 | ★取引電力量の計量用 |
| ★SC | ★高圧進相コンデンサ | ★力率改善(直列リアクトル6%とセット) |
キュービクルの中は、この順に電気が流れていきます——引込口のLAから始まり、DS・CBを通って負荷へ。
名称と役割を1対1で覚えておけば、すり替えは必ず見抜けます。
まとめ
| (1) 避雷器 | 異常電圧を大地へ放電・A種接地→正しい |
| (2) LBS | 定格電流以下の負荷電流を開閉→正しい |
| (3) 遮断器 | 「点検時に電源から開放」は断路器の説明→誤り |
| (4) VCT | 電力量計と組み合わせ取引電力量を計量→正しい |
| (5) 進相コンデンサ | 遅れ無効電力を供給し力率改善→正しい |
| 答え | (3) |
▼あわせて解きたい関連問題
・断路器は電流を切れない(変電16):【電力】令和3年度 A問題8
・CBは二次開放禁止・VTは二次短絡禁止(配電5):【電力】令和6年度下期 A問題7

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