配電計算14【電験3種 電力】分岐配電線!S-A電流465A・A-B電圧降下率5.1%!令和5年度上期 B問題17 完全解説

電験3種 電力科目 配電の計算 令和5年度上期 B問題17 分岐する配電線の電流!降下率は5.1%

今回は令和5年度上期 電力科目 B問題17、分岐のある三相3線式高圧配電線で幹線電流(ベクトル和)と区間の電圧降下率を求める計算問題です。

(a)は各負荷を有効・無効成分に分けてベクトル和で幹線電流を求めます。(b)はA-B区間の電圧降下を近似式で計算し、電圧降下率=電圧降下/受電端電圧(VBで求めます(VAを先に計算する点に注意)。

目次

(a) の答えは(5):約 465 A

力率が違う負荷は、成分に分けてから足します

負荷電流力率有効成分無効成分
★A点★★200 A★★0.8★★160 A★★120 A
★B点★★100 A★★0.6★★60 A★★80 A
★C点★★200 A★★1.0★★200 A★★0 A
★合計★—★—★★420 A★★200 A
\( |I|=\sqrt{420^2+200^2}=\sqrt{176400+40000} \)
ベクトル和
\( =\sqrt{216400}\fallingdotseq 465\ \mathrm{A} \)
整理して
★答え

力率が違うので、電流をそのまま足すことはできません——200+100+200=500 は誤りです。

有効成分どうし、無効成分どうしを足してから合成します——三平方の定理です。

令和5年度上期 電力科目 B問題17:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 配電 令和5年度上期 B問題17 問題文
令和5年度上期 電力科目 B問題17 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和5年度上期 第三種電気主任技術者試験」電力科目 B問題17

電験3種 電力科目 【配電の計算】 令和5年度上期 B問題17

 三相3線式高圧配電線の電圧降下について、次の(a)及び(b)の問に答えよ。図のように、送電端S点から三相3線式高圧配電線でA点、B点及びC点の負荷に電力を供給している。S点の線間電圧は6600Vであり、配電線1線当たりの抵抗及びリアクタンスはそれぞれ0.3Ω/kmとする。各区間のこう長はS-A間2km、A-B間4km、A-C間3km、負荷はA点200A力率0.8(遅れ)、B点100A力率0.6(遅れ)、C点200A力率1.0である。

三相3線式高圧配電線の電圧降下について、次の(a)及び(b)の問に答えよ。図のように、送電端S点から三相3線式高圧配電線でA点、B点及びC点の負荷に電力を供給している。S点の線間電圧は6600Vであり、配電線1線当たりの抵抗及びリアクタンスはそれぞれ0.3Ω/kmとする。(S-A間2km、A-B間4km、A-C間3km。A点:200A力率0.8遅れ、B点:100A力率0.6遅れ、C点:200A力率1.0)

(a) S-A間を流れる電流の値[A]として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)405 (2)420 (3)435 (4)450 (5)465 A

(b) A-Bにおける電圧降下率の値[%]として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)4.9 (2)5.1 (3)5.3 (4)5.5 (5)5.7 %

令和5年度上期 B問題17 分岐のある三相3線式高圧配電線
令和5年度上期 B問題17 分岐のある三相3線式高圧配電線
令和5年度上期 B問題17 分岐のある三相3線式高圧配電線
令和5年度上期 B問題17 分岐のある三相3線式高圧配電線
答え(a) S−A間を流れる電流は約 465 Aです。

(b) の答えは(2):約 5.1 %

A点の電圧を先に求めてから、A−B間を計算します

\( R=X=0.3\times 2=0.6\ \Omega \)
S−A間(2 km)
\( v_{SA}=\sqrt{3}(0.6\times 420+0.6\times 200)=\sqrt{3}\times 372 \)
有効成分にR、無効成分にX
\( \fallingdotseq 644.3\ \mathrm{V} \)
計算する
\( V_A=6600-644.3\fallingdotseq 5955.7\ \mathrm{V} \)
A点の線間電圧
\( R=X=0.3\times 4=1.2\ \Omega \)
A−B間(4 km)
\( v_{AB}=\sqrt{3}(1.2\times 60+1.2\times 80)=\sqrt{3}\times 168 \)
B負荷だけが流れる
\( \fallingdotseq 290.9\ \mathrm{V} \)
計算する
\( V_B=5955.7-290.9\fallingdotseq 5664.8\ \mathrm{V} \)
B点の線間電圧
\( \varepsilon=\dfrac{290.9}{5664.8}\times 100\fallingdotseq 5.1\ \% \)
受電端電圧を基準にする
★答え

電圧降下率の分母は、その区間の受電端電圧です——A点ではなくB点の電圧を使います。

だからVB を先に求める必要があります——そこが手間のかかるところです。

答え(b) A−B間の電圧降下率は約 5.1 %です。

有効成分にR、無効成分にXを掛ける

電圧降下(成分で表す)
\( v=\sqrt{3}\,(R\,I_{有効}+X\,I_{無効}) \)

Rcosθ+Xsinθ を分解した形

I cosθ が有効成分、I sinθ が無効成分です——それぞれにR とX が掛かるのです。

力率が違う負荷が混ざるときは、この形が便利です——成分ごとに足せるから。

本問のように3つの負荷があると、その利点がはっきりします

R と X が同じ0.3 Ω/km なので、計算も楽になっています

⚠️ よくある間違い
電流を単純に足して500 A とする——力率が違うのでベクトル和です。
(b)でA点の電圧を分母にする——受電端はB点です。
A−B間に全負荷が流れると考える——B点の負荷だけです。
C点の無効成分を80とする——力率1なので0です。
こう長を掛け忘れる——S−A間は2 km、A−B間は4 kmです。

⏱️ 本番での進め方
①★力率が違う負荷は有効・無効成分に分けて足す。
②★合成は三平方の定理。
③★v=√3(R I有効+X I無効)。
④★電圧降下率の分母は受電端電圧。

💡 覚え方
「成分に分けてから足す」——力率が違えば単純和は使えません降下率の分母は受電端——VB を先に求めるのです。

同じ成分分解の考え方は令和7年度下期 B問題17配電の計算:有効成分と無効成分)にもあります。

区間ごとに流れる負荷を数える

区間流れる負荷有効成分無効成分
★S−A★★A+B+C★★420 A★★200 A
★A−B★★Bのみ★★60 A★★80 A
★A−C★★Cのみ★★200 A★★0 A

A点で分岐するので、その先は別々の負荷だけが流れます——幹線と枝の区別です。

本問が問うているのはS−A間とA−B間だけです——A−C間は使いません

図に電流を書き込むと、数え漏らしを防げます

R と X が同じ値である利点

\( v=\sqrt{3}(R\,I_{有効}+X\,I_{無効}) \)
一般の形
\( =\sqrt{3}R(I_{有効}+I_{無効}) \)
R=X のとき

本問はR=X=0.3 Ω/km なので、成分を足してから掛けられます——計算が楽になります。

420+200=620 に0.6を掛けるだけ——√3×372=644.3 Vです。

電圧降下率の分母をどう選ぶか

分母降下率使う場面
★★受電端電圧 VB★★5.1 %★★本問(一般的な定義)
★送電端電圧 VA★★4.9 %★★指定があれば

分母が違うと答えも変わります——5.1と4.9で選択肢が分かれているのです。

電圧降下率は受電端基準が標準です——ε=(Vs−Vr)/Vr

選択肢(1)4.9は、送電端を分母にした値です——引っかけになっています。

分岐配電線の全体像

区間こう長R=X役割
★S−A★★2 km★★0.6 Ω★★幹線(全負荷が通る)
★A−B★★4 km★★1.2 Ω★★枝(B負荷のみ)
★A−C★★3 km★★0.9 Ω★★枝(C負荷のみ)

A点で2つに分かれる構成です——幹線1つと枝2つ

幹線には全負荷が集まるので、電流も電圧降下も最大になります

本問は幹線の電流と、枝の1つの降下率を問うています

この型の問題を解く手順

段階すること
★①★★各負荷を有効成分と無効成分に分ける
★②★★区間ごとに成分を足す
★③★★区間の R・X を求める(こう長を掛ける)
★④★★v=√3(R I有効+X I無効) で降下を出す
★⑤★★電源電圧から順に引く

5段階で、どんな分岐配電線でも解けます——負荷が増えても同じです。

①の成分分解を丁寧にやれば、あとは足し算と掛け算だけです。

幹線の電流が465Aという大きさ

意味
★有効成分★★420 A★★仕事をする分
★無効成分★★200 A★★行き来するだけの分
★合成★★465 A★★電線が耐える必要のある値
★合成力率★★0.903★★420÷465

電線の太さは、合成電流465 A で決まります——無効分も熱を出すから。

力率を改善すれば、この465 A を420 A まで減らせます——1割の余裕が生まれるのです。

まとめ

(a)有効・無効420A・200A
(a)幹線電流√(420²+200²)=465A
VA6600−√3(0.6·420+0.6·200)=5955.7V
vAB√3(1.2·60+1.2·80)=291V
(b)降下率291/5664.7×100=5.1%
答え(a)-(5),(b)-(2)

▼あわせて解きたい関連問題
・分岐負荷の電圧降下(配電計算4):【電力】令和7年度下期 B問題17
・電圧降下率と負荷電力(配電計算13):【電力】令和5年度上期 A問題12

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