水力17【電験3種 電力】連続の定理とベルヌーイの定理で水圧管の流速・水圧を求める!令和3年度 A問題2 完全解説

電験3種 電力科目 水力 令和3年度 A問題2 水管が細くなると速くなる!圧力はどうなる?

今回は令和3年度 電力科目 A問題2を解説します。水圧管内を水が充満して流れているとき、断面A(内径2.2m・流速3m/s・圧力24kPa)から落差30m下の断面B(内径2m)における流速と水圧を求める問題です。

断面積が変われば流速が変わる(連続の定理 AAvA=ABvB)、落差と流速から圧力が決まる(ベルヌーイの定理)——この2つを順に使うのが定石です。

目次

令和3年度 電力科目 A問題2:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 水力 令和3年度 A問題2 問題文
令和3年度 電力科目 A問題2 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和3年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題2

電験3種 電力科目 【水力】 令和3年度 A問題2

 図で、水圧管内を水が充満して流れている。断面Aでは、内径2.2m、流速3m/s、圧力24kPaである。このとき、断面Aとの落差が30m、内径2mの断面Bにおける流速[m/s]と水圧[kPa]の最も近い値の組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。ただし、重力加速度は9.8m/s²、水の密度は1000kg/m³、円周率は3.14とする。

流速[m/s]水圧[kPa]
(1)3.0318
(2)3.0316
(3)3.6316
(4)3.6310
(5)4.0300
図 水槽から続く水圧管(断面A:内径2.2m、断面B:内径2m、落差30m)(問題図)
図 水槽から続く水圧管(断面A:内径2.2m、断面B:内径2m、落差30m)(問題図)
図 水槽から続く水圧管(断面A:内径2.2m、断面B:内径2m、落差30m)(問題図)
図 水槽から続く水圧管(断面A:内径2.2m、断面B:内径2m、落差30m)(問題図)

出題のポイント:流速を先に求めて水圧へつなぐ

断面Aから30メートル下の断面Bへ流れる水圧管で連続の定理とベルヌーイの定理を順に使い流速と水圧を求める図
連続の定理で流速3.6 m/sを求め、その値をベルヌーイの定理へ代入すると水圧316 kPaになります。

水が充満した水圧管では、まず連続の定理で内径2.2 mから2.0 mへの断面積比を使い、断面Bの流速3.63 m/sを求めます。次にベルヌーイの定理で落差30 mの圧力増加と速度上昇による圧力減少を合わせると、水圧は約316 kPaで(3)です。

使う定理は2つだけ

内径2.2メートルと2.0メートルの断面積比から断面Bの流速3.63メートル毎秒を導き選択肢3と4に絞る図
体積流量一定と円の断面積を使うと、断面Bの流速は3.63 m/sで、候補は(3)と(4)です。

流速は連続の定理、水圧はベルヌーイの定理——順番に使えば解けます

連続の定理
\( A_A v_A=A_B v_B \)

管が細くなれば流速は上がる

ベルヌーイの定理
\( \dfrac{p}{\rho g}+\dfrac{v^2}{2g}+z=\text{一定} \)

圧力水頭+速度水頭+位置水頭は保存される

連続の定理は「入った水は出る」——質量保存です。ベルヌーイは「エネルギーの合計は変わらない」——エネルギー保存になります。

① 断面Bの流速

断面積は直径の2乗に比例します——円周率を計算する必要はありません

\( \dfrac{A_A}{A_B}=\left(\dfrac{d_A}{d_B}\right)^2=\left(\dfrac{2.2}{2.0}\right)^2=1.21 \)
面積の比を直径から出す
★1.21倍
\( v_B=v_A\times 1.21=3\times 1.21=3.63 \)
連続の定理
★約3.6 m/s

直径が1割小さくなると、面積は約2割小さくなります——だから流速は約2割上がるのです。

この時点で選択肢は(3)(4)に絞られます——3.0や4.0を選ばせる選択肢は、連続の定理を使わなかった人向けです。

② 断面Bの水圧

ベルヌーイの式を、AとBで等号で結びます

\( \dfrac{p_A}{\rho g}+\dfrac{v_A^2}{2g}+z_A=\dfrac{p_B}{\rho g}+\dfrac{v_B^2}{2g}+z_B \)
ベルヌーイの定理
\( p_B=p_A+\rho g(z_A-z_B)+\dfrac{\rho}{2}(v_A^2-v_B^2) \)
p_B について解く
★落差ぶんが加わる
計算
元の圧力pA24,000 Pa
★落差ぶん1000×9.8×30★+294,000 Pa
★速度ぶん1000×(32−3.632)/2★−2,088 Pa
合計pB★315,912 Pa ≒ 316 kPa

落差30 m がそのまま294 kPa——圧力の増加分のほとんどはこれです。水は10 m でおよそ98 kPa——約1気圧だと覚えておくと見当がつきます。

速度が上がったぶん、圧力は少し下がります——−2 kPa 程度落差の効果に比べれば小さいのですが、これを無視すると318 kPa となり、選択肢(1)に引っかかります

答え正解は (3)——流速3.6 m/s、水圧316 kPa です。

⚠️ よくある間違い
連続の定理を使わず、流速を3.0 のままにする——選択肢(1)(2)管の太さが変わっているのですから、流速も変わります
速度水頭の項を落とす——24+294=318 kPa となって選択肢(1)小さいからといって省いてはいけません
速度水頭の符号を逆にする——320 kPa 前後になります。細いほうが速い=速度水頭が大きい=圧力水頭は小さいという向きを確認してください。
円周率を使って面積を律儀に計算する——誤りではありませんが時間の無駄です。比だけなら直径の2乗比で足ります

⏱️ 本番での進め方
①流速は連続の定理。★面積比=直径の2乗比。
②水圧はベルヌーイ。落差ぶんを足す。
③★水10 m ≒ 98 kPa。30 m なら294 kPa。
④速度水頭の項は小さいが、落とすと選択肢に引っかかる。

💡 覚え方
「太さで速さ、高さで圧力」——連続の定理とベルヌーイの役割分担です。面積比は直径の2乗比——円周率は約分で消えます

3つの水頭とベルヌーイの定理は平成22年度 A問題1水力:衝動水車は位置水頭を速度水頭に)にあります。

水頭で考えると見通しがよい

圧力[Pa]のまま計算してもよいのですが、水頭[m]に直すと数字が小さくなります

断面A断面B
位置水頭 z★30 m★0 m(基準)
速度水頭 v2/(2g)32/19.6=0.459 m3.632/19.6=0.672 m
圧力水頭 p/(ρg)24000/9800=2.449 m★求めるもの
\( 30+0.459+2.449=0+0.672+\dfrac{p_B}{\rho g} \)
3つの水頭の和が等しい
\( \dfrac{p_B}{\rho g}=32.236\ [\mathrm{m}] \)
整理する
\( p_B=32.236\times 9800=315\,913\ [\mathrm{Pa}] \)
圧力に戻す
★約316 kPa

32 m の水柱ぶんの圧力——元の2.4 m に落差30 m が加わり、速度が上がったぶん0.2 m 減ったと読めます。

水頭で見ると、どの項がどれだけ効いているかが一目で分かる——桁を間違えにくいのも利点です。

選択肢から逆に絞る

2つの値の組合せですから、片方だけでも絞れます

段階求める値残る選択肢
流速3.6 m/s★(3)(4)
水圧316 kPa★(3)に確定

流速は連続の定理だけで出ます——面積比1.21倍から3.63 m/sここまでで3つ落ちるのですから、時間がなければここで(3)か(4)に賭けてもよいでしょう。

残る(3)316 と(4)310 の差は6 kPa——水頭にして0.6 mです。速度水頭の項(0.2 m)とは合わないので、丁寧に計算する必要があります

圧力と水頭の換算

水柱1 m の圧力
\( \rho g=1000\times 9.8=9800\ [\mathrm{Pa/m}] \)

水1 m = 9.8 kPa

水10 m でほぼ98 kPa=約1気圧——この換算は覚えておくと速いです。

316 kPa なら約32 m の水柱——落差30 m と元の圧力2.4 m を足したくらいだと暗算で見当がつきます

水圧管の断面が変わる理由

本問では下流ほど細くなっています——実際の水圧管も、下流側を細くすることがあります

位置圧力管の設計
上流(浅い)低い板厚を薄くできる
★下流(深い)★高い★板厚を厚くする必要がある

圧力は深さに比例して増えます——下流ほど管に強い力がかかるのです。

管を細くすれば、同じ圧力でも管壁に生じる引張応力は小さくなります——直径に比例するからです。細くして板厚を抑えるという設計が成り立つことになります。

まとめ

ベルヌーイの定理で落差294キロパスカルと速度の寄与マイナス2.09キロパスカルを合計し水圧316キロパスカルを導く図
24 kPaに落差の294 kPaを加え、速度上昇分約2.09 kPaを引くと316 kPaで(3)です。
連続の定理vB=vA×(dA/dB)²=3×1.21=3.63≒3.6m/s
ベルヌーイpB=pA+ρg(zA−zB)+ρ(vA²−vB²)/2
落差の寄与1000×9.8×30=+294000Pa
速度の寄与1000×(9−13.18)/2=−2088Pa
pB24000+294000−2088≒316kPa→(3)

▼あわせて解きたい関連問題
・水力発電所の種類(水力16):【電力】令和3年度 A問題1

・この年度の問題を通しで解く:電験3種 令和3年度 問題一覧(全4科目)

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