水力21【電験3種 電力】反動水車(フランシス・カプラン)と衝動水車(ペルトン)の構造と特徴を攻略!令和元年度 A問題2 完全解説

電験3種 電力科目 水力 令和元年度 A問題2 反動水車と衝動水車!構造の違いはどこ?

今回は令和元年度 電力科目 A問題2を解説します。水車の構造と特徴について、反動水車(フランシス・プロペラ・カプラン)と衝動水車(ペルトン)のエネルギー変換と適用落差の空欄を補充する問題です。

反動水車は「圧力水頭を持つ水が流入し、出るときの反動力で回る」、衝動水車は「圧力水頭を速度水頭に変えて噴流をぶつける」。この2つのエネルギー変換の違いが軸になります。

目次

令和元年度 電力科目 A問題2:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 水力 令和元年度 A問題2 問題文
令和元年度 電力科目 A問題2 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和元年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題2

電験3種 電力科目 【水力】 令和元年度 A問題2

 次の文章は、水車の構造と特徴についての記述である。(ア)を持つ流水がランナに流入し、ここから出るときの反動力により回転する水車を反動水車という。(イ)は、ケーシング(渦形室)からランナに流入した水がランナを出るときに軸方向に向きを変えるように水の流れをつくる水車である。一般に、落差40m〜500mの中高落差用に用いられている。プロペラ水車ではランナを通過する流水が軸方向である。ランナには扇風機のような羽根がついている。流量が多く低落差の発電所で使用される。(ウ)はプロペラ水車の羽根を可動にしたもので、流量の変化に応じて羽根の角度を変えて効率がよい運転ができる。一方、水の落差による(ア)を(エ)に変えてその流水をランナに作用させる構造のものが衝動水車である。(オ)は、水圧管路に導かれた流水が、ノズルから噴射されてランナバケットに当たり、このときの衝動力でランナが回転する水車である。高落差で流量の比較的少ない地点に用いられる。上記の記述中の空白箇所(ア)〜(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(ア)(イ)(ウ)(エ)(オ)
(1)圧力水頭フランシス水車カプラン水車速度水頭ペルトン水車
(2)速度水頭ペルトン水車フランシス水車圧力水頭カプラン水車
(3)圧力水頭カプラン水車ペルトン水車速度水頭フランシス水車
(4)速度水頭フランシス水車カプラン水車圧力水頭ペルトン水車
(5)圧力水頭ペルトン水車フランシス水車速度水頭カプラン水車
答え正解は (1)——(ア)圧力水頭 (イ)フランシス水車 (ウ)カプラン水車 (エ)速度水頭 (オ)ペルトン水車 です。

反動水車と衝動水車を「水頭」で言い分ける

本問は水頭という言葉で2種類を区別しています——入口で何を持っているかが分かれ目です。

★反動水車★衝動水車
ランナに入るとき★圧力水頭を持っている★速度水頭に変換済み
回転させる力★出るときの反動力★当たるときの衝動力
ランナ周り水で満たされる空気中

反動水車は「出るときの反動」で回る——ロケットや散水機と同じ原理です。水を勢いよく吐き出した反作用で、逆向きに押されるのです。

衝動水車は「当たるときの衝撃」で回る——水車小屋の水車を強くしたようなものまったく別の力の使い方になります。

だから(ア)は圧力水頭、(エ)は速度水頭——「圧力水頭を速度水頭に変えて」という向きです。逆にすると意味が通りません

(イ) フランシス水車の構造

問題文の「ケーシング(渦形室)」「軸方向に向きを変える」——フランシス水車の特徴そのものです。

部分役割
★ケーシング(渦形室)★水を円周方向に均等に配る渦巻き状の通路
ガイドベーン流量と流入角を調整する可動羽根
ランナ★半径方向に入り、軸方向へ出る
吸出管残った落差と速度エネルギーを回収

水は外周から中心へ向かって入り、下向き(軸方向)に抜けていく——途中で90°向きを変えるのがフランシスの形です。だから「混流水車」とも呼ばれます

落差40〜500 m という広い範囲に使える——日本の水力発電所で最も多いのはこのためです。ペルトン(高落差)とプロペラ(低落差)の中間を、幅広く受け持っています

(ウ) カプランはプロペラの可動羽根版

プロペラ水車★カプラン水車
ランナ羽根固定★可動(角度を変えられる)
部分負荷の効率大きく落ちる★落ちにくい
構造・価格簡単・安い複雑・高い

河川の流量は季節で大きく変わります——固定羽根では、設計流量から外れると効率が急落するのです。羽根の角度を変えられれば、いつでも最適な向きで水を受けられる——それがカプランの価値になります。

ガイドベーンとランナベーンの両方を協調させて動かす——二重調整と呼ばれます。その分だけ機構は複雑ですが、年間の発電量では有利になります。

⚠️ よくある間違い
(ア)と(エ)を逆にしてしまう——選択肢(2)(4)がそれです。
「(ア)を持つ流水がランナに流入し」=反動水車——入口で持っているのは圧力水頭「(ア)を(エ)に変えて」=衝動水車——圧力を速度に変える向きです。
同じ(ア)が2か所に出てくるのがこの問題の仕掛け——両方に当てはまるのは「圧力水頭」だけだと気づけば確定します。
(イ)にペルトンやカプランを入れる選択肢(2)(3)(5)——「渦形室」「中高落差40〜500 m」はフランシスの特徴です。

⏱️ 本番での進め方
①(ア) 反動水車が持っているのは圧力水頭。
②(エ) 衝動水車はそれを速度水頭に変える。向きに注意。
③(イ) 渦形室+40〜500 m=フランシス水車。
④(ウ)★プロペラの羽根を可動にしたのがカプラン。

💡 覚え方
「反動は出るとき、衝動は当たるとき」——力の使い方がまるで違いますそして「圧力水頭 →(ノズル)→ 速度水頭」——変換の向きは常にこちらです。

水頭の意味は平成22年度 A問題1水力:位置水頭を速度水頭に変える)にあります。

落差で水車を選ぶ

本問に出てくる3つの水車——適用落差がきれいに分かれています

水車適用落差流量流れの向き
★ペルトン★200 m 以上少ない噴流がバケットへ
★フランシス★40〜500 m★半径方向→軸方向(混流)
★プロペラ・カプラン★80 m 以下多い★軸方向(軸流)

フランシスの40〜500 m は問題文にも明記されています——この数値が(イ)を確定させる手がかりになります。

落差が高いほど、少ない水で大きな出力が得られます——P=9.8QH ですから、H が大きければ Q は小さくてよいのです。

逆に低落差では大量の水を通す必要がある——だからランナが大きく、軸方向にまっすぐ通す形になります。プロペラ水車の形は、大流量を通すための必然だと言えます。

ランナの中で水がどう流れるか

3種類の水車は、水の通り道がまるで違います——それが名前にも表れています

水車入口出口呼び方
★フランシス★半径方向(外周から中心へ)★軸方向(下向き)★混流水車
プロペラ・カプラン軸方向軸方向★軸流水車
斜流(デリア)斜め斜め斜流水車

フランシスは途中で90°曲がる——半径方向と軸方向が混じるので「混流」と呼ばれます。問題文の「ランナを出るときに軸方向に向きを変える」が、まさにこの説明です。

プロペラは最初から最後まで軸方向——まっすぐ通り抜けるので、大量の水を流せます。低落差・大流量に向く理由がここにあります。

斜流水車はその中間——フランシスとカプランの間の落差を受け持ちます本問の選択肢には出てきませんが、分類として押さえておくとよいでしょう。

空欄の絞り込み手順

5つの空欄がありますが、1つ決まれば大半が絞れます

確定させる欄正しい値残る選択肢
(ア)圧力水頭★(1)(3)(5)
(イ)フランシス水車★(1)に確定

(ア)は「(ア)を持つ流水がランナに流入」=反動水車——入口で持っているのは圧力水頭これで2つ落ちます

(イ)は「渦形室」「落差40〜500 m」——フランシス水車 です。ペルトンやカプランでは説明が合いません2手で確定します。

同じ記号が2か所に出る問題

本問の(ア)は反動水車の説明と衝動水車の説明の両方に登場します——どちらにも当てはまる語でなければなりません

「圧力水頭を持って流入する(反動)」「圧力水頭を速度水頭に変える(衝動)」——両方とも自然に読めるのは圧力水頭だけ。2か所を突き合わせるのが、この型の解き方になります。

吸出し管が使えるのは反動水車だけ

反動水車衝動水車
★ランナ周り★★水で満たされている★★大気に開放
★吸出し管★★付けられる★★付けられない
★放水面までの落差★★回収できる★★捨てている

反動水車はランナが水没しているので、出口を細長い管でつなげます——そこが負圧になり、放水面までの落差を吸い上げるのです。

衝動水車はランナが空気中で回るので、この手が使えません——だから放水面より上に据える分だけ損になります。

「水で満たされているか」が、そのまま吸出し管の可否につながっています

まとめ

(ア)圧力水頭(反動水車に流入)
(イ)フランシス水車(渦形室・40〜500m)
(ウ)カプラン水車(プロペラの可動羽根版)
(エ)速度水頭(衝動水車への変換)
(オ)ペルトン水車(ノズル+バケット・高落差)→(1)

▼あわせて解きたい関連問題
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