水力30【電験3種 電力】ペルトン水車の流量と水車出力を全水頭(圧力水頭+速度水頭)から計算する!平成26年度 B問題15 完全解説

電験3種 電力科目 水力 平成26年度 B問題15 圧力水頭と速度水頭を足す!全水頭から出力へ

今回は平成26年度 電力科目 B問題15を解説します。ペルトン水車を1台もつ水力発電所で、水圧鉄管のA点の圧力3000kPa・流速5.3m/s・内径1.2mから、(a)流量と(b)水車出力を求める問題です。

流量はQ=A·v(断面積×流速)。全水頭はH=h+p/(ρg)+v²/(2g)(位置水頭・圧力水頭・速度水頭の和)で、本問は位置水頭hを無視できます。あとはP=9.8QHηwです。

目次

平成26年度 電力科目 B問題15:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 水力 平成26年度 B問題15 問題文
平成26年度 電力科目 B問題15 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成26年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 B問題15

電験3種 電力科目 【水力】 平成26年度 B問題15

 ペルトン水車を1台もつ水力発電所がある。図に示すように、水車の中心線上に位置する鉄管のA点において圧力p[Pa]と流速v[m/s]を測ったところ、それぞれ3000kPa、5.3m/sの値を得た。また、このA点の鉄管断面は内径1.2mの円である。次の(a)及び(b)の問に答えよ。ただし、A点における全水頭H[m]は位置水頭、圧力水頭、速度水頭の総和として h+p/(ρg)+v²/(2g) より計算できるが、位置水頭hはA点が水車中心線上に位置することから無視できるものとする。また、重力加速度はg=9.8m/s²、水の密度はρ=1000kg/m³とする。

ペルトン水車を1台もつ水力発電所がある。図に示すように、水車の中心線上に位置する鉄管のA点において圧力p[Pa]と流速v[m/s]を測ったところ、それぞれ3000kPa、5.3m/sの値を得た。また、このA点の鉄管断面は内径1.2mの円である。ただし、A点における全水頭H[m]は位置水頭、圧力水頭、速度水頭の総和として h+p/(ρg)+v²/(2g) より計算できるが、位置水頭hはA点が水車中心線上に位置することから無視できるものとする。また、重力加速度はg=9.8m/s²、水の密度はρ=1000kg/m³とする。
(a) ペルトン水車の流量の値[m³/s]として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)3 (2)4 (3)5 (4)6 (5)7 m³/s

(b) 水車出力の値[kW]として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。ただし、A点から水車までの水路損失は無視できるものとし、また水車効率は88.5%とする。

(1)13 000 (2)14 000 (3)15 000 (4)16 000 (5)17 000 kW

図 ペルトン水車をもつ水力発電所(上水槽・水圧鉄管・A点・ペルトン水車・発電機)(問題図)
図 ペルトン水車をもつ水力発電所(上水槽・水圧鉄管・A点・ペルトン水車・発電機)(問題図)
図 ペルトン水車をもつ水力発電所(上水槽・水圧鉄管・A点・ペルトン水車・発電機)(問題図)
図 ペルトン水車をもつ水力発電所(上水槽・水圧鉄管・A点・ペルトン水車・発電機)(問題図)

(a) 流量は断面積×流速

圧力の情報は使いません——断面積と流速だけで決まります

流量
\( Q=Av \)

A:断面積[m²] v:流速[m/s]

\( A=\pi r^2=3.14\times 0.6^2=1.131\ [\mathrm{m^2}] \)
内径1.2 m なので半径0.6 m
\( Q=1.131\times 5.3=5.99\ [\mathrm{m^3/s}] \)
流速を掛ける
★約6 m³/s

直径を半径に直し忘れない——1.2を半径として計算すると4倍になります

答え(a) の正解は (4)——約6 m³/s です。

(b) 全水頭を求めてから出力

問題文が全水頭の式を与えてくれています——位置水頭は無視してよいので2項だけです。

全水頭
\( H=h+\dfrac{p}{\rho g}+\dfrac{v^2}{2g} \)

位置水頭+圧力水頭+速度水頭

\( \dfrac{p}{\rho g}=\dfrac{3\,000\,000}{1000\times 9.8}=306.1\ [\mathrm{m}] \)
圧力水頭
★ここが支配的
\( \dfrac{v^2}{2g}=\dfrac{5.3^2}{2\times 9.8}=1.43\ [\mathrm{m}] \)
速度水頭
わずか1.4 m
\( H=306.1+1.43=307.5\ [\mathrm{m}] \)
合計
★約307.5 m

圧力水頭が306 m に対し、速度水頭は1.4 m——200分の1以下です。

それでも足す——選択肢の刻みが1,000 kW ですから、影響が出る可能性があるからです。実際にはこの1.4 m は約75 kW にあたります

出力を計算する

水車出力
\( P_w=9.8\,QH\eta_w \)

効率は掛ける

\( P_w=9.8\times 5.99\times 307.5\times 0.885 \)
数値を入れる
\( =15\,980\ \fallingdotseq\ 16\,000\ [\mathrm{kW}] \)
計算する
★約16,000 kW

(a)で求めた流量をそのまま使う——6.0 に丸めても結果はほぼ同じです。9.8×6×307.5×0.885=16,006 となります。

答え(b) の正解は (4)——約16,000 kW です。

⚠️ よくある間違い
(a)で直径をそのまま半径に使う——A=3.14×1.22=4.52 となり、Q=24 m³/s選択肢にないので気づけますが、時間を無駄にします
(b)で圧力水頭の単位を間違える——3000 kPa=3,000,000 Pa3000のまま計算すると0.306 m になってしまいます。
速度水頭を落とす——306.1 だけだと15,906 kW四捨五入すれば同じ16,000ですが、常にそうとは限りません
効率で割ってしまう——15,980/0.885=18,057 となり選択肢にありません。発電する側なので掛けるのが正解です。

⏱️ 本番での進め方
①(a) Q=Av。★半径は直径の半分。
②(b)★3000 kPa=3×106 Pa。÷9800で306 m。
③全水頭=圧力水頭+速度水頭(位置水頭は無視の指示あり)。
④P=9.8QHη。★効率は掛ける。

💡 覚え方
「3 MPa は水柱306 m」——1 MPa ≒ 102 m と覚えておくと速い。速度水頭は落差に比べて小さいのが水力の常です。

3つの水頭は平成22年度 A問題1水力:衝動水車は位置水頭を速度水頭に)、同様の水頭計算は令和3年度 A問題2水力:連続の定理とベルヌーイの定理)にあります。

圧力を水頭に直す感覚

本問では3,000 kPa が306 m の水柱に相当します——この換算に慣れておくと速いです。

圧力と水頭の換算
\( h=\dfrac{p}{\rho g}=\dfrac{p}{9800} \)

水柱1 m = 9.8 kPa

圧力水柱の高さ身近な例
★98 kPa★10 m約1気圧
★1 MPa★102 m中規模の発電所
★3 MPa★306 m★本問。高落差

306 m の落差ならペルトン水車の領域——問題文がペルトンだと言っているのと辻褄が合います

計算結果が水車の種類と食い違ったら、どこかで間違えている——そんな検算のしかたもあります

なぜ圧力を測るのか

落差を直接測るのは大変です——貯水池から水車まで数百 m を測量することになります。

ところが鉄管に圧力計を付ければ、その場で分かる——圧力水頭が、そこまでに得た落差を教えてくれるのです。

しかも損失水頭を差し引いた後の値——実際に使える有効落差がそのまま読み取れることになります。だから現場では圧力を測るのです。

ペルトン水車と全水頭

本問は「全水頭」という言葉で有効落差を与えています——そのまま出力式に入れられるのです。

与えられ方意味扱い
有効落差 H総落差−損失水頭そのまま使う
★全水頭(A点)★A点で水が持つエネルギー★A点より下流に損失が無ければ有効落差

問題文が「A点から水車までの水路損失は無視できる」断っているのはそのため——全水頭がそのまま有効落差になるのです。

この断りがなければ、さらに損失を引く必要があります——条件文を読み飛ばさないことです。

ペルトン水車ではノズルで速度に変わる

A点では圧力水頭306 m +速度水頭1.4 m——ほとんどが圧力の形で持たれています

それがノズルを通ると、すべて速度水頭に変わります——v=√(2gH)=√(2×9.8×307.5)≒77.6 m/s時速280 km の噴流になる計算です。

その噴流がバケットに当たって水車を回す——圧力の形から速度の形へ、そして機械の回転へエネルギーの姿が移っていきます

B問題の解き方

(a)と(b)がつながっているのが B問題の特徴です。

(a)を間違えると(b)も外れる——だから(a)は必ず検算しましょう本問なら「選択肢が3〜7 m³/s の整数」ですから、5.99 という値はきれいに(4)を指しています

逆に半端な値になったら、どこかで間違えている——選択肢が計算の正しさを教えてくれるのです。

まとめ

(a)断面積π×(1.2/2)²≒1.131m²
(a)流量Q=1.131×5.3≒5.99≒6m³/s→(4)
(b)圧力水頭3000×10³/9800≒306.1m
(b)速度水頭5.3²/19.6≒1.43m→全水頭≒307.6m
(b)水車出力9.8×5.99×307.6×0.885≒16000kW→(4)

▼あわせて解きたい関連問題
・水車の調速機(ガバナ)の機能と構造(水力29):【電力】平成26年度 A問題1

・この年度の問題を通しで解く:電験3種 平成26年度 問題一覧(全4科目)

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