今回は平成23年度 電力科目 A問題2を解説します。火力発電所のボイラ設備について、ドラム・過熱器・再熱器・節炭器・空気予熱器の5つの説明から誤っているものを選ぶ問題です。
ねらいは節炭器の熱源のすり替え。給水を温める装置は2つあって、節炭器の熱源は煙道の排ガス、給水加熱器の熱源はタービンの抽気(蒸気)。「何で温めるか」をセットで覚えているかが試されます。
出題のポイント

平成23年度 電力科目 A問題2:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 【火力】 平成23年度 A問題2
火力発電所のボイラ設備の説明として、誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
ドラムとは、水分と飽和蒸気を分離するほか、蒸発管への送水などをする装置である。
過熱器とは、ドラムなどで発生した飽和蒸気を乾燥した蒸気にするものである。
再熱器とは、熱効率の向上のため、一度高圧タービンで仕事をした蒸気をボイラに戻して加熱するためのものである。
節炭器とは、ボイラで発生した蒸気を利用して、ボイラ給水を加熱し、熱回収することによって、ボイラ全体の効率を高めるためのものである。
空気予熱器とは、火炉に吹き込む燃焼用空気を、煙道を通る燃焼ガスによって加熱し、ボイラ効率を高めるための熱交換器である。
ポイント解説:節炭器の熱源は排ガス、給水加熱器の熱源は抽気
(4)が誤り:節炭器は煙道を通る燃焼ガス(排ガス)の余熱を利用してボイラ給水を加熱し、捨てていた熱を回収してボイラ効率を高める装置である。「ボイラで発生した蒸気を利用して給水を加熱」というのは給水加熱器(タービンからの抽気で給水を温める再生サイクルの装置)の説明であって、節炭器の熱源ではない。同じ「給水を温める」装置でも、節炭器=排ガス/給水加熱器=抽気(蒸気)と熱源が異なる——ここが本問の核心。
その他は正しい:(1)ドラムは汽水分離器で水分と飽和蒸気を分離し、降水管を通じて蒸発管へ送水する。(2)過熱器はドラムからの飽和蒸気を乾燥した蒸気(過熱蒸気)にして高圧タービンへ送る。(3)再熱器は高圧タービンで仕事をした蒸気をボイラに戻して温め直し、熱効率向上(と低圧タービン翼の湿り軽減)を図る。(5)空気予熱器は煙道の燃焼ガスで燃焼用空気を加熱してボイラ効率を高める。よって答えは(4)。
問題の解説
STEP1 (4)の熱源に注目
節炭器の熱源は煙道の排ガス。「ボイラで発生した蒸気」を使うのは給水加熱器→(4)が誤り。
STEP2 まぎらわしい2装置を整理
給水を温めるのは節炭器(排ガス)と給水加熱器(タービン抽気)。熱源で区別する。
STEP3 他を確認
(1)ドラム=汽水分離+送水、(2)過熱器=飽和蒸気→過熱蒸気、(3)再熱器=高圧タービン排気を再加熱、(5)空気予熱器=排ガスで空気を加熱——いずれも正しい。
答え:(4)
💡 覚え方
給水を温める2装置の熱源:**節炭器=煙道の排ガス**(ボイラ付属の熱回収装置)/**給水加熱器=タービンの抽気**(再生サイクルの装置)。ドラム=汽水分離+蒸発管へ送水/過熱器=飽和蒸気→過熱蒸気(乾燥した蒸気)/再熱器=高圧タービン排気を再加熱→低圧タービンへ/空気予熱器=排ガスで燃焼用空気を加熱。「何を・何で温めるか」の対応表で覚える。
⚠️ よくある間違い
節炭器と給水加熱器の混同が本問のねらい——どちらも給水を温めるが熱源が違う(排ガスvs抽気)。H28問3では節炭器の「飽和温度以上」、本問では「蒸気を利用」と、節炭器は毎回違う角度で突かれる。過熱器の「乾燥した蒸気」=過熱蒸気のこと(表現に惑わされない)。
まとめ
| (1)ドラム | 汽水分離+蒸発管への送水→正しい |
| (2)過熱器 | 飽和蒸気を乾燥した蒸気(過熱蒸気)に→正しい |
| (3)再熱器 | 高圧タービンで仕事をした蒸気を再加熱→正しい |
| (4)節炭器 | 熱源は排ガス(蒸気ではない)→誤り |
| (5)空気予熱器 | 燃焼ガスで燃焼用空気を加熱→正しい。答えは(4) |
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