今回は平成22年度 電力科目 B問題15を解説します。最大発電電力600MW・石炭の発熱量26400kJ/kgの石炭火力発電所について、(a)日負荷率95.0%で24時間運転したときの発電端熱効率と、(b)発電端効率40.0%のときのボイラ効率を求める問題です。
(a)の新顔は日負荷率=平均発電電力/最大発電電力。「平均=最大×0.95」で電力量を出すだけです。(b)は火力34と同じ効率の分解ですが、所内比率3.00%は使いません——発電端効率の分解に所内は関係ないからです。
平成22年度 電力科目 B問題15:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成22年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 B問題15
電験3種 電力科目 【火力】 平成22年度 B問題15
最大発電電力600[MW]の石炭火力発電所がある。石炭の発熱量を26400[kJ/kg]として、次の(a)及び(b)に答えよ。
最大発電電力600[MW]の石炭火力発電所がある。石炭の発熱量を26400[kJ/kg]として、次の(a)及び(b)に答えよ。
(a) 日負荷率95.0[%]で24時間運転したとき、石炭の消費量は4400[t]であった。発電端熱効率[%]の値として、最も近いのは次のうちどれか。なお、日負荷率[%]=平均発電電力/最大発電電力×100とする。(1)37.9 (2)40.2 (3)42.4 (4)44.6 (5)46.9 %
(b) タービン効率45.0[%]、発電機効率99.0[%]、所内比率3.00[%]とすると、発電端効率が40.0[%]のときのボイラ効率[%]の値として、最も近いのは次のうちどれか。
(1)40.4 (2)73.5 (3)87.1 (4)89.8 (5)92.5 %

(a) 日負荷率から平均出力を出す
★平均発電電力
★1日の発電電力量
日負荷率が95 % と高い——ほぼ定格で運転し続けたということです。
ベース電源として使われる石炭火力らしい運転——出力を大きく変えないのが特徴になります。
★42.4 %
(b) ボイラ効率を逆算する
★89.8 %
ボイラ効率89.8 %——実際の火力発電所と同じくらいの値です。
所内比率3.00 % は使わない
問題文に与えられていますが、(b)では出番がありません。
| 問われているもの | 所内比率 | 理由 |
| ★発電端効率 | ★使わない | ★発電機の端子までの話 |
| 送電端効率 | ★使う | ★所内で使った分を差し引く |
問題文が「発電端効率が40.0 % のとき」と明記しています——所内比率が入る余地はありません。
試験問題には、使わない数値がわざと混ぜられていることがあります——与えられたからといって、全部使うとは限らないのです。
もし送電端効率を問われていたら、40.0×(1−0.03)=38.8 %——そういう小問なら所内比率が生きてきます。
⚠️ よくある間違い
(b)で所内比率を使ってしまう——0.400/(0.450×0.990×0.970)=92.5 % となり選択肢(5)に一致します。最も危険な誤りです。
与えられた数値を全部使おうとすると、この罠にかかります——「発電端」という言葉を確認しましょう。
(b)でタービン効率だけで割る——0.400/0.450=88.9 %。89.8 に近いので、かえって気づきにくいかもしれません。
(a)で日負荷率を掛け忘れる——600×24で計算すると44.6 % となり選択肢(4)に一致します。
⏱️ 本番での進め方
①(a)★平均出力=最大出力×日負荷率。
②(b)★η_B=η_g/(η_T×η_G)。3つの効率の関係。
③★所内比率は発電端効率には使わない。使うと(5)に誘導される。
④与えられた数値を全部使うとは限らない。
💡 覚え方
「発電端は所内率の手前、送電端は所内率の後」——どちらを問われているかで、使う数値が変わります。使わない数値が混ぜてある——それも出題の一部です。
同じ逆算が平成27年度 A問題3(火力:ボイラ効率を逆算)にあります。そちらは所内率を使う問題——対比して確認しておきましょう。
日負荷率という指標
1日の需要がどれだけ平らかを表します。
| 日負荷率 | 需要の性質 | 設備の使われ方 |
| ★高い(95 %) | ★ほぼ一定 | ★設備が有効に使われる |
| 低い(50 %) | ピークが尖っている | ★ピークのためだけの設備が要る |
本問の95 % は非常に高い——ベース電源として、ほぼ定格で運転し続けたということです。
負荷率が高いほど、設備を無駄なく使えます——だから負荷平準化が電力供給の課題になるのです。
年負荷率・月負荷率もある
| 指標 | 期間 | 使われ方 |
| ★日負荷率 | ★1日 | ★1日の変動を見る |
| 月負荷率 | 1か月 | 季節の中での変動 |
| ★年負荷率 | ★1年 | ★年間の設備の使われ方 |
どれも「平均÷最大」という同じ形——期間が違うだけです。
年負荷率は設備利用率と似ていますが、分母が違います——負荷率は最大電力、設備利用率は定格出力が分母になります。
3つの効率が表すもの
本問の(b)で使う効率を、あらためて整理しておきます。
| 効率 | どこからどこまで | 本問の値 | 典型値 |
| ★ボイラ効率 | ★燃料の熱 → 蒸気の熱 | ★89.8 %(求める) | 85〜90 % |
| ★タービン効率 | ★蒸気の熱 → 軸出力 | ★45.0 % | 45〜50 % |
| ★発電機効率 | ★軸出力 → 電気 | ★99.0 % | 98〜99 % |
3つとも典型的な値——実在の発電所を想定した設定だと分かります。
最も低いのがタービン効率——復水器で捨てる分がここに含まれるからです。
逆に言えば、ボイラ効率や発電機効率を数 % 上げても、全体への効きは限られる——改善の余地はタービン側にあることになります。
(a)と(b)の値を比べる
★別の条件
(a)と(b)は独立した設問——(b)は「発電端効率が40.0 % のとき」と改めて条件を与えています。
(a)の42.4 % を使ってはいけません——小問ごとに前提を確認することが大切です。
この1問で押さえること
(a)は日負荷率から平均出力を出すのが第一歩——600×0.95=570 MW。掛け忘れると44.6 % で選択肢(4)に誘導されます。
(b)は η_B=η_g/(η_T×η_G) の逆算——0.400/(0.450×0.990)=89.8 %。
★所内比率3.00 % は使いません——「発電端効率」と問われているからです。使うと92.5 % となり、選択肢(5)にぴたり一致します。
使わない数値を見抜く
与えられた数値をすべて使おうとすると、この罠にかかります。
「発電端」か「送電端」か——その一語で、所内比率を使うかどうかが決まるのです。
設問を読んだら、まず何を問われているかを書き出す——そのうえで必要な数値だけを拾うのが確実でしょう。
まとめ
| (a)平均発電電力 | 600×10³×0.95=5.7×10⁵kW |
| (a)電力量 | 5.7×10⁵×24=1.368×10⁷kW·h |
| (a)発電端熱効率 | 4.925×10¹⁰/1.162×10¹¹≒42.4%→(3) |
| (b)効率の分解 | η_B=0.400/(0.450×0.990)≒89.8%→(4) |
| (b)注意 | 所内比率3.00%は発電端効率の分解に不要 |
▼あわせて解きたい関連問題
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