水力39【電験3種 電力】速度調定率で負荷急変時の周波数と出力を求める!平成19年度 B問題15 完全解説

電験3種 電力科目 水力 平成19年度 B問題15 負荷が急に増えた!周波数と出力はどう動く?

今回は平成19年度 電力科目 B問題15を解説します。速度調定率5%のタービン発電機(1000MW)と3%の水車発電機(300MW)が並列運転中、負荷が急変してタービン発電機の出力が600MWで安定したときの、(a)系統周波数と(b)水車発電機の出力を求める問題です。

使う式はR=(Δf/fn)/(ΔP/Pn)×100[%]ひとつ。出力が減れば周波数は上がるという向きさえ押さえれば、あとは同じ式を2回使うだけです。

目次

平成19年度 電力科目 B問題15:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 水力 平成19年度 B問題15 問題文
平成19年度 電力科目 B問題15 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成19年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 B問題15

電験3種 電力科目 【水力】 平成19年度 B問題15

 定格出力1000[MW]、速度調定率5[%]のタービン発電機と、定格出力300[MW]、速度調定率3[%]の水車発電機が電力系統に接続されており、タービン発電機は100[%]負荷、水車発電機は80[%]負荷をとって、定格周波数(50[Hz])にて並列運転中である。負荷が急変し、タービン発電機の出力が600[MW]で安定したとき、次の(a)及び(b)に答えよ。

定格出力1000[MW]、速度調定率5[%]のタービン発電機と、定格出力300[MW]、速度調定率3[%]の水車発電機が電力系統に接続されており、タービン発電機は100[%]負荷、水車発電機は80[%]負荷をとって、定格周波数(50[Hz])にて並列運転中である。負荷が急変し、タービン発電機の出力が600[MW]で安定したとき、次の(a)及び(b)に答えよ。
(a) このときの系統周波数[Hz]の値として、最も近いのは次のうちどれか。

(1)49.5 (2)50.0 (3)50.3 (4)50.6 (5)51.0 Hz

(b) このときの水車発電機の出力[MW]の値として、最も近いのは次のうちどれか。

(1)40 (2)80 (3)100 (4)120 (5)180 MW

速度調定率の意味

速度調定率
\( R=-\dfrac{\Delta f/f_n}{\Delta P/P_n}\times 100\ [\%] \)

出力を減らすと周波数は上がる(符号が逆)

負荷が減れば発電機は軽くなり、回転が速くなる——周波数が上がるのです。

調速機はそれを検出して出力を絞る——けれども完全には元に戻しませんわざと少し周波数を上げたまま釣り合わせるのが垂下特性です。

そうしないと、複数の発電機が互いに出力を奪い合って安定しない——だから意図的に「傾き」を持たせているのです。

(a) タービン発電機から周波数を求める

変化前変化後変化量
出力1,000 MW(100 %)600 MW(60 %)★−400 MW(−40 %)
\( \dfrac{\Delta P}{P_n}=\dfrac{600-1000}{1000}=-0.40 \)
出力の変化率
\( \dfrac{\Delta f}{f_n}=-R\cdot\dfrac{\Delta P}{P_n}=-0.05\times(-0.40)=0.020 \)
周波数の変化率
★+2 %
\( \Delta f=50\times 0.020=1.0\ [\mathrm{Hz}] \)
周波数の変化
\( f=50+1.0=51.0\ [\mathrm{Hz}] \)
変化後の周波数
★51.0 Hz

出力が減ったのですから、周波数は上がります——負荷が軽くなったということです。

調定率5 % で出力が40 % 減った——0.05×0.40=2 % の周波数上昇50 Hz の2 % は1 Hz になります。

答え(a) の正解は (5)——51.0 Hz です。

(b) 同じ周波数で水車発電機はどうなるか

系統周波数は1つ——両方の発電機が同じ51.0 Hz を感じています

\( \dfrac{\Delta P}{P_n}=-\dfrac{\Delta f/f_n}{R}=-\dfrac{0.020}{0.03} \)
水車発電機の調定率3 %
\( =-0.667 \)
出力の変化率
★−66.7 %
\( \Delta P=-0.667\times 300=-200\ [\mathrm{MW}] \)
出力の変化量
\( P=300\times 0.80-200=240-200=40\ [\mathrm{MW}] \)
変化後の出力
★40 MW

初期出力は80 % 負荷=240 MW——そこから200 MW 減って40 MW になります。

調定率が小さいほど、周波数の変化に敏感——3 % の水車発電機は、5 % のタービン発電機より大きく出力が動くのです。

タービン発電機水車発電機
調定率5 %★3 %(小さい)
出力の変化率−40 %★−66.7 %(大きい)
意味変化がゆるやか★敏感に応答する
答え(b) の正解は (1)——40 MW です。

⚠️ よくある間違い
符号を逆にして49.0 Hz とする——出力が減ったのに周波数が下がるのはおかしいのです。
負荷が減る→軽くなる→速く回る→周波数が上がる——この因果を押さえておけば符号で迷いません
(b)で初期出力を300 MW とする——「80 % 負荷」ですから240 MW です。300−200=100 となって選択肢(3)に引っかかります。
(b)で調定率5 % を使う——それはタービン発電機の値水車発電機は3 % です。240−120=120 となって選択肢(4)に一致してしまいます。

⏱️ 本番での進め方
①★出力が減れば周波数は上がる(符号が逆)。
②Δf/f=−R×(ΔP/Pn)。
③★系統周波数は1つ。両機とも同じ Δf を感じる。
④★調定率が小さいほど敏感に出力が動く。

💡 覚え方
「軽くなれば速く回る」——出力減=周波数上昇です。調定率は「傾き」——小さいほど急な傾きで、わずかな周波数変化に大きく応答します

調速機の仕組みは平成26年度 A問題1水力:水車の調速機(ガバナ))にあります。

速度調定率で負荷が分担される仕組み

複数の発電機が並列運転しているとき、負荷はどう分かれるのか——調定率が決めます

調定率周波数の変化に対する応答負荷の分担
★小さい(3 %)★大きく出力が動く★多く負担する
★大きい(5 %)★あまり動かない少なく負担する

系統周波数は全体で1つ——すべての発電機が同じ周波数を感じ、それぞれの調定率に応じて出力を変えるのです。

だから調定率をそろえておけば、定格に比例した分担になります——標準を3〜5 % にしているのは、そのためでしょう。

垂下特性のグラフ

横軸に出力、縦軸に周波数を取ると、右下がりの直線——その傾きが調定率です。

垂下特性の傾き
\( \text{傾き}=-R\cdot\dfrac{f_n}{P_n} \)

R が小さいほど急な傾き

調定率3 % なら、定格出力を100 % 変えるのに周波数は3 % しか動かない——急な傾きです。

逆に5 % なら、同じ周波数変化に対して出力の動きが小さい——ゆるやかな傾きになります。

本問で水車発電機のほうが大きく出力を減らしたのは、傾きが急だからだと理解できます。

計算の順序を決めておく

(a)と(b)は、周波数を介してつながっています

やること使う機械
出力の変化率を出すタービン発電機
★②★調定率から周波数の変化を出すタービン発電機((a))
★③★同じ周波数変化を水車発電機に適用水車発電機
出力の変化量を初期値から引く水車発電機((b))

周波数が2つをつなぐ橋渡し——(a)を間違えると(b)も外れます

系統に何台つながっていても、周波数は共通——これが並列運転の大前提です。

負荷はどう変わったのか

\( 1000+240=1240\ [\mathrm{MW}] \)
変化前の合計出力
\( 600+40=640\ [\mathrm{MW}] \)
変化後の合計出力
\( 1240-640=600\ [\mathrm{MW}] \)
負荷の減少量
★600 MW の負荷が脱落した

600 MW もの負荷が急に消えた——大きな事故が起きたときの状況です。

周波数が1 Hz も上がるのは異常な事態——ふつうの運用では0.2 Hz 以内に収められています本問は極端な例で調定率の働きを確かめさせているのでしょう。

まとめ

使う式R=(Δf/f_n)/(ΔP/P_n)×100[%]
(a)出力変化率(1000−600)/1000=0.4
(a)周波数Δf=0.05×0.4×50=1.0Hz→50+1.0=51.0Hz→(5)
(b)周波数変化率Δf/f_n=1.0/50=0.02(両機で共通)
(b)出力ΔP=(0.02/0.03)×300=200MW→240−200=40MW→(1)

▼あわせて解きたい関連問題
・主変圧器の結線と水車発電機の特徴(水力38):【電力】平成19年度 A問題1

・この年度の問題を通しで解く:電験3種 平成19年度 問題一覧(全4科目)

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