今回は平成19年度 電力科目 B問題15を解説します。速度調定率5%のタービン発電機(1000MW)と3%の水車発電機(300MW)が並列運転中、負荷が急変してタービン発電機の出力が600MWで安定したときの、(a)系統周波数と(b)水車発電機の出力を求める問題です。
使う式はR=(Δf/fn)/(ΔP/Pn)×100[%]ひとつ。出力が減れば周波数は上がるという向きさえ押さえれば、あとは同じ式を2回使うだけです。
平成19年度 電力科目 B問題15:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成19年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 B問題15
電験3種 電力科目 【水力】 平成19年度 B問題15
定格出力1000[MW]、速度調定率5[%]のタービン発電機と、定格出力300[MW]、速度調定率3[%]の水車発電機が電力系統に接続されており、タービン発電機は100[%]負荷、水車発電機は80[%]負荷をとって、定格周波数(50[Hz])にて並列運転中である。負荷が急変し、タービン発電機の出力が600[MW]で安定したとき、次の(a)及び(b)に答えよ。
定格出力1000[MW]、速度調定率5[%]のタービン発電機と、定格出力300[MW]、速度調定率3[%]の水車発電機が電力系統に接続されており、タービン発電機は100[%]負荷、水車発電機は80[%]負荷をとって、定格周波数(50[Hz])にて並列運転中である。負荷が急変し、タービン発電機の出力が600[MW]で安定したとき、次の(a)及び(b)に答えよ。
(a) このときの系統周波数[Hz]の値として、最も近いのは次のうちどれか。(1)49.5 (2)50.0 (3)50.3 (4)50.6 (5)51.0 Hz
(b) このときの水車発電機の出力[MW]の値として、最も近いのは次のうちどれか。
(1)40 (2)80 (3)100 (4)120 (5)180 MW

速度調定率の意味
負荷が減れば発電機は軽くなり、回転が速くなる——周波数が上がるのです。
調速機はそれを検出して出力を絞る——けれども完全には元に戻しません。わざと少し周波数を上げたまま釣り合わせるのが垂下特性です。
そうしないと、複数の発電機が互いに出力を奪い合って安定しない——だから意図的に「傾き」を持たせているのです。
(a) タービン発電機から周波数を求める
| 変化前 | 変化後 | 変化量 | |
| 出力 | 1,000 MW(100 %) | 600 MW(60 %) | ★−400 MW(−40 %) |
★+2 %
★51.0 Hz
出力が減ったのですから、周波数は上がります——負荷が軽くなったということです。
調定率5 % で出力が40 % 減った——0.05×0.40=2 % の周波数上昇。50 Hz の2 % は1 Hz になります。
(b) 同じ周波数で水車発電機はどうなるか
系統周波数は1つ——両方の発電機が同じ51.0 Hz を感じています。
★−66.7 %
★40 MW
初期出力は80 % 負荷=240 MW——そこから200 MW 減って40 MW になります。
調定率が小さいほど、周波数の変化に敏感——3 % の水車発電機は、5 % のタービン発電機より大きく出力が動くのです。
| タービン発電機 | 水車発電機 | |
| 調定率 | 5 % | ★3 %(小さい) |
| 出力の変化率 | −40 % | ★−66.7 %(大きい) |
| 意味 | 変化がゆるやか | ★敏感に応答する |
⚠️ よくある間違い
符号を逆にして49.0 Hz とする——出力が減ったのに周波数が下がるのはおかしいのです。
負荷が減る→軽くなる→速く回る→周波数が上がる——この因果を押さえておけば符号で迷いません。
(b)で初期出力を300 MW とする——「80 % 負荷」ですから240 MW です。300−200=100 となって選択肢(3)に引っかかります。
(b)で調定率5 % を使う——それはタービン発電機の値。水車発電機は3 % です。240−120=120 となって選択肢(4)に一致してしまいます。
⏱️ 本番での進め方
①★出力が減れば周波数は上がる(符号が逆)。
②Δf/f=−R×(ΔP/Pn)。
③★系統周波数は1つ。両機とも同じ Δf を感じる。
④★調定率が小さいほど敏感に出力が動く。
💡 覚え方
「軽くなれば速く回る」——出力減=周波数上昇です。調定率は「傾き」——小さいほど急な傾きで、わずかな周波数変化に大きく応答します。
調速機の仕組みは平成26年度 A問題1(水力:水車の調速機(ガバナ))にあります。
速度調定率で負荷が分担される仕組み
複数の発電機が並列運転しているとき、負荷はどう分かれるのか——調定率が決めます。
| 調定率 | 周波数の変化に対する応答 | 負荷の分担 |
| ★小さい(3 %) | ★大きく出力が動く | ★多く負担する |
| ★大きい(5 %) | ★あまり動かない | 少なく負担する |
系統周波数は全体で1つ——すべての発電機が同じ周波数を感じ、それぞれの調定率に応じて出力を変えるのです。
だから調定率をそろえておけば、定格に比例した分担になります——標準を3〜5 % にしているのは、そのためでしょう。
垂下特性のグラフ
横軸に出力、縦軸に周波数を取ると、右下がりの直線——その傾きが調定率です。
調定率3 % なら、定格出力を100 % 変えるのに周波数は3 % しか動かない——急な傾きです。
逆に5 % なら、同じ周波数変化に対して出力の動きが小さい——ゆるやかな傾きになります。
本問で水車発電機のほうが大きく出力を減らしたのは、傾きが急だからだと理解できます。
計算の順序を決めておく
(a)と(b)は、周波数を介してつながっています。
| 順 | やること | 使う機械 |
| ① | 出力の変化率を出す | タービン発電機 |
| ★② | ★調定率から周波数の変化を出す | タービン発電機((a)) |
| ★③ | ★同じ周波数変化を水車発電機に適用 | 水車発電機 |
| ④ | 出力の変化量を初期値から引く | 水車発電機((b)) |
周波数が2つをつなぐ橋渡し——(a)を間違えると(b)も外れます。
系統に何台つながっていても、周波数は共通——これが並列運転の大前提です。
負荷はどう変わったのか
★600 MW の負荷が脱落した
600 MW もの負荷が急に消えた——大きな事故が起きたときの状況です。
周波数が1 Hz も上がるのは異常な事態——ふつうの運用では0.2 Hz 以内に収められています。本問は極端な例で調定率の働きを確かめさせているのでしょう。
まとめ
| 使う式 | R=(Δf/f_n)/(ΔP/P_n)×100[%] |
| (a)出力変化率 | (1000−600)/1000=0.4 |
| (a)周波数 | Δf=0.05×0.4×50=1.0Hz→50+1.0=51.0Hz→(5) |
| (b)周波数変化率 | Δf/f_n=1.0/50=0.02(両機で共通) |
| (b)出力 | ΔP=(0.02/0.03)×300=200MW→240−200=40MW→(1) |
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