水力31【電験3種 電力】水車の分類(衝動=ペルトン/反動=フランシス・プロペラ/小水力=クロスフロー)を攻略!平成25年度 A問題1 完全解説

電験3種 電力科目 水力 平成25年度 A問題1 ペルトン・フランシス・クロスフロー!水車の分類

今回は平成25年度 電力科目 A問題1を解説します。水力発電に用いる水車について、エネルギー変換の仕方による分類(衝動・反動)と代表的な水車名、さらに小水力発電で注目される水車の空欄を補充する問題です。

ノズルで運動エネルギーに変えて噴流をぶつけるのが衝動水車=ペルトン圧力エネルギーのまま作用させるのが反動水車=フランシス。軸方向に通過するのがプロペラ、少水量・低落差の小水力用がクロスフローです。

目次

平成25年度 電力科目 A問題1:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 水力 平成25年度 A問題1 問題文
平成25年度 電力科目 A問題1 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成25年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題1

電験3種 電力科目 【水力】 平成25年度 A問題1

 次の文章は、水力発電に用いる水車に関する記述である。水をノズルから噴出させ、水の位置エネルギーを運動エネルギーに変えた流水をランナに作用させる構造の水車を(ア)水車と呼び、代表的なものに(イ)水車がある。また、水の位置エネルギーを圧力エネルギーとして、流水をランナに作用させる構造の代表的な水車に(ウ)水車がある。さらに、流水がランナを軸方向に通過する(エ)水車もある。近年の地球温暖化防止策として、農業用水・上下水道・工業用水など少水量と低落差での発電が注目されており、代表的なものに(オ)水車がある。上記の記述中の空白箇所(ア)〜(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(ア)(イ)(ウ)(エ)(オ)
(1)反動ペルトンプロペラフランシスクロスフロー
(2)衝動フランシスカプランクロスフローポンプ
(3)反動斜流フランシスポンププロペラ
(4)衝動ペルトンフランシスプロペラクロスフロー
(5)斜流カプランクロスフロープロペラフランシス
答え正解は (4)——(ア)衝動 (イ)ペルトン (ウ)フランシス (エ)プロペラ (オ)クロスフロー です。

水車は「何のエネルギーを使うか」で分かれる

本問は水車の分類そのものが主題——1枚の表にまとめて覚えるのが近道です。

分類代表的な水車利用するもの落差・流量比速度
衝動水車ペルトン★速度水頭(運動エネルギー)高落差・少流量★小さい
反動水車フランシス★圧力水頭も利用中〜高落差
反動水車(軸流)プロペラ・カプラン圧力水頭も利用低落差・大流量★大きい
小水力クロスフロー速度水頭低落差・少流量

大きな分かれ目は「圧力を使うかどうか」——使わないのが衝動水車、使うのが反動水車です。この2つに分けてから、細かい種類を当てはめると整理しやすくなります。

(ア)はノズルで運動エネルギーに変えるのですから衝動水車、(イ)はその代表のペルトン——(ウ)は圧力エネルギーを使うのでフランシス になります。

(エ) 軸方向に通過する水車

「流水がランナを軸方向に通過する」——プロペラ水車の定義そのものです。船のスクリューを裏返したような形をしています。

水車羽根特徴
★プロペラ水車★固定構造が簡単。負荷変動に弱い
★カプラン水車★可動(角度を変えられる)★部分負荷でも効率が落ちにくい
斜流(デリア)水車可動斜め方向に通過。中落差用

カプランはプロペラの羽根を可動にしたもの——流量が変わっても最適な角度に合わせられるのです。だから河川流量が変動する低落差の発電所に向いています

本問の(エ)は「プロペラ水車」——カプランはその一種なので、より一般的な呼び方が入ることになります。

(オ) 小水力発電とクロスフロー水車

「農業用水・上下水道・工業用水など少水量と低落差」——小水力発電の典型的な設置場所です。

クロスフロー水車
★円筒形のランナを水が横切る(貫流)
落差・流量低落差・少流量
長所★構造が簡単で安価・部分負荷に強い
短所効率はやや低い

水がランナを外から内へ、さらに内から外へと2回通過する——だから「貫流(クロスフロー)」と呼ばれます。

大規模発電では効率が最優先ですが、小水力では建設費と保守のしやすさが決め手——だから構造の簡単なクロスフローが選ばれるのです。

「近年の地球温暖化防止策として」という問題文の前置き——再生可能エネルギーとして小水力が見直されている背景を示しています。

⚠️ よくある間違い
(ア)を「反動」としてしまう——選択肢(1)(3)がそれです。
「ノズルから噴出させ、運動エネルギーに変えて」——圧力を使っていないので衝動(ア)だけで2つ落とせます
(イ)をフランシスとする選択肢(2)——フランシスは反動水車です。衝動=ペルトンという対応は絶対
残るは(4)と(5)——(5)は(ア)が「斜流」で、そもそも分類の名前ではありません2手で確定します。

⏱️ 本番での進め方
①まず「圧力を使うか」で衝動/反動に二分する。
②衝動=ペルトン、反動=フランシス。この対応は固定。
③(エ) 軸方向に通過=プロペラ(可動羽根ならカプラン)。
④(オ)★小水力・低落差・少流量=クロスフロー。

💡 覚え方
「衝動はペルトンだけ、あとは反動」——まずこの二分から「軸方向ならプロペラ、可動羽根ならカプラン」「小水力ならクロスフロー」と足していけば、分類は完成します。

衝動水車の詳細は令和4年度下期 A問題2水力:衝動水車の原理と特徴)、平成22年度 A問題1位置水頭を速度水頭に変える)にあります。

落差で水車が決まる

どの水車を選ぶかは、まず落差で決まります——流量はその次です。

有効落差適する水車理由
★200 m 以上★ペルトン高圧の噴流をつくれる
40〜500 mフランシス適用範囲が最も広い
★80 m 以下★プロペラ・カプラン大流量を通せる
数m〜20 mクロスフロー小規模で安価

フランシス水車がいちばん適用範囲が広い——だから日本の水力発電所で最も多く使われています

高落差では流量が少なくて済み、低落差では大流量が要る——出力P=9.8QHη ですから、H が小さければ Q を大きくするしかないのです。

揚水発電とポンプ水車

選択肢に出てくる「ポンプ」は、揚水発電で使われるポンプ水車のこと——1台で水車にもポンプにもなります

夜間の余剰電力で下池から上池へ水を汲み上げ、昼間に発電する——電力貯蔵の最大の手段です。本問の空欄には入りませんが、水車の一種として押さえておくとよいでしょう。

空欄の絞り込み手順

5つの空欄がありますが、2つで確定します。

確定させる欄正しい値残る選択肢
(ア)衝動★(2)(4)
(イ)ペルトン★(4)に確定

(ア)は「ノズルから噴出させ、運動エネルギーに変えて」——圧力を使っていないので衝動これで3つ落ちます

残る(2)と(4)の違いは(イ)——衝動水車の代表がフランシスであるはずがありません2手で確定します。

クロスフロー水車が注目される理由

日本には落差の小さい水路が無数にあります——農業用水路、上下水道、工場の排水これまで使われずに捨てられていたエネルギーです。

出力は数kW〜数百kW と小さい——大規模発電所に比べれば微々たるものですが、数が多く、しかも安定して発電できるのが利点になります。

太陽光や風力と違って、水量は天候で大きくは変わりません——設備利用率が高い再生可能エネルギーだと言えます。

水車の選定は3つの条件で決まる

落差・流量・出力——この3つが決まれば水車が決まります

段階やること
★有効落差から水車の型を絞る
流量と落差から出力を計算(P=9.8QHη)
★比速度が限界以下になる回転速度を選ぶ

回転速度は自由に選べません——発電機の極数と周波数で決まるからです。n=120f/p——同期速度でなければ系統につなげません

だから極数を変えて、比速度が収まる回転速度を探すことになります——水車と発電機は一体で設計されるのです。

本問は分類の名前を問うだけですが、その背後にはこうした設計の流れがある——「なぜこの落差にこの水車なのか」を理解しておくと、記憶が定着します

クロスフロー水車は水が2回はたらく

段階水の動き取り出す力
★1回目★★羽根の外側から内側へ通る★★全体の約7割
★中央★★ランナの中を横切る★★—
★2回目★★内側から外側へ抜ける★★残り約3割

名前のクロスフローは、水がランナを横切ることから来ています——1つの流れで2度はたらくのが特徴です。

構造が簡単で、流量が変わっても効率が落ちにくい水車です——だから小水力に向いているのです。

効率の最大値は8割ほどと高くありませんが、安く作れる点が優先されます

まとめ

(ア)ノズルで運動エネルギー→衝動水車
(イ)代表はペルトン水車
(ウ)圧力エネルギー→反動水車の代表フランシス
(エ)軸方向に通過=プロペラ水車
(オ)少水量・低落差の小水力=クロスフロー→(4)

▼あわせて解きたい関連問題
・ペルトン水車の流量と水車出力(水力30):【電力】平成26年度 B問題15

・この年度の問題を通しで解く:電験3種 平成25年度 問題一覧(全4科目)

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