%インピーダンスが腹落ちしない人へ|なぜ%で表すのか、短絡電流までの一本道

%インピーダンスが腹落ちしない人へ|なぜ%で表すのか、短絡電流までの一本道

パーセントインピーダンス(%Z)は、電験3種で電力・機械・法規の3科目にまたがって出る数少ない論点です。しかも「なぜパーセントなのか」が分からないまま公式だけ覚えると、基準容量の換算でほぼ確実に間違えます。

ここでは、そもそも何のための表し方なのかから始めて、短絡電流・遮断容量までを一本の道でつなぎます。

目次

なぜΩではなくパーセントなのか

変圧器を挟むと、同じ電線のインピーダンスでも見る側によってΩの値が変わります。一次側から見るか二次側から見るかで、巻数比の2乗倍だけ違うからです。

6.6kV/210Vの変圧器なら巻数比はおよそ31.4。二次側の1Ωは一次側から見ると約986Ωになります。系統に変圧器が2段3段と入ると、Ωのまま足し算するには全部どこかの電圧に換算しなければなりません。これが面倒で、間違いの温床になります。

%Zは「定格電流を流したとき、定格電圧の何%の電圧降下が起きるか」という比率です。
比率なので電圧階級に依存しません。基準容量さえそろえれば、変圧器も電線も、そのまま足し算できます。

定義の式

%インピーダンスの定義

単相:\( \%Z = \dfrac{I_n Z}{V_n} \times 100 \)

三相:\( \%Z = \dfrac{P_b Z}{V_b^{2}} \times 100 \)

\(I_n\)=定格電流、\(V_n\)=定格電圧、\(P_b\)=基準容量[V·A]、\(V_b\)=基準線間電圧[V]

三相の式は、単相の式に \(I_n = P_b/(\sqrt{3}V_b)\) を代入して線間電圧で整理しただけです。覚えるのは三相の形(%Z=P_b Z / V_b²×100)ひとつで足ります。

💡 覚え方
式の形を「分子に容量、分母に電圧の2乗」と覚えます。単位で確認すると \(\mathrm{V\cdot A}\times\Omega / \mathrm{V}^2\)=無次元。ちゃんと比率になっています。

いちばんの落とし穴——基準容量をそろえる

%Zの値は基準容量とセットでしか意味を持ちません。「%Z=5%」とだけ言われても、10MV·A基準なのか100MV·A基準なのかで実体はまったく違います。

基準容量の換算

\( \%Z_2 = \%Z_1 \times \dfrac{P_{b2}}{P_{b1}} \)

基準容量に比例する。容量を10倍にすれば%Zも10倍。

⚠️ よくある間違い
基準容量を揃えずに足し算する——これが%Zの問題で最も多い失点です。
問題文には「10MV·A基準で」「変圧器の自己容量基準で」など、異なる基準の%Zが平気で混在します。解き始める前に全部を同じ基準容量に直すのが鉄則です。

⏱️ 本番での進め方
1. 基準容量を1つ決める(問題文が指定していればそれに従う)
2. すべての%Zをその基準に換算する
3. 直列なら足す、並列なら和分の積
4. 合成%Zから短絡電流・短絡容量を出す

短絡電流と短絡容量

合成%Zまで来れば、あとは1行です。

短絡電流・短絡容量

\( I_s = I_n \times \dfrac{100}{\%Z} \)

\( P_s = P_b \times \dfrac{100}{\%Z} \)

%Zが小さいほど短絡電流は大きくなる。「じょうぶな系統ほど%Zが小さく、短絡電流が大きい」

この関係が実感できると、%Zの意味が腹に落ちます。%Zが小さいということは、定格電流を流しても電圧がほとんど下がらない=電源が強いということ。強い電源は、短絡したときに大電流を流し込みます。

具体例で追う

基準容量10MV·A、基準電圧6.6kVの系統で、合成%Zが5%だったとします。

手順計算結果
基準電流\(I_n = 10\times10^6/(\sqrt{3}\times6600)\)約875A
短絡電流\(I_s = 875 \times 100/5\)約17.5kA
短絡容量\(P_s = 10 \times 100/5\)200MV·A

遮断器を選ぶときは、この短絡電流より大きい定格遮断電流のものを選びます。「20kAの遮断器で足りるか」を判定させる問題が繰り返し出ています。

科目をまたいで出る

科目出方
電力系統の%Z合成→短絡電流→遮断器の選定。配電計算・送電の計算で頻出
法規施設管理計算のB問題。短絡容量から遮断容量を判定させる
機械変圧器の短絡試験(インピーダンス電圧)から%Zを出す。並行運転で負荷が%Zに反比例して分担することも問われる

同じ道具を3科目で使い回せるので、%Zは投資効率がとても高い論点です。

並行運転での分担も%Zで決まる

変圧器を2台並列に運転すると、負荷は%Zに反比例して分担されます。

並行運転の分担

\( \dfrac{P_1}{P_2} = \dfrac{\%Z_2′}{\%Z_1′} \)

\(\%Z’\) は同じ基準容量に換算した値。%Zの小さいほうが多く負担する。

ここでも基準容量の換算が要ります。容量の違う変圧器の%Zは、それぞれの自己容量基準で書かれていることが多いからです。自己容量基準のまま比べると逆の答えが出ます

⚠️ よくある間違い
「%Zが大きいほうが丈夫そう」という直感は逆です。
%Zが大きい=定格電流で電圧がよく落ちる=弱い、ということ。だから負担は少なくなり、短絡電流も小さくなります。

よく問われる形

問われ方解く手順
合成%Zを求めよ基準容量を揃える → 直列は和、並列は和分の積
短絡電流を求めよ合成%Z → \(I_n\) を計算 → \(I_s=I_n\times100/\%Z\)
遮断器が使えるか判定せよ短絡電流を出して、定格遮断電流と比べる
短絡容量を求めよ\(P_s = P_b \times 100/\%Z\)
並行運転の分担を求めよ基準を揃える → %Zの逆比で分ける

どの形でも最初の一手は「基準容量を揃える」です。ここさえ外さなければ、あとは割り算だけで終わります。

まとめ

・%Zは「定格電流で定格電圧の何%落ちるか」という比率
・比率なので電圧階級によらず、そのまま足せる
・三相は \(\%Z = P_b Z / V_b^{2} \times 100\) の形だけ覚える
基準容量に比例。揃えてから足す
・\(I_s = I_n \times 100/\%Z\)、\(P_s = P_b \times 100/\%Z\)
・電力・法規・機械の3科目で使える

電力科目の全408問を分野別に見る法規科目の全312問を分野別に見る

この記事について

試験制度に関する記述は試験概要および問題作成方針(一般財団法人 電気技術者試験センター)に拠ります。

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