今回は平成27年度 法規科目 B問題13、単相変圧器3台のバンクについて、1台故障時のV結線の過負荷と、力率改善後にとれる最大負荷を求める問題です。V結線と力率改善の知識を組み合わせます。
覚える2つの数字。V結線の出力容量=√3×変圧器1台容量(Δ結線の√3/3=約58%)。力率改善後は、バンクの皮相電力いっぱいまで有効電力を取れる(P=S×改善後力率)。
平成27年度 法規科目 B問題13:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成27年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 B問題13
電験3種 法規科目 【電気施設管理】 平成27年度 B問題13
定格容量50kV·Aの単相変圧器3台をΔ-Δ結線にし一つのバンクとして、三相平衡負荷(遅れ力率0.90)に電力を供給する。次の(a)及び(b)に答えよ。
(図1・図2は上の画像を参照してください。)
(a) 図1のように消費電力90kW(遅れ力率0.90)の三相平衡負荷を接続し使用していたところ、3台の単相変圧器のうち1台が故障した。負荷はそのままで、残りの2台をV-V結線として使用するとき、このバンクはその定格容量より何[kV·A]過負荷となっているか。最も近いものを次の(1)〜(5)から一つ選べ。
(1)0 (2)3.4 (3)10.0 (4)13.4 (5)18.4 kV·A
(b) 上記(a)において、故障した変圧器を同等のものと交換して50kV·Aの単相変圧器3台をΔ-Δ結線で復旧した後、力率改善のために進相コンデンサを接続し、バンクの定格容量を超えない範囲で最大限まで三相平衡負荷(遅れ力率0.90)を増加し使用したところ、力率が0.96(遅れ)となった。このときに接続されている三相平衡負荷の消費電力の値[kW]として、最も近いものを次の(1)〜(5)から一つ選べ。
(1)135 (2)144 (3)150 (4)156 (5)167 kW





答えは(a)13.4kV·A・(b)144kW
V結線と力率改善を組み合わせた総合問題です。
★★(a)V結線の出力容量
変圧器1台50kV·A
(a)の答え
V結線は変圧器2台ですが、容量は2台分にはなりません——√3倍=約1.73倍。
2台合計100kV·Aのうち、86.6kV·Aしか使えない——利用率86.6%です。
Δ結線3台の150kV·Aと比べれば約58%——2つの数字を区別します。
★★なぜ√3倍なのか
V:線間電圧、I:線電流
Δ結線とは違う
Δ結線では変圧器の電流が線電流の1/√3です——だから3台で3倍。
V結線では変圧器の電流がそのまま線電流——だから2台でも√3倍にしかならない。
結線方式で電流の流れ方が変わるのが理由です。
★2つの割合を区別する
| 割合 | 値 | 何に対する比か |
| ★利用率 | ★★√3/2 ≒ 86.6% | ★★V結線の2台の合計容量に対して |
| ★出力比 | ★★√3/3 ≒ 57.7% | ★★Δ結線3台の容量に対して |
「利用率」は2台に対する割合——86.6%。
「Δ結線と比べた出力」は3台に対する割合——57.7%です。
問題文がどちらを問うているか確認します。
★V結線を使う場面
| 場面 | 理由 |
| ★1台故障時の応急運転 | ★★残り2台で供給を継続できる(本問) |
| ★将来の増設を見込む | ★★2台で始めて後から1台追加できる |
| ★単相負荷が多い | ★★異容量V結線で三相と単相を同時に供給 |
Δ結線の利点は、1台故障してもV結線で運転を続けられることです——本問の場面。
ただし容量が58%に落ちるので、過負荷になりうる——それが(a)の13.4kV·A。
負荷を減らすか、早期に復旧する必要があります。
★★(b)力率改善後の最大負荷
(b)の答え
変圧器の制約は皮相電力[kV·A]です——150kV·Aが上限。
力率が改善されれば、同じ皮相電力でより多くの有効電力を取れる——これが力率改善の効果。
力率0.90なら135kW、0.96なら144kW——9kW増やせるのです。
★力率改善で「容量が増える」
| 力率 | 取れる有効電力(150kV·A) |
| ★0.80 | ★★120kW |
| ★0.90 | ★★135kW |
| ★0.96(本問) | ★★144kW |
| ★1.00 | ★★150kW |
力率が1に近づくほど、設備の能力を活かせます——無効電力が減るから。
設備を増やさずに供給能力を増やせる——力率改善の大きな価値です。
問題文の「バンクの定格容量を超えない範囲で最大限」がこの条件を表しています。
★進相コンデンサの容量も求められる
sinθ=0.28
参考
本問では問われていませんが、同じ考え方で求まります。
28kvar程度のコンデンサで、9kW分の余裕が生まれる——費用対効果が高いのです。
Δ-Δ結線の特徴
| 項目 | 内容 |
| ★第3調波 | ★★Δ内を環流して外部に出ない |
| ★1台故障時 | ★★V結線で運転を継続できる |
| ★中性点 | ★★取り出せない(接地できない) |
第3調波が環流するのがΔ結線の利点です——高圧側に出さない。
V結線に移行できるのも大きな利点——信頼性が高い。
ただし中性点が取り出せないので、一端子接地になります。
V結線での運転を続ける判断
本問では13.4kV·Aの過負荷になっています——そのままでは変圧器が過熱します。
短時間なら耐えられますが、負荷を減らすか早期に復旧するのが原則です。
不要不急の負荷を止めて100kV·A以下に抑える——電気主任技術者の判断になります。
⏱️ 本番での進め方
① V結線の容量=√3×1台の容量(2台の86.6%)。
② Δ結線3台と比べると約58%——2つの割合を区別する。
③ 力率改善後はP=S×改善後の力率。
④ 力率が良いほど同じ設備で多くの有効電力を取れる。
💡 覚え方
V結線=出力容量は√3×変圧器1台の容量(2台の合計の86.6%、Δ結線3台の約58%)。1台故障時にV結線で運転を継続できるのがΔ結線の利点。力率改善後にバンクの容量いっぱいまで取れる有効電力はP=バンク容量×改善後の力率。
⚠️ よくある間違い
V結線の容量は2台分(100kV·A)ではない——√3×50=86.6kV·A。利用率86.6%とΔ比58%を混同しない。
まとめ
| (a)負荷皮相 | 90/0.90=100 kV·A |
| V結線容量 | √3×50≒86.6 kV·A |
| (a)過負荷 | 100−86.6≒13.4 kV·A →(4) |
| 復旧バンク容量 | 3×50=150 kV·A |
| (b)消費電力 | 150×0.96=144 kW →(2) |
| ポイント | V結線√3倍・力率改善でP増 |
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