今回は平成19年度 法規科目 A問題7、地絡に対する保護措置の空欄補充問題です。ロードヒーティングとプール用水中照明灯という具体例が挙がる、覚えやすい条文です。
対象は2つの場所。①一般公衆の立ち入るおそれがある場所 ②絶縁体に損傷を与えるおそれがある場所。ここに施設するものに電気を供給する電路には、地絡が生じた場合に備えて地絡遮断器等が必要です。
平成19年度 法規科目 A問題7:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成19年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題7
電験3種 法規科目 【電技省令】 平成19年度 A問題7
次の文章は、「電気設備技術基準」における異常時の保護対策に関する記述である。
ロードヒーティング等の電熱装置、プール用水中照明灯その他の(ア)おそれがある場所又は(イ)を与えるおそれがある場所に施設するものに電気を供給する電路には、(ウ)が生じた場合に、感電又は火災のおそれがないよう、(ウ)遮断器の施設その他の適切な措置を講じなければならない。
上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)及び(ウ)に当てはまる語句として、正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。
(注)平成19年度は公式問題PDFが公表されていないため、条文と過去問データに基づいて問題文を再構成しています。
(ア) (イ) (ウ) (1) 短絡する 人体に危害 短絡 (2) 地絡する 絶縁体に損傷 地絡 (3) 一般公衆の立ち入る 人体に危害 地絡 (4) 地絡する 人体に危害 短絡 (5) 一般公衆の立ち入る 絶縁体に損傷 地絡

答えは(5):一般公衆の立ち入る・絶縁体に損傷・地絡
(ア)は「一般公衆の立ち入る」——電気の知識がない人がすぐそばにいる場所です。
(イ)は「絶縁体に損傷」——水中や地中は絶縁が傷みやすいのです。
(ウ)は「地絡」——絶縁が破れれば、電流は大地へ流れ出します。
★2つの場所は性質が違う
| 場所 | 危険の性質 | 例 |
| ★一般公衆の立ち入るおそれ | ★★人の側の事情 | ★★ロードヒーティング・プール |
| ★絶縁体に損傷を与えるおそれ | ★★設備の側の事情 | ★★水中・地中・薬品のある場所 |
片方は「誰がいるか」、もう片方は「どんな環境か」です——2つの角度から危険を捉えています。
どちらか一方でも当てはまれば、地絡遮断器等が必要になります——「又は」でつながれているからです。
★ロードヒーティングとプールという例
| 設備 | 危険な理由 |
| ★ロードヒーティング | ★★歩道や車道に埋設され、人が上を歩く |
| ★プール用水中照明灯 | ★★水中にあり、人が水に浸かっている |
どちらも人が濡れた状態で近づきます——人体の抵抗が下がり、感電しやすいのです。
しかも電気の知識がない人が使います——だから設備の側で守るしかないのです。
条文が具体例を挙げているのは、それだけ危険が大きいからです。
★地絡と短絡の役割分担
| 地絡 | 短絡(過電流) | |
| ★何が起きるか | ★★電流が大地へ流れる | ★★電線間に大電流が流れる |
| ★主な危険 | ★★感電 | ★★過熱・火災 |
| ★保護装置 | ★★地絡遮断器 | ★★過電流遮断器 |
水中や地中で絶縁が破れれば、電流は大地へ流れます——短絡ではなく地絡です。
地絡→感電/過電流→火災——この対比で整理しておけば迷いません。
地絡遮断器の仕組み
行きと帰りの電流が等しい
★差が生じる=漏れた分
★電路を切る
零相変流器(ZCT)が、行きと帰りの電流の差を検出します——差が出れば、どこかで漏れているのです。
人体を通る電流を感知して切るので、感電を防げます——整定値は30mA・0.1秒などが一般的です。
「その他の適切な措置」
| 措置 | 内容 |
| ★地絡遮断器 | ★★漏電を検出して切る |
| ★絶縁変圧器 | ★★電源と絶縁して地絡の経路を断つ |
| ★非接地電路 | ★★大地との回路を作らない |
条文は「地絡遮断器の施設その他の適切な措置」と書いています——方法は問わない性能規定です。
プール用水中照明灯では、絶縁変圧器と非接地が使われます——解釈第187条の規定です。
水中照明灯の厳しい規定
| 項目 | 基準 |
| ★絶縁変圧器 | ★★1次300V以下・2次150V以下 |
| ★混触防止板 | ★★A種接地工事 |
| ★2次側 | ★★非接地とする |
| ★配線 | ★★金属管工事 |
水中という最も危険な場所なので、幾重にも守ります——絶縁変圧器+非接地+金属管です。
省令の一文が、解釈でここまで具体化されます——省令と解釈の関係がよく分かる例です。
「短絡する」「地絡する」はダミー
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 一般公衆の立ち入る | ★★一般公衆の立ち入る | ★短絡する・地絡する | ★★場所を表す語であるべき |
| 絶縁体に損傷 | ★★絶縁体に損傷 | ★人体に危害 | ★★設備の側の事情 |
| 地絡 | ★★地絡 | ★短絡 | ★★水中・地中で起こるのは地絡 |
(ア)(イ)は「場所」を表す語が入ります——「短絡する」「地絡する」は現象の名前です。
空欄の前後を読めば、何が入るべきか分かります——「〜おそれがある場所」の前だからです。
漏電遮断器の整定値
| 用途 | 定格感度電流 | 動作時間 |
| ★人体保護(高感度形) | ★★30mA以下 | ★★0.1秒以内 |
| ★接地工事の省略 | ★★15mA以下 | ★★0.1秒以内 |
| ★C種・D種の緩和 | ★★— | ★★0.5秒以内 |
人体保護には30mA・0.1秒が基本です——この値なら心室細動を防げるとされています。
接地の省略には、さらに厳しい15mAが求められます——接地がないぶん、確実に切る必要があるからです。
感電の危険度
| 電流 | 人体への影響 |
| ★1mA | ★★感じ始める |
| ★5mA | ★★痛みを感じる |
| ★10〜20mA | ★★筋肉が硬直し離れられない |
| ★50mA以上 | ★★心室細動の危険 |
数十mAで生命に関わります——だから漏電遮断器は30mAで切るのです。
水に濡れていれば、人体の抵抗が下がってさらに危険になります——プールや融雪装置が名指しされる理由です。
ロードヒーティングもプールも、身近にある設備です——条文が具体例を挙げているので、覚えやすいところです。
融雪装置の危険
ロードヒーティングは、路面のすぐ下に発熱線を埋設します——その上を人が歩き、車が通ります。
雪解け水で常に濡れているのも危険を高めます——絶縁が傷めば、地絡から感電につながるのです。
⏱️ 本番での進め方
① (ア)(イ)は場所を表す語——現象の名前は入らない。
② (ア)は人の側、(イ)は設備の側の事情。
③ (ウ)は「地絡」——水中・地中で起こるのは地絡。
④ 地絡→感電/過電流→火災で整理する。
出題履歴——地絡保護は頻出
| 年度 | 問われ方 |
| ★平成19年度 問7 | ★★地絡に対する保護措置(本問) |
| ★平成30年度 問4 | ★★異常時の保護対策 |
| ★令和5年度上期 問3 | ★★過電流からの保護(14条) |
令和5年度上期 A問題3は過電流保護の条文です。地絡(15条)と過電流(14条)は対になっています。
2つの異常に、それぞれ別の保護装置で備える——この構造を押さえましょう。
💡 覚え方
ロードヒーティング等の電熱装置・プール用水中照明灯その他一般公衆の立ち入るおそれがある場所又は絶縁体に損傷を与えるおそれがある場所に施設するものに電気を供給する電路には、地絡が生じた場合に感電又は火災のおそれがないよう、地絡遮断器の施設その他の適切な措置を講じる。
⚠️ よくある間違い
「短絡する」「地絡する」は現象で、場所を表す語ではない。「人体に危害」は結果であって場所の性質ではない。水中・地中で起こるのは短絡ではなく地絡。
まとめ
| (ア) | 一般公衆の立ち入る(おそれがある場所) |
| (イ) | 絶縁体に損傷(を与えるおそれがある場所) |
| (ウ) | 地絡(地絡遮断器) |
| 具体例 | ロードヒーティング・プール用水中照明灯 |
| 答え | (5) |
▼あわせて解きたい関連問題
・異常時の保護対策(電技省令29):【法規】平成30年度 A問題4
・過電流からの保護対策(電技省令13):【法規】令和5年度上期 A問題3

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