今回は平成23年度 法規科目 A問題5、常時監視をしない発電所等の施設の空欄補充問題です。無人運転の発電所・変電所が増えるなかで重要度が増している条文です。
構造は2段。①異常時に制御が必要な発電所/供給支障のおそれで異常を早期発見すべき発電所は、無人なら施設してはならない。②それ以外の発電所・変電所は、異常時に安全かつ確実に停止できる措置を講じれば無人でよい。
平成23年度 法規科目 A問題5:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成23年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題5
電験3種 法規科目 【電技省令】 平成23年度 A問題5
次の文章は、「電気設備技術基準」における、常時監視をしない発電所等の施設に関する記述の一部である。
a. 異常が生じた場合に人体に危害を及ぼし、若しくは物件に損傷を与えるおそれがないよう、異常の状態に応じた(ア)が必要となる発電所、又は一般電気事業に係る電気の供給に著しい支障を及ぼすおそれがないよう、異常を早期に発見する必要のある発電所であって、発電所の運転に必要な(イ)を有する者が当該発電所又は(ウ)において常時監視をしないものは、施設してはならない。
b. 上記aに掲げる発電所以外の発電所又は変電所(これに準ずる場所であって、100 000Vを超える特別高圧の電気を変成するためのものを含む。以下同じ。)であって、発電所又は変電所の運転に必要な(イ)を有する者が当該発電所若しくは(ウ)又は変電所において常時監視をしない発電所又は変電所は、非常用予備電源を除き、異常が生じた場合に安全かつ確実に(エ)することができるような措置を講じなければならない。
上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(ア) (イ) (ウ) (エ) (1) 制御 経験 これと同一の構内 機能 (2) 制御 知識及び技能 これと同一の構内 停止 (3) 保護 知識及び技能 隣接の施設 停止 (4) 制御 知識 隣接の施設 機能 (5) 保護 経験及び技能 これと同一の構内 停止

答えは(2):制御・知識及び技能・これと同一の構内・停止
(ア)は「制御」——人が判断して操作しなければ収まらない設備です。
(イ)は「知識及び技能」・(ウ)は「これと同一の構内」です。
(エ)は「停止」——人がいないなら、せめて自動で止まれという発想です。
★「制御」と「保護」の違い
| 制御 | 保護 | |
| ★誰が行うか | ★★人が判断して操作する | ★★継電器などが自動で行う |
| ★例 | ★★出力の調整・系統との切替 | ★★地絡や過電流での自動遮断 |
| ★無人化 | ★★難しい | ★★可能 |
自動でできるのが保護、人の判断が要るのが制御です——この区別が(ア)を決めます。
保護は自動なので、人の常時監視を必要とする理由になりません——だから「保護」はダミーです。
★2段構えの構造
| 区分 | 該当する発電所 | 扱い |
| ★a | ★★異常時に制御が必要/異常の早期発見が必要 | ★★無人にしてはならない |
| ★b | ★★それ以外の発電所・変電所 | ★★安全確実に停止できれば無人でよい |
危険度に応じて、無人化の可否が分かれています——すべて一律に禁止するわけではありません。
水力発電所の多くは無人運転です——異常時に自動停止できるからです。
★「知識及び技能」の両方が要る
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 知識及び技能 | ★★知識及び技能 | ★経験 | ★★両方そろって初めて対処できる |
| これと同一の構内 | ★★これと同一の構内 | ★隣接の施設 | ★★即座に駆けつけられる距離 |
| 停止 | ★★停止 | ★機能 | ★★異常時は止めるのが安全 |
知識だけでは実際に手が動きません——技能だけでは異常の意味が分かりません。
だから条文は両方を求めています——「経験」という語は使われません。
主任技術者の免状制度とも通じる考え方です。
解釈での区分
| 方式 | 内容 |
| ★随時巡回方式 | ★★適当な間隔で技術員が巡回する |
| ★随時監視制御方式 | ★★必要に応じて技術員が発電所に出向く |
| ★遠隔常時監視制御方式 | ★★制御所で常時監視・制御する |
解釈第47条の2に、3つの方式が定められています——省令が原則、解釈が具体的な方式です。
水力なら随時巡回方式は2 000kW未満まで——令和1年度A問題7で問われた数値です。
なぜ「停止」なのか
異常が起きたとき、いちばん安全なのは止めることです——運転を続けようとすると危険が広がります。
人がいれば状況を見て判断できますが、無人ではできません——だから自動で止まる措置が要るのです。
「機能する」では、異常時に動き続けることになってしまいます——趣旨と正反対です。
非常用予備電源は除かれる
b)には「非常用予備電源を除き」とあります——停電時に立ち上がる設備だからです。
異常時に止まってしまっては、非常用の意味がありません——だから除外されているのです。
条文の除外規定にも、必ず理由があります。
100 000Vという線引き
変電所については「これに準ずる場所であって、100 000Vを超える特別高圧の電気を変成するためのものを含む」とあります。
大規模な設備ほど、無人化に慎重になる——影響が大きいからです。
数値が出てくる数少ない箇所なので、押さえておきましょう。
無人化が進む背景
| 理由 | 内容 |
| ★人手不足 | ★★技術者の確保が難しい |
| ★遠隔技術の進歩 | ★★通信と制御で離れた場所から管理できる |
| ★小規模設備の増加 | ★★太陽光など無人が前提の設備がふえた |
時代とともに、無人化できる範囲が広がっています——技術が制度を後押ししているのです。
そのぶん、サイバーセキュリティの重要性も増しています——遠隔で操作できる=外から狙われうるのです。
遠隔常時監視制御方式
| 内容 | |
| ★監視場所 | ★★制御所(給電所など) |
| ★通信 | ★★専用回線・光ファイバ |
| ★できること | ★★運転状態の監視と遠隔操作 |
離れた制御所から、複数の発電所をまとめて監視します——効率がよく、いまの主流です。
だから通信設備の信頼性が重要になります——光ファイバが電力設備に架設される理由でもあります。
無人化と保安
無人にしても、保安の責任がなくなるわけではありません——主任技術者は変わらず必要です。
異常時に確実に止まる仕組みを作り、定期的に巡回します——人がいない代わりの措置です。
条文が「措置を講じなければならない」と書くのは、この意味です。
水力発電所の無人化
山間部の水力発電所は、早くから無人化が進みました——人が常駐するのが難しい場所だからです。
異常時には自動的に水車を止め、制御所へ通報します——条文の「安全かつ確実に停止」がこれです。
太陽光発電所の多くも無人です——異常時に停止できる措置があるから認められているのです。
⏱️ 本番での進め方
① (ア)は「制御」——保護は自動なので常時監視の理由にならない。
② (イ)は「知識及び技能」。経験はダミー。
③ (ウ)は「これと同一の構内」——隣接の施設では遠すぎる。
④ (エ)は「停止」。異常時は止めるのが安全。
出題履歴——無人運転は現代的なテーマ
| 年度 | 問われ方 |
| ★平成23年度 問5 | ★★常時監視をしない発電所等(本問) |
| ★平成27年度 問6 | ★★常時監視をしない発電所の定義 |
| ★令和1年度 問7 | ★★随時巡回方式の出力(解釈47条の2) |
省令と解釈の両方から出題されています——省令が原則、解釈が方式と数値です。
太陽光の無人発電所がふえたことで、重要度が増しています。
💡 覚え方
常時監視をしない発電所等=①異常時に制御が必要/異常の早期発見が必要な発電所は、運転に必要な知識及び技能を有する者が当該発電所又はこれと同一の構内で常時監視をしないなら施設禁止 ②それ以外は、異常時に安全かつ確実に停止できる措置を講じれば無人でよい(非常用予備電源を除く)。
⚠️ よくある間違い
「保護」ではなく制御——自動でできるのが保護。「経験」ではなく知識及び技能。「隣接の施設」ではなくこれと同一の構内。
まとめ
| (ア) | 制御 |
| (イ) | 知識及び技能 |
| (ウ) | これと同一の構内 |
| (エ) | 停止 |
| 除外 | 非常用予備電源 |
| 答え | (2) |
▼あわせて解きたい関連問題
・サイバーセキュリティの確保(電技省令19):【法規】令和4年度上期 A問題2
・発電所等への立入の防止(電技省令45):【法規】平成19年度 A問題5

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