今回は平成23年度 法規科目 A問題4、電線の接続に関する記述から適切なものを選ぶ問題です。1語ずつ条文と照らす丁寧さが要求される、難度の高い一問です。
核となる数字と語は3つ。①電気抵抗を増加させない ②引張強さを20%以上減少させない ③配線器具は堅ろうに接続するとともに電気的に完全に接続。選択肢では巧妙に25%や「又は」に書き換えられています。
平成23年度 法規科目 A問題4:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成23年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題4
電験3種 法規科目 【電技省令】 平成23年度 A問題4
「電気設備技術基準」及び「電気設備技術基準の解釈」に基づく、電線の接続に関する記述として、適切なものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1) 電線を接続する場合は、接続部分において電線の絶縁性能を低下させないように接続するほか、短絡による事故(裸電線を除く。)及び通常の使用状態において異常な温度上昇のおそれがないように接続する。
(2) 裸電線と絶縁電線とを接続する場合に断線のおそれがないようにするには、電線に加わる張力が電線の引張強さに比べて著しく小さい場合を含め、電線の引張強さを25%以上減少させないように接続する。
(3) 屋内に施設する低圧用の配線器具に電線を接続する場合は、ねじ止めその他これと同等以上の効力のある方法により、堅ろうに接続するか、又は電気的に完全に接続する。
(4) 低圧屋内配線を合成樹脂管工事又は金属管工事により施設する場合に、絶縁電線相互を管内で接続する必要が生じたときは、接続部分をその電線の絶縁物と同等以上の絶縁効力のあるもので十分被覆し、接続する。
(5) 住宅の屋内電路(電気機械器具内の電路を除く。)に関し、定格消費電力が2kW以上の電気機械器具のみに三相200Vを使用するための屋内配線を施設する場合において、電気機械器具は、屋内配線と直接接続する。

答えは(5):2kW以上の機器のみに三相200V
選択肢(1)は、この3要素をすべて入れ替えた偽物です——語順まで覚えていないと見抜けません。
★電技7条の3要素
| 要素 | 条文の言葉 | なぜ必要か |
| ★① 電気抵抗 | ★★増加させないように接続する | ★★接続部の発熱・焼損を防ぐ |
| ★② 絶縁性能 | ★★低下のおそれがないように(裸電線を除く) | ★★感電・地絡を防ぐ |
| ★③ 断線 | ★★通常の使用状態で断線のおそれがない | ★★機械的な強度を保つ |
電気的・絶縁的・機械的の3方向から縛っています——接続部は電線のいちばん弱い場所だからです。
「裸電線を除く」がかかるのは②の絶縁性能だけ——裸電線にはもともと絶縁がないからです。
★選択肢(1)はどこが入れ替わっているか
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 電気抵抗を増加させない | ★★電気抵抗を増加させない | ★絶縁性能を低下させない | ★★①と②が入れ替わっている |
| 絶縁性能の低下 | ★★絶縁性能の低下 | ★短絡による事故 | ★★起きることが違う |
| 断線のおそれ | ★★断線のおそれ | ★異常な温度上昇のおそれ | ★★③が別物になっている |
3つとも入れ替えるという、徹底した作りです——1つずつ照合しないと引っかかります。
「電気抵抗を増加させない」から始まる——この書き出しを覚えるだけで(1)は切れます。
★20%という数字(解釈第12条)
選択肢(2)は「25%」と「含め」の二重の誤りです——数字も条件もひっくり返しています。
張力がほとんどかからないジャンパー線まで20%を守れというのは過剰——だから除外されています。
★「とともに」と「又は」の違い
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 堅ろうに接続するとともに、電気的に完全に接続する | ★★堅ろうに接続するとともに、電気的に完全に接続する | ★堅ろうに接続するか、又は電気的に完全に接続する | ★★両方必要(かつ)/どちらか(または) |
選択肢(3)は「又は」に書き換えられています——接続は機械的にも電気的にも完全でなければなりません。
ねじが緩んでいれば接触抵抗が増え、発熱します——堅ろうさと電気的完全さは切り離せないのです。
法令で「かつ」を「又は」に変える改変は最頻出——接続詞に印をつけて読む習慣をつけましょう。
管内で電線を接続してはいけない理由
| 工事 | 管内の接続 | 根拠 |
| ★合成樹脂管工事 | ★★禁止 | ★★解釈第158条 |
| ★金属管工事 | ★★禁止 | ★★解釈第159条 |
| ★金属可とう電線管工事 | ★★禁止 | ★★解釈第160条 |
接続点は最も故障しやすい場所です——管の中では点検も補修もできません。
だから接続はボックスの中で行います——選択肢(4)はそもそも認められない工事です。
電線の引き替えができなくなるという実務上の問題もあります。
なぜ(5)が適切なのか——解釈第143条
| 原則 | 住宅の屋内電路の対地電圧は150V以下 |
| ★例外の条件 | ★★定格消費電力2kW以上の電気機械器具のみに供給 |
| ★条件a | ★★機器と屋内配線を直接接続する |
| ★条件b | ★★専用の開閉器・過電流遮断器を施設する |
| ★条件c | ★★地絡が生じたとき自動遮断する装置を施設する |
エアコンやIHクッキングヒーターがこれに当たります——200Vのほうが効率がよいので使いたいのです。
直接接続を求めるのは、コンセントを介さないためです——誰かが別の機器を挿してしまう危険を断つのです。
接続の実際の方法
| 方法 | 用途 |
| ★リングスリーブ+圧着 | ★★低圧屋内配線の一般的な接続 |
| ★差込形コネクタ | ★★ボックス内の簡便な接続 |
| ★圧縮接続管 | ★★架空電線の本接続 |
| ★ろう付け(はんだ付け) | ★★裸電線相互の接続 |
どの方法も、抵抗を増やさず強度を落とさないための工夫です——条文の3要素が実物になっているのです。
「電気抵抗を増加させない」が最初に来る理由
接続部の抵抗が増えると、そこだけ発熱します——P=I²Rなので、抵抗に比例して発熱が増えるのです。
発熱が絶縁を傷め、さらに接触が悪くなる悪循環に入ります——これが接続部の火災です。
だから条文はまず電気抵抗を挙げます——順序にも意味があるのです。
「異常な温度上昇」はどこの語か
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 電線の接続(7条)=断線のおそれ | ★★電線の接続(7条)=断線のおそれ | ★異常な温度上昇 | ★★後者は電気機械器具(電技8条)の語 |
| 接続部の要件 | ★★接続部の要件 | ★機械器具の要件 | ★★条が違う |
電技8条は「電気機械器具は、通常の使用状態においてその電気機械器具に発生する熱に耐えること」と定めます。
選択肢(1)はこの語を7条に混ぜ込んでいます——近くの条文から語を借りてくるのが定番の作り方です。
⏱️ 本番での進め方
① 7条は「電気抵抗を増加させない」から始まる。
② 解釈12条は引張強さ20%以上減少させない——25%ではない。
③ 張力が著しく小さい場合は除く——「含め」は誤り。
④ 配線器具は「堅ろうに接続するとともに」——「又は」ではない。
💡 覚え方
電技7条=接続部分で①電気抵抗を増加させない ②絶縁性能の低下(裸電線を除く)③断線のおそれがないように接続する。解釈12条=裸電線相互等は引張強さを20%以上減少させない(張力が著しく小さい場合を除く)、接続管等を使用するかろう付け。管工事では管内に接続点を設けない。
⚠️ よくある間違い
「25%」ではなく20%。「又は」ではなく「とともに」。「異常な温度上昇」は8条の語で、7条は「断線」。合成樹脂管・金属管の管内接続は禁止。
まとめ
| (1) | 不適切(電気抵抗を増加させない/断線) |
| (2) | 不適切(20%・張力が小さい場合は除外) |
| (3) | 不適切(堅ろう「かつ」電気的に完全) |
| (4) | 不適切(管内に接続点は設けない) |
| (5) | 適切(2kW以上は直接接続) |
| 答え | (5) |
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