今回は令和7年度上期 法規科目 A問題3、低圧電線路の絶縁性能の空欄補充問題です。同じ年度の下期でも計算問題として出題された、いま最も熱い条文です。
条文はこの一文だけ。「絶縁抵抗は、使用電圧に対する漏えい電流が最大供給電流の2 000分の1を超えないようにしなければならない」。3つの空欄はすべてこの中にあります。丸ごと暗唱できるようにしましょう。
令和7年度上期 法規科目 A問題3:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和7年度上期 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題3
電験3種 法規科目 【電技省令】 令和7年度上期 A問題3
「電気設備技術基準」では、電気の供給のための低圧電線路の絶縁性能について、次のように規定している。
低圧電線路中絶縁部分の電線と大地との間及び電線の線心相互間の絶縁抵抗は、(ア)に対する漏えい電流が(イ)の(ウ)分の1を超えないようにしなければならない。
上記の記述中の空白箇所(ア)〜(ウ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(ア) (イ) (ウ) (1) 使用電圧 最大供給電流 2 000 (2) 最大使用電圧 供給電流 2 000 (3) 使用電圧 使用電流 1 000 (4) 対地電圧 最大供給電流 1 000 (5) 対地電圧 使用電流 2 000

答えは(1):使用電圧・最大供給電流・2 000分の1
(ア)は「使用電圧」——実際に使っている電圧で測るという意味です。
(イ)は「最大供給電流」——その電線路が供給しうる最大の電流です。
(ウ)は「2 000」——1 000分の1では緩すぎます。
★3つの語をなぜ間違えるのか
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 使用電圧 | ★★使用電圧 | ★最大使用電圧 | ★★最大使用電圧は絶縁耐力試験で使う概念 |
| 使用電圧 | ★★使用電圧 | ★対地電圧 | ★★対地電圧は電路と大地の間の電圧 |
| 最大供給電流 | ★★最大供給電流 | ★使用電流 | ★★たまたま流れている電流では基準にならない |
どれも実在する用語なので、もっともらしく見えます——だからダミーとして機能するのです。
それぞれどの場面で使う語かを整理しておきましょう。
最大供給電流の求め方
| 計算 | |
| ★最大供給電流 | ★★変圧器の定格容量 ÷ 電圧 |
| ★許容される漏えい電流 | ★★最大供給電流 ÷ 2 000 |
設備能力の上限を基準にしています——そのときの負荷に左右されないようにするためです。
「使用電流」だと、負荷が軽いときに基準が厳しくなりすぎます——規定として機能しないのです。
★実際に計算してみる
例:150kV・A・210Vの場合
★
★
★答え
令和7年度下期のA問題5が、まさにこの計算問題でした——同じ年度の上期に条文、下期に計算という出方です。
条文を覚えていれば、計算もできます——2 000で割るだけだからです。
★絶縁抵抗値の規定との違い
| 低圧電線路(22条) | 低圧電路(58条) | |
| ★対象 | ★★電気の供給のための電線路 | ★★需要家側の電路 |
| ★判定 | ★★漏えい電流が最大供給電流の1/2 000以下 | ★★絶縁抵抗0.1/0.2/0.4MΩ以上 |
同じ「低圧の絶縁」でも、条文が2つあります——対象が違うのです。
電線路は電気を送る側、電路は使う側です——ここを混同しないようにしましょう。
判定の方法もまったく違います——電流で見るか、抵抗で見るかです。
なぜ電流で規定するのか
電線路は長く、こう長によって絶縁抵抗が変わります——長いほど漏れる場所が増えるからです。
絶縁抵抗値で一律に決めると、長い線路では守れません——だから電流の割合で決めているのです。
供給できる電流に対して何分の1まで、という相対的な基準——規模に応じた合理的な決め方です。
性能規定という書き方
条文は「〜を超えないようにしなければならない」と結果だけを示しています——方法は問いません。
これが性能規定です——省令はこの書き方で統一されています。
具体的な数値や方法は、解釈が示します——省令と解釈の役割分担です。
2 000分の1という数字の感覚
| 最大供給電流 | 許容漏えい電流 |
| ★100A | ★★50mA |
| ★200A | ★★100mA |
| ★714A | ★★357mA |
数百ミリアンペアまで許されるのは、意外に緩く感じます——需要家側の1mAとは桁が違うからです。
電線路は規模が大きいので、絶対値では大きくなります——割合で決めているからです。
覚え方
「使用電圧に対する漏えい電流が最大供給電流の2 000分の1」——この一文を丸ごと暗唱できるようにしましょう。
条文が短いので、丸暗記が最も確実です——語を1つずつ覚えるより速いのです。
3空欄がすべてこの一文にあるので、暗唱できれば満点です。
低圧電線路とは何を指すか
電気の供給のための低圧電線路、つまり配電線路の低圧部分です——柱上変圧器から需要家までの電線です。
需要家の構内の電路とは別のものです——あちらは電技58条で絶縁抵抗値が決められています。
どちらの話かを見分けることが、この分野の第一歩です。
漏えい電流をどう測るのか
| 方法 | 内容 |
| ★クランプ式漏れ電流計 | ★★電線をまとめてはさみ、差分を読む |
| ★原理 | ★★行きと帰りの差=漏れた分 |
| ★利点 | ★★停電させずに測れる |
正常なら行きと帰りの電流は等しく、差はゼロです——漏電があると差が出ます。
漏電遮断器(ZCT)とまったく同じ原理です——測定器と保護装置が同じ考え方でできているのです。
⏱️ 本番での進め方
① 条文が短いので丸ごと暗唱する。3空欄すべてがこの一文にある。
② (ア)は「使用電圧」——最大使用電圧・対地電圧はどちらもダミー。
③ (イ)は「最大供給電流」=定格容量÷電圧。
④ 分母は2 000。1 000ではない。
省令22条と58条の使い分け
22条は電気を供給する側の低圧電線路、58条は需要家側の低圧電路です。
問題文に「電気の供給のための」と書いてあれば22条——この一句が見分けの目印になります。
判定方法も違います——22条は漏えい電流の割合、58条は絶縁抵抗値です。
電技省令のなかでも、数値がそのまま答えになる数少ない条文です——だから出題しやすく、受験生も取りやすいのです。
この条文が注目される理由
太陽光の逆潮流がふえ、低圧配電線の状態が変わってきました——絶縁の管理がより重要になっています。
条文が短く、計算にも展開しやすいことも出題しやすい理由でしょう。
出題履歴——上期に条文、下期に計算
| 年度 | 問われ方 |
| ★令和6年度上期 問8 | ★★低圧の電路の絶縁性能 |
| ★令和7年度上期 問3 | ★★本問(条文) |
| ★令和7年度下期 問5 | ★★同じ条文の計算問題 |
同じ年度の上期と下期で、条文と計算が続けて出題されました——いま最も注目されている条文だと言えます。
条文を覚えておけば、どちらの形式でも対応できます——2 000で割るだけだからです。
💡 覚え方
電技22条=低圧電線路中絶縁部分の絶縁抵抗は、使用電圧に対する漏えい電流が最大供給電流の2 000分の1を超えないこと。最大供給電流=定格容量÷電圧。
⚠️ よくある間違い
「最大使用電圧」「対地電圧」ではなく使用電圧。「使用電流」ではなく最大供給電流。分母は2 000。
まとめ
| (ア) | 使用電圧 |
| (イ) | 最大供給電流 |
| (ウ) | 2 000(分の1) |
| 根拠 | 電技 第22条 |
| 答え | (1) |
▼あわせて解きたい関連問題
・同条文の計算問題(電技省令2):【法規】令和7年度下期 A問題5
・低圧の電路の絶縁性能(電技省令9):【法規】令和6年度上期 A問題8

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