配電24【電験3種 電力】逆潮流の電圧上昇抑制は受電点を遅れ力率に!「進み力率」は誤り 平成27年度 A問題5 完全解説

電験3種 電力科目 配電 平成27年度 A問題5 電圧上昇を抑えるのは遅れ力率!進みは逆効果

今回は平成27年度 電力科目 A問題5分散型電源の配電系統連系の誤り選択問題です。太陽光など分散型電源を系統に連系する際の電圧上昇・SVR・高調波・逆潮流と、連系の課題が総登場します。

決め手は逆潮流による電圧上昇の抑制方法。逆潮流で系統電圧が上がるのを抑えるには、受電点の力率を系統側から見て遅れ力率とし、分散型電源に進相無効電力を吸収させます。「進み力率とする」は逆で誤りです。

目次

平成27年度 電力科目 A問題5:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 配電 平成27年度 A問題5 問題文
平成27年度 電力科目 A問題5 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成27年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題5

電験3種 電力科目 【配電】 平成27年度 A問題5

 分散型電源の配電系統連系に関する記述として、誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1) 分散型電源からの逆潮流による系統電圧の上昇を抑制するために、受電点の力率は系統側から見て進み力率とする。

(2) 分散型電源からの逆潮流等により他の低圧需要家の電圧が適正値を維持できない場合は、ステップ式自動電圧調整器(SVR)を設置する等の対策が必要になることがある。

(3) 比較的大容量の分散型電源を連系する場合は、専用線による連系や負荷分割等配電系統側の増強が必要になることがある。

(4) 太陽光発電や燃料電池発電等の電源は、電力変換装置を用いて電力系統に連系されるため、高調波電流の流出を抑制するフィルタ等の設置が必要になることがある。

(5) 大規模太陽光発電等の分散型電源が連系した場合、配電用変電所に設置されている変圧器に逆向きの潮流が増加し、配電線の電圧が上昇する場合がある。

答え誤っているのは(1)です。

答えは(1):受電点は遅れ力率とする

力率の向きが逆に書かれています

選択肢正誤要点
★★(1) 受電点を進み力率とする★★誤り★★遅れ力率にして電圧上昇を抑える
★(2) SVRを設置する★正しい★低圧需要家の電圧対策
★(3) 専用線連系・負荷分割★正しい★大容量なら系統の増強が要る
★(4) 高調波フィルタ★正しい★電力変換装置から高調波が出る
★(5) 変電所の変圧器に逆潮流★正しい★大規模太陽光で起きる

なぜ遅れ力率にすると電圧が下がるのか

電圧変化のもと
\( \Delta V\fallingdotseq\dfrac{PR+QX}{V} \)

P・Q の符号で上がるか下がるかが決まる

受電点から見た状態無効電力 QQX の項電圧
★★遅れ力率(無効電力を消費)★★正★★電圧を下げる向き★★上昇が抑えられる
★★進み力率(無効電力を供給)★★負★★電圧を上げる向き★★さらに上がってしまう

逆潮流で有効電力が逆向きに流れ、電圧が上がります——PR の項が電圧を押し上げるのです。

そこで無効電力を吸収して、QX の項で押し下げます——打ち消し合わせるのです。

無効電力を吸収する状態が、遅れ力率です——だから受電点を遅れ力率にするのです。

進み力率にすると逆に電圧を押し上げます——だから記述(1)は誤りです。

分散型電源が連系するときの課題

課題起きること対策
★★電圧上昇★★逆潮流で末端の電圧が上がる★★力率制御・SVR・出力抑制
★★高調波★★インバータから高調波電流が流れ出す★★フィルタの設置
★★単独運転★★系統が停電しても発電が続き危険★★単独運転検出装置
★容量の不足★★配電線の容量を超える★★専用線連系・負荷分割

太陽光も燃料電池も、インバータを通して連系します——直流を交流に変えるから。

インバータはスイッチングするので、高調波が出ます——だからフィルタが要るのです。

単独運転は、作業者の感電につながる危険な状態です——検出してただちに停止させるのです。

これらが系統連系規程で定められています——連系には条件があるのです。

⚠️ よくある間違い
(1)を正しいと考える——電圧を抑えるなら遅れ力率です。
力率改善と混同する——ふつうの負荷とは向きが逆です。
(4)の高調波を無関係と考える——インバータから流出します
(5)を誤りと考える——実際に起きている現象です。
(3)の専用線連系を過剰と考える——大容量では必要になります

⏱️ 本番での進め方
①★逆潮流の電圧上昇は受電点を遅れ力率にして抑える。
②★進み力率にすると電圧はさらに上がる。
③★インバータ連系では高調波フィルタが要る。
④★大容量なら専用線連系や負荷分割で系統を増強する。

💡 覚え方
「上がった電圧は無効電力を吸って下げる」——吸うのが遅れ力率です。ふつうの力率改善とは逆向き——そこが混乱しやすいのです。

逆潮流と電圧調整は令和4年度下期 A問題12配電:配電線路の電圧調整)にあります。

単独運転という危険な状態

段階起きること
★配電線が事故で停電し、遮断器が開く
★②★★分散型電源だけが発電を続ける
★③★★停電したはずの配電線に電圧が残る
★④★★復旧作業をする人が感電する恐れがある

電力会社の側からは、発電が続いていることが分かりません——だから危険なのです。

そこで単独運転検出装置を必ず備えます——系統が止まったら自分も止まるのです。

受動的方式と能動的方式を組み合わせて確実に検出します

インバータから出る高調波

次数特徴影響
★第5調波★★最も大きく現れやすい★★コンデンサの過熱
★第7調波★次に大きい★★機器の振動・うなり
★第3調波★★零相分として中性線に集まる★★中性線の過熱

インバータは半導体を高速で入り切りします——その波形がゆがみのもとです。

ゆがんだ波は、基本波の整数倍の成分に分けられます——それが高調波です。

だからフィルタを入れて流出を抑えます——(4)は正しい記述です。

パワーコンディショナが担う役割

機能内容
★直流を交流に変える★★太陽電池の直流を系統に合わせた交流にする
★最大電力点追従★★日射に応じて最も多く取り出せる点で動作させる
★★力率制御★★無効電力を出し入れして電圧上昇を抑える
★★電圧上昇抑制★★上限に近づくと出力を絞る
★★単独運転検出★★系統停電時にただちに停止する

ただ直流を交流に変えるだけの装置ではありません——系統を守る役目も担うのです。

力率制御が、本問(1)で問われている機能です——遅れ力率にして無効電力を吸収するのです。

それでも足りなければ、出力そのものを絞ります——発電量が減るので最後の手段です。

配電用変電所での逆潮流

従来大規模太陽光が連系した後
★昼間の潮流★★変電所から配電線へ★★配電線から変電所へ逆流することがある
★LRTの動作★★電圧を上げる向き★★下げる向きにも動く必要がある
★配電線の電圧★★末端ほど下がる★★末端ほど上がる

変電所の変圧器を、電気が逆向きに通ることがあります——それが(5)の内容です。

従来の制御は「下がる」前提でした——だから制御方式の見直しが要るのです。

進み力率と遅れ力率の向きを整理する

見る立場遅れ力率とは進み力率とは
★ふつうの負荷★★電動機など。無効電力を消費する★★コンデンサ。無効電力を供給する
★受電点(分散型電源あり)★★系統から無効電力を受け取る=電圧を下げる★★系統へ無効電力を送る=電圧を上げる

ふつうの需要家では、力率改善は進み方向へ寄せることです——コンデンサを入れるのです。

ところが逆潮流の電圧上昇では、向きが逆になります——遅れに寄せて電圧を下げるのです。

目的が違うので、向きも違います——そこを取り違えると(1)を正しいと思ってしまうのです。

電圧上昇を抑える手段の優先順位

手段発電への影響
★①★★力率制御(無効電力の吸収)★★なし
★②★★系統側のSVR・LRTの調整★★なし
★③★★出力抑制★★発電量が減る
★④★★専用線連系・系統増強★★なし(費用がかかる)

まず発電を減らさない方法から試します——せっかくの電気を捨てたくないから。

それでも収まらないときだけ、出力を絞ります——最後の手段です。

まとめ

誤り(1) 逆潮流抑制は遅れ力率(進みは誤り)
SVR逆潮流で電圧維持できない時に設置(2)
大容量連系専用線連系・負荷分割等の増強(3)
高調波電力変換装置→フィルタ設置(4)
大規模連系変電所変圧器に逆潮流増加(5)
答え(1)

▼あわせて解きたい関連問題
・分散型電源の系統連系(配電2):【電力】令和7年度上期 A問題7
・配電線路の電圧調整(配電21):【電力】平成29年度 A問題13

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