送電の計算21【電力】直列コンデンサでA回線10%・並列合成5%!送電電力100MW 平成27年度 B問題17 完全解説

電験3種 電力科目 送電の計算 平成27年度 B問題17 直列コンデンサでXを打ち消す!送電電力は倍増

今回は平成27年度 電力科目 B問題17、A・B2回線と直列コンデンサからなる系統の合成%インピーダンスと送電電力を求める問題です。%法のまま計算を進められるのがポイントです。

2段階:①A回線は直列コンデンサ(−5%)でリアクタンスが打ち消され15−5=10%、B回線は10%、これを並列合成。②送電電力はP=Pbase×(100/%X)×sinδ(定格電圧運転)で一気に出ます。%表示のまま計算できる便利さを味わえます。

目次

平成27年度 電力科目 B問題17:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 送電の計算 平成27年度 B問題17 問題文
平成27年度 電力科目 B問題17 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成27年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 B問題17

電験3種 電力科目 【送電の計算】 平成27年度 B問題17

 図に示すように、線路インピーダンスが異なるA、B回線で構成される154kV系統があったとする。A回線側にリアクタンス5%の直列コンデンサが設置されているとき、次の(a)及び(b)の問に答えよ。なお、系統の基準容量は、10MV・Aとする。

(a) 図に示す系統の合成線路インピーダンスの値〔%〕として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)3.3 (2)5.0 (3)6.0 (4)20.0 (5)30.0 %

(b) 送電端と受電端の電圧位相差δが30度であるとき、この系統での送電電力Pの値〔MW〕として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。ただし、送電端電圧Vs、受電端電圧Vrは、それぞれ154kVとする。

(1)17 (2)25 (3)83 (4)100 (5)152 MW

平成27年度 B問題17 A・B回線と直列コンデンサの系統図
平成27年度 B問題17 A・B回線と直列コンデンサの系統図
平成27年度 B問題17 A・B回線と直列コンデンサの系統図
平成27年度 B問題17 A・B回線と直列コンデンサの系統図
答え(a) 合成線路インピーダンスは 5.0 %です。

(a) の答えは(2):5.0 %

直列コンデンサがリアクタンスを打ち消します

① A回線のリアクタンス

\( \%X_A=15-5=10\ \% \)
直列コンデンサは負のリアクタンス
★打ち消す

② 並列合成する

並列合成
\( \%X=\dfrac{\%X_A\times\%X_B}{\%X_A+\%X_B} \)

抵抗の並列と同じ形

\( \%X=\dfrac{10\times 10}{10+10}=\dfrac{100}{20} \)
A回線10%、B回線10%
\( =5.0\ \% \)
整理して
★答え

直列コンデンサは、リアクタンスを引く働きをします——誘導性を容量性で打ち消すのです。

だから15%から5%を引いて10%になります——足すのではありません

2回線は並列なので、抵抗の並列と同じ計算——%のまま扱えます

(b) の答えは(4):100 MW

送電電力(パーセント法)
\( P=P_n\times\dfrac{100}{\%X}\sin\delta \)

定格電圧で運転しているとき

\( P=10\times\dfrac{100}{5.0}\times\sin 30° \)
基準容量10 MV・A
\( =10\times 20\times 0.5 \)
計算する
\( =100\ \mathrm{MW} \)
整理して
★答え

%のまま計算できるので、Ω に直す必要がありません——電圧も使わずに済むのです。

基準容量に100/%X を掛けるだけ——きわめて簡単です。

sin30°=0.5 を忘れないでください——半分になるのです。

答え(b) 送電電力は 100 MWです。

直列コンデンサの働き

コンデンサなしコンデンサあり
★A回線の%X★15%★★10%
★合成%X★6.0%★★5.0%
★送電電力★83 MW★★100 MW
★安定度★基準★★向上する

リアクタンスが減れば、送電電力が増えます——P=VsVr sinδ/X で反比例だから。

同じ電力なら、相差角δを小さく保てます——だから安定度が上がるのです。

長距離送電線ほど、この効果が大きい——Xが大きいからです。

電線を張り替えるより安く済みます——だから採用されるのです。

⚠️ よくある間違い
直列コンデンサを足してしまう——15+5=20 は誤りです。容量性なので引きます
並列合成を足し算にする——積÷和です。
(b)で電圧を使おうとする——%法なら基準容量だけで足ります
(b)でsin30°を1とする——0.5です
(a)を間違えると(b)も外れる——B問題の構造です。

⏱️ 本番での進め方
①★直列コンデンサはリアクタンスを引く。
②★2回線の並列合成は積÷和。
③★P=Pn×(100/%X)sinδ で電圧が要らない。
④★リアクタンスが減れば送電電力が増える。

💡 覚え方
「コンデンサは引く、回線は並列」——2つの操作で合成%が出ます%法なら電圧を使わずに電力が出せる——基準容量だけで足りるのです。

同じ形の計算は平成30年度 B問題17送電の計算:%リアクタンスと送電電力)にあります。

直列コンデンサとは何か

線路に直列に入れるコンデンサです

項目内容
★入れる場所★★送電線に直列
★働き★★誘導性リアクタンスを打ち消す
★効果★★送電電力が増え、安定度も向上する
★注意★★分路コンデンサとは別のもの

分路コンデンサは、線路に並列に入れます——力率改善が目的です。

直列コンデンサは、線路に直列に入れます——リアクタンスを減らすのが目的

名前が似ていますが、目的も置き方も違います——混同しないことです。

本問は直列なので、リアクタンスから引きます——15−5=10%になります。

合成インピーダンスの感覚をつかむ

抵抗の並列とまったく同じ計算です

並列合成
\( \%X=\dfrac{\%X_A\times\%X_B}{\%X_A+\%X_B} \)

積÷和の形

A回線B回線合成備考
★10%★10%★★5.0%★★同じ値なら半分
★15%★10%★6.0%★コンデンサがない場合
★20%★10%★6.7%★—

同じ値どうしなら、合成は半分になります——覚えておくと速いのです。

片方が小さいと、合成もそれに近づきます——電流が流れやすいほうへ寄るから。

だから直列コンデンサをA回線に入れると、合成も大きく下がります——6.0→5.0%

それが送電電力の増加につながります——83→100 MWになるのです。

直列コンデンサの短所

効果は大きいのですが、注意点もあります

課題内容対処
★★自己励磁現象★★発電機と共振して電圧が暴走する★容量を選ぶ・保護装置
★★次同期共振★★発電機の軸がねじれ振動を起こす★フィルタ・制御
★事故時の過電圧★★短絡電流でコンデンサに高電圧がかかる★保護ギャップを並列に付ける

コンデンサとリアクタンスが共振すると危険です——電圧や振動が増幅されるのです。

とりわけ発電機の軸のねじれ振動は深刻——疲労で破損することもあるから。

だから容量の選定と保護装置が欠かせません——入れれば済むわけではないのです。

それでも長距離送電では、効果が上回ります——だから世界各地で採用されているのです。

%法で電力を出せる理由

電圧が式から消えるからです

送電電力
\( P=\dfrac{V_sV_r}{X}\sin\delta \)

Ω で表した式

パーセント法
\( P=P_n\times\dfrac{100}{\%X}\sin\delta \)

定格電圧運転なら電圧が要らない

%X=PnX/Vn²×100 を代入すると、電圧が約分されます——だから電圧が消えるのです。

ただし定格電圧で運転しているという前提が要ります——Vs=Vr=Vn

本問は両端とも154 kV なので、その条件を満たします——だから使えるのです。

電圧が違えば、Ω に直して計算します——前提を確かめることです。

リアクタンスを減らす他の方法

直列コンデンサだけではありません

方法しくみ効果
★多導体化★★等価半径が大きくなりLが減る★★2導体で2割ほど減
★★直列コンデンサ★★容量性で誘導性を打ち消す★★3〜7割減らせる
★回線を増やす★★並列合成で下がる★2回線で半分
★電線間隔を詰める★D/rが小さくなりLが減る★わずか

直列コンデンサが最も効果が大きい方法です——3〜7割も減らせるのです。

多導体化は、コロナ対策と兼ねられます——一石二鳥

回線を増やすのは確実ですが、費用がかかります——用地も要るのです。

だから既設の線路では、直列コンデンサが選ばれます——設備を足すだけだから。

まとめ

A回線XL15%-XC5%=10%(直列コンデンサ)
B回線10%
合成(10×10)/(10+10)=5.0%
送電電力P=10M×(100/5)×sin30°=100MW
答え(a)-(2),(b)-(4)

▼あわせて解きたい関連問題
・%Xと送電電力(送電の計算16):【電力】平成30年度 B問題17
・送電電力の式(送電の計算9):【電力】令和4年度下期 A問題9

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