今回は平成20年度 電力科目 A問題4を解説します。軽水炉(PWR・BWR)の熱出力調整の方法と、制御棒の操作と出力の関係を埋める空欄補充問題です。
出力調整のペアはPWR=ほう素濃度/BWR=再循環流量(原子力9のR03問5で確認済み)。制御棒は中性子を吸収する棒なので、引き抜けば吸収が減って出力上昇、挿入すれば吸収が増えて出力下降です。
出題のポイント

平成20年度 電力科目 A問題4:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 【原子力】 平成20年度 A問題4
わが国の商業発電用原子炉のほとんどは、軽水炉と呼ばれる型式であり、それには加圧水型原子炉(PWR)と沸騰水型原子炉(BWR)の2種類がある。PWRの熱出力調整は主として炉水中の(ア)の調整によって行われる。一方、BWRでは主として(イ)の調整によって行われる。なお、両型式とも起動又は停止時のような大幅な出力調整は制御棒の調整で行い、制御棒の(ウ)によって出力は上昇し、(エ)によって出力は下降する。上記の記述中の空白箇所(ア)〜(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(ア) (イ) (ウ) (エ) (1) ほう素濃度 再循環流量 挿入 引抜き (2) 再循環流量 ほう素濃度 引抜き 挿入 (3) ほう素濃度 再循環流量 引抜き 挿入 (4) ナトリウム濃度 再循環流量 挿入 引抜き (5) 再循環流量 ほう素濃度 挿入 引抜き
ポイント解説:PWR=ほう素/BWR=再循環流量、制御棒は引抜きで上昇
(ア)(イ):PWRの熱出力調整は、一次冷却材(炉水)に溶かしたほう素の濃度を変えて行う(ほう素は中性子をよく吸収するので、濃度を下げれば出力上昇)。BWRは再循環ポンプの流量を変えて行う——流量を増やすと炉心のボイド(気泡)が減り、減速材が増えて出力が上がる。ナトリウムは高速増殖炉の冷却材で、軽水炉の炉水に溶かすものではない。
(ウ)(エ):制御棒は中性子を吸収する材料(ほう素・カドミウムなど)でできているので、引き抜けば中性子の吸収が減って核分裂が増え出力は上昇、挿入すれば吸収が増えて出力は下降する。起動・停止のような大幅な調整は制御棒で行い、通常運転中の微調整を(ア)(イ)の方法で行う、という役割分担。よって(ア)ほう素濃度・(イ)再循環流量・(ウ)引抜き・(エ)挿入で答えは(3)。
問題の解説
STEP1 (ア)(イ)
PWR=ほう素濃度(ケミカルシム)/BWR=再循環流量(ボイド量で調整)。
STEP2 (ウ)(エ)
制御棒は中性子吸収材→引抜き=出力上昇/挿入=出力下降。
STEP3 組合せ
ほう素濃度・再循環流量・引抜き・挿入→(3)。
答え:(3)
💡 覚え方
出力調整の3点セット:**PWR=ほう素濃度**(中性子吸収材を炉水に溶かす・ケミカルシム)/**BWR=再循環流量**(流量↑→ボイド↓→減速材↑→出力↑)/**制御棒=両型式共通**(大幅調整用。引抜き=上昇・挿入=下降)。R03問5(原子力9)の(5)と同じ知識の空欄版。ナトリウム=高速増殖炉の冷却材で軽水炉には無関係。
⚠️ よくある間違い
(ウ)(エ)の向き——制御棒は「吸収する棒」だから抜けば出力が上がる(挿入で上昇とした(1)(4)(5)は逆)。PWRとBWRの方法を入れ替えた(2)(5)にも注意。ナトリウム濃度は存在しない調整法。
まとめ
| (ア) | PWR=炉水中のほう素濃度で調整 |
| (イ) | BWR=再循環流量で調整(ボイド量) |
| (ウ) | 制御棒の引抜き→中性子吸収が減り出力上昇 |
| (エ) | 制御棒の挿入→吸収が増え出力下降 |
| 答え | (3) |
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