火力45【電験3種 電力】節炭器の熱源は排ガス!蒸気で給水を温めるのは給水加熱器 平成23年度 A問題2 完全解説

電験3種 電力科目 火力 平成23年度 A問題2 節炭器は排ガス・給水加熱器は蒸気!熱源が違う

今回は平成23年度 電力科目 A問題2を解説します。火力発電所のボイラ設備について、ドラム・過熱器・再熱器・節炭器・空気予熱器の5つの説明から誤っているものを選ぶ問題です。

ねらいは節炭器の熱源のすり替え。給水を温める装置は2つあって、節炭器の熱源は煙道の排ガス給水加熱器の熱源はタービンの抽気(蒸気)。「何で温めるか」をセットで覚えているかが試されます。

目次

平成23年度 電力科目 A問題2:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 火力 平成23年度 A問題2 問題文
平成23年度 電力科目 A問題2 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成23年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題2

電験3種 電力科目 【火力】 平成23年度 A問題2

 火力発電所のボイラ設備の説明として、誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

ドラムとは、水分と飽和蒸気を分離するほか、蒸発管への送水などをする装置である。
過熱器とは、ドラムなどで発生した飽和蒸気を乾燥した蒸気にするものである。
再熱器とは、熱効率の向上のため、一度高圧タービンで仕事をした蒸気をボイラに戻して加熱するためのものである。
節炭器とは、ボイラで発生した蒸気を利用して、ボイラ給水を加熱し、熱回収することによって、ボイラ全体の効率を高めるためのものである。
空気予熱器とは、火炉に吹き込む燃焼用空気を、煙道を通る燃焼ガスによって加熱し、ボイラ効率を高めるための熱交換器である。

答え誤っている記述は (4)——「ボイラで発生した蒸気」を「煙道の燃焼ガス」に直せば正しくなります

誤りは(4):節炭器の熱源は排ガス

「ボイラで発生した蒸気を利用して」——ここが誤りです。

装置熱源温める相手
★節炭器★煙道を通る燃焼ガス(排ガス)★ボイラ給水
★給水加熱器★タービンからの抽気(蒸気)★ボイラ給水

温める相手は同じ「給水」——違うのは熱源です。

節炭器は捨てるはずの排ガスから拾う——給水加熱器はタービンの途中から蒸気を分けてもらうのです。

問題文は、節炭器の説明に給水加熱器の熱源を混ぜている——2つを取り違えさせる仕掛けになっています。

ボイラ設備の全体像

本問の5つは、いずれもボイラの主要設備——水と蒸気の流れに沿って並べましょう

設備扱うもの役割
★節炭器★給水(水)★排ガスで予熱する
★ドラム★水と飽和蒸気★水分と蒸気を分離し、蒸発管へ送水する
蒸発管(水冷壁)水→蒸気火炉の熱で蒸発させる
★過熱器★飽和蒸気→過熱蒸気★乾いた高温の蒸気にする
★再熱器★高圧タービンの排気★温め直して低圧タービンへ送る
★空気予熱器★燃焼用空気★排ガスで予熱する

節炭器と空気予熱器が、煙道の余熱を回収する2つ——相手が水か空気かの違いです。

過熱器と再熱器が、蒸気を温める2つ——初めて温めるのが過熱器、温め直すのが再熱器になります。

(1) ドラムの働き

蒸発管から戻ってくるのは、水と蒸気が混ざったもの——これを分ける必要があります

水が混じったまま過熱器へ送ると、管の中で急に蒸発して傷める——だから気水分離器で確実に分けるのです。

分けた水は蒸発管へ戻し、蒸気だけを過熱器へ送る——問題文の記述どおりです。

ボイラの循環方式

方式ドラム水の動かし方適用
★自然循環ボイラ★あり★密度差で自然に循環する低〜中圧
★強制循環ボイラ★あり★循環ポンプで押す高圧
★貫流ボイラ★なし★1本の管を通る間に蒸気になる★超臨界圧

自然循環は、蒸発管の中の水が軽くなることを利用します——気泡を含んだ水は密度が小さいので上へ動くのです。

ところが圧力が高くなると、水と蒸気の密度差が縮まります——自然には循環しなくなるので、ポンプで押すことになります。

臨界圧を超えると、水と蒸気の区別そのものがなくなります——分離すべきものがないのでドラムが不要それが貫流ボイラです。

⚠️ よくある間違い
(2)の過熱器を疑ってしまう——「飽和蒸気を乾燥した蒸気にする」は正しいのです。
飽和蒸気には水滴が混じっています——さらに加熱すれば水滴が蒸発して乾くことになります。
(3)の再熱器を疑ってしまう——「一度高圧タービンで仕事をした蒸気をボイラに戻して加熱」で正しい再熱サイクルの説明そのものです。
(4)と(5)を見比べる——(5)の空気予熱器は「煙道を通る燃焼ガスによって加熱」正しく書かれています同じ煙道の装置なのに(4)だけ熱源が違う——そこに気づけば絞り込めます

⏱️ 本番での進め方
①★節炭器の熱源は排ガス。蒸気ではない。
②★蒸気で給水を温めるのは給水加熱器(抽気を使う)。
③(5)の空気予熱器と見比べると、熱源の違いが浮き上がる。
④節炭器と空気予熱器=排ガス、過熱器と再熱器=蒸気。

💡 覚え方
「節炭器は排ガス、給水加熱器は抽気」——温める相手は同じ給水でも、熱源が違います煙道の装置は排ガスから拾う——これが節炭器と空気予熱器の共通点です。

節炭器と空気予熱器は令和5年度上期 A問題3火力:節炭器と空気予熱器)、再熱・再生サイクルは平成21年度 A問題3火力:熱効率向上策)にあります。

正誤判定の進め方

5つとも「〜とは、〜するものである」という定義の形——熱源と相手を確かめます

記述装置熱源判定
(1)ドラム正しい
(2)過熱器火炉の熱正しい
(3)再熱器ボイラの熱正しい
★(4)★節炭器★「蒸気」としている★誤り(排ガス)
(5)空気予熱器★煙道の燃焼ガス正しい

(4)と(5)は、どちらも煙道の余熱回収装置——なのに(5)だけが「燃焼ガス」と書かれているのです。

同じ場所にある装置なのに熱源が違う——この不一致に気づけば、知識があやふやでも絞り込めます

選択肢どうしを見比べるのは、正誤問題の基本戦術です。

水と蒸気の流れを追う

ボイラの中を、水がどう進んでいくか整理しましょう

場所状態
★節炭器★給水が予熱される(まだ水)
★ドラム★水として溜まる
★蒸発管(水冷壁)★一部が蒸気になる(気水混合)
★ドラム★水と蒸気を分離する
★過熱器★過熱蒸気になる
高圧タービンへ仕事をする

ドラムには2度立ち寄ります——②で入り、③で蒸発管を回って④で戻るのです。

1回の循環で全部が蒸気になるわけではありません——何度も回りながら少しずつ蒸発していくことになります。

だから「循環」という言葉が使われる——b)の「ボイラ水の循環」も、この動きを指しています

貫流ボイラでは流れが変わる

ドラムがないので、循環もありません——1本の管を一度通るだけです。

入口で水、出口で過熱蒸気——途中で連続的に変化していくことになります。

そのぶん水質管理が厳しくなります——不純物を分離するドラムがないからです。復水脱塩装置が必須になります。

節炭器と給水加熱器を並べて見る

本問の誤りは、この2つの取り違えでした——最後にもう一度整理しておきます

★節炭器★給水加熱器
熱源★煙道の排ガス★タービンからの抽気
温める相手★給水★給水
置かれる場所★煙道の中★給水配管の途中
関係するサイクル★排熱回収★再生サイクル

温める相手が同じなので混同しやすい——熱源で区別するのが確実です。

「煙道にあるか、給水配管にあるか」——置かれる場所でも区別できます

実際の発電所では両方が備わっています——給水加熱器で温めた水を、さらに節炭器で温めてからボイラへ送るのです。

順番は「復水器 → 給水加熱器 → 節炭器 → ドラム」——低い温度の熱源から順に使っていくことになります。

抽気は温度が高いので先に、排ガスは節炭器の位置で——それぞれ働きやすい温度帯が決まっているのです。

いずれも「ボイラで加える熱を減らす」という同じ目的——熱源が違うだけで、ねらいは共通しています。

だから問題文が熱源を入れ替えても、後半の説明はそのまま成り立つ——見落としやすい理由がここにあります。

まとめ

(1)ドラム汽水分離+蒸発管への送水→正しい
(2)過熱器飽和蒸気を乾燥した蒸気(過熱蒸気)に→正しい
(3)再熱器高圧タービンで仕事をした蒸気を再加熱→正しい
(4)節炭器熱源は排ガス(蒸気ではない)→誤り
(5)空気予熱器燃焼ガスで燃焼用空気を加熱→正しい。答えは(4)

▼あわせて解きたい関連問題
・節炭器は飽和温度以下までの予熱(火力31):【電力】平成28年度 A問題3

・この年度の問題を通しで解く:電験3種 平成23年度 問題一覧(全4科目)

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