火力36【電験3種 電力】T-s線図で追うランキンサイクル!給水ポンプは断熱「圧縮」 平成26年度 A問題2 完全解説

電験3種 電力科目【火力】平成26年度 A問題2 誤りは(1)——給水ポンプで圧力を高めるのは断熱圧縮(断熱膨張はタービンのD→E)

今回は平成26年度 電力科目 A問題2を解説します。汽力発電所の熱サイクル(ランキンサイクル)を温度-エントロピー線図(T-s線図)で示し、A→B→C→D→E→Aの各過程の説明から誤っているものを選ぶ問題です。

各過程は「ポンプ=断熱圧縮」「ボイラ・過熱器=等圧受熱」「タービン=断熱膨張」「復水器=等圧放熱」の4種類しかありません。圧力を高めるのに「膨張」はあり得ない——用語の対応さえ覚えていれば一発です。

出題のポイント

目次

平成26年度 電力科目 A問題2:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 火力 平成26年度 A問題2 問題文
平成26年度 電力科目 A問題2 問題文

電験3種 電力科目 【火力】 平成26年度 A問題2

 図に示す汽力発電所の熱サイクルにおいて、各過程に関する記述として誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

A→B:給水が給水ポンプによりボイラ圧力まで高められる断熱膨張の過程である。
B→C:給水がボイラ内で熱を受けて飽和蒸気になる等圧受熱の過程である。
C→D:飽和蒸気がボイラの過熱器により過熱蒸気になる等圧受熱の過程である。
D→E:過熱蒸気が蒸気タービンに入り復水器内の圧力まで断熱膨張する過程である。
E→A:蒸気が復水器内で海水などにより冷やされ凝縮した水となる等圧放熱の過程である。

図 汽力発電所の熱サイクル(温度-エントロピー線図、A→B→C→D→E)(問題図)
図 汽力発電所の熱サイクル(温度-エントロピー線図、A→B→C→D→E)(問題図)

ポイント解説:圧力を高めるのは断熱「圧縮」——膨張はタービン

(1)が誤り:A→Bは給水ポンプが復水(水)をボイラ圧力まで昇圧する過程で、外部と熱のやりとりをせずに圧力を高めるのだから断熱圧縮である。「断熱膨張」は圧力が下がる過程を指す言葉で、このサイクルでは(4)のタービン(D→E)がそれに当たる。「ポンプで高められる」と「膨張」が同じ文に同居している時点で矛盾しており、そこに気付けるかが全て。

その他は正しい:(2)B→Cはボイラ(蒸発管)で給水が等圧のまま熱を受けて飽和蒸気になる等圧受熱(途中の水平部分は飽和温度のまま蒸発が進む区間)。(3)C→Dは過熱器で飽和蒸気が過熱蒸気になる等圧受熱。(4)D→Eは蒸気タービンで復水器内の圧力まで断熱膨張して仕事をする過程。(5)E→Aは復水器で海水に熱を捨てて凝縮する等圧放熱。よって答えは(1)。

問題の解説

STEP1 4つの過程の対応

ポンプ=断熱圧縮/ボイラ・過熱器=等圧受熱/タービン=断熱膨張/復水器=等圧放熱。

STEP2 (1)を判定

A→Bはポンプで圧力を「高める」のだから断熱圧縮。「断熱膨張」は矛盾→(1)が誤り。

STEP3 他を確認

(2)(3)等圧受熱、(4)タービンの断熱膨張、(5)復水器の等圧放熱——いずれも正しい。

答え:(1)

💡 覚え方
ランキンサイクルの4過程(T-s線図とセットで):**A→B給水ポンプ=断熱圧縮**(圧力↑・温度はわずかに上昇)/**B→C→Dボイラ・過熱器=等圧受熱**(B→C途中の水平区間は飽和温度で蒸発中、C→Dで過熱蒸気に)/**D→E蒸気タービン=断熱膨張**(仕事を取り出す。T-s線図では垂直に落ちる)/**E→A復水器=等圧放熱**(凝縮して水へ)。断熱=エントロピー一定(垂直線)、等圧受熱・放熱=圧力一定。

⚠️ よくある間違い
「ポンプ=膨張」の矛盾を見逃さない——圧力を高める装置に膨張はない。断熱圧縮(ポンプ)と断熱膨張(タービン)は対。T-s線図で垂直な線は断熱(エントロピー一定)=A→BとD→E。P-V線図(平成28年度B問題15)とT-s線図の両方で出題されるので、どちらの線図でも各辺と装置を対応付けられるようにしておく。

まとめ

(1)A→B給水ポンプ=断熱圧縮(膨張ではない)→誤り
(2)B→Cボイラで飽和蒸気になる等圧受熱→正しい
(3)C→D過熱器で過熱蒸気になる等圧受熱→正しい
(4)D→Eタービンで断熱膨張→正しい
(5)E→A復水器で等圧放熱→正しい。答えは(1)

▼あわせて解きたい関連問題
・P-V線図からタービン効率と発電機効率(火力32):【電力】平成28年度 B問題15

・この年度の問題を通しで解く:電験3種 平成26年度 問題一覧(全4科目)

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