火力32【電験3種 電力】P-V線図からタービン効率と発電機効率を求める!使うのはC点とD点だけ 平成28年度 B問題15 完全解説

電験3種 電力科目 火力 平成28年度 B問題15 P-V線図の2点だけ使う!効率を読み解く

今回は平成28年度 電力科目 B問題15を解説します。ランキンサイクルのP-V線図上のA〜D点の比エンタルピーが与えられ、使用蒸気量100t/h・タービン出力18MWのとき、(a)タービン効率と(b)発電機効率を求める問題です。

4点のエンタルピーが並びますが、タービンで使うのは入口C(3380)と出口D(2560)の差=820kJ/kgだけ。A・Bは給水側の値で、本問では使いません。(b)は所内比率5%で発電端に戻してからタービン出力18MWで割ります。

目次

平成28年度 電力科目 B問題15:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 火力 平成28年度 B問題15 問題文
平成28年度 電力科目 B問題15 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成28年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 B問題15

電験3種 電力科目 【火力】 平成28年度 B問題15

 図は、あるランキンサイクルによる汽力発電所のP-V線図である。この発電所が、A点の比エンタルピー140kJ/kg、B点の比エンタルピー150kJ/kg、C点の比エンタルピー3380kJ/kg、D点の比エンタルピー2560kJ/kg、蒸気タービンの使用蒸気量100t/h、蒸気タービン出力18MWで運転しているとき、次の(a)及び(b)の問に答えよ。

図は、あるランキンサイクルによる汽力発電所のP-V線図である。この発電所が、A点の比エンタルピー140kJ/kg、B点の比エンタルピー150kJ/kg、C点の比エンタルピー3380kJ/kg、D点の比エンタルピー2560kJ/kg、蒸気タービンの使用蒸気量100t/h、蒸気タービン出力18MWで運転しているとき、次の(a)及び(b)の問に答えよ。
(a) タービン効率の値[%]として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)58.4 (2)66.8 (3)79.0 (4)95.3 (5)96.7 %

(b) この発電所の送電端電力16MW、所内比率5%のとき、発電機効率の値[%]として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)84.7 (2)88.6 (3)88.9 (4)89.2 (5)93.6 %

図 ランキンサイクルによる汽力発電所のP-V線図(A→B→C→D)(問題図)
図 ランキンサイクルによる汽力発電所のP-V線図(A→B→C→D)(問題図)
図 ランキンサイクルによる汽力発電所のP-V線図(A→B→C→D)(問題図)
図 ランキンサイクルによる汽力発電所のP-V線図(A→B→C→D)(問題図)

(a) どの2点を使うか

4つの点が与えられていますが、タービンで使うのは2つだけです。

場所比エンタルピー(a)で使うか
A復水器出口(給水ポンプ入口)140 kJ/kg使わない
B給水ポンプ出口(ボイラ入口)150 kJ/kg使わない
★C★タービン入口★3380 kJ/kg★使う
★D★タービン出口★2560 kJ/kg★使う

タービンが仕事をするのは C→D の区間——その熱落差だけが関係します

A と B は給水ポンプの前後——差はわずか10 kJ/kgポンプの仕事が小さいことを表しています

\( \Delta h=3380-2560=820\ [\mathrm{kJ/kg}] \)
熱落差
★C−D
\( m=\dfrac{100\times 10^3}{3600}=27.78\ [\mathrm{kg/s}] \)
100 t/h を kg/s に
★÷3.6
\( P_{th}=27.78\times 820=22\,778\ [\mathrm{kW}] \)
理論出力
\( \eta_T=\dfrac{18\,000}{22\,778}=0.790 \)
割り算する
★79.0 %
答え(a) の正解は (3)——約79.0 % です。

(b) 送電端から発電機効率へ

送電端16 MW から、まず発電端に戻します

\( P_g=\dfrac{16}{1-0.05}=16.84\ [\mathrm{MW}] \)
所内比率5 % を戻す
★発電端出力
\( \eta_G=\dfrac{16.84}{18}=0.9357 \)
タービン出力18 MW で割る
★93.6 %

発電機効率は「軸出力のうち電気になった割合」——分母はタービン出力18 MW です。

所内で使う分は、発電機を出た後で差し引かれます——だから発電端に戻してから比べることになります。

答え(b) の正解は (5)——約93.6 % です。

3つの出力を区別する

出力本問の値意味
★タービン出力★18 MW★タービンの軸で取り出した仕事
★発電端出力★16.84 MW★発電機の端子で測った電気
★送電端出力★16 MW★所内分を引いて送り出す電気

3つは順に小さくなっていきます——それぞれの段階で損失があるからです。

\( 18\rightarrow 16.84 \)
発電機効率93.6 %
★1.16 MW を失う
\( 16.84\rightarrow 16 \)
所内比率5 %
★0.84 MW を所内で使う

どちらから問われているかを確かめる——それが計算の出発点になります。

⚠️ よくある間違い
(a)で A 点や B 点を使ってしまう——3380−150=3230 とすると58.4 % となり選択肢(1)に一致します。
タービンが仕事をするのは C→D だけ——ボイラで加える熱(C−B)とは別です。
(a)で t/h を kg/s に直し忘れる——桁が外れるので気づけます。
(b)で所内比率を掛けてしまう——16×0.95=15.2 として計算すると84.4 % となり選択肢(1)の84.7 に近づきます
(b)で所内比率を無視する——16/18=88.9 % となり選択肢(3)に一致します。これも用意された誤りです。

⏱️ 本番での進め方
①(a)★タービンで使うのは C と D の2点だけ。
②(a) A−B は給水ポンプの仕事。差はわずか10 kJ/kg。
③(b)★送電端÷(1−所内比率)=発電端。割る。
④(b) 発電機効率の分母はタービン出力。

💡 覚え方
「タービンは C から D まで」——入口と出口の差だけが仕事になりますそして出力は タービン>発電端>送電端——順に小さくなると覚えましょう。

タービン効率の計算は令和4年度上期 A問題3火力:発電機出力からタービン効率)、P-V線図は平成20年度 A問題3火力:ランキンサイクルの4過程)にあります。

P-V線図の4点を確認する

ランキンサイクルの4点が、どこに対応するか見ておきましょう

状態区間過程
A★飽和水(復水器出口)A→B★断熱圧縮(給水ポンプ)
B★圧縮水(ボイラ入口)B→C★等圧受熱(ボイラ)
C★過熱蒸気(タービン入口)C→D★断熱膨張(タービン)
D★湿り蒸気(タービン出口)D→A★等圧放熱(復水器)

タービンが仕事をするのは C→D だけ——だから(a)では C と D しか使いません

B→C はボイラで加える熱——3380−150=3230 kJ/kg熱効率を求めるなら、こちらが分母になります。

\( \eta=\dfrac{3380-2560}{3380-150}=\dfrac{820}{3230}=0.254 \)
参考:ランキンサイクルの熱効率
★25.4 %

本問では問われていませんが、同じ数値から計算できます——何を分母にするかで、まったく違う値になるのです。

タービン効率79.0 % と熱効率25.4 %——混同しないよう、分母を確かめることが大切でしょう。

この1問で押さえること

(a)のタービン効率は C と D の2点だけを使います——熱落差820 kJ/kg、蒸気量27.78 kg/s で理論出力22,778 kW18,000÷22,778=79.0 % です。

A や B を使うと58.4 % となり、選択肢(1)に誘導されます——ボイラで加える熱とタービンの仕事は別です。

(b)は送電端16 MW を(1−0.05)で割って発電端16.84 MW——それをタービン出力18 MW で割って93.6 % になります。

3つの出力と2つの効率

段階出力効率
★タービン軸★18 MW
★発電機の端子★16.84 MW★発電機効率93.6 %
★送電端★16 MW★所内比率5 %

順に小さくなっていきます——だから戻すときは割ることになります。

所内比率を掛けると84.4 %、無視すると88.9 %——どちらも選択肢に用意されています

P-V線図から読み取れること

本問の4点は、体積の変化に注目すると理解しやすくなります

区間体積の変化比エンタルピーの変化
A→B★ほとんど変わらない(水は縮まない)★+10 kJ/kg(ポンプの仕事)
B→C★大きく増える(水→蒸気)★+3230 kJ/kg(ボイラで加える熱)
C→D★さらに増える(膨張)★−820 kJ/kg(取り出す仕事)
D→A★大きく減る(蒸気→水)★−2420 kJ/kg(捨てる熱)

加えた3230 のうち、取り出せたのは820——残る2420 は復水器で捨てています

捨てる熱が取り出す仕事の3倍——ポンプの仕事10 kJ/kg は、それに比べればごくわずかです。

だからランキンサイクルの効率計算では、ポンプの仕事を無視できる——本問の A と B の差が、その小ささを示していることになります。

まとめ

P-V線図A→Bポンプ・B→Cボイラ・C→Dタービン・D→A復水器
(a)熱落差h_C−h_D=3380−2560=820kJ/kg(A・Bは使わない)
(a)タービン効率18×10³×3600/(100×10³×820)≒79.0%→(3)
(b)発電端出力送電端16MW/(1−0.05)≒16.84MW
(b)発電機効率16.84/18≒93.6%→(5)

▼あわせて解きたい関連問題
・タービン効率の計算(火力18):【電力】令和4年度上期 A問題3

・この年度の問題を通しで解く:電験3種 平成28年度 問題一覧(全4科目)

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