火力24【電験3種 電力】熱効率向上方法で「正しいもの」を選ぶ!4つは向きが逆 令和元年度 A問題3 完全解説

電験3種 電力科目【火力】令和元年度 A問題3 正しいのは(2)——復水器の真空度を高くすると蒸気が十分に膨張して大きな回転力を与える

今回は令和元年度 電力科目 A問題3を解説します。汽力発電所における熱効率向上方法として正しいものを選ぶ問題です。

★注意すべきは「正しいもの」を選ぶ形式だということ。火力5のような「誤っているもの」とは逆で、4つが誤り・1つだけ正しいという構成です。しかも誤りの4つはすべて向き(高い/低い・する/しない・増加/減少)が逆にされています。

出題のポイント

目次

令和元年度 電力科目 A問題3:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 火力 令和元年度 A問題3 問題文
令和元年度 電力科目 A問題3 問題文

電験3種 電力科目 【火力】 令和元年度 A問題3

 汽力発電所における熱効率向上方法として、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

タービン入口蒸気として、極力、温度が低く、圧力が低いものを採用する。
復水器の真空度を高くすることで蒸気はタービン内で十分に膨張して、タービンの羽根車に大きな回転力を与える。
節炭器を設置し、排ガス温度を上昇させる。
高圧タービンから出た湿り飽和蒸気をボイラで再熱させないようにする。
高圧及び低圧のタービンから蒸気を一部取り出し、給水加熱器に導いて給水を加熱させ、復水器に捨てる熱量を増加させる。

ポイント解説:正しいのは(2)。他の4つはすべて向きが逆

(2)が正しい:復水器の真空度を高くするとタービンの背圧(出口圧力)が下がるので、蒸気はタービン内で十分に膨張できるようになり、その分だけ羽根車に大きな回転力を与える。つまり熱落差が増えて熱効率が向上する——これが復水器を高真空に保つ理由そのものである。

残り4つはすべて向きが逆
(1)タービン入口蒸気は温度・圧力とも高いものを採用するのが向上策(高温高圧ほど熱落差が大きく平均受熱温度が上がる)。
(3)節炭器は排ガスの余熱で給水を加熱する装置なので、設置すれば排ガス温度は低下する。捨てていた熱を回収したから下がるのであって、上昇させたら熱を捨てているだけになる。
(4)高圧タービンから出た湿り飽和蒸気は、ボイラの再熱器で再熱させるのが向上策(再熱サイクル)。効率が上がるうえ、低圧タービン翼の湿りが減って壊食も防げる。
(5)タービンから蒸気を一部抽気して給水加熱器で給水を加熱するのは再生サイクルで正しいが、その効果は復水器に捨てる熱量を減少させることである(抽気したぶん復水器へ行く蒸気が減る)。「増加させる」では損失を増やす話になってしまう。よって答えは(2)。

問題の解説

STEP1 設問の形式を確認

本問は「正しいもの」を選ぶ形式。誤り4つ・正しい1つ。

STEP2 (2)を検証

真空度↑→背圧↓→蒸気が十分に膨張→羽根車に大きな回転力=熱落差増→効率向上。正しい。

STEP3 他の4つの向きを直す

(1)高温高圧が正解、(3)排ガス温度は低下、(4)再熱させるのが正解、(5)復水器に捨てる熱量は減少——すべて逆で誤り→(2)。

答え:(2)

💡 覚え方
汽力発電の熱効率向上策(向きをセットで覚える):①タービン入口蒸気は**高温高圧**②復水器の**真空度は高く**(背圧↓→膨張↑→熱落差↑)③節炭器・空気予熱器で**排ガス温度を低下**(熱を回収した結果)④**再熱サイクル**=高圧タービンの排気を再熱器で温め直す(効率↑+低圧翼の湿り軽減)⑤**再生サイクル**=抽気で給水を加熱→**復水器に捨てる熱量が減少**。★「正しいものを選べ」の年度もあるので設問文を必ず読む(火力5は「誤っているもの」で答えは(4))。

⚠️ よくある間違い
**設問が「正しいもの」か「誤っているもの」かを最初に確認する**——ここを読み違えると全滅する。誤りの選択肢は「高い⇔低い」「上昇⇔低下」「する⇔しない」「増加⇔減少」と向きを逆にして作られるので、向上策を覚えるときは必ず**向きとセット**で覚える。(5)は再生サイクルの説明自体は合っているが「増加」が誤り——最後まで読むこと。

まとめ

(1)入口蒸気正しくは高温高圧→誤り
(2)復水器の真空度↑背圧↓→十分に膨張→大きな回転力→正しい
(3)節炭器排ガス温度は低下させる→誤り
(4)再熱再熱させるのが向上策→誤り
(5)再生復水器に捨てる熱量は減少させる→誤り。答えは(2)

▼あわせて解きたい関連問題
・汽力発電の熱効率向上対策(火力5・「誤っているもの」形式):【電力】令和6年度下期 A問題2

・この年度の問題を通しで解く:電験3種 令和元年度 問題一覧(全4科目)

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