火力23【電験3種 電力】汽力発電所の保護装置!蒸気加減弁の引っかけは同じでも答えの番号は違う 令和2年度 A問題3 完全解説

電験3種 電力科目 火力 令和2年度 A問題3 同じ引っかけでも答えは別番号!保護装置の判定

今回は令和2年度 電力科目 A問題3を解説します。汽力発電所の保護装置についてa)〜e)の記述を読み、適切なものと不適切なものの組合せを選ぶ問題です。★この問題は火力1(令和7年度下期 A問題3)とほぼ同じ内容の再出題ですが、選択肢の並びが違うため答えの番号も異なります(令和7年度下期は(4)、本問は(1))。

ねらいは前回とまったく同じで、「蒸気加減弁」と「安全弁」の取り違え。蒸気圧力が上がりすぎたときに蒸気を放出するのは安全弁です。ただし答えの番号を暗記していると外します——毎回きちんとa)〜e)を判定しましょう。

目次

令和2年度 電力科目 A問題3:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 火力 令和2年度 A問題3 問題文
令和2年度 電力科目 A問題3 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和2年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題3

電験3種 電力科目 【火力】 令和2年度 A問題3

 次のa)〜e)の文章は、汽力発電所の保護装置に関する記述である。これらの文章の内容について、適切なものと不適切なものの組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

a) 蒸気タービンの回転速度が定格を超える一定値以上に上昇すると、自動的に蒸気止弁を閉じて、タービンを停止する非常調速機が設置されている。
b) ボイラ水の循環が円滑に行われないとき、水管の焼損事故を防止するため、燃料を遮断してバーナを消火させる燃料遮断装置が設置されている。
c) 負荷の緊急遮断等によって、ボイラ内の蒸気圧力が一定限度を超えたとき、蒸気を放出させて機器の破損を防ぐため、蒸気加減弁が設置されている。
d) 蒸気タービンの軸受油圧が異常低下したとき、タービンを停止させるトリップ装置が設置されている。
e) 発電機固定子巻線の内部短絡を検出・保護するために、比率差動継電器が設置されている。

abcde
(1)適切適切不適切適切適切
(2)不適切不適切不適切不適切適切
(3)適切適切不適切適切不適切
(4)不適切適切適切不適切適切
(5)不適切不適切適切適切不適切
答え正解は (1)——a)適切 b)適切 c)不適切 d)適切 e)適切 です。

不適切は c) だけ:蒸気を放出するのは安全弁

蒸気加減弁はタービンへ送る蒸気量を調整する弁——圧力を逃がす装置ではありません

★蒸気加減弁★安全弁
蒸気の行き先★タービンへ★大気へ放出
目的★出力の調整★圧力超過の防止
動くとき★通常運転中★異常時のみ

加減弁を閉じても、ボイラの圧力は下がりません——行き場を失って、むしろ上がるのです。

だから大気へ逃がす専用の弁が別に要る——それが安全弁になります。

この設問は3年度で出題されている

まったく同じ知識が、形を変えて繰り返し問われています

年度出題形式誤り/不適切の箇所答え
★平成24年度 A3★5つの記述から誤りを選ぶ★(1) 蒸気加減弁★(1)
★令和2年度 A3(本問)★a)〜e)の適切/不適切の組合せ★c) 蒸気加減弁★(1)
★令和7年度下期 A3★a)〜e)の適切/不適切の組合せ★c) 蒸気加減弁★(4)

令和2年度と令和7年度下期は、a)〜e)の文面まで同一——違うのは選択肢の並びだけです。

だから答えの番号が(1)と(4)に分かれる——「この問題は(1)」と番号で覚えるのは危険だと分かります。

覚えるべきは「c) が不適切」という中身のほう——そこから組合せを探せば、どちらの年度でも解けます

組合せ問題の解き方

5つすべてを判定する必要はありません——確信のあるものから絞ります

段階やること本問では
★確実に判定できるものを1つ決める★c) は不適切
★選択肢を絞る★c)が「不適切」なのは(1)(2)(3)
★もう1つ判定する★a) は適切 →(1)(3)
★残りで確定★e) は適切 →(1)

3つ判定すれば確定します——5つ全部を吟味する必要はありません

組合せ問題は、選択肢の表が絞り込みの道具になる——1つ判定するたびに候補が減るのです。

⚠️ よくある間違い
c) を適切と判断してしまう——「蒸気加減弁」という実在する部品名が使われているので見過ごしやすいのです。
働きの説明「蒸気を放出させて機器の破損を防ぐ」は、安全弁として完全に正しい——だから説明文ではなく装置名を疑うことになります。
e) を不適切と判断してしまう——比率差動継電器は発電機の内部短絡保護の定番です。機械科目や法規でも出てきます
令和7年度下期の答え(4)を覚えていて、そのまま選ぶ——本問は(1)選択肢の並びが違うので、必ず表を確認しましょう。

⏱️ 本番での進め方
①★c) 蒸気を放出するのは安全弁。加減弁は調整用。
②★同じ設問が3年度で出題。番号で覚えない。
③組合せ問題は3つ判定すれば確定する。
④装置名が正しくても、働きが違えば不適切。

💡 覚え方
「加減弁は送る、安全弁は逃がす」——蒸気の行き先が違いますそして答えの番号は年度で変わる——中身で覚えましょう

同じ内容が平成24年度 A問題3火力:汽力発電所の保護装置)、令和7年度下期 A問題3火力:汽力発電所の保護装置)にあります。

5つの保護装置を対象別に整理する

a)〜e)は、守る対象で3つに分かれます

対象記述装置守るもの
★タービン★a)★非常調速機★過速度による破壊
★ボイラ★b)★燃料遮断装置★水管の焼損
★ボイラ★c)★安全弁(加減弁は誤り)★圧力超過
★タービン★d)★トリップ装置★軸受の焼き付き
★発電機★e)★比率差動継電器★巻線の焼損

ボイラは「熱の暴走」、タービンは「回転の暴走」、発電機は「電気の異常」——守るものが違えば、検出するものも違います

5つの記述が3つの対象をきれいに網羅している——よくできた出題だと言えるでしょう。

d) 軸受油圧が下がるとなぜ危険か

タービンの軸は、油の膜の上に浮いています——金属どうしは触れていません

油が切れると、3,000 min-1 で回る軸が直接こすれます——一瞬で焼き付くのです。

だから油圧の低下は、即座に停止させるべき異常——a) の過速度と並ぶ、タービンの二大保護になります。

この1問で押さえること

c) が不適切——蒸気を放出して圧力超過を防ぐのは安全弁で、蒸気加減弁はタービンへの流量を調整する弁です。

働きの説明そのものは安全弁として正しい——だから説明文ではなく装置名を疑うことになります。

a) b) d) e) はいずれも標準的な保護装置——5つのうち1つだけが不適切という構成です。

同じ知識が3年度で問われている

年度形式答え
平成24年度 A35択から誤りを選ぶ(1)
★令和2年度 A3(本問)★a〜e の組合せ★(1)
★令和7年度下期 A3★a〜e の組合せ(文面も同一)★(4)

令和2年度と令和7年度下期は a)〜e) の文面まで同じ——違うのは選択肢の並びだけです。

だから答えの番号を覚えるのは危険——「c) が不適切」という中身で覚えましょう

保護装置が連鎖して働く

1つの異常が、いくつもの動作を引き起こします——インターロックと呼ばれる仕組みです。

段階起きること関係する記述
異常を検出(速度上昇・油圧低下など)a) d)
★蒸気止弁が閉じてタービンが停止a)
発電機が系統から切り離されるe)
★ボイラの蒸気が行き場を失い圧力が上がる
★安全弁が開いて蒸気を放出★c)(加減弁ではない)
燃料が遮断されるb)

タービンを止めても、ボイラは火が入ったまま——だから圧力を逃がす弁が別に必要になります。

c) が「蒸気加減弁」では、この連鎖が成り立ちません——加減弁の行き先はタービンで、そのタービンは止まっているからです。

装置どうしの関係を理解しておけば、c) の誤りが構造的に見えてきます

弁の名前を整理しておく

汽力発電所には似た名前の弁が並びます——行き先と目的で区別しましょう

蒸気の行き先目的動くとき
★蒸気加減弁★タービン★出力の調整★常時
★蒸気止弁★(遮断)★タービンの緊急停止★非常時
★安全弁★大気★圧力超過の防止★異常時
逃がし弁大気または復水器安全弁より先に圧力を逃がす異常の初期

加減弁と止弁はタービン側、安全弁と逃がし弁はボイラ側——守る対象が違います

c) の記述は「ボイラ内の蒸気圧力」で始まっている——ボイラ側の話なのに、タービン側の弁を挙げているのが誤りです。

主語がボイラなら、答えはボイラ側の弁——そう読めば1秒で判定できます

まとめ

a)非常調速機速度上昇時に蒸気止弁を閉じ停止→適切
b)燃料遮断装置循環不良時にバーナ消火し水管焼損を防止→適切
c)蒸気加減弁蒸気を放出するのは安全弁。加減弁は流量調整→不適切
d)トリップ装置軸受油圧の異常低下で停止→適切
e)比率差動継電器固定子巻線の内部短絡を検出→適切。答えは(1)

▼あわせて解きたい関連問題
・汽力発電所の保護装置(火力1・同内容だが答えは(4)):【電力】令和7年度下期 A問題3

・この年度の問題を通しで解く:電験3種 令和2年度 問題一覧(全4科目)

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