今回は令和3年度 電力科目 B問題15を解説します。定格出力350MWの発電機が時間帯ごとに出力を変えて運転したとき、(a)0時から24時の送電端電力量と、(b)LNGを770t消費した場合の発電端熱効率を求める問題です。
ポイントは「発電端」と「送電端」を混同しないこと。表から出るのは発電端電力量で、そこから所内で使った分(所内率2%)を引いたものが送電端。そして(b)の発電端熱効率には所内率を使いません。
令和3年度 電力科目 B問題15:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和3年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 B問題15
電験3種 電力科目 【火力】 令和3年度 B問題15
ある火力発電所にて、定格出力350MWの発電機が下表に示すような運転を行ったとき、次の(a)及び(b)の問に答えよ。ただし、所内率は2%とする。
【発電機の運転状態】0時〜7時:130MW/7時〜12時:350MW/12時〜13時:200MW/13時〜20時:350MW/20時〜24時:130MW
時刻 発電機出力[MW] 0時〜7時 130 7時〜12時 350 12時〜13時 200 13時〜20時 350 20時〜24時 130 (a) 0時から24時の間の送電端電力量の値[MW·h]として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)4 660 (2)5 710 (3)5 830 (4)5 950 (5)8 230 MW·h
(b) 0時から24時の間に発熱量54.70MJ/kgのLNG(液化天然ガス)を770t消費したとすると、この間の発電端熱効率の値[%]として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)44 (2)46 (3)48 (4)50 (5)52 %
出題のポイント:発電端と送電端を小問ごとに区別

時間帯ごとの発電機出力に運転時間を掛けると、1日の発電端電力量は5,830 MW・hです。(a)は送電端を求めるため所内率2%を差し引いて5,713.4 MW・h、最も近い選択肢は(2)の5,710 MW・hです。(b)は発電端熱効率なので所内率を使わず、電気エネルギーを燃料の入熱で割ると約49.8%となり、選択肢(4)の50%です。
(a) 運転表から電力量を積み上げる

時間帯ごとに出力×時間を計算し、足し合わせます。
| 時間帯 | 出力 | 時間 | 電力量 |
| 0〜7時 | 130 MW | 7 h | 910 MW·h |
| 7〜12時 | 350 MW | 5 h | 1,750 MW·h |
| 12〜13時 | 200 MW | 1 h | 200 MW·h |
| 13〜20時 | 350 MW | 7 h | 2,450 MW·h |
| 20〜24時 | 130 MW | 4 h | 520 MW·h |
| ★合計 | — | 24 h | ★5,830 MW·h(発電端) |
時間を足すと24時間——抜けや重なりがないかを確かめられます。
★約5,710 MW·h
選択肢(3)の5,830は、所内率を引き忘れた発電端の値——そのまま用意されています。
(b) 今度は発電端で計算する
(a)で求めた送電端ではなく、発電端5,830 MW·h を使います。
★54.70 MJ/kg=54,700 kJ/kg
★約50 %
「発電端熱効率」と問われている——所内率を引いた送電端の値を使ってはいけません。
同じ問題の中で、(a)は送電端、(b)は発電端——小問ごとに確認する必要があります。
熱効率50 % という水準
| 方式 | 発電端熱効率 | 本問との比較 |
| 汽力(重油・石炭) | 40〜43 % | これより高い |
| ★LNGコンバインド | ★50〜62 % | ★本問はこの範囲 |
燃料が LNG で効率が50 %——コンバインドサイクル発電所だと分かります。
出力を130 MW まで絞る運転をしているのも、台数制御ができるコンバインドらしいところです。
定格350 MW に対して130 MW=37 %——汽力なら効率が大きく落ちる領域になります。
⚠️ よくある間違い
(a)で所内率を引き忘れる——5,830となって選択肢(3)に一致します。最も多い誤りでしょう。
(a)で所内率を割ってしまう——5,949 となって選択肢(4)に一致します。送電端は小さいので掛けるのが正解です。
(b)で送電端5,713 を使う——48.8 % となって選択肢(3)の48 に近づきます。「発電端熱効率」と問われています。
(b)で MJ を kJ に直し忘れる——54.70 MJ/kg=54,700 kJ/kg。桁が3つずれます。
⏱️ 本番での進め方
①(a)★送電端=発電端×(1−所内率)。引き忘れると(3)。
②(a) 時間の合計が24時間かで検算。
③(b)★「発電端」熱効率なので5,830をそのまま使う。
④★54.70 MJ/kg=54,700 kJ/kg。単位に注意。
💡 覚え方
「(a)は送電端、(b)は発電端」——同じ問題でも小問ごとに違います。問われた言葉をそのまま拾うのが確実です。
運転表から効率を求める問題は平成24年度 B問題15(火力:30日連続運転と運転表)、平成20年度 B問題15(火力:皮相電力×力率と送電端熱効率)にもあります。
LNG の発熱量が高い理由
本問の54.70 MJ/kg は、燃料の中でも飛び抜けて高い値です。
| 燃料 | 発熱量 | 水素の割合 |
| 石炭 | 25,000〜34,000 kJ/kg | 5 % 前後 |
| 重油 | 44,000 kJ/kg | 15 % |
| ★LNG(メタン) | ★54,700 kJ/kg | ★25 %(CH₄) |
水素が多いほど発熱量が高くなります——水素は炭素より単位質量あたりの発熱量が大きいからです。
メタン CH₄ は、炭素1個に水素4個——燃料の中で最も水素比率が高いことになります。
だから同じ熱量あたりの CO₂ が最も少ない——発熱量の高さと CO₂ の少なさは、同じ理由から来ているのです。
所内率2 % という低さ
本問の所内率は2 %——石炭火力の5〜7 % に比べてかなり低い値です。
コンバインドサイクルは大形補機が少ない——微粉炭機も集じん装置も要りません。
燃料と効率と所内率——3つとも LNGコンバインドの特徴を表していることになります。
この1問で押さえること
(a)は運転表から発電端5,830 MW·h を積み上げ、(1−0.02)を掛けて送電端5,710 MW·h——引き忘れると選択肢(3)になります。
(b)は「発電端」熱効率なので、5,830 をそのまま使います——送電端の値を使うと48.8 % で選択肢(3)に近づきます。
LNG は54.70 MJ/kg=54,700 kJ/kg——単位の読み替えを忘れないことです。
運転パターンから発電所の性格を読む
| 時間帯 | 出力 | 定格比 |
| 深夜・早朝 | 130 MW | ★37 % |
| 昼のピーク | 350 MW | ★100 % |
| 正午の1時間 | 200 MW | ★57 % |
定格の37 % まで絞る運転——汽力なら効率が大きく落ちる領域です。
それでも1日を通した効率が50 %——台数制御ができるコンバインドサイクルらしい結果になります。
12時から13時だけ200 MW に落としているのも興味深い点——昼休みに需要が一時的に下がるためでしょう。
発電端と送電端を問う3つの型
火力の計算問題では、この区別が繰り返し問われます。
| 問われ方 | 所内率の扱い | 出題例 |
| ★送電端電力量を求める | ★発電端×(1−所内率)=掛ける | ★令和3年度 B15(a) |
| ★発電端に戻す | ★送電端÷(1−所内率)=割る | ★平成28年度 B15(b) |
| ★発電端熱効率を求める | ★使わない | ★令和3年度 B15(b) |
掛ける・割る・使わない——3通りあります。
どれかは、問題文の言葉で決まります——「送電端」「発電端」のどちらが書かれているかを確かめることです。
本問は同じ問題の中で2通りが出る
(a)は送電端を求めるので掛ける——(b)は発電端熱効率なので使わない。
1つの問題の中で扱いが変わります——小問ごとに読み直す必要があるのです。
(a)の答えをそのまま(b)へ持ち込まない——それが本問で最も気をつけるところでしょう。
まとめ

| (a)発電端電力量 | 130×7+350×5+200×1+350×7+130×4=5830MW·h |
| (a)送電端電力量 | 5830×(1−0.02)=5713.4≒5710MW·h→(2) |
| (b)出力の熱量 | 5830×10³kW·h×3600=2.099×10¹⁰kJ(発電端なので5830を使う) |
| (b)入熱 | 770×10³kg×54700kJ/kg=4.212×10¹⁰kJ |
| (b)発電端熱効率 | 2.099/4.212≒49.8%→(4)50 |
▼あわせて解きたい関連問題
・石炭火力の発電端効率と二酸化炭素排出量(火力13):【電力】令和5年度上期 B問題15
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