火力15【電験3種 電力】太陽光の大量導入と揚水式・蓄電池・運転予備力!電力の需要と供給 令和4年度下期 A問題11 完全解説

電験3種 電力科目【火力】令和4年度下期 A問題11 (ア)太陽光発電・(イ)揚水式・(ウ)蓄・(エ)運転予備力・(オ)火力→(5)

今回は令和4年度下期 電力科目 A問題11を解説します。電力の需要と供給について、日中の発電量が需要を上回る原因、需給バランスの確保に使われる発電方式、電力貯蔵装置、そして周波数回復のために確保される予備力を問う空欄補充問題です。

キーワードは運転予備力。天候の急変や発電所の事故で周波数が乱れたとき、10分程度以内に応動できる予備力のことで、すでに並列して部分負荷で回っている水力・火力の発電機が担います。

出題のポイント

目次

令和4年度下期 電力科目 A問題11:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 火力 令和4年度下期 A問題11 問題文
令和4年度下期 電力科目 A問題11 問題文

電験3種 電力科目 【火力】 令和4年度下期 A問題11

 次の文章は、電力の需要と供給に関する記述である。電力の需要は1日の間で大きく変動し、一般に日中に需要が最大となる。一方で、(ア)の大量導入に伴って、日中の発電量が需要を上回る事例も報告されている。需要電力の平準化や、電力の需給バランスの確保のために、(イ)発電が用いられている。また近年では、(ウ)電池などの電力貯蔵装置の技術が向上している。

 天候の急変時や発電所の故障発生時にも周波数を標準周波数へと回復させるために、(エ)が確保されている。部分負荷運転中の水力発電機や(オ)発電機などが(エ)の対象となる。上記の記述中の空白箇所(ア)〜(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(ア)(イ)(ウ)(エ)(オ)
(1)ベース供給力流込み式燃料運転予備力原子力
(2)ベース供給力揚水式運転予備力原子力
(3)ベース供給力流込み式燃料ミドル供給力火力
(4)太陽光発電揚水式燃料ミドル供給力火力
(5)太陽光発電揚水式運転予備力火力

ポイント解説:太陽光の大量導入→揚水式・蓄電池で調整、周波数回復は運転予備力

(ア)(イ)(ウ):日中に需要が最大になるのが従来の姿だが、太陽光発電が大量に導入されたことで、晴天の休日などは日中の発電量が需要を上回る(出力制御が必要になる)事例が報告されている。この余った電力を汲み上げに使い、需要が大きい時間帯に放流して発電するのが揚水式発電で、需要電力の平準化と需給バランス確保に用いられる。近年は電池などの電力貯蔵装置の技術も向上している。「ベース供給力」は原子力・石炭火力など一定出力で運転する電源のことで、日中に発電量が需要を上回る原因にはならないので(1)(2)(3)は不適。

(エ)(オ):天候の急変や発電所の故障が起きても周波数を標準周波数へ回復させるために確保しておく供給力が運転予備力すでに系統に並列して部分負荷で運転している水力発電機や火力発電機は、10分程度以内に出力を上げられるのでこれに当たる。原子力は出力調整に向かずベース供給力として一定出力で運転するので(オ)には入らない。なお「ミドル供給力」は需要の中間帯を担う電源の区分であって、周波数回復のための予備力の名称ではない。よって答えは(5)。

問題の解説

STEP1 (ア)

日中の発電量が需要を上回る原因=太陽光発電の大量導入(ベース供給力ではない)。

STEP2 (イ)(ウ)

余剰電力で汲み上げ需要ピークに放流=揚水式発電。電力貯蔵装置=蓄電池。

STEP3 (エ)(オ)

周波数を標準周波数へ回復させるために確保するのが運転予備力。部分負荷運転中の水力・火力発電機が対象→(5)。

答え:(5)

💡 覚え方
予備力の3分類:**瞬動予備力**(ガバナフリー運転中の発電機。数秒〜10秒で即応)<**運転予備力**(並列中で部分負荷運転の水力・火力。10分程度以内に応動。周波数回復用)<**待機予備力**(停止中の火力の起動など。数時間かかる)。太陽光の大量導入で日中に余剰が発生→揚水式(余剰で汲み上げ、ピークに放流)や蓄電池で吸収する。供給力の区分:ベース(原子力・石炭・流込み式水力=一定運転)/ミドル(LNG火力等)/ピーク(揚水式・貯水池式水力)。原子力は出力調整に向かないので運転予備力の対象外。

⚠️ よくある間違い
(ア)を「ベース供給力」としない——日中に発電が需要を上回るのは太陽光が昼にしか発電しないから。(エ)の「ミドル供給力」は供給力の区分名であって予備力の名称ではない。(オ)は「原子力」ではなく「火力」——原子力はベース供給力で出力調整に使わない。予備力は瞬動<運転<待機の順に応動が遅くなる。

まとめ

(ア)日中に発電量が需要を上回る原因=太陽光発電
(イ)余剰で汲み上げピークに放流=揚水式発電
(ウ)電力貯蔵装置=蓄電池
(エ)周波数回復のために確保=運転予備力
(オ)部分負荷運転中の水力・火力発電機が対象→(5)

▼あわせて解きたい関連問題
・速度調定率とガバナフリー運転時の出力分担(火力9):【電力】令和5年度下期 A問題2

・この年度の問題を通しで解く:電験3種 令和4年度下期 問題一覧(全4科目)

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