今回は平成26年度 法規科目 B問題13、容量の異なる進相設備から直列リアクトルを流用したときのコンデンサ端子電圧と、第5調波での共振の危険性を扱う問題です。直列リアクトルの容量整合の重要性が分かる良問です。
ポイントは「%インピーダンスは容量に反比例」。160kvar用の6%リアクトルを106kvarのコンデンサに流用すると、実効的に約4%になってしまい、第5調波で共振して危険になります。
答えは(a)6875V・(b)(1):流用は危険
直列リアクトルの容量整合の重要性がわかる良問です。
平成26年度 法規科目 B問題13:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成26年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 B問題13
電験3種 法規科目 【電気施設管理】 平成26年度 B問題13
三相3線式、受電6.6kV、50Hzの需要家が定格設備容量100kvarの進相設備(直列リアクトル+進相コンデンサ)を施設する。リアクトルは遊休設備(コンデンサ160kvar・直列リアクトル=コンデンサインピーダンスの6%)から流用する。新SC(106kvar)のインピーダンスを−j100%とする。次の(a)及び(b)に答えよ。
三相3線式、受電電圧6.6kV、周波数50Hzの自家用電気設備を有する需要家が、直列リアクトルと進相コンデンサからなる定格設備容量100kvarの進相設備を施設する。リアクトルには遊休中の進相設備から直列リアクトルのみを流用する。施設する進相コンデンサSC(106kvar)のインピーダンスを基準として−j100%と考える。遊休設備:進相コンデンサ160kvar、直列リアクトル=進相コンデンサのインピーダンスの6%。次の(a)及び(b)に答えよ。
(a) 回路電圧6.6kVのとき、施設する進相設備のコンデンサの端子電圧の値[V]として、最も近いものを次の(1)〜(5)から一つ選べ。
(1)6600 (2)6875 (3)7020 (4)7170 (5)7590 V
(b) この計画における進相設備の、第5調波の影響に関する対応について、正しいものを次の(1)〜(5)から一つ選べ。
(1) インピーダンスが0%の共振状態に近くなり、過電流により流用しようとするリアクトルとコンデンサは共に焼損のおそれがあるため、本計画の機器流用は危険であり、流用してはならない。
(2) インピーダンスが約−j10%となり進み電流が多く流れ、リアクトルの高調波耐量が保証されている確認をしたうえで流用する必要がある。
(3) インピーダンスが約+j10%となり遅れ電流が多く流れ、リアクトルの高調波耐量が保証されている確認をしたうえで流用する必要がある。
(4) インピーダンスが約−j25%となり進み電流が流れ、リアクトルの高調波耐量を確認したうえで流用する必要がある。
(5) インピーダンスが約+j25%となり遅れ電流が流れ、リアクトルの高調波耐量を確認したうえで流用する必要がある。



★★%インピーダンスは容量に反比例
実効的に4%になる
リアクトル自体は同じものですが、組み合わせるコンデンサの容量が変われば%が変わります。
160kvar用の6%が、106kvarでは約4%——小さくなるのです。
ここが本問の核心——%は相対値だから。
★★(a)端子電圧を求める
(a)の答え
6%なら7021V、4%なら6875V——リアクトルが小さいほど電圧上昇も小さい。
選択肢(3)7020Vは6%で計算した場合——換算を忘れた誤答です。
まず%を換算しないと、この値にたどり着けません。
★★(b)共振次数を計算する
最悪の状態
4%だと共振次数がちょうど5.0——第5調波と一致。
系統に最も多く含まれるのが第5調波——だから最悪です。
6%なら√(100/6)≒4.08次で、第5調波を避けられます。
★★共振するとどうなるか
%表示で
過電流で焼損
インピーダンスが0%になり、第5調波電流が集中します——吸い込んでしまう。
リアクトルもコンデンサも過電流で焼損——重大事故です。
だから「流用してはならない」が正解です。
★選択肢を検証する
| 選択肢 | 主張 | 判定 |
| ★(1) | ★★共振状態に近く焼損のおそれ、流用不可 | ★★正しい |
| ★(2) | ★★約−j10%となり進み電流が流れる | ★★誤り(0%に近い) |
計算すればインピーダンスがほぼ0%——−j10%ではありません。
数値で確かめれば選択肢が判定できます——感覚で選ばない。
共振=インピーダンスが0に近づく——基本原理です。
★正しい対応は何か
| 対応 | 評価 |
| ★流用をやめて106kvar用の6%リアクトルを新調 | ★★正しい |
| ★コンデンサを160kvarにそろえる | ★★正しい(設備容量が変わるが) |
| ★そのまま流用する | ★★★危険(焼損のおそれ) |
遊休設備の流用はコスト面で魅力的ですが、容量が合わなければ危険です。
リアクトルとコンデンサは必ずセットで容量を合わせる——実務の鉄則。
電気主任技術者が止めるべき計画です。
★%と実際のリアクタンスの関係
| 160kvarと組む場合 | 106kvarと組む場合 | |
| ★リアクトルのX_L | ★★同じ | ★★同じ |
| ★コンデンサのX_C | ★★小さい | ★★★大きい(容量が小さいから) |
| ★X_L/X_C | ★★6% | ★★約4% |
容量が小さいコンデンサはリアクタンスが大きい——X_C=1/(ωC)。
だから同じリアクトルでも、比が小さくなるのです。
物理量で考えると理解しやすいです。
リアクトルの%の選び方
| % | 共振次数 | 用途 |
| ★6% | ★★4.08次 | ★★第5調波対策(標準) |
| ★13% | ★★2.77次 | ★★第3調波が多い系統 |
| ★4% | ★★5.0次 | ★★★使ってはならない |
6%と13%が実用的な値です——共振次数が整数から外れている。
4%はちょうど5次で共振するので論外——本問の結論です。
なぜ第5調波が最も問題になるのか
| 次数 | 相順 | 系統での扱い |
| ★第3次 | ★★零相 | ★★Δ結線を環流し高圧側に出にくい |
| ★第5次 | ★★逆相 | ★★★系統に流出する。最も含有率が高い |
| ★第7次 | ★★正相 | ★★系統に流出するが第5次より小さい |
第3次は環流するので、高圧側では第5次が主役になります。
だから6%リアクトルは第5調波を狙った設計——共振点を4.08次にするのです。
4%では第5次で共振してしまうので使えません。
⏱️ 本番での進め方
① %Zは容量に反比例——流用すると%が変わる。
② 160kvar用6%を106kvarに使うと約4%になる。
③ 共振次数=√(100/%X_L)——4%なら5.0次。
④ 第5調波で共振するとインピーダンス0で焼損する。
💡 覚え方
直列リアクトルの流用=%インピーダンスは容量に反比例するので、160kvar用の6%リアクトルを106kvarのコンデンサに流用すると実効的に6×106/160≒4%になる。共振次数=√(100/%X_L)=√25=5.0となり第5調波でちょうど共振し、インピーダンスがほぼ0になって過電流で焼損する。だから容量の違うリアクトルを流用してはならない。
⚠️ よくある間違い
%をそのまま6%として計算しない——容量が違えば換算が必要。共振時のインピーダンスは0に近い——−j10%ではない。
まとめ
| 遊休C(新基準) | −j100×106/160=−j66.25% |
| 流用リアクトル | 0.06×66.25=+j3.975% |
| (a)端子電圧 | 6600×100/96.025≒6873→6875 →(2) |
| 第5調波X_SR5 | 5×3.975≒19.9% |
| 第5調波X_SC5 | 100/5=20% |
| (b) | 合成≒0%共振→焼損危険・流用不可 →(1) |
▼あわせて解きたい関連問題
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