水力発電で出てくる「衝動水車」と「反動水車」。ペルトン、フランシス、プロペラ、カプランと名前が多く、どれがどちらに分類されるのか混乱しやすい分野です。
この記事では、2種類の水車の違いを「水のエネルギーをどう使うか」から整理し、水車の種類と落差の関係、吸出し管とキャビテーションまでを図で解説します。
この記事でわかること
✓ 衝動水車と反動水車の違い
✓ ペルトン・フランシス・斜流・プロペラ・カプランの分類
✓ 水車の種類と落差の関係
✓ 吸出し管とキャビテーション
よくあるつまずき:水車の名前を一つずつ覚えようとすると混乱します。まず「衝動水車はペルトンだけ、あとは反動水車」と二つに分けてから、細かい違いを足していくのが近道です。
2種類の水車の違い:水のエネルギーの使い方
高い所にある水は、位置のエネルギーを持っています。水車は、この水が流れ落ちるときの「圧力」と「速度」のエネルギーを回転の力に変えます。衝動水車は、圧力をすべて速度に変えてから当てる水車、反動水車は、圧力と速度の両方をランナで使う水車です。

| 項目 | 衝動水車 | 反動水車 |
|---|---|---|
| 代表的な水車 | ペルトン | フランシス、斜流、プロペラ・カプラン |
| 水の当て方 | ノズルからの噴流を、空気中でバケットに当てる | 水で満たしたケーシングの中で、ランナを回す |
| ランナの中の圧力 | 大気圧のまま変わらない | 入口から出口に向かって下がる |
| 向いている落差 | 高落差・少流量 | 低落差〜高落差(水車の種類による) |
| 吸出し管 | なし | あり |
水車の種類と落差の関係

| 水車 | 分類 | 特徴 |
|---|---|---|
| ペルトン | 衝動 | 高落差・少流量。ノズルのニードル弁で流量を調整する |
| フランシス | 反動 | 中〜高落差。最も広く使われている |
| 斜流(デリア) | 反動 | 水がランナを斜めに通過する。羽根の角度を変えられる |
| プロペラ | 反動 | 低落差・大流量。水が軸方向に通過する |
| カプラン | 反動 | プロペラ水車の羽根を可動にしたもの。流量が変わっても効率が落ちにくい |
落差が高いほど、少ない水量でも大きなエネルギーを持つので、噴流で当てるペルトン水車が向いています。反対に、落差が低く水量が多い場所では、水が軸方向にたくさん流れるプロペラ・カプラン水車が向いています。このほか、農業用水などの小水力発電(低落差・少流量)では、構造が簡単なクロスフロー水車も使われます。
反動水車の吸出し管とキャビテーション
反動水車では、ランナの出口から放水面までを吸出し管でつなぎます。吸出し管は、ランナの出口から放水面までの落差を有効に使い、出口の水の速度のエネルギーも回収する役目があります。衝動水車は噴流を空気中で当てるので、吸出し管はありません。
ただし、吸出し管を高くしすぎるなどしてランナ出口付近の圧力が下がりすぎると、水の中に気泡が発生し、それがつぶれるときにランナを傷めます。これがキャビテーションです。効率の低下や振動・騒音の原因にもなるため、水車の設置高さなどで防ぎます。
つまずきポイント:「吸出し管=反動水車だけ」と覚えておくと、論説問題でペルトン水車に吸出し管が付いているような誤りの選択肢をすぐ見抜けます。
よくある間違い
- フランシス水車を衝動水車とする:衝動水車はペルトン水車だけです。フランシス水車は反動水車です。
- ペルトン水車に吸出し管があると思う:吸出し管は反動水車の設備です。
- 低落差にペルトン水車を選ぶ:ペルトン水車は高落差・少流量向けです。
- プロペラとカプランを同じものと思う:羽根の角度を変えられるのがカプラン水車です。
過去問で確かめる
この記事の内容は、次の過去問で実際に問われています。
- 平成25年度 A問題1|水車の分類(衝動=ペルトン/反動=フランシス)
- 平成22年度 A問題1|衝動水車のエネルギー変換
- 平成20年度 A問題1|反動水車と衝動水車の使い分け
- 平成29年度 A問題2|水車のキャビテーション
水力発電のほかの論点は水力発電の頻出公式と論点まとめにまとめています。
まとめ
- 衝動水車は圧力を速度に変えて噴流で当てる水車で、ペルトン水車だけ。
- 反動水車は、水で満たした中で圧力と速度の両方を使う(フランシス・斜流・プロペラ・カプラン)。
- 高落差ほどペルトン、低落差・大流量ほどプロペラ・カプランが向く。
- 吸出し管は反動水車だけの設備。圧力が下がりすぎるとキャビテーションが起きる。

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