今回は平成24年度 法規科目 A問題8、高圧保安工事(電気設備技術基準の解釈第70条)に関する空欄補充問題です。高圧架空電線路の断線・支持物倒壊による危険を防止するための強化規定が問われます。
覚える数値は「電線は8.01kN以上又は直径5mm以上の硬銅線」「木柱の風圧荷重に対する安全率1.5以上」「B種鉄筋コンクリート柱・B種鉄柱の径間は150m以下」。8.01kN・150mが定番です。
平成24年度 法規科目 A問題8:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成24年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題8
電験3種 法規科目 【電気設備技術基準の解釈】 平成24年度 A問題8
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく、高圧保安工事に関する記述の一部である。上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく、高圧架空電線路の電線の断線、支持物の倒壊等による危険を防止するため必要な場合に行う、高圧保安工事に関する記述の一部である。
a.電線は、ケーブルである場合を除き、引張強さ(ア)kN以上のもの又は直径5mm以上の(イ)であること。
b.木柱の(ウ)荷重に対する安全率は、1.5以上であること。
c.径間は、電線に引張強さ(ア)kNのもの又は直径5mmの(イ)を使用し、支持物にB種鉄筋コンクリート柱又はB種鉄柱を使用する場合の径間は(エ)m以下であること。
(ア) (イ) (ウ) (エ) (1) 8.71 硬銅線 垂直 100 (2) 8.01 硬銅線 風圧 150 (3) 8.01 高圧絶縁電線 垂直 400 (4) 8.71 高圧絶縁電線 風圧 150 (5) 8.01 硬銅線 風圧 100

答えは(2):8.01kN・硬銅線・風圧・150m
令和3年度 A問題6も同じ70条ですが、そちらの問題文では木柱の安全率が2.0になっています——条文が改正されたためです。
★木柱の安全率は改正されている
| 出題年度 | 問題文の安全率 |
| ★平成24年度 問8(本問) | ★★1.5以上 |
| ★令和3年度 問6 | ★★2.0以上 |
同じ70条でありながら、数値が違います——その間に条文が改正されたということです。
学習は現行の値で行うのが原則——高圧保安工事の木柱は2.0以上と覚えます。
低圧保安工事(69条)は1.5以上——こちらと対にして押さえます。
★過去問を解くときの注意
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 現行条文で覚える | ★★現行条文で覚える | ★過去問の数値をそのまま覚える | ★★改正されている箇所がある |
| 語や構造は変わりにくい | ★★語や構造は変わりにくい | ★数値は改正されうる | ★★改正の多くは数値と用語 |
法規科目は、条文が改正されれば答えも変わります——古い過去問には注意が要ります。
電気事業法の「配電事業者」追加、保安規程の「蓄電所」追加なども同じ——改正情報に目を通す価値があります。
本問で空欄になっているのは(ウ)=風圧——安全率の数値そのものは問われていません。
★径間の一覧(標準と保安工事)
| 支持物 | 標準径間 | 高圧保安工事 |
| ★木柱・A種 | ★★150m以下 | ★★100m以下 |
| ★B種 | ★★250m以下 | ★★150m以下 |
| ★鉄塔 | ★★600m以下 | ★★400m以下 |
150/250/600 と 100/150/400——2列で覚えると、どちらを問われても答えられます。
設問(3)の「400m」は鉄塔の値——B種の欄に置いた引っかけです。
★「硬銅線」であって「高圧絶縁電線」ではない
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 直径5mm以上の硬銅線 | ★★直径5mm以上の硬銅線 | ★直径5mm以上の高圧絶縁電線 | ★★条文が指定するのは導体の材質 |
| 引張強さ8.01kN以上 | ★★引張強さ8.01kN以上 | ★太さだけの指定 | ★★強度を数値で押さえている |
硬銅線は、引き伸ばして硬化させた銅線です——軟銅線より引張強さが大きい。
高圧絶縁電線は被覆の名前であって、導体の材質ではありません——条文が求めているのは強度です。
「引張強さ8.01kN以上のもの又は直径5mm以上の硬銅線」——「又は」で2通りの示し方をしています。
8.01kNという半端な数値
直径5mmの硬銅線の断面積と引張強さから決まる
硬銅の引張強さ約410N/mm²を掛けると約8.0kN
8.01kNは、直径5mmの硬銅線の引張強さそのものです——だから「又は」で並べられるのです。
半端な数値に見えて、実は計算から出ています——根拠を知れば忘れません。
低圧保安工事(69条)との比較
| 低圧保安工事 | 高圧保安工事 | |
| ★電線 | ★★8.01kN以上/直径5mm以上 | ★★同じ |
| ★木柱の安全率 | ★★1.5以上 | ★★2.0以上(現行) |
| ★径間 | ★★木柱・A種100m以下等 | ★★同じ |
違うのは木柱の安全率だけ——だから改正前は同じ1.5だったとも言えます。
高圧のほうが危険なので、支持物の強度を上げた——改正の趣旨が読み取れます。
木柱はいま使われているのか
現在の配電線の支持物は、ほとんどが鉄筋コンクリート柱です。
木柱は腐朽するため、順次建て替えられてきました——山間部などに一部残る程度です。
それでも条文には残っています——試験でも問われ続けます。
安全率という考え方
実際にかかる荷重の何倍まで耐えられるか
想定荷重の2倍まで耐える設計にする
材料のばらつきや経年劣化を見込んだ余裕です——木材は特にばらつきが大きい。
支線の安全率は2.5以上——あわせて覚えたい数値です。
保安工事が要求される場面
| 条 | 場面 |
| ★第71条 | ★★建造物と第2次接近状態に施設する場合 |
| ★第72条 | ★★道路等の上に施設する場合 |
| ★第73条 | ★★索道と接近・交差する場合 |
| ★第74条 | ★★他の電線等と接近・交差する場合 |
共通するのは「電線が切れて落ちたら下に被害が及ぶ」場所です——だから切れにくくするのです。
接近状態の定義(49条)が、ここで効いてきます——定義→区分→工事という流れです。
支線の規定
| 項目 | 基準 |
| ★安全率 | ★★2.5以上 |
| ★引張荷重 | ★★10.7kN以上 |
| ★素線 | ★★直径2.6mm以上の金属線を3条以上より合わせたもの |
| ★地中部分 | ★★耐食性のあるもの又は防食措置 |
2.5/10.7/2.6/3条という数値がまとめて問われます——木柱の安全率2.0と並べて覚えます。
支線は支持物の強度を補うもの——倒壊防止の要です。
⏱️ 本番での進め方
① (ア)は8.01kN——8.71kNではない。
② (イ)は硬銅線——「高圧絶縁電線」ではない。
③ (ウ)は風圧荷重——「垂直」ではない。
④ (エ)は150m(B種)——鉄塔の400mと混同しない。
💡 覚え方
解釈70条 高圧保安工事=①電線はケーブルを除き引張強さ8.01kN以上又は直径5mm以上の硬銅線 ②木柱の風圧荷重に対する安全率は2.0以上(現行。低圧保安工事は1.5以上)③径間は木柱・A種100m以下/B種150m以下/鉄塔400m以下。標準径間は150/250/600。
⚠️ よくある間違い
(ア)は「8.71kN」ではなく8.01kN。(イ)は「高圧絶縁電線」ではなく硬銅線。(ウ)は「垂直」ではなく風圧荷重。★木柱の安全率は改正されているので、現行の2.0で覚える。
まとめ
| (ア)(イ)電線 | 8.01kN以上又は直径5mm以上の硬銅線 |
| (ウ)木柱 | 風圧荷重に対する安全率1.5以上 |
| (エ)径間 B種柱 | 150m以下 |
| 径間 A種柱・木柱 | 100m以下 |
| 趣旨 | 断線・支持物倒壊の危険防止 |
| 答え | (2) |
▼あわせて解きたい関連問題
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