電気設備技術基準の解釈43【電験3種 法規】低圧高圧配線は接触させず・高圧は展開+ケーブル工事=(4) 令和元年度 A問題5 完全解説

電験3種 法規科目 電気設備技術基準の解釈 令和元年度 A問題5 高圧屋内に金属管は使えない!工事方法の限定

今回は令和元年度 法規科目 A問題5低圧配線及び高圧配線の施設(電気設備技術基準の解釈第167・168条)に関する空欄補充問題です。ケーブル工事の低圧配線と水管等の関係、高圧屋内配線の工事方法が問われます。

要点は2つ。①ケーブル工事の低圧配線は弱電流電線・水管等と接触させない②高圧屋内配線はがいし引き工事(乾燥・展開した場所限定)又はケーブル工事。高圧の屋内配線は工事方法が2つに限られる点がポイントです。

目次

令和元年度 法規科目 A問題5:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 法規科目 配電 令和元年度 A問題5 問題文
令和元年度 法規科目 A問題5 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和元年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題5

電験3種 法規科目 【電気設備技術基準の解釈】 令和元年度 A問題5

 次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく低圧配線及び高圧配線の施設に関する記述である。上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)及び(ウ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

a ケーブル工事により施設する低圧配線が、弱電流電線又は水管、ガス管若しくはこれらに類するもの(以下、「水管等」という。)と接近し又は交差する場合は、低圧配線が弱電流電線又は水管等と(ア)施設すること。

b 高圧屋内配線工事は、がいし引き工事(乾燥した場所であって(イ)した場所に限る。)又は(ウ)により施設すること。

(ア)(イ)(ウ)
(1)接触しないように隠ぺいケーブル工事
(2)の離隔距離を10cm以上となるように展開金属管工事
(3)の離隔距離を10cm以上となるように隠ぺいケーブル工事
(4)接触しないように展開ケーブル工事
(5)接触しないように隠ぺい金属管工事
答え(ア)接触しないように・(イ)展開・(ウ)ケーブル工事 = (4)

答えは(4):接触しないように・展開・ケーブル工事

電気設備技術基準の解釈 第167条・第168条

第167条 ケーブル工事により施設する低圧配線が、弱電流電線又は水管、ガス管若しくはこれらに類するものと接近し又は交差する場合は、低圧配線がこれらと接触しないように施設すること。/第168条 高圧屋内配線は、がいし引き工事(乾燥した場所であって展開した場所に限る。)又はケーブル工事により施設すること。

高圧屋内配線の工事方法は2つだけ——金属管工事は使えません。

低圧は工事の種類が豊富、高圧は2択——電圧が上がるほど選択肢が狭まるのが解釈の原則です。

★ケーブルなら「接触しなければよい」

低圧配線の工事弱電流電線・水管等との関係
★ケーブル工事★★接触しないように施設する
★がいし引き工事★★0.1m以上(裸電線等は0.3m以上)離す
★合成樹脂管・金属管工事★★接触しないように施設する

ケーブルは絶縁被覆とシースで守られています——触れなければ十分なのです。

がいし引きは充電部が露出しているので、距離が要ります——電線の種類で要求が変わるのです。

選択肢の「離隔距離を10cm以上」はがいし引きの値——工事の種類を取り違えさせる作りです。

★水管・ガス管と接触するとどうなるか

水管は結露し、金属なので接地電位に近い状態です——電線が触れれば地絡します

ガス管に電流が流れれば、火花が出て爆発の危険があります——だから特に名指しで挙げられています

弱電流電線に触れれば、通信設備に高い電圧が侵入します——3者それぞれに理由があるのです。

★高圧屋内配線が2択である理由

工事高圧屋内配線理由
★がいし引き工事★★可(乾燥した展開した場所に限る)★★見えていれば管理できる
★ケーブル工事★★可★★遮へい層があり安全
★金属管工事★★不可★★高圧絶縁電線では管内の絶縁が保てない
★合成樹脂管工事★★不可★★同上

管工事は、絶縁電線を管に通す工法です——高圧絶縁電線は表面に電位が現れます

管の中でも、電線どうしや管との間の絶縁が心配——だから高圧では認められないのです。

「金属管工事」というダミーは、この理解を試しています

★「乾燥した場所であって展開した場所」

条文の言葉ダミー語違い
乾燥した展開した場所★★乾燥した展開した場所★乾燥した点検できる隠蔽場所★★がいし引きは展開した場所に限る
展開★★展開★隠蔽★★外から見えるか、見えないか

2つの条件が「であって」で結ばれています——両方を満たす必要があります

がいし引きは充電部がむき出し——隠れた場所では異常に気づけません

湿気があれば、がいしの表面を電流が這います——だから乾燥した場所に限るのです。

低圧屋内配線の工事と場所

工事施設できる場所
★ケーブル工事★★すべての場所
★合成樹脂管工事★★すべての場所
★金属管工事★★すべての場所
★金属可とう電線管工事★★すべての場所(2種)
★がいし引き工事★★展開した場所・点検できる隠蔽場所

低圧では「万能3工事」(ケーブル・合成樹脂管・金属管)が使えます——場所を選びません

高圧ではその3つのうちケーブル工事だけ——差がはっきり出ます

高圧配線と他の設備との離隔

相手離隔距離
★低圧屋内電線・管灯回路の配線★★0.15m以上
★弱電流電線等・水管・ガス管等★★0.15m以上
★上記(耐火性の隔壁を設ける場合)★★離隔不要

高圧屋内配線は0.15m(15cm)——屋側電線路(111条)と同じ値です。

隔壁を設ければ距離は不要——「距離か、物理的な仕切りか」という選択です。

弱電流電線とは

条文の言葉ダミー語違い
弱電流電線★★弱電流電線★電線(強電流電線)★★弱電流電気の伝送用/強電流電気の伝送用
電話線・LAN・警報線★★電話線・LAN・警報線★電力用の電線★★扱う電気の性質が違う

解釈1条は「弱電流電気の伝送に使用する電気導体」と定義します

信号を伝えるのが目的なので、電力用とは扱いが別——共架や離隔の条文で頻繁に出てきます

なぜ「接近し又は交差する場合」なのか

並んで走る場合も、上下に交わる場合も対象です——どちらでも接触しうるからです。

誘導障害(52条)が「並行」だけを対象にするのとは対照的——問題になる現象が違うのです。

接触は一点でも起きる、誘導は長さが要る——条文の言葉が現象を反映しています

低圧屋内配線と他の設備との離隔(がいし引き)

相手離隔距離
★弱電流電線・水管・ガス管等★★0.1m以上
★裸電線又は300Vを超える低圧の場合★★0.3m以上
★造営材との離隔(300V以下)★★0.025m以上

がいし引きは充電部が露出しているので、距離で守ります——0.1m/0.3mという値がその現れです。

選択肢の「10cm以上」はここから持ってきたダミー——工事の種類が違えば基準も違います

管工事で管内接続が禁止される理由

工事管内の電線接続
★合成樹脂管工事★★禁止
★金属管工事★★禁止
★金属可とう電線管工事★★禁止

接続点は最も故障しやすい場所です——管の中では点検も補修もできません

だから接続はボックスの中で行います——電線の引き替えができなくなる問題もあります

高圧ケーブルの構造

役割
★導体★★電流を流す
★内部半導電層★★導体表面の電界集中をならす
★絶縁体(架橋ポリエチレン)★★電圧を保つ
★外部半導電層・遮へい層★★電界を内側に閉じ込め、接地する
★シース★★機械的・化学的に守る

遮へい層を接地するので、外側は大地電位です——触れても感電しません

だから高圧でもケーブル工事なら場所を選ばない——がいし引きとの決定的な違いです。

⏱️ 本番での進め方
① (ア)は接触しないように——ケーブルなら距離は不要。
② (イ)は展開——がいし引きは乾燥した展開した場所に限る。
③ (ウ)はケーブル工事——「金属管工事」は高圧では不可。
④ 高圧屋内配線の工事は2択だけ

💡 覚え方
解釈167条=ケーブル工事による低圧配線が弱電流電線・水管・ガス管等と接近・交差する場合は、接触しないように施設する(がいし引きなら0.1m以上)。解釈168条=高圧屋内配線はがいし引き工事(乾燥した展開した場所に限る)又はケーブル工事による。

⚠️ よくある間違い
(ア)は「10cm以上の離隔」ではなく接触しないように——それはがいし引きの値。(イ)は「隠ぺい」ではなく展開(ウ)は「金属管工事」ではなくケーブル工事

まとめ

(ア)ケーブル低圧配線水管等と接触しないように
(イ)がいし引き乾燥した展開した場所に限る
(ウ)高圧屋内配線がいし引き又はケーブル工事
高圧の不可工事金属管工事は認められない
答え(4)

▼あわせて解きたい関連問題
・高圧連系時の系統連系用保護装置(電気設備技術基準の解釈42):【法規】令和2年度 A問題10
・接地工事の工事例(電気設備技術基準の解釈44):【法規】令和元年度 A問題6

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