今回は令和元年度 法規科目 A問題5、低圧配線及び高圧配線の施設(電気設備技術基準の解釈第167・168条)に関する空欄補充問題です。ケーブル工事の低圧配線と水管等の関係、高圧屋内配線の工事方法が問われます。
要点は2つ。①ケーブル工事の低圧配線は弱電流電線・水管等と接触させない、②高圧屋内配線はがいし引き工事(乾燥・展開した場所限定)又はケーブル工事。高圧の屋内配線は工事方法が2つに限られる点がポイントです。
令和元年度 法規科目 A問題5:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和元年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題5
電験3種 法規科目 【電気設備技術基準の解釈】 令和元年度 A問題5
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく低圧配線及び高圧配線の施設に関する記述である。上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)及び(ウ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
a ケーブル工事により施設する低圧配線が、弱電流電線又は水管、ガス管若しくはこれらに類するもの(以下、「水管等」という。)と接近し又は交差する場合は、低圧配線が弱電流電線又は水管等と(ア)施設すること。
b 高圧屋内配線工事は、がいし引き工事(乾燥した場所であって(イ)した場所に限る。)又は(ウ)により施設すること。
(ア) (イ) (ウ) (1) 接触しないように 隠ぺい ケーブル工事 (2) の離隔距離を10cm以上となるように 展開 金属管工事 (3) の離隔距離を10cm以上となるように 隠ぺい ケーブル工事 (4) 接触しないように 展開 ケーブル工事 (5) 接触しないように 隠ぺい 金属管工事

答えは(4):接触しないように・展開・ケーブル工事
低圧は工事の種類が豊富、高圧は2択——電圧が上がるほど選択肢が狭まるのが解釈の原則です。
★ケーブルなら「接触しなければよい」
| 低圧配線の工事 | 弱電流電線・水管等との関係 |
| ★ケーブル工事 | ★★接触しないように施設する |
| ★がいし引き工事 | ★★0.1m以上(裸電線等は0.3m以上)離す |
| ★合成樹脂管・金属管工事 | ★★接触しないように施設する |
ケーブルは絶縁被覆とシースで守られています——触れなければ十分なのです。
がいし引きは充電部が露出しているので、距離が要ります——電線の種類で要求が変わるのです。
選択肢の「離隔距離を10cm以上」はがいし引きの値——工事の種類を取り違えさせる作りです。
★水管・ガス管と接触するとどうなるか
水管は結露し、金属なので接地電位に近い状態です——電線が触れれば地絡します。
ガス管に電流が流れれば、火花が出て爆発の危険があります——だから特に名指しで挙げられています。
弱電流電線に触れれば、通信設備に高い電圧が侵入します——3者それぞれに理由があるのです。
★高圧屋内配線が2択である理由
| 工事 | 高圧屋内配線 | 理由 |
| ★がいし引き工事 | ★★可(乾燥した展開した場所に限る) | ★★見えていれば管理できる |
| ★ケーブル工事 | ★★可 | ★★遮へい層があり安全 |
| ★金属管工事 | ★★不可 | ★★高圧絶縁電線では管内の絶縁が保てない |
| ★合成樹脂管工事 | ★★不可 | ★★同上 |
管工事は、絶縁電線を管に通す工法です——高圧絶縁電線は表面に電位が現れます。
管の中でも、電線どうしや管との間の絶縁が心配——だから高圧では認められないのです。
「金属管工事」というダミーは、この理解を試しています。
★「乾燥した場所であって展開した場所」
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 乾燥した展開した場所 | ★★乾燥した展開した場所 | ★乾燥した点検できる隠蔽場所 | ★★がいし引きは展開した場所に限る |
| 展開 | ★★展開 | ★隠蔽 | ★★外から見えるか、見えないか |
2つの条件が「であって」で結ばれています——両方を満たす必要があります。
がいし引きは充電部がむき出し——隠れた場所では異常に気づけません。
湿気があれば、がいしの表面を電流が這います——だから乾燥した場所に限るのです。
低圧屋内配線の工事と場所
| 工事 | 施設できる場所 |
| ★ケーブル工事 | ★★すべての場所 |
| ★合成樹脂管工事 | ★★すべての場所 |
| ★金属管工事 | ★★すべての場所 |
| ★金属可とう電線管工事 | ★★すべての場所(2種) |
| ★がいし引き工事 | ★★展開した場所・点検できる隠蔽場所 |
低圧では「万能3工事」(ケーブル・合成樹脂管・金属管)が使えます——場所を選びません。
高圧ではその3つのうちケーブル工事だけ——差がはっきり出ます。
高圧配線と他の設備との離隔
| 相手 | 離隔距離 |
| ★低圧屋内電線・管灯回路の配線 | ★★0.15m以上 |
| ★弱電流電線等・水管・ガス管等 | ★★0.15m以上 |
| ★上記(耐火性の隔壁を設ける場合) | ★★離隔不要 |
高圧屋内配線は0.15m(15cm)——屋側電線路(111条)と同じ値です。
隔壁を設ければ距離は不要——「距離か、物理的な仕切りか」という選択です。
弱電流電線とは
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 弱電流電線 | ★★弱電流電線 | ★電線(強電流電線) | ★★弱電流電気の伝送用/強電流電気の伝送用 |
| 電話線・LAN・警報線 | ★★電話線・LAN・警報線 | ★電力用の電線 | ★★扱う電気の性質が違う |
解釈1条は「弱電流電気の伝送に使用する電気導体」と定義します。
信号を伝えるのが目的なので、電力用とは扱いが別——共架や離隔の条文で頻繁に出てきます。
なぜ「接近し又は交差する場合」なのか
並んで走る場合も、上下に交わる場合も対象です——どちらでも接触しうるからです。
誘導障害(52条)が「並行」だけを対象にするのとは対照的——問題になる現象が違うのです。
接触は一点でも起きる、誘導は長さが要る——条文の言葉が現象を反映しています。
低圧屋内配線と他の設備との離隔(がいし引き)
| 相手 | 離隔距離 |
| ★弱電流電線・水管・ガス管等 | ★★0.1m以上 |
| ★裸電線又は300Vを超える低圧の場合 | ★★0.3m以上 |
| ★造営材との離隔(300V以下) | ★★0.025m以上 |
がいし引きは充電部が露出しているので、距離で守ります——0.1m/0.3mという値がその現れです。
選択肢の「10cm以上」はここから持ってきたダミー——工事の種類が違えば基準も違います。
管工事で管内接続が禁止される理由
| 工事 | 管内の電線接続 |
| ★合成樹脂管工事 | ★★禁止 |
| ★金属管工事 | ★★禁止 |
| ★金属可とう電線管工事 | ★★禁止 |
接続点は最も故障しやすい場所です——管の中では点検も補修もできません。
だから接続はボックスの中で行います——電線の引き替えができなくなる問題もあります。
高圧ケーブルの構造
| 層 | 役割 |
| ★導体 | ★★電流を流す |
| ★内部半導電層 | ★★導体表面の電界集中をならす |
| ★絶縁体(架橋ポリエチレン) | ★★電圧を保つ |
| ★外部半導電層・遮へい層 | ★★電界を内側に閉じ込め、接地する |
| ★シース | ★★機械的・化学的に守る |
遮へい層を接地するので、外側は大地電位です——触れても感電しません。
だから高圧でもケーブル工事なら場所を選ばない——がいし引きとの決定的な違いです。
⏱️ 本番での進め方
① (ア)は接触しないように——ケーブルなら距離は不要。
② (イ)は展開——がいし引きは乾燥した展開した場所に限る。
③ (ウ)はケーブル工事——「金属管工事」は高圧では不可。
④ 高圧屋内配線の工事は2択だけ。
💡 覚え方
解釈167条=ケーブル工事による低圧配線が弱電流電線・水管・ガス管等と接近・交差する場合は、接触しないように施設する(がいし引きなら0.1m以上)。解釈168条=高圧屋内配線はがいし引き工事(乾燥した展開した場所に限る)又はケーブル工事による。
⚠️ よくある間違い
(ア)は「10cm以上の離隔」ではなく接触しないように——それはがいし引きの値。(イ)は「隠ぺい」ではなく展開。(ウ)は「金属管工事」ではなくケーブル工事。
まとめ
| (ア)ケーブル低圧配線 | 水管等と接触しないように |
| (イ)がいし引き | 乾燥した展開した場所に限る |
| (ウ)高圧屋内配線 | がいし引き又はケーブル工事 |
| 高圧の不可工事 | 金属管工事は認められない |
| 答え | (4) |
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