電気施設管理-計算32【電験3種 法規】コンデンサ素子短絡の診断!運転電流R6.6A・S-T相間が最小=(a)(1)(b)(2) 平成25年度 B問題11 完全解説

電験3種 法規科目 電気施設管理 平成25年度 B問題11 運転電流の偏りで劣化を見抜く!短絡はどの相?

今回は平成25年度 法規科目 B問題11高圧進相コンデンサの劣化診断を扱う問題です。運転電流の測定から診断し、機器停止後に2端子測定法で相間静電容量を測定して破壊素子を特定します。実務的な良問です。

(a)は定格電流×測定比のシンプルな計算。(b)はY結線・各相2素子直列のコンデンサで1素子が短絡したときの相間静電容量を、直列合成で比較します。

目次

平成25年度 法規科目 B問題11:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 法規科目 配電 平成25年度 B問題11 問題文
平成25年度 法規科目 B問題11 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成25年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 B問題11

電験3種 法規科目 【電気施設管理】 平成25年度 B問題11

 高圧進相コンデンサの劣化診断について、次の(a)及び(b)に答えよ。

(図1・図2は上の画像を参照してください。定格容量50kvar、Y結線、一相2素子、使用電圧6.6kV。)

(a) 三相3線式50Hz、使用電圧6.6kVの高圧電路に接続された定格電圧6.6kV、定格容量50kvar(Y結線、一相2素子)の高圧進相コンデンサがある。内部素子の劣化点検のため運転電流を高圧クランプメータで測定した。測定電流の定格電流に対する比は、S相1.15、R相1.50、T相1.15であった。測定電流[A]に最も近い数値の組合せ(R相・S相・T相)を選べ。ただし直列リアクトルはないものとする。

R相S相T相
(1)6.65.05.0
(2)7.55.75.7
(3)3.82.92.9
(4)11.38.68.6
(5)7.25.55.5

(b) (a)の測定により劣化による内部素子の破壊(短絡)が発生していると判断し、機器停止後、各相間の静電容量を2端子測定法(1端子開放で測定)で測定した。図2のとおりR相の一方の素子が破壊(素子極間短絡)しているとすれば、静電容量測定結果の記述として正しいものを選べ。

(1) R-S相間の測定値は、最も小さい。

(2) S-T相間の測定値は、最も小さい。

(3) T-R相間は、測定不能である。

(4) R-S相間の測定値は、S-T相間の測定値の約75%である。

(5) R-S相間とS-T相間の測定値は、等しい。

図1 運転電流の測定比
図1 運転電流の測定比
図2 素子破壊(R相の1素子短絡)と2端子測定
図2 素子破壊(R相の1素子短絡)と2端子測定
図1 運転電流の測定比
図1 運転電流の測定比
図2 素子破壊(R相の1素子短絡)と2端子測定
図2 素子破壊(R相の1素子短絡)と2端子測定
答え(a)R相6.6A・S相5.0A・T相5.0A = (1)/(b)S-T相間の測定値が最も小さい = (2)

答えは(a)R相6.6A・S相5.0A・T相5.0A・(b)(2)

高圧進相コンデンサの劣化診断

定格電流 = 定格容量 / (√3 × 線間電圧)/★測定電流 = 定格電流 × 測定比/★素子が短絡すると、その相の静電容量が増える——2素子直列が1素子だけになるから2倍。/★2端子測定法(1端子開放)では、健全な2相の直列合成を測ることになる。

★短絡=容量が増える=電流が増える。この連鎖が診断の骨格です。

運転中の測定と停止後の測定を組み合わせた実務的な良問です。

★(a)定格電流を求める

$$I_{\text{定格}} = \dfrac{Q}{\sqrt{3} V} = \dfrac{50\times10^3}{\sqrt{3} \times 6600}$$
定格容量50kvar、線間電圧6.6kV
$$I_{\text{定格}} \approx 4.37\,\mathrm{[A]}$$
定格電流
$$I_R = 4.37 \times 1.50 \approx 6.6\,\mathrm{[A]}$$
R相(測定比1.50)
$$I_S = I_T = 4.37 \times 1.15 \approx 5.0\,\mathrm{[A]}$$
S相・T相(測定比1.15)
(a)の答え

コンデンサの定格容量[kvar]から定格電流を出します——Q=√3VI

R相だけが1.50と大きい——異常の兆候です。

S相・T相も1.15と1より大きい——これも理由があります

★★なぜR相の電流が増えるのか

$$C_{\text{正常}} = \dfrac{C_0}{2}$$
2素子直列(1素子の容量をC₀とする)
$$C_{\text{短絡後}} = C_0$$
★1素子が短絡すると残り1素子だけ
容量が2倍になる
$$I = \omega C V \Rightarrow I \propto C$$
電流は静電容量に比例
だから電流も増える

直列のコンデンサは、1つ短絡すると合成容量が2倍になります——直列は逆数の和だから。

容量が2倍なら電流も2倍——のはずですがY結線なので単純ではない

Y結線では中性点の電位が動くため、R相1.50・他相1.15という値になります

★★(b)2端子測定法とは

測定方法測るもの
★R-S相間★★T相端子を開放してR-S間を測る★★R相とS相の直列合成
★S-T相間★★R相端子を開放してS-T間を測る★★S相とT相の直列合成
★T-R相間★★S相端子を開放してT-R間を測る★★T相とR相の直列合成

Y結線なので、2端子間は2つの相が直列になります——中性点を経由

1端子を開放するのは、3つ目の相を切り離すためです。

だから測定値は2相の直列合成容量になります。

★★どの相間が最小になるか

$$C_{R} = C_0 \quad (\text{短絡により2倍}),\quad C_S = C_T = \dfrac{C_0}{2}$$
各相の容量
$$C_{RS} = \dfrac{C_R C_S}{C_R + C_S} = \dfrac{C_0 \cdot C_0/2}{C_0 + C_0/2} = \dfrac{C_0}{3}$$
R-S相間(R相が大きい)
$$C_{ST} = \dfrac{(C_0/2)(C_0/2)}{C_0/2 + C_0/2} = \dfrac{C_0}{4}$$
★S-T相間(両方とも健全)
最も小さい
$$C_{TR} = \dfrac{C_0}{3}$$
T-R相間(R相が大きい)
R-Sと同じ

S-T相間だけが健全な相どうしの直列——だから最も小さいのです。

R相が絡む2つ(R-S、T-R)は、R相の容量が大きい分だけ合成も大きい

「小さいほうを探す」という発想が面白い——直感と逆です。

★選択肢を検証する

選択肢内容判定
★(1)★★R-S相間が最も小さい★★誤り(S-Tが最小)
★(2)★★S-T相間が最も小さい★★正しい
★(3)★★T-R相間は測定不能★★誤り(測定できる)
★(4)★★R-SはS-Tの約75%★★誤り(約133%)
★(5)★★R-SとS-Tが等しい★★誤り

(4)は逆——(C₀/3)/(C₀/4)=4/3≒133%です。

比を計算しておくと、複数の選択肢を同時に判定できます

短絡しても導通するので「測定不能」にはなりません

★コンデンサの劣化と保護

段階現象対応
★初期★★1素子が短絡し電流が増える★★運転電流の測定で発見
★進行★★他の素子の負担が増え連鎖的に破壊★★早期の交換が必要
★末期★★相間短絡・ケース破裂★★保護装置が動作

1素子の短絡は、残りの素子に高い電圧がかかることを意味します——連鎖的に進む

だから早期発見が重要——クランプメータでの定期測定

放置するとケースが膨張・破裂することもあります

測定は必ず停電してから

(b)の静電容量測定は「機器停止後」と明記されています。

充電されたコンデンサは非常に危険——必ず放電してから測定します。

放電コイル・放電抵抗があっても、放電棒で確認するのが安全です。

進相コンデンサの構造

項目内容
★素子★★金属化フィルムを巻いた小さなコンデンサ
★直列接続★★1相あたり複数素子を直列にして耐圧を確保
★保安装置★★ケース内圧の上昇で電路を遮断するものもある

1つの素子で6.6kVに耐えるのは難しいので、直列にします——本問は1相2素子

だから1素子が短絡しても即座に故障とはならず、運転が続いてしまう——だから診断が必要なのです。

残った素子に全電圧がかかるため、連鎖的に破壊が進みます

⏱️ 本番での進め方
① 定格電流=定格容量/(√3×線間電圧)
② 素子が短絡するとその相の容量が2倍になる。
③ 2端子測定は2相の直列合成を測る。
健全な2相の組合せ(S-T)が最も小さい

💡 覚え方
高圧進相コンデンサの劣化診断=①運転電流を測定し、定格電流(=定格容量/(√3×線間電圧))との比で異常相を絞る ②停止後に2端子測定法(1端子開放)で相間静電容量を測る ③素子短絡した相は容量が2倍になるため、健全な2相の組合せが最も小さくなる。

⚠️ よくある間違い
短絡した相が絡む相間が「小さい」のではない——容量が増えるので合成も大きくなる。最小は健全な2相の組合せ。

まとめ

定格電流50000/(√3×6600)≒4.37 A
(a)測定電流R6.6/S5.0/T5.0 A →(1)
正常相容量C₀/2(2素子直列)
R相容量C₀(1素子短絡)
相間R-S=C₀/3、S-T=C₀/4、T-R=C₀/3
(b)S-T相間が最小 →(2)

▼あわせて解きたい関連問題
・流用リアクトルと第5調波共振(電気施設管理-計算31):【法規】平成26年度 B問題13
・直列リアクトル付コンデンサ(電気施設管理-計算8):【法規】令和6年度上期 B問題12

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