今回は平成27年度 法規科目 A問題10、変流器(CT)の誤り選択問題です。この問題は令和5年度下期 A問題10とまったく同じ文章・同じ選択肢順で、CTのテーマが繰り返し出題される代表例です。
誤りは「二次側の抵抗値により変流比は変化する」——変流比は巻数比で決まり、二次側の負担では変化しません(変わるのは誤差)。CTで最重要なのは二次側を絶対に開放しないことです。
平成27年度 法規科目 A問題10:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成27年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題10
電験3種 法規科目 【電気施設管理】 平成27年度 A問題10
次の文章は、計器用変成器の変流器に関する記述である。その記述内容として誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1) 変流器は、一次電流から生じる磁束によって二次電流を発生させる計器用変成器である。
(2) 変流器は、二次側に開閉器やヒューズを設置してはいけない。
(3) 変流器は、通電中に二次側が開放されると変流器に異常電圧が発生し、絶縁が破壊される危険性がある。
(4) 変流器は、一次電流が一定でも二次側の抵抗値により変流比は変化するので、電流計の選択には注意が必要になる。
(5) 変流器の通電中に、電流計をやむを得ず交換する場合は、二次側端子を短絡して交換し、その後に短絡を外す。

答え(誤っているもの)は(4)
この問題は令和5年度下期A問題10に、文章も選択肢順もそのまま再出題されました。
★★なぜ変流比は変わらないのか
励磁電流を無視した関係
二次側の負担には依存しない
CTは二次側をほぼ短絡状態(低インピーダンス)で使います——それが前提です。
二次電流は一次電流に比例して流れ続けます——負担が多少変わっても比は同じ。
変わるのは比誤差・位相角誤差——「変流比が変化する」とは別物です。
★定格負担(バーデン)とは
| 項目 | 内容 |
| ★定義 | ★★CTの二次側に接続できる負荷の限度[V·A] |
| ★超えると | ★★誤差が規定値を超える |
| ★対策 | ★★配線を太く短くする・機器を減らす |
負担が大きいと二次電圧が上がり、励磁電流が増えます——その分だけ誤差が出るのです。
しかし「変流比が変わる」ほどの変化ではありません——精度階級の範囲で管理されるのです。
選択肢(4)は、この誤差の話を「変流比の変化」と言い換えたひっかけです。
★★二次開放が危険な理由
鉄心が過飽和になる
数千Vに達することがある
通常は二次電流が作る磁束が、一次電流の磁束を打ち消しています——だから鉄心の磁束は小さい。
二次を開放すると打ち消しがなくなり、鉄心が飽和します——磁束が急峻に変化するのです。
その結果、二次側に数千Vの尖った電圧が現れます——絶縁破壊と感電の危険です。
★VTとCTの決定的な違い
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| VT(計器用変圧器) | ★★VT(計器用変圧器) | ★CT(変流器) | ★★二次側を短絡してはいけない/二次側を開放してはいけない |
| 電源に近い(定電圧源) | ★★電源に近い(定電圧源) | ★電流源として働く | ★★禁止事項が正反対 |
VTは二次短絡が禁止、CTは二次開放が禁止——正反対です。
VTは電圧源なので短絡すると大電流——だからヒューズを付けます。
CTは電流源なので開放すると高電圧——だからヒューズを付けてはいけないのです。
★なぜヒューズを付けてはいけないのか
ヒューズが溶断すれば、それ自体が二次開放になります——保護のつもりが危険をつくるのです。
開閉器も同じ理由で禁止——誤って開けば開放になるから。
選択肢(2)が正しいのは、この理屈からです。
★電流計の交換手順
| 手順 | やること | 理由 |
| ★① | ★★二次側端子を短絡する | ★★電流の逃げ道を確保 |
| ★② | ★★電流計を取り外して交換する | ★★この間も短絡が維持される |
| ★③ | ★★短絡を外す | ★★新しい計器に電流が流れる |
一瞬も開放状態をつくらない——これが手順の眼目です。
短絡してもCTは壊れません——むしろそれが正常な使い方に近いのです。
短絡端子(短絡片)が備え付けられている端子台もあります。
CTの定格と精度階級
| 項目 | 代表値 |
| ★定格二次電流 | ★★5A(1Aもある) |
| ★定格一次電流 | ★★負荷に応じて選定(例:100A) |
| ★変流比の例 | ★★100/5A=20:1 |
| ★精度階級 | ★★計器用0.5級、保護用5P10など |
二次電流を5Aに統一することで、計器を共通化できます——標準化の思想です。
保護用は大電流でも飽和しにくい設計——用途で選び分けます。
令和5年度下期との完全一致
| 年度 | 問題番号 | 内容 |
| ★平成27年度(本問) | ★★A問題10 | ★★文章・選択肢順とも同一 |
| ★令和5年度下期 | ★★A問題10 | ★★同一 |
CTは繰り返し出題される定番テーマです——8年ぶりの完全再出題。
ここを固めれば確実に得点できます。
CTの種類
| 種類 | 構造 | 用途 |
| ★巻線形 | ★★一次側も巻線になっている | ★★小電流用 |
| ★貫通形 | ★★導体を鉄心に貫通させる(一次1回) | ★★大電流用 |
| ★クランプ形 | ★★鉄心が開閉でき後付けできる | ★★測定用 |
貫通形は一次巻数が1なので、変流比は二次巻数だけで決まります——構造が簡単で丈夫です。
クランプメータもCTの一種——回路を切らずに電流が測れるのです。
零相変流器(ZCT)との違い
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| CT(変流器) | ★★CT(変流器) | ★ZCT(零相変流器) | ★★各相に1つずつ/3線を一括して貫通させる |
| 線電流を測る | ★★線電流を測る | ★3相の和(零相電流)を測る | ★★過電流の検出/地絡の検出 |
どちらも変流器ですが、通す導体の数が違います——それだけで測る量が変わるのです。
ZCTは健全時の出力がゼロ——3相の和がゼロだからです。
単線結線図では記号が異なります——見分けの手がかりになります。
なぜ二次側を接地するのか
CTの二次側の一端はD種接地工事を施します——解釈28条。
一次と二次が混触したとき、二次側に高電圧が現れるのを防ぐため——計器に触れる人を守るのです。
VTの二次側も同様に接地します——計器用変成器に共通の措置です。
⏱️ 本番での進め方
① 変流比は巻数比で決まる——二次側の抵抗では変わらない。
② 変わるのは誤差——「変流比」ではない。
③ 二次開放は絶対禁止——数千Vの異常電圧が出る。
④ だから二次側に開閉器・ヒューズを設けない。
💡 覚え方
変流器(CT)=変流比は一次と二次の巻数比で決まり、二次側の負担(抵抗値)では変化しない(変わるのは誤差)。通電中の二次開放は鉄心が過飽和となり数千Vの異常電圧が発生するため厳禁。二次側に開閉器・ヒューズを設けてはならず、電流計の交換は先に二次側端子を短絡してから行う。
⚠️ よくある間違い
二次側の抵抗値で変わるのは誤差であって変流比ではない。VTは二次短絡禁止、CTは二次開放禁止——正反対。
まとめ
| (1) | 正しい(一次電流の磁束で二次電流) |
| (2) | 正しい(二次側に開閉器・ヒューズ禁止) |
| (3) | 正しい(二次開放で異常電圧) |
| (4) | 誤り(変流比は巻数比で決まる) |
| (5) | 正しい(端子を短絡してから交換) |
| 答え | (4) |
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